インキュベーション施設(拠点)事業概要

概要・設立背景・目的

1.設立目的・ビジョン

「経済財政運営と改革の基本方針2021(仮称)」(原案)に、大学発ベンチャー創出やイノベーション・エコシステム構築の重要性が盛り込まれるなど、産業界・社会からもこれを牽引するための先端研究を行なう大学の改革・機能強化が強く求められています。

東京農工大学では、令和4年度からの中期計画として、「機動力をもって挑戦する人々を評価し支援することのできる社会の構築に貢献し、大学が生み出す知的資産を積極的に活用する」を掲げています。

収益化からのバックキャスト思考に基づき、シーズプッシュとニーズプル両方向のアプローチによって、学内教員の起業を支援する「イノベーションガレージ」を令和3年度に新設しました。

スタート(計画作成・起業)からゴール(事業拡大・本学経営自律化への寄与)まで、創業・経営支援・企業再生が専門のコンサルティングファームからの実務家人材を配置し、単なるアドバイザーとしてではなく、学内関係者と協働して事業を推進します。

2.コンセプト

新産業創出の基盤となるイノベーション・エコシステムの形成には、(1)企業・大学・公的研究機関などの連携・共創の場となるオープンイノベーション拠点形成と(2)多様な分野で機動性を生かした挑戦を行うスタートアップ支援の二つの方向性が述べられています。

(1)の方向性では、本学は平成30年度、学長直轄の産学オープンイノベーション拠点(フロンティア研究環)を設置し、組織対組織の産学/融合研究の大型化を図ってきました。一方で、(2)の方向性として「社会課題の解決や市場のゲームチェンジをもたらすスタートアップの創出及び効果的な支援を実現」のため、大学発ベンチャー創出を促進することが謳われており、本学でも「イノベーションガレージ」を設立しました。 

大学発ベンチャーの件数は増加傾向にあるものの、令和2年度には約2,900社に留まる(経済産業省調査)など、我が国の産業界における存在感は未だ希薄です。我が国の産業の基幹である農業と工業、さらには農工融合に特化し、これまでも当該分野を先導してきた本学における取り組みの緊急性は極めて高いです。

イノベーションガレージ事業では、社会実装への動機付けのある若手研究者を対象に多様かつ柔軟な事業化を支援することによって、起業するに留まらず、起業した後の事業拡大と新たな産業構造への変革を企図でき、以下のような効果が段階的に期待できます。

  1. 具体的に事業化の個別案件を推進して、教員による事業化の事例を収集できる。
  2. 大学の基礎研究を如何に速やかに市場に出すかのプロトコルを整理し、運営体制の構築、資金および人員調達のスキームを整備できる。
  3. 将来的に事業獲得収益を増大させ、本組織の自立経営を果たすことが可能となる。

本学では、小金井キャンパスの西地区に令和3年度末竣工予定の工学部3号館を「イノベーションガレージ」施設として活用する計画があります。

支援体制

創業・経営支援・企業再生が専門のコンサルティングファームなどから即戦力となる実務家人材と提携契約を締結することで、円滑・機動的に事業を推進しています。また、本学の強み・特色である専門職大学院「産業技術専攻」の実務家教員も配置し、そのノウハウ・スキルを実践・活用する。学内URAも参加して円滑な支援を図ります。

設立時から現在までの支援実績

現状の課題と今後の戦略

イノベーションパーク構想

本学は、平成10年代後半の「大学発ベンチャー」創出が推進された時代に知財本部整備事業等の財政支援により、大学教員の自由な発想に基づく研究成果を要素技術として起業する試みを支援する制度の整備に着手し、インキュベーション施設を設置、EARLYSTAGE段階の東京農工大学発ベンチャー企業の支援を行ってきました。

さらに、平成20年度には、小金井キャンパスにあるインキュベーション施設の北隣に、中小企業基盤整備機構のベンチャーポートを誘致、「農工大・多摩小金井ベンチャーポート」として、MIDDLESTAGE以降のベンチャー企業支援の仕組を整備してきましたが、平成20年度後半から、新たな起業数が低迷してきています。

そこで、EARLYSTAGEにおけるベンチャー支援の在り方を見直し、大学発最先端技術を社会実装させるため、要素技術から社会実装を見据えたバックキャスト思考に基づくスタートアップ支援の仕組み「イノベーションガレージ」を構想し、多摩小金井ベンチャーポートと連携しつつ、イノベーションガレージと同じ施設内に、本学との共同研究等を希望するレイターステージの企業のための入居スペースを設置し、先端技術による社会実装に挑み続ける「イノベーションエコシステム構想」に取り組んでいます。

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