2014年2月25日 ロボットへの「親しみ」感情と人体の反応動作の相関性を証明

<人間とロボットのやりとり> ロボットへの「親しみ」感情と人体の反応動作の相関性を証明

東京農工大学大学院工学研究院先端機械システム部門のベンチャー・ジェンチャン准教授は、フランス・モンペリエ大学人社系学際研究センターのバデューラ・リタ氏と共同で、人型ロボットを目前にした被験者(日本人)の感情と、それに反応する体の動きの相関について実験を行いました。この結果、ロボットに対する「親しみ」感情が高いほど、その反応動作の中に特徴的な変化が見られることを証明しました。この成果は、将来的に、人間の生活空間で自立的に動作するロボットや家電製品などに対して、より人間に受け入れられる優れたユーザーインターフェイス等の開発へと繋げられることが期待されます。

現状:「空気を読む」という言葉がありますが、人間がコミュニケーションを取る際に、言外の情報を互いに汲み取ることは、日常的に発揮する大切な社会適合能力の一つです。一方、二足歩行ロボット等の研究進展にともない、実際にロボットが人間社会や生活空間の中で活躍するための研究が進められています。その重要なキーワードとして、ロボットに対するヒトの「親しみ」感情があり、HRI(ヒューマン・ロボット・インタラクション)の分野では、これまで多くの研究がなされてきました。しかし、この「親しみ」は数値的な正確さを欠いた表現であり、定量的に取り組んだ研究は一切なされてきませんでした。

研究体制:この研究(概念設計、データ分析、データ解釈等)は、東京農工大学とモンペリエ大学(フランス)が共同で実施しました。人間の動作分析は主として東京農工大学が行い、心理学的評価は主としてモンペリエ大学が行いました。

研究成果:本研究では、人間と人型ロボットのやりとりに際し、ロボットへの感情(心理学的評価)と、ロボットに対する反応動作(人間の動作分析)を評価しました。具体的には、事前にロボットと交流するという説明を聞いていない被験者に対し、ロボットが挨拶し、アンケート用紙が入った封筒を手渡す際の反応について、被験者の手と頭の動作を定量的に測定しました。この結果、ロボットに対する「親しみ」が高いほど、挨拶や封筒を受け取る際の被験者の手・頭の反応動作(動作頻度や滑らかさ)に傾向が見られました、さらに、「親しみ」が高いと、被験者はロボットの動作を先読みして、ロボット動作を補助するよう体を動かすことも観察されました。

今後の展開:異文化を背景とする西洋人等の被験者に対する同様の比較実験を行うなど、人間のロボットに対する「親しみ」と体の反応動作の相関について、さらなる研究を進めます。一方、将来的には、人間の生活空間で自立的に動作するロボットや家電製品などに対して、より人間に受け入れられる優れたユーザーインターフェイス等の開発へと繋げられることが期待されます。

本研究成果は、2月11日付でfrontiers in NEUROROBOTICS誌(電子版)(別リンクで開きます)に掲載されました。

掲載誌:「frontiers in NEUROROBOTICS」
論文名:“Human motion characteristics in relation to feeling familiar or frightened
during an announced short interaction with a proactive humanoid”
著 者:R. Baddoura and G. Venture

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