砂はどのように落下しているのか?を解明!〜粉体の流体近似とその応用に期待〜

砂はどのように落下しているのか?を解明!
〜粉体の流体近似とその応用に期待〜

 砂は、熱揺らぎを無視できる大きさの粒子であり、一つひとつは古典力学に従って運動しています。その砂が大量に集まると雪崩や粉塵といった集団運動を起こすようになります。このような砂や粉の集団運動は、生産過程や輸送過程に始まり、土砂災害や黄砂の拡散、火山灰などの降灰、雪崩現象など、産業や防災に関わり、社会全般にとって重要な課題となっています。しかしながら、大量であるが故に古典力学では記述しきれなくなり、どのように集団運動するのか、現在においても理解されていませんでした。
 東京都立大学大学院理学研究科物理学専攻の小林和也氏(研究当時:都立大大学院博士後期課程在籍、現:農工大特任助教)、栗田玲教授らの研究グループは、粉体(砂や粉の総称)のフォースチェーン(注1)とゼラチンの高分子ネットワーク(注2)が類似していることに着目し、物理ゲルを下から流動させた時と、砂が入った容器をひっくり返した時の流動の様子が酷似していることを見出しました。さらに定量的な解析を行なったところ、粉体系と物理ゲルとの間に定量的な類似性があることがわかりました。このように、流体現象の類似性から、砂の落下運動を明らかにすることに成功しました。さらに、流動化した物理ゲルは流体近似が可能なため、粉体の運動は構成要素やフォースチェーンを粗視化した流体近似が可能であることを示しました。この研究は砂の他の集団運動の研究にも応用が可能であり、粉体研究の発展と社会全般へのフィードバックが期待できます。

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