植物病原菌の宿主を決める因子の発見-土壌病害に対する新たな防除法開発に期待-

植物病原菌の宿主を決める因子の発見
-土壌病害に対する新たな防除法開発に期待-

 理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター植物免疫研究グループの鮎川侑訪問研究員*、浅井秀太上級研究員(研究当時、科学技術振興機構さきがけ研究者)、白須賢グループディレクター、東京農工大学大学院農学研究院生物制御科学部門の有江力教授らの国際共同研究グループは、土壌病原菌フザリウム(Fusarium oxysporum)から、宿主を決める因子を発見しました。
 本研究成果は、安定的な作物生産に向けた土壌病害[1]防除に貢献することが期待できます。
 病原微生物は全ての農作物に発病するわけではなく、病原微生物の種や株ごとに感染する植物が異なります。例えば、世界中の作物生産に深刻な被害を与えているフザリウムは、100種以上の植物に対して萎(しお)れ症状を引き起こしますが、菌株によって宿主となる植物が異なります。
 今回、国際共同研究グループは、フザリウムの比較ゲノム解析を通して、モデル植物シロイヌナズナに感染するキャベツ萎黄病[2]菌から、宿主決定に必要な二つの遺伝子(SIX8とPSE1)を特定しました。これらの遺伝子は病原性に必要なCD染色体[3]の塩基配列上に隣接して座乗し、ペアで働くことでシロイヌナズナに特有の抗菌物質を介した免疫の抑制に関与することが示唆されました。
 本研究は、科学雑誌『Communications Biology』オンライン版(6月9日付:日本時間6月9日)に掲載されました。

土壌病原菌フザリウムの宿主決定に必要な二つの遺伝子(SIX8とPSE1)を特定

 詳細は、以下をご参照ください。

*鮎川侑博士は本学大学院連合農学研究科博士課程修了で、本共同研究の内容の一部は、鮎川博士の博士論文「Fusarium oxysporumの宿主特異性分化における小型染色体の機能の解析」に関わるものです。

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