イネ品種タカナリ、圃場の光環境・高CO₂濃度でも高い光合成能力 1日の積算光合成量を評価 将来の多収性育種にも期待

イネ品種タカナリ、圃場の光環境・高CO₂濃度でも高い光合成能力
1日の積算光合成量を評価 
将来の多収性育種にも期待

 東京農工大学の大久保智司研究員、茨城大学の安達俊輔助教は、日本のイネの中でトップクラスの収量を示すインド型イネ品種タカナリについて、1日を通じた積算光合成量がコシヒカリに比べて大きく、また高CO₂濃度条件下ではさらに大きくなることを、圃場条件の光環境を実験室内で再現した光合成測定によって明らかにしました。
 イネが生育する圃場環境において、植物に届く太陽光の強さは常に変化しており、それに合わせて葉の光合成速度も大きく変動します。イネの収量を高めるためには光合成速度の積算値 (積算光合成量) を高めることが重要ですが、この能力の高いイネの品種は見つかっていませんでした。
 本研究では、圃場で測定した日の出から日没までの日射変動を実験室内で再現し、タカナリとコシヒカリの光合成変動を比較しました。その結果、タカナリは現在の大気CO₂濃度条件で積算光合成量が大きいことに加え、将来予想される高CO₂濃度条件でいっそう高い能力を発揮することがわかりました。
 この結果からは、タカナリを育種母本として用いることで、現在から将来にわたる環境下において高い積算光合成量を示すイネ品種を作り出すことが可能となるといえます。また原因遺伝子の特定は、光合成の光応答メカニズムの解明に役立つと期待されます。
 この成果は、2020年9月1日、学術雑誌Frontiers in Plant Scienceに掲載されます。

 

図1 ポット (A) および圃場 (B)に生育したイネ写真

詳細は、以下をご参照ください。 

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  • 大久保智司研究員が所属する 東京農工大学農学府

 

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