平成30年度卒業式・修了式告辞

平成30年度卒業式・修了式告辞です。

 

平成31年3月26日
東京農工大学長 大野 弘幸

 本日、東京農工大学を卒業される皆さん、大学院の課程を修了される皆さん、おめでとうございます。本学教職員を代表し、心よりお祝いを申し上げます。
 本年は、学士の学位取得者が、農学部320名、工学部582名、修士の学位取得者が工学府博士前期課程339名、農学府修士課程186名、生物システム応用科学府博士前期課程64名、技術経営研究科37名、博士の学位取得者が工学府博士後期課程44名、生物システム応用科学府博士後期課程11名、連合農学研究科博士課程40名、計1,623名が本学から学位を授与されことになりました。学士、修士、あるいは博士の学位を取得した皆さんは、人生の中で大変重要なステップを一段のぼり、大きな達成感に包まれていることでしょう。それぞれの学位論文をまとめることができたのは、皆さんのたゆまない努力の賜物ですが、決して皆さんだけの力で作り上げられたものではないと思います。指導教員、学科の先生方、研究室の先輩、同胞など、多くの方の協力があったと思います。さらには、家族の理解と協力も大きかったでしょう。皆さんを様々な形で支え続けて下さったご家族、友人、関係者の方々に心から感謝して下さい。我々教職員一同も、皆さんを祝福するとともに、皆さんの成長を支援して頂いた方々に心から謝意と敬意を表しつつ、本日の晴れの日の大いなる喜びを分かち合いたいと思います。感謝する人がたくさんいると言うことは、多くの方々からいろいろな形の支援を受けているということです。互いに影響を与えあえる仲間がいるということは本当に幸せなことです。時には応援してくれ、時にはわがままな考えを修正してくれたことでしょう。これからも皆さんと関係があった人々との交流を保ち、多くの人とのネットワークを維持し、社会に出てからもそのネットワークを強化して行ってください。
 4月からは、さらに大学院に進学する人もいれば、社会に巣立つ人もいるでしょう。卒業、修了という一つの区切りをつけて、次のステップに上がる皆さんは、本学で格段に成長したのではないでしょうか?特に大学院を修了する諸君は本学で実際に研究に携わり、座学だけでは味わうことのできない、実に様々な経験をしたことと思います。楽しいこともあったでしょう。友人と長時間語り合い、納得するまで意見の違いをぶつけ合い、生きていることを実感したことでしょう。一方で、自ら努力して得た研究成果に対していろいろな角度から検討し、自分なりの考察を構築したり、成果を取り纏めて学会発表をしたり、専門誌に論文として投稿し、掲載されるなど、大きな目標に向かって努力し、達成してきたことでしょう。苦しいことも多かったと思います。友人や指導教授と意見が合わなかったり、実験が上手く行かなかったり、やってもやっても思うような結果が出なかったり、もうダメかな?と思うこともあったでしょう。しかし、やることがすべてうまくゆくことが一番幸せな人生でしょうか?皆さんはうまくゆくことだけを望んでいたのでは無いと思います。人間は失敗して、くじけて成長するものです。他人に迷惑をかけない失敗はどんどんしても良いでしょう。同じ失敗を繰り返さないように工夫して、挑戦して、それでも失敗する。こんなチャレンジングなことはありません。これから社会に出る皆さんも同じで、やること全てが上手く行くはずがありません。沢山の失敗があるでしょう。一度でも失敗したら立ち直れないようなガラスのハートは本学の卒業生には似つかわしくありません。皆さんの心臓は一生の間20億回から30億回も拍動すると言われています。皆さんは生まれつきへこたれないフレキシブルな心臓を持っているのです。レジリエンスを持って「しなやかに」社会を生きて下さい。失敗し続けても最後に成功を掴めばよいのです。成功するまで諦めない粘り強さを持ってください。時には、当初考えていた延長線上には成功が待っていないかもしれません。チャレンジする初心を忘れず、迂回を恐れず、むしろ何が起こるか「わくわく」するようにチャレンジを楽しんで下さい。一方で、成功するための方法論も良く考えて下さい。ルールを無視した勝手な考えはサイエンスではありません。学位を取得したと言うことは、専門知識だけを習得したのではありません。広い教養と高い倫理感を持って人類の幸せのために、地球の平和的進歩のために、努力することが、皆さんの未来です。
 さて、皆さんは卒業したら大学と縁が切れるわけではありません。大学とより強い絆を保ち、お互いを刺激しあえるような関係を築くことができれば最高だと思います。将来、皆さんがホームカミングデーや学園祭、あるいは同窓会などの機会に本学に戻ってきたとき、活躍している近況や失敗談を聞かせて下さい。その失敗を通じ、いかに工夫して成功を掴んだのか、あるいは今チャレンジしていることを聞かせてください。私たちも皆さんの母校として誇れる心のふるさととなれるよう、またいつでも皆さんを支援できるよう努力し続けます。すべての教職員が協力して、世界の役に立ち、世界に認知される実力ある大学を目指して失敗を恐れずに努力をしてまいります。
 本学を巣立つ皆さんが、世界に大きく羽ばたいて、充実した、刺激的な毎日を過ごすこと、また、皆さんと本学との交流が有意義に深まることを期待しております。平成最後の記憶に残る卒業式が、皆さんの門出にふさわしい、輝かしい式典となることを願い、学士、修士、博士の学位授与を祝し、皆さんの今後の活躍を心より祈り、告辞と致します。

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