有江理事が「令和7年秋の紫綬褒章」を受章
2025年11月20日
有江力理事(グローバル戦略担当)・副学長(教学戦略担当)・統括副学長が、「令和7年秋の紫綬褒章」を受章されました。紫綬褒章は、科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方に授与されるものです。
有江理事は、永年、植物病理学の分野において、重要土壌伝染性植物病害を対象に、病害の発生生態、発病メカニズム、診断・防除技術の開発などの基礎的研究および実用研究に尽力されました。その研究では、病原性進化メカニズムの解明や識別技術の確立、生物防除技術の提案など、多くの業績を挙げ、植物防疫の先進化、普及に貢献されています。
特に近年では、ゲノム解析によって、トマト萎凋病菌、バナナ萎凋病菌等のアクセサリー染色体領域が病原性を司ることを示すとともに、同領域に偏在する転移因子が新型病原菌出現の原動力であることを世界に先駆けて示し、病原性関連遺伝子を解析する道を切り拓きました。また、トマト原種根圏に住む非病原性菌株の中に萎凋病菌と近縁なものを見出すとともに、これら非病原菌がアクセサリー染色体を持たないことを明らかにし、「祖先型の非病原性菌が病原性アクセサリー染色体を獲得することによって萎凋病菌が出現した」という、共進化の新説を広く提唱しました。
また、これらの卓越した研究業績により、日本植物病理学会賞(2010年)、日本植物病理学会論文賞(2007年、2008年、2015年、2020年)、日本農薬学会業績賞・研究(2019年)、日本農学賞・読売農学賞(2024年)など、数多くの賞が授与されています。
有江理事からの受章コメント
この度、11月3日に紫綬褒章を授与され、11月12日に文部科学副大臣から伝達、その後、天皇陛下に拝謁させていただきましたことをご報告いたします。身に余る光栄で、これも、およそ40年間に亘る研究者人生で出会い、ご指導・ご鞭撻をいただいた先生方・研究者・学生の皆様のおかげと存じております。大変ありがとうございました。今後も少しでも社会、農工大に寄与させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、本学関係者が紫綬褒章を受章されるのは、平成11年春に受章された塚本良則元農学部長に続き、およそ26年ぶりのことです。
この度の有江理事の受章を心よりお祝い申し上げます。