平成29年度卒業式・修了式告辞

平成29年度卒業式・修了式告辞です。

 

平成30年3月27日
東京農工大学長 大野 弘幸

 本日、東京農工大学を卒業される皆さん、大学院の課程を修了される皆さん、おめでとうございます。本学教職員を代表し、心よりお祝いを申し上げます。
 本年は、学士の学位取得者が、農学部316名、工学部577名、修士の学位取得者が工学府博士前期課程337名、農学府修士課程162名、生物システム応用科学府博士前期課程74名、技術経営研究科31名、博士の学位取得者が工学府博士後期課程28名、生物システム応用科学府博士後期課程12名、連合農学研究科博士課程41名、計1,578名が本学から学位を授与されることになりました。学士、修士、あるいは博士の学位を取得し、皆さんは人生の中のいくつかのステップを一段のぼり、大きな達成感に包まれていることでしょう。それぞれの学位論文をまとめることができたのは、皆さんだけの力ではないと思います。指導教員、学科の先生方、先輩、後輩など、多くの方の協力があったと思います。さらには、皆さんを様々な形で支え続けて下さったご家族、友人、関係者の方々も含め、心から感謝しましょう。我々教職員一同も皆さんの成長を支援して頂いた方々に心から謝意と敬意を表しつつ、本日の晴れの日の大いなる喜びを分かち合いたいと思います。感謝する人がたくさんいると言うことは、多くの方々からいろいろな支援を受けているということです。影響を与えあえる仲間がいると言うことは本当に幸せなことです。これからも皆さんと関係があった人々との交流を保ち、人のネットワークを維持し、社会に出てからもそのネットワークを強化していってください。
 4月からは、さらに大学院に進学する人もいれば、社会に巣立つ人もいるでしょう。卒業、修了という一つの区切りをつけて、次のステップに上がる皆さんは、本学で格段に成長したのではないでしょうか?特に大学院を修了する諸君は本学で実際に研究に関わり、座学では味わうことのできない、実に様々な経験をしたことと思います。楽しいこともあったでしょう。友人と長時間語り合い、他愛もないことで大笑いし、研究成果に対していろいろな角度から検討し、自分なりの考察を構築したり、成果を取り纏めて学会発表をしたり、専門誌に論文を投稿して掲載されるなど、様々な目標に向かって努力し、それを達成できたことでしょう。一方で、苦しいことも多かったと思います。友人と意見が合わなかったり、実験が上手くゆかなかったり、やってもやっても思ったような結果が出なかったり、もうダメかな?と思うこともあったでしょう。しかし、やることがすべてうまくゆくことが一番幸せな人生でしょうか?皆さんはうまくゆくことだけを望んでいたのでは無いと思います。人間は失敗して、くじけて成長するものです。皆さんはまだまだ伸びしろが沢山ある元気な若者なのです。伸びしろと言えば、本年2月の冬季オリンピックで金メダルを取った羽生結弦選手の活躍とインタビューが記憶に新しいと思います。彼は練習で大きなケガをしてオリンピック出場さえ危ぶまれていました。しかし、彼は見事によみがえり、大舞台で実力を発揮できました。その陰には歯を食いしばるような努力の連続があったことでしょう。これから社会に出る皆さんも同じで、全てに上手く行くはずがありません。沢山の失敗があるでしょう。しかし、「失敗こそが自分を高められるチャンスだ」と思うくらいの強さを持ってください。山中幸盛の有名なフレーズ「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」と言うのは、時代遅れの考えかも知れませんが、一度でも失敗したら立ち直れないようなガラスのハートは本学の卒業生には似つかわしくありません。レジリエンスを持って「しなやかに」社会を生きて下さい。失敗し続けても最後に成功を掴めばよいのですから。成功するまで諦めない粘り強さを持ってください。また、成功するための方法論も良く考えて下さい。ルールを無視した勝手な考えはサイエンスではありません。学位を取得すると言うことは、専門知識だけを習得したのではありません。高い倫理感を持って正しく世界の平和的進歩、人類の幸せのために努力することが、皆さんの道です。
 さて、皆さんは卒業したら大学と縁が切れるのではありません。大学とより強い絆を保ち、お互いを刺激しあえるような関係が築ければ最高だと思います。将来、皆さんがホームカミングデーや学園祭などの機会に本学に戻ってきたとき、失敗談を聞かせて下さい。その失敗を通じ、いかに工夫して成功を掴んだのか、聞かせてください。私たちも皆さんの母校として誇れる心のふるさととなれるよう、またいつでも皆さんを支援できるよう努力し続けます。すべての教職員が協力して、世界の役に立ち、世界に認知される実力ある大学を目指して失敗を恐れずに努力をしてまいります。
今後とも同窓会活動やそれぞれの仕事を通して、皆さんと本学との交流が有意義に深まることを願い、本日の卒業、修了、学位授与を祝し、皆さんの今後のご活躍を心よりお祈りして、告辞と致します。

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