• 共同獣医学科 Cooperative Department of Veterinary Medicine
  • 共同獣医学専攻 Cooperative Division of Veterinary Sciences

導入・基礎獣医学

導入教育は、獣医師の任務を遂行する上で必要な倫理性および論理性を涵養し、さらに獣医事の法的基盤を理解することを目的とする。その上で、基礎獣医学教育では獣医学の根源をなす、生命の基本的な成り立ち、正常な個体の構造と機能、恒常性維持機構を、分子レベルから個体レベルで理解することを目的とする。

獣医学概論

獣医学概論は、獣医学の概要を明確に把握すると同時に、獣医学、獣医師、獣医療に求められる獣医哲学を極める生命科学として存在する。その意図に基づき、獣医学史では人類と動物の共生における歴史的考察と、日本の獣医学教育史を。次いで現代日本における獣医師の使命と獣医療の実践活動、さらに諸外国の獣医師との比較論、国際貢献論を講述し、獣医師の本質的な存在意義の修得に必要な資源とする。

獣医倫理学

生命倫理(Biotehics)の心理を理解し、動物倫理及び動物の権利、動物の愛護と福祉の思想を、獣医学・獣医療における獣医師の真相理念として習得する。

獣医事法規

獣医師の職務である獣医療,公衆衛生ならびに家畜衛生に関する種々の法令の規定について習得し、職務の適正な遂行を可能ならしめる。

解剖学

犬、馬、豚、反芻類、および鶏を対象動物とし、動物体を構成する消化器系、呼吸器系、泌尿器系、生殖器系、内分泌系、および脈管系について主要な器官の肉眼的構造を理解する。また、対象動物間の解剖学的な差異、器官が担う機能と構造の対応関係、および器官の臨床上の重要性を理解する。

組織学

動物体を構成する細胞集団としての組織・臓器の構造と細胞構成を理解し、代表的な組織学用語を修得する。また、臓器・組織・細胞が担う機能について組織・細胞レベルの構造と対応関係を理解する。

発生学

獣医学で対象とする動物体を構成する組織や器官あるいは個体の形成過程を 学ぶことによって発生、成熟過程と発生過程の調節のしくみを理解し、発生異 常によって起こる奇形などを生じるしくみの基本的な知識を修得する。

生理学

生理学I(統合生理学) 

動物の生体における細胞、神経の機能およびそれらの情報交換および相互調節機構について、生命現象の根幹である分子・細胞・組織を基本とした生体における機能と制御機構について修得する。本科目では主として細胞機能、細胞間情報伝達、恒常性維持、血液、神経、筋肉ならびに生理学一般の基本原理を対象とする。

生理学II(器官制御生理学)

動物体を構成する組織・臓器の機能と相互の作用について総合的に理解し、将来学習する病態や臨床獣医医療の学習の基盤を修得する。本科目では主として消化機能(反芻動物の消化生理を含む)、呼吸機能、循環機能、腎機能を対象とする。

生理学III(内分泌学)

動物生体の液性調節機能について、内分泌腺および生殖腺を中心として、ホルモンの特性、産生機能、分泌調節機構について学習することから、病態の発来メカニズムの液性調節に関わる基盤知識を修得する。本科目では主として、内分泌の基本的性質、成長と代謝の内分泌調節、水や電解質、カルシウムの代謝調節、生殖および泌乳生理を対象とする。

生化学

生化学I(獣医基礎生化学)

獣医学の対象となる生命現象が連続的に進行する化学反応によって支えられているという考え方を修得し、その仕組みを分子レベルで捉える。また、生体を構成する成分の構造と機能を理解し、生命活動を維持するエネルギー産生機構について理解を深める。

生化学II(獣医代謝生化学)

獣医生化学Ⅱでは、獣医生化学Ⅰでの知識を基にして、生体構成成分の代謝について分子レベルで理解を深める。生体エネルギー産生機構とその調節機構について修得し、その調節機構の乱れが疾病につながることを理解する。また、動物種特有の代謝機構についても知識を修得する。

薬理学

薬理学I(基盤薬理学)

