有江力教授が「日本農薬学会賞 業績賞(研究)」を受賞

2019年3月18日

農学研究院生物制御科学部門の有江力教授が、2019年3月11日(月)、日本農薬学会第44回大会で「日本農薬学会賞 業績賞(研究)」を受賞しました。

■受賞名:日本農薬学会賞 業績賞(研究)

■賞の概要:

  • 題目:フザリウムによる植物病害の防除と検診、分子遺伝学に関する研究
  • 賞の概要:農薬の科学・技術の発展に寄与する顕著な業績をあげた者(業績賞)に授与し表彰する。業績により研究と技術の2種類とする。

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  • 論文内容:「フザリウムによる植物病害の防除と検診、分子遺伝学に関する研究」

農薬科学と植物病理学は連接した学問分野であり、それぞれで明らかになることは双方で重要な知見となると考えている。そのため、両分野の学際性を念頭に置きながら研究を進めてきた。私のこれまでの研究は、主に難防除であるフザリウム病を対象に、防除に関するもの、診断に関するもの、病原の分子遺伝学や病原―植物の相互作用に関するもの、病害の同定やエピデミックに関するもの、に大別することができるが、概ねこれらを均等な割合で研究してきた。その結果、病原や発生に関わる基礎的研究が、現場で求められる検診や防除等の応用研究に展開してきた。
フザリウム病は、化学殺菌剤による対処が困難な場合が多い。フザリウム病を主な対象とした生物防除技術の確立、生物防除のメカニズム解析を行った。さらに、プラントアクチベーターの茎葉散布等によって植物の病害抵抗性を誘導し、フザリウム病を発病抑制する可能性を提示した。
土壌伝染性フザリウム病に対する適切な対処のための、検診の重要性を早くから訴え、当初は免疫学的手法を用いた検診技術(1998年3月に「土壌病害の免疫学的検診法に関する研究」として日本農薬学会賞(奨励賞)を授賞いただいた)、その後の分子生物学の進歩に伴って、PCRによる検診、さらに近年では、ゲノム解析の進歩の結果を踏まえ、リアルタイムPCRやLAMPによるトマト萎凋病などのレース特異識別・健診を可能とした。
トマト萎凋病菌をモデルに、病原性進化やレース分化のメカニズムを分子系統学的・分子生物学的に解析してきた。その結果、病原菌の祖先が野生種植物とすでに共存、植物の栽培化・育種の過程で共進化によって病原菌が生じたことを示した。その後進展したゲノム解析技術を活用し、近年、フザリウム菌が真核生物であるにもかかわらず、プラスミドのような小型染色体(アクセサリー染色体)を病原性の獲得・進化・分化に用いていることを示唆、そのメカニズム解析を精力的に進めている。
近年パンデミックが問題となっているバナナパナマ病を始め、我が国未侵入のエンドウ萎凋病等のフザリウム病の我が国での発生を調査、その侵入経路や検診技術の確立、対処技術の研究を行ってきた。
幸いなことに、これまで、指導員や普及員、県試験場・農研機構研究者、植物防疫官等としばしば圃場を訪問させていただき、栽培者から情報収集し、病害の発生や検診、防除に関する知見を集積かつ指導を行って来ることができた。それに基づく研究は、生物防除、プラントアクチベーターの活用、健診技術確立等の発想・開発などに繋がり、基礎的・応用的に重要な知見を与えてくれた。今後も、現場の課題、現場からの情報を大切に、基礎的、応用的な研究の進展に寄与したいと考えている。

Control, diagnosis, and molecular genetic research of Fusarium diseases of cultivated plants
○Tsutomu Arie (Graduate School of Agriculture, Tokyo University of Agriculture and Technology (TUAT))

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•東京農工大学 有江力教授 研究者プロフィール

•有江力教授が所属する 東京農工大学農学部応用生物科学科

•有江力教授が所属する 東京農工大学グローバルイノベーション研究院

 

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