平成30年度東京農工大学連合農学研究科入学式式辞

平成30年度東京農工大学連合農学研究科入学式式辞です。

 

平成30年4月10日
東京農工大学長 大野 弘幸

 東京農工大学連合農学研究科に入学された皆さん、おめでとうございます。教職員を代表して、心よりお祝い申し上げます。また、今まで支えてこられたご家族をはじめ、関係各位にも謹んでお慶びを申し上げます。
 本年度、連合農学研究科の大学院生として新しく仲間入りするのは、生物生産科学専攻6名、応用生命科学専攻4名、環境資源共生科学専攻5名、農業環境工学専攻1名、農林共生社会科学専攻3名の合計19名で、この中には世界2ヵ国からの留学生4名が含まれています。皆さんは大学院でのこれからの研究生活を通じ、様々なことを学び、研究を進展させるのみならず、たくさんの友人を作って下さい。友人の中には大学院修了後も研究や仕事を通じて生涯の付き合いとなる友人もできることでしょう。これからの社会でも人のネットワークは極めて重要です。キャンパスライフを満喫しながら、沢山の友人を作り、良い影響を与え合う関係を維持していくことを期待します。
 さて、現代社会は社会・経済・科学技術の発展とともに、環境、エネルギー、食糧、健康、安全・安心、災害など、人類の存続に関わる地球規模の課題を多く抱えるようになりました。地球上で生物が共存できる環境の維持、安全な食糧の確保、われわれの暮らしを支える資源とエネルギーの確保、健康な生活維持は、われわれの地球にとって必要不可欠です。農学はこれらの問題の抜本的な解決に繋がる重要な学問分野として位置づけられています。こうした諸問題の解決には、我々科学者が先導して創造する科学技術の力が必要です。皆さんはその重要な学術の世界に入ってきたことになります。これから皆さんが学ぶこの連合農学研究科は、東京農工大学、茨城大学、宇都宮大学の三大学が連携し、各々の特性を活かしながら互いに補いつつ、国際色豊かで洗練された最前線の農学を研究するために創設されたものです。この特色ある組織によって、奥行きのある教育と、高い専門性の研究を展開しています。またそれを担う人材の育成のために、海外フィールド実習などを含むユニークなカリキュラムが充実しています。本日から連合農学研究科の一員となった皆さん、皆さんもやはり今まで以上に主体性や自立心を求められることになります。これまで答えが一つだった基礎学問を学んできた皆さんですが、これからは応用展開が中心の実学志向になるため、解の候補はいくつかあるかもしれません。あるいは最適解が無いかもしれません。先が見えない課題や難問に行き詰っても、皆さんは自分の力で解決していかなくてはなりません。しかし、答えが見つからなかったらどうしましょう?友人や先輩に相談するのは構いません。人の意見を聞くことはとても大切です。しかし誰かに答えを教えてもらうことはできません。その答えはあくまでもその人のもので、決して皆さんの答えではないからです。我々が生活する社会にはマニュアルが氾濫しています。分からないことがあると、マニュアル通りに対処すれば問題は解決することが多いでしょう。 しかし、電気製品の修理と、現在の社会に存在する課題解決は同じレベルではありません。 マニュアルは無いのです。ぜひ、自分で答えを探り出せるようにこの研究科でさまざまな経験を積んでください。皆さんは、この連合農学研究科だからこそ得られる利点を最大限に活用し、個性を大切にして、そして何より自分自身の力で試行錯誤しながら、本物の知と、それを使う知恵を手に入れてください。AIの画期的なブレークスルーなどを背景に、皆さんが活躍する未来の社会は、農学の分野を含め、今後、驚異的なスピードで変化し続けてゆくことでしょう。皆さんには、その変化を追いかけるのではなく、さらなる変化を起こす者として、日本に留まらず世界で活躍し、社会を牽引していく力を付けて欲しいと思います。皆さんには溢れんばかりの将来性・可能性があります。皆さんの飛躍を心より期待しております。
 最後に大切なことを申し添えます。学術研究の道は首から上だけで行うものではありません。高いモチベーションを維持して研究を推進するには強靭な精神力や忍耐力が必要です。また様々な実験などは体力が必要です。ぜひ健康な心と体を維持して下さい。本日、連合農学研究科に入学するにあたり掲げた高い目標や夢を忘れず、健康に十分留意して、実り多い大学生活を送ってください。我々教職員も皆さんを全力でサポートできるよう、あらゆる面で最大限の努力を続けてまいります。
 本日、連合農学研究科へ入学された皆さんが大きく成長されることを願い、また皆さんが本学の一員となることにあらためて歓迎の気持ちをお伝えして、式辞といたします。

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