NEDO「ムーンショット型研究開発事業」研究開発プロジェクトに採択

2020年9月7日

 このたび、東京農工大学を含む北陸先端科学技術大学院大学ら8機関による提案研究が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ムーンショット型研究開発事業※」におけるムーンショット目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」の達成を目指す研究開発プロジェクトに採択されました。

研究開発プロジェクト名 :光スイッチ型海洋分解性の可食プラスチックの開発研究
プロジェクトマネージャー:北陸先端科学技術大学院大学先端科学研究科、環境・エネルギー領域 金子 達雄
参画機関        :北陸先端科学技術大学院大学、神戸大学、名古屋大学、鹿児島大学、
             東京理科大学、東京農工大学、産業技術総合研究所、大阪産業技術研究所
事業期間        :最大10年間(2020年~2029年(予定))

 ※「ムーンショット型研究開発事業」
 日本発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進するものとして、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)において、「ムーンショット型研究開発制度」が創設され、2020年1月に6つのムーンショット目標が決定されました(2020年7月には健康・医療戦略推進本部においてムーンショット目標7が決定)。

 本提案は世界規模の問題である海洋プラスチック問題対策に寄与するために「使用時は十分な耐久性を持つ一方、海洋環境中における強い太陽光照射の下で光スイッチ分解性を示すようになるプラスチック」を開発します。具体的には、以下の3つのシステムです。
 1)ON型光スイッチ:陸域の生活圏では材料として安定ですが、投棄後に海洋流出するまでの過程で生じる表面損傷などにより太陽光がプラスチック内部に届き生分解が始まる(ON)スイッチです。
 2)OFF型光スイッチ:蛍光灯や太陽光暴露のある状態では生分解が抑制(OFF)され、海中・海底・コンポストなどの暗所の環境で生分解が始まるという「光スイッチ」です。
 3)また、これらを具有させたON/OFF型という理想的システムも同時に提案します。
 さらには、海洋生物が誤飲したり周りまわって人間の食料中に混ざり込んでも消化管内で物理的障害や化学的毒性を生じない「食せるプラスチック」の開発も目指します。
 2030年にはこれらの海洋実環境における分解性を証明し衣料品やビニール袋などの試作品を作製します。さらに、上記のシステムは広範囲のプラスチックに適用できるため、2050年までにはさらに多くのプラスチックへと展開し様々な種類や形態の光スイッチ型分解性プラスチック製品へと展開します。本プロジェクトは、二酸化炭素の固定化、炭素循環および窒素循環などの概念を取り入れた統合的な地球環境保全・再生に資するものです。加えて、本プロジェクトは、成熟期に差し掛かってきた我が国の石油化学産業をバイオ化学産業に業態転換せしめ、新たな成長に向けたパラダイムチェンジ型イノベーションの一端を担う可能性を有します。

<参 考>
1 ムーンショット型研究開発制度
 本制度の詳細については、以下を参照
 https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/index.html

2 ムーンショット目標
 2020年1月CSTIにおいてムーンショット目標1~6が決定。2020年7月には健康・医療戦略推進本部においてムーンショット目標7が決定

 目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
 目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
 目標3:2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
 目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
 目標5:2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な
     食料供給産業を創出
 目標6:2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを
     実現
 目標7:2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむための
     サステイナブルな医療・介護システムを実現

3  NEDOムーンショット型研究開発事業の採択結果
 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101346.html

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