イネの葉の栽培期間を通じた大規模な光合成測定実験に成功 新開発の装置を活用 出穂後の4週間の光合成改良が収量増の鍵

イネの葉の栽培期間を通じた大規模な光合成測定実験に成功
新開発の装置を活用 出穂後の4週間の光合成改良が収量増の鍵

 茨城大学の安達俊輔 助教、東京農工大学の本田爽太郎 学部生(研究当時)、大久保智司 研究員(研究当時)、桂圭佑 准教授、大川泰一郎 教授、龍谷大学の永野惇 准教授らの研究グループは、独自に開発した測定装置を用いて、複数のイネ系統の栽培期間全体を通じた大規模な光合成測定実験を行い、イネの葉の光合成変化を詳細に評価するとともにそのバイオマス生産との関係性を明らかにしました。
 葉の光合成は作物の収量形成の根幹をなす機能であり、光合成の改良を目指した研究が世界各地で行われていますが、光合成の指標であるCO2同化速度の測定には多くの時間や労力、コストを要し、多数のサンプルを簡便に測定できる手法は確立していませんでした。そのため、遺伝子組換えを利用しない、交配育種によって光合成能力を高めて作物収量の増加を実現した例はありません。
 本研究では、京都大学・東京農工大学・(株)マサインタナショナルが共同開発した光合成速度高速測定装置(MIC-100)を利用し、水田圃場で栽培したイネ78系統のCO2同化速度を移植から収穫までの約4ヶ月間にわたり週1回以上の頻度で測定し続けることによって、その推移を示すことに成功しました。さらに、イネ系統の間でCO2同化速度の違いが最も顕著となる生育期間を解明し、その期間の光合成の積算量が収穫時のバイオマス生産と密接に関わることを明らかにしました。併せて、従来のように特定の時期に限定した光合成測定では、生産性の高いイネを選抜できない恐れがあることを指摘しました。
 本研究手法が様々な作物に利用され、高収量作物品種の育成の加速化に繋がることが期待されます。
 この成果は、2021年4月7日、学術雑誌Scientific Reportsに掲載されました。

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