薬の作用や体内での運命に関する基本的な理論を習得する。さらに、獣医学が対象とする薬のうち、末梢神経系、中枢神経系、呼吸・循環器系に作用する薬の対象となる疾病の成り立ちを理解するとともに、その作用の現れ方、作用機序、および体内での運命に関する基本的知識を、動物種差を含めて修得する。

薬理学II(統合薬理学)

獣医学が対象とする薬のうち、酸・塩基平衡や体液平衡、消化器系、泌尿・生殖器系、免疫系に作用する薬の対象となる疾病の成り立ちを理解するとともに、その作用の現れ方や作用機序に関する基本的知識を、動物種差を含めて修得する。さらに、微生物、ウイルス、寄生虫の感染症や腫瘍の治療・予防薬および殺虫薬・解毒薬についても、作用の現れ方、作用機序や臨床応用に関する基本的知識を修得する。

動物遺伝育種学

動物の生命現象ほとんどは、ゲノムにより決定される。その根幹としての遺伝現象について遺伝子に基づく形質発現原理と機序、世代間での遺伝の仕組みを理解した上で、家畜改良や動物に発生する遺伝性疾患について、その発生の仕組みや遺伝様式を推定し、育種選択法や予防法の確立について考察できるようにすることを目標とする。

動物行動学

獣医学が対象とする伴侶動物や家畜など様々な動物種について、それぞれの種に特有な、あるいは種を越えて共通する行動様式と行動の発現機序を学ぶ。こうした知識を基盤に動物福祉に配慮した飼養管理技術や行動治療学の基礎となる考え方を身につけるとともに行動科学的な分析方法や行動形成法の原理について習得する。

実験動物学

遺伝、育種、繁殖などの実験動物の品質に関する事項および飼育環境(微生物等を含む)や動物実験法などの動物実験に関する事項を比較生物学的視点から理解すると共に法令や基準等の社会規範に則し、かつ動物の福祉に配慮した適正な動物実験を実施するための方策を修得する。

放射線生物学

獣医学において、獣医療にのみならず研究においても、放射線やラジオアイソトープ(RI)を使用する機会は多い。そこで、この授業では放射線の各種性質、ならびにRIその他の放射性物質の安全な管理や取り扱い、そして防護の実際について学習する。

解剖学実習

犬、馬、豚、反芻類、および鶏を対象動物とし、動物体を構成する骨格系、筋系、消化器系、呼吸器系、泌尿器系、生殖器系、内分泌系、脈管系、神経系、および感覚器系について主要な器官の肉眼的構造に関する理解を深める。また、対象動物間の解剖学的な差異、器官が担う機能と構造の対応関係、および器官の臨床上の重要性について理解を深める。

組織学実習

犬、馬、豚、反芻類、実験動物(マウス、ラットなど)および鶏を対象動物とし、各項目に記載された主要な組織・器官の組織標本を光学顕微鏡て観察・スケッチするこ とにより、それらの構造的特徴を理解する。

生理学実習

動物の個体・組織・細胞・人(被験者)を用いて,動物のさまざまな生理機能を自らの目で観察し,自らの手で定性的・定量的に測定すると共に,コンピューターを使用したシミュレーションやビデオ等の観察も通して,個体の生体恒常性が維持される仕組みについて理解する。

生化学実習

生体構成成分の構造と機能に関する基本的な知識に基づいて、獣医学が対象とする生命現象を分子レベルで分析・考察できる基礎的技能を修得する。

薬理学実習

獣医学が対象とする代表的な治療薬の反応を様々な実験手技を通じて修得する。さらに、それらの反応を多角的に考察することにより、薬の作用の現れ方、作用機序、および生体内運命に関する基本的知識を修得するとともに、生体反応を総合的に理解する。

実験動物学実習

動物実験計画の立案と審査について学ぶとともに保定、投与、採血、麻酔、安楽死、 剖検・採材などの基本的動物実験手技を修得する。また、実験動物の品質を保証するための遺伝的モニタリングや微生物モニタリング、および発生工学の基礎技術を体験 し、動物実験を実施するための基盤を理解する。