クマたちの種まきは、温暖化からサルナシが避難することを妨げる

クマたちの種まきは、温暖化からサルナシが避難することを妨げる

【発表のポイント】
・樹木が温暖化の影響から逃れるには、種子散布によって気温の低い山の上や北方に生息地を移動させることが重要です。
・しかし、クマやサル、テンは日本の山地に自生するサルナシ(キウイフルーツの仲間)の種子を標高の低い場所へより多く運んでいました。
・サルナシのように気温が高くなる低標高の場所に種子が運ばれる樹木では、温暖化にうまく対応できずに衰退する可能性があります。

【共同研究者】
直江将司(森林総合研究所・主任研究員)、陀安一郎(総合地球環境学研究所・教授)、酒井陽一郎(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター・研究員)、正木隆(森林総合研究所・研究企画科長)、小林和樹、中島晶子(日本大学・学部生)、佐藤喜和(酪農学園大学・教授)、山崎晃司(東京農業大学・教授) 、清川紘樹(東京大学・大学院生)、小池伸介(東京農工大学・准教授)

【発表の概要】
 自ら動けない樹木が地球温暖化による気温上昇から逃れて移動するためには、気温の低い山の上もしくは北方へと種子が散布される必要があります。しかし、例えば標高差で100mを超えるような長距離の種子の移動についてはこれまでほとんど研究がなく、そのメカニズムはよくわかっていませんでした。
 本研究では、秋から冬にかけて動物は樹木の果実が熟すのを追うようにして山を下りるために、この時期の種子は低標高に偏って散布されるという仮説を検証しました《注1》。日本の山地に自生し、果実がキウイフルーツを小さくしたようなサルナシ(マタタビ属)《注2》について、ツキノワグマ、テン、ニホンザル、タヌキが果実を食べてから排泄するまでに移動することによる種子の散布を調べました。その結果、タヌキ以外はサルナシの種子を気温の高い低標高に偏って散布しており、サルナシが温暖化から逃れて高標高地へ移動するのには貢献していないことが分かりました。
 森林では、秋から冬に結実し、動物に種子散布してもらう樹木が多数を占めています。そのため、サルナシと同様な種子散布が他の樹木でも起こっているとすれば、温暖化によって森林の種構成や生態系機能は大きく変化することが予想されます。

詳細は、以下をご参照ください。

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