• 共同獣医学科 Cooperative Department of Veterinary Medicine
  • 共同獣医学専攻 Cooperative Division of Veterinary Sciences

教育課程

教育課程の編成の考え方

両大学農学部に設置する共同獣医学科の教育理念において重点的に取り組んでいる伴侶動物および産業動物の高度医療分野と動物衛生・公衆衛生分野について、大学院博士課程レベルでの更なる高度化を目指して、我が国のみならず世界的に獣医学を牽引する研究リーダーを育成するための教育課程とします。
この教育課程は、学部における共同獣医学科の講座体制である「基礎獣医学講座」、「病態獣医学講座」、「応用獣医学講座」、「臨床獣医学講座」の4講座に連接して、大学院における共同獣医学専攻の講座体制を「動物基礎医学講座」、「獣医衛生科学講座」、「獣医臨床医科学講座」の3講座に編成して展開します。

教育課程には、岐阜大学大学院連合獣医学研究科で培ってきたノウハウ(合同の合宿や授業、学際科目の開講など)を活かして、加えて両大学の強みを組み込んだ5つの科目群(共通基盤科目、講座科目、研究指導科目、獣医学学際科目、先端実践科目)を設け、体系的な科目履修が可能となるように構成を整えます。また、両大学の学生は東京農工大学農学部に附属施設として設置されている国際家畜感染症防疫研究教育センターおよび動物医療センターと、岩手大学農学部に附属施設として設置されている動物医学食品安全教育研究センターおよび動物病院が提供する最先端の実験機器を活用できる体制とし、これら4つのセンターが学生の研究活動を支援します。さらに、これらセンターを基軸とした両大学の強みを特徴付ける講義(国際感染症防疫学、先進動物医療学、食品衛生管理学、動物と人の共存学)を獣医学学際科目に開講し、獣医療分野と動物衛生・公衆衛生分野の高度な専門知識を持った人材の育成をサポートします。

両大学の教員が同じ領域に開講する各分野に関連した講義、演習科目を通じて、さらに専門性の高い授業を行います。先端実践科目は両大学の立地環境を活かして国や地方の研究機関や、海外の大学等と連携協力をします。これらの科目を体系的に履修する研究指導体制を充実させて、学生が履修する専門分野の基礎的素養の涵養を図り、さらに、自らの研究の社会的意義付けを意識させる内容とします。また、授業形態は、講義(対面講義、遠隔講義、集中合同講義、オムニバス方式)および、演習(ゼミ方式、集中合同演習)とします。これらは、研究遂行の過程で培う素養とこれらの科目を有機的に結び付けるものとし、さらに高いレベルでの研究や博士論文作成が行えるよう、両大学の教員が連携し、学生の自立的な研究活動を多面的にサポートできる体制とします。

教育課程の特色

共通基盤科目

研究者としての基礎的な素養や研究倫理、コミュニケーション能力、国際的に活躍できる語学力を涵養するために共通基盤科目を設けます。
「共通基盤科目(計12単位)」として、両大学の共同開講体制により、「獣医学特別講義A」、「獣医学特別講義B」、「研究倫理(東京農工大学)」、「研究倫理(岩手大学)」、「研究デザイン演習」、「研究プレゼンテーション演習」、「科学英語」を設け、1~2年次における必修科目として位置付けます。これらの科目の履修によって、獣医学的な問題解決方法の基本、研究者として身に付けるべき研究倫理の涵養、目的を達成するための実験プランの設計法を学びます。さらに、社会への研究成果の発信手法および国際悪性伝染病対策などの国際的な社会的課題にも対応し得る国際通用性を備えた研究リーダーとして身に付けるべき英語能力を修得します。社会人学生の受講を考慮して、これらの科目は集中講義と遠隔講義システムなどのメディアを併用して開講し、相手大学科目受講時における学生の移動負担の軽減を図ります。

講座科目および研究指導科目

幅広く高度な獣医学を身に付け、研究の遂行にあたって必須となる専門性の高い研究能力を培うことを目的に、講座科目および研究指導科目を設けます。
「講座科目」、「研究指導科目」では、各論に当たる科目として3講座(動物基礎医学、獣医衛生科学、獣医臨床医科学)に対応した科目(各特論A、特論B、特論C、および特別演習A、特別演習B、特別演習C)を設けます。これらの科目の履修を通じて、学生が研究推進のための高度専門知識を身に付け、多面的な視点からなされた指摘や意見を基に研究を発展的にブラッシュアップできるようサポートします。これらによって、研究の遂行にあたって必須となる専門性の高い知識やキャリアデザインに応じた実践的な研究手技・方法を学び、それらを基盤としたイノベーション能力を培うことを可能とします。このため、特論は1~2年次の履修を基本として、特別演習のうち特別演習Aは1~4年次の通年、特別演習BまたはCは1~2年次に履修します。なお、特論Aおよび特別演習Aは主指導教員の開講科目(計10単位)、特論Bおよび特別演習Bは副指導教員(自大学)の開講科目(計4単位)、特論Cおよび特別演習Cは副指導教員(相手大学)の開講科目(計4単位)の履修を必修とします。

獣医学学際科目および先端実践科目

幅広い視野を持った研究能力や国際的に活躍するための実践的な能力を育むため、獣医学学際科目および先端実践科目を設けます。
「獣医学学際科目」では最新の研究動向を講義するオムニバス科目(学際領域特別講義)および各大学のセンターの特色を活かした講義科目(国際感染症防疫学、先進動物医療学、食品衛生管理学、動物と人の共存学)より構成します。これらの科目の受講によって、本共同獣医学専攻の強みである獣医学領域と関連する分野の最新の研究知見を学ぶことが可能となります。
「先端実践科目」では、連携機関等による学外演習を提供し、学生は国内外の豊富なフィールドにおいて演習を行うことが可能となります。これらのフィールド演習の履修により、教育課程で身に付けた能力と現場での社会的ニーズをリンクさせて、自ら培った研究能力を修了後にどのように社会還元できるかをイメージさせます。また、海外演習A(1単位)および海外演習B(2単位)においては、海外での研究活動やインターンシップを単位化し、積極的に海外に目を向けて国際的な研究感覚を身に付けさせることを後押しします。1~4年次における履修を基本として、各科目群からそれぞれ1科目1~2単位を選択必須とします。

なお、本共同獣医学専攻においては、学部教育との連接性を考慮して、成績が優秀で大学院への進学意欲のある学部学生に対し、共通基盤科目における一部の授業科目の履修を認め、基盤研究スキルを前倒しで身に付けさせることで研究能力の修得を加速させます。