天然にはない安全な「サキシトキシン」を使った貝毒検査が可能に~機器を使った安全な貝毒検査~

天然にはない安全な「サキシトキシン」を使った貝毒検査が可能に
~機器を使った安全な貝毒検査~

  • サキシトキシンの鏡像異性体の合成に成功しました。
  • サキシトキシンの鏡像異性体は基本的な分子の構成と化合物の性質は天然型サキシトキシンと同じでも毒性がないことを明らかにしました。
  • サキシトキシンの鏡像異性体は毒性がないため安全な標準物質として利用できます。
  • 安全なサキシトキシンの鏡像異性体を使うことにより貝毒検査が動物検査法から機器分析法への移行が進むことが期待されます。

 有毒藻類は麻痺性貝毒を産生することから、この藻類を二枚貝が食べると毒化することがあります。毒化した二枚貝をヒトが食べると麻痺性貝中毒をおこすことから食中毒を防ぐため、二枚貝の出荷前に貝毒検査が行われます。麻痺性貝毒検査は、動物をつかった方法が広く普及していますが、欧州などでは動物検査を廃止して機器分析へ移行しています。麻痺性貝毒の一つにサキシトキシンがあり、わが国の化学兵器禁止法で製造・使用・運搬が厳しく制限されています。
 機器分析では、検査対象とする毒の標準物質が必要です。このため機器分析法を導入するには、標準物質となるサキシトキシンが必要ですが化学兵器禁止法の規制対象物質となっているため、サキシトキシンの代替となる標準物質が望まれていました。
 化学物質には鏡に映したような化合物(以下、鏡像異性体)が存在するものがあります。この鏡像異性体は沸点、融点などの性質は同じですが、生物への作用は異なります。水産研究・教育機構、東京農工大学、東北大学大学院農学研究科の共同研究チームは、鏡像異性体のサキシトキシンに着目し、世界で初めて合成に成功しました。サキシトキシンの鏡像異性体の性質を調べ、物理化学的な性質は天然型と同じですが、ヒトなどの哺乳動物に対する毒性がないことを科学的に立証しました。このことにより天然型サキシトキシンの使用を大きく削減でき、麻痺性貝毒検査が動物検査法から機器分析法に移行することが期待されます。
 本研究は、英文誌Analytical Chemistry 94巻32号11144—11150頁に2022年8月7日に掲載されました。

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