タンパク質品質管理に関わる小胞体内の新区画を発見 ~糖尿病、ALS、アルツハイマー症などに対峙する革新的治療法開発に光~

タンパク質品質管理に関わる小胞体内の新区画を発見
~糖尿病、ALS、アルツハイマー症などに対峙する革新的治療法開発に光~

発表のポイント

  • 小胞体内に存在し、不良タンパク質の凝集を抑制するなどの機能をもつプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)ファミリーの中から、カルシウム依存的に相分離する因子PDIA6を発見しました。
  • 相分離したPDIA6はその中で未成熟インスリンの凝集を抑制しつつ、立体構造形成を促進し、成熟インスリンの効率的な生産に不可欠な役割を果たしていることが明らかとなりました。
  • 本機構の破綻が引き起こす種々の疾病の成因解明につながると期待されます。

概要
 
細胞内におけるタンパク質品質管理の破綻は多くの疾患を引き起こします。東北大学学際科学フロンティア研究所、大学院生命科学研究科(兼務)の奥村正樹准教授(国際卓越研究者:ディスティングイッシュトアソシエイトプロフェッサー)(注1)、東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門の村岡貴博教授らの研究グループは、日韓英の17研究グループによる国際共同研究により、小胞体(注2)内に局在しカルシウム依存的に相分離(注3)するPDIA6が、その区画内での未成熟インスリンの凝集形成を抑える役割を果たしていることを見いだしました。この発見は、これまで一様と考えられてきた小胞体内が区画化されているという概念変革を与えるものです。
 PDIA6の相分離によるタンパク質品質管理機構に対する理解が深まったことで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や糖尿病などの成因解明や、革新的治療法開発の加速が期待されます。
 本成果は、2025年11月11日にNature Cell Biologyのオンライン速報版で公開されます。また、本成果は同誌の表紙に選出される見込みです。


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