平成29年度 入学式

平成29年度入学式の式辞です。

平成29年4月7日
東京農工大学長 大野 弘幸

 東京農工大学に入学された皆さん、おめでとうございます。教職員を代表して、 心よりお祝い申し上げます。また、今まで支えてこられたご家族はじめ、関係各位に も謹んでお慶びを申し上げます。


 平成 29 年度の新入生は、農学部が 325 名、工学部が 639 名で学部生合計 964 名です。本学の大学院は工学府、農学府、生物システム応用科学府及び連合農 学研究科の四つから構成されており、生物システム応用科学府内に設置されてい る早稲田大学との連携による共同先進健康科学専攻もすべてあわせますと、博士 前期課程・修士課程・専門職学位課程の新入生は 661 名、博士後期課程は 102 名 となります。また、アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地からの留学生 は合わせて 67 名で、本年度すべての学部・大学院生を含めた全体の新入生の総
計は 1,727 名です。 今年度の新入生同士は、それぞれの未来のために助け合い切磋琢磨する良き 仲間となるでしょう。卒業後・修了後も研究や仕事を通じて生涯付き合うことになる 人もたくさんできることでしょう。ぜひとも東京農工大学のキャンパスライフを満喫し ながら、良い影響を与え合う関係を築いていってください。


 本学は創基以来 140 年を超える長い歴史を通して、産業の基幹である農学と工 学の二分野に加え、その融合領域もふくめ、一貫して「自然と調和し文化的・経済 的・環境持続的に発展し続けることのできる社会の実現」という命題のために全力で 取り組んできました。そしてその命題のためには既成概念や枠組みに囚われず信念を持って柔軟且つ果敢に挑戦するという本学の特色を活かして、世界と競える先 端研究力の強化、産業界との連携、高度なイノベーションリーダーの育成のために 様々な新しい取り組みをスタートさせ、積極的に推進しています。このほかにも多く のプログラムを推進しています。たとえば、東京外国語大学、電気通信大学との三 大学による連携事業や、岩手大学との大学院共同獣医学専攻の設置など、着々と 準備が進められています。また大学自体の組織改革、国内外の他機関や他大学と の連携も積極的に行い、丁寧な教育と高度な研究を特徴として東京農工大学は進 歩し続けています。


 さて、東京農工大学に入学された学部生一年生の皆さん。皆さんはまず、大学 での教育は高等学校までの教育とは大きく異なることを認識してください。高等学 校までは先生が教えてくれる基礎知識を吸収し理解するという教育が多かったと思 います。そこでは、みんなと同じ答えを導くことが求められたことでしょう。しかし大学 では、学生が自主的に考え、持てる知識をフルに活用して新たな知を生み出すと いう主体的な姿勢が求められます。また、社会に出て活躍するためには個性を発 揮することも求められるので、人とは違う答えや提案を導く必要があります。そのた めには幅広い知識に基づき、未知に挑戦するみなさんの意欲が大切となります。大 学は皆さんが成長する手助けをします。成長する努力をするのはみなさん自身で す。どうか自分の将来の夢を描き、その夢を現実のものとするために努力を惜しま ず、勉学に励んで下さい。皆さんひとりひとりが本学在学中にこの姿勢をしっかりと 培うことによって、未知への挑戦がイノベーションへとつながる研究・開発となるでし ょう。学部四年間の大学生活を終えた後、皆さんは進学や就職など異なる道に進 むことになるでしょうが、どの進路においても活躍することができるようになるでしょ う。
 

 一方、大学院へ入学された皆さんは、この基本姿勢はしっかりと身についており、 さらに自分を高めようとして、より専門的な研究生活に入ってきたことでしょう。しかし 専門性を極めるのと同時に、幅広い常識、教養を身に着け、俯瞰的・大局的で多種 多様な視点も持たなくてはなりません。多くの企業で求められている人材はこの T 型の人材です。即ち、浅くても良いから幅広い知識と、誰よりも自分が一番良く知っ ているという深い専門知識の両方を持つことが重要です。これは国際社会で活躍 するときにも当てはまります。ですから自身の専門分野の研究のみならず、他分野 の知識や考え方、歴史的背景や社会的要素、国際情勢、あらゆることを積極的に 学んで下さい。皆さんの前に幾度となく立ちはだかるであろう様々な壁に立ち向か い、乗り越えて下さい。皆さんはそのたびに成長するでしょう。どうか世界を平和に、 人々を幸せにすることのできる人材になってください。
 東京農工大らしさとは、これまで「堅実」という二文字で表現されてきました。これ は、百四十年以上に及ぶ農工大の長い歴史と伝統、そして、国内外の多様な分野 で活躍してきた卒業生の一人ひとりによって築かれ、支えられてきたものです。しか し、今日、インターネットで世界がつながり、AI の技術的なブレークスルーが起こっ ており、我々の生活は驚異的なスピードで変化し続けています。皆さんが活躍する 未来の社会では、「堅実」さに加え、「自ら挑戦し続ける人材」が東京農工大学の卒 業生を表す言葉となるでしょう。また、単にこれからの変化に遅れずに追いかけるの ではなく、自らが game changer として、すなわち率先して変化を起こす仕掛け人 を目指し、日本だけに留まらず各国を駆け巡り、世界をけん引していく力をつけて 下さい。我々教員も様々な分野で世界のトップを走り続け、全力で皆さんをサポート していきます。
 そして最後にもうひとつ、あたり前のようですがとても大切なことを申し添えます。 学術研究の道は、精神的にも身体的にも厳しいものです。健康な心と体がなくては続けることができません。特に地方や海外から来られた方々は、慣れない土地でい ろいろと不安なことが多いかと思います。一人で悩まず、友人や保健管理センター のスタッフ、先生方に相談して下さい。健康にも十分留意し、心身共に健康で、大 いに学び、大いに遊び、実り多い大学生活を送ってください。東京農工大学の教 職員もさらに力強く皆さんのバックアップができるよう、あらゆる面で常に最大限の 努力を続けてまいります。
 本日入学されたすべての皆さんが今日の気持ちを忘れず、それぞれの夢に向 かって大きく成長することを願い、また皆さんが本学の一員となることにあらためて 歓迎の気持ちをお伝えして、式辞といたします。

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