2008年05月07日:大学出版会の硬いイメージを払拭して知的財産を世の中に還元東京農工大学出版会が、一般読者に向けた単行本シリーズを発行

-大学出版会の硬いイメージを払拭して知的財産を世の中に還元東京農工大学出版会が、一般読者に向けた単行本シリーズを発行-についてのご紹介です。

-第1号は 普後 一 教授著「人が学ぶ 昆虫の知恵」-

国立大学法人・東京農工大学の関連法人・有限責任中間法人東京農工大学出版会は、一般読者を対象とした単行本シリーズ・東京農工大学選書を刊行。その第1号として農学府の普後一教授による「人が学ぶ 昆虫の知恵」を5月9日より、全国の書店で発売します。同教授の研究テーマの一つである昆虫の生態や体のしくみ、昆虫を利用した先端技術など、70項目に及ぶ昆虫の「知恵」が分かりやすく紹介されています。
従来の大学出版会が発行する学術書や教科書とは一線を画し、ターゲットをあくまでも一般読者としたシリーズとして、見開き単位で解説とイラストを半分ずつにするなど、大学出版会の硬いイメージを払拭した構成になっています。同出版会では、このシリーズの発行を皮切りに今後、大学のもつ知的財産を世の中に還元するための新しい試みを積極的にスタートさせていきます。

東京農工大学出版会は、2006年11月に発足しました。2004年に全国の国立大学が、国立大学法人と改められ、裁量の自由度が広がったことに伴って、各大学では新しい試みがなされました。その中で、農学部と工学部からなる東京農工大学では、農工融合を目指して新しい研究分野を積極的に模索すると同時に、大学のもつ知的財産は広く世の中に還元されるべきとの議論の中から、出版会の設立を決定しました。

従来の大学出版会のように、専門的な学術書や教科書の発行もおこないますが、軸足はあくまでも一般読者に置き、理科に興味のある学生や社会に出てからもう一度知識や技術を吸収したい人、あるいは農学や工学に対する知的好奇心をもつ人などを対象に、社会人大学講座に通うような手間をかけずに知識を習得できる編集方針を前提としています。企画に当たっては、学内外から選定された6人の編集委員が、月に1度の編集委員会で決定します。

今回、シリーズ第1号として発行する「人が学ぶ 昆虫の知恵」を執筆したのは、農学府の普後一教授です。同教授は、昆虫を使った理科教育を研究テーマの一つとしています。昆虫のもつ生態や機能の合理性などの紹介を通して、児童・生徒たちが理科に興味をもつきっかけ作りを熱心に進め、これまでにも動画で昆虫の生態や体の構造を紹介するなど、新しい研究分野を開拓してきました。同教授は、出版会の理事・編集委員にも就任しているため、最初の執筆者として白羽の矢が立ちました。

「人が学ぶ 昆虫の知恵」は、一般読者が知って役に立つ70項目の昆虫の「知恵」が、豊富なイラストとともに紹介されています。従来の大学出版会らしからぬ平易な解説で、大人から子供まで楽しんで読むことができます。

同出版会では、「昆虫の知恵」に続いて、まもなく「植物の知恵」を刊行し、その後は「イヌの知恵」「ネコの知恵」「微生物の知恵」など、自然界の様々な「知恵」の発行を予定しています。またこれ以外にも、一般読者に向けたシリーズを何本も企画するなど、東京農工大学が培ってきた知的財産を積極的に世の中に還元していく方針でいます。

(5月9日 読売新聞(多摩版)に掲載)
(5月18日 東京新聞(多摩版)に掲載)
(5月20日 読売新聞に掲載)
(5月21日 朝日新聞に掲載)

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