単一コロイド量子ドットで電気伝導の評価と制御に成功 ~「人工原子」デバイスの応用に前進 ~

単一コロイド量子ドットで電気伝導の評価と制御に成功
~「人工原子」デバイスの応用に前進 ~

◆発表のポイント

  • 従来、困難だったコロイド量子ドット1個の電気伝導の評価と制御に成功
  • 1個の半導体コロイド量子ドットを用いた単一電子トランジスタで室温動作を実現
  • コロイド量子ドットの光電デバイスや量子情報デバイスへの応用に大きく前進

現状
 量子ドットは、人工原子とも呼ばれる半導体の極微小な粒子で、本年、量子ドットの発見やコロイド状量子ドットの合成を行った研究者にノーベル化学賞が授与されました。この半導体コロイド量子ドット*1は、太陽電池などの光電デバイス*2の活性層として近年注目されており、これまでにその光学的な性質は比較的よく調べられてきました。一方で、コロイド量子ドットの電気的性質の研究は少なく、特に単一の量子ドットの電気伝導に関する評価はほとんど行われていないため、解明すべき問題が数多く存在していました。
 東北工業大学工学部電気電子工学科の柴田 憲治 教授は、東京大学生産技術研究所の平川 一彦 教授、東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の大塚 朋廣 准教授(同大学電気通信研究所兼務)、東京農工大学大学院工学研究院のサトリア・ビスリ 准教授、理化学研究所創発物性科学研究センターの岩佐 義宏 チームリーダーらと共同で、半導体コロイド量子ドット1つを用いた単一電子トランジスタ(Single-Electron Transistor: SET)*3を作製し、従来困難だったコロイド量子ドット1個の電気伝導の詳細な評価を行うとともに、SETの室温動作も実現しました。本研究成果は、半導体コロイド量子ドットの光電デバイスへの応用に寄与するだけでなく、新たな量子情報デバイス*4への応用にも道を拓くものです。
 本研究成果は、日本学術振興会科学研究費助成事業、公益財団法人JKA研究補助事業などの支援を受けて実現しました。成果論文は英国科学誌「Nature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)」(オンライン誌)に11月18日付で掲載されました。 

 

 詳細は、以下をご参照ください。

関連リンク(別ウィンドウで開きます)

 

CONTACT