英国科学誌『Advances in Physics:X』に本学の篠原俊二郎卓越教授によるレビュー論文が掲載されました

2018年1月19日

 国立大学法人東京農工大学大学院工学研究院 先端機械システム部門の篠原 俊二郎卓越教授 (注1) によるレビュー論文が、2018年1月18日に、英国科学誌『Advances in Physics: X』に掲載されました。
 ヘリコンプラズマは、磁場のあるところでアンテナに高周波電流を流して生成するプラズマです。ヘリコンプラズマを使うことで、1ミリリットルあたり10兆個という非常に高い電子密度が得られます。このため、基礎科学だけでなく半導体製造やプラズマロケットなど、種々の分野への展開が期待され、注目を集めています。しかし生成機構や波動現象などの理解と展望の上での発展(様々なサイズのプラズマ源開発や、基礎から産業応用分野への先進応用)が望まれていました。
 一方、篠原卓越教授は長年の高密度ヘリコンプラズマ科学研究分野において、世界記録を更新する多くの特徴あるプラズマ源の開拓と、生成機構/波動現象解析などの物理的理解や解明を行い、それらをベースに次世代の先進プラズマ推進ロケット開発など、多様な応用研究でも世界をリードしてきました。
 今回これらの豊富な成果 (注2) を基に、上記分野での世界の様々な先進研究成果も含むレビュー論文「Helicon High-Density Plasma Sources: Physics and Applications」を執筆しました。図1と2はそれぞれヘリコンプラズマ装置とプラズマ光、及び生成効率のスケーリング則の例です。
 このレビュー論文による総括した知見と展望により、今後更に高密度ヘリコンプラズマ科学の様々な幅広い分野(エネルギー、ナノテクノロジー/材料、情報/通信、環境、宇宙、バイオなど)での多角的展開が期待されます。

本研究成果は、『Advances in Physics: X』 に2018年1月18日付で掲載されました(注3)
本論文は、下記のURLからご覧いただけます。
掲載:『Advances in Physics: X』誌オンライン版
論文タイトル:「Helicon High-Density Plasma Sources: Physics and Applications」
著者:Shunjiro Shinohara(単著)
URL:http://dx.doi.org/10.1080/23746149.2017.1420424 (別ウィンドウで開きます)

注1) 卓越教授(ディスティングイッシュトプロフェッサー)とは、優れた研究業績等を有する教授または准教授であると本学から認定を受けた教育職員のことです。詳細は、下記からご覧いただけます。http://www.tuat.ac.jp/research/distinguished_professor/

注2) 篠原卓越教授の多くの先進成果は下記のURLに記載されています。例えば著名なNature Physicsにも2008年に出版され、H22年度文部科学大臣表彰科学技術賞やH28年度プラズマ・核融合学会技術進歩賞などを受賞しています。なお、日本学術振興会の科学研究費補助金である基盤研究(S) 2122609及び(B) 20340163、17H02295などの助成を受けてきました。
http://web.tuat.ac.jp/~sinohara/(別ウィンドウで開きます)

注3) 『Advances in Physics: X』は、物理学における学術雑誌の中でも最も古い雑誌の一つであるPhilosophical Magazine(1798年創刊)の流れを汲むものです。本執筆者の篠原卓越教授も編集委員を務めています。

図1 様々な特徴ある高密度ヘリコンプラズマ装置4つとそのプラズマ光:(a) 宇宙航空研究開発機構で本卓越教授が開発した世界最大のLHPD (装置)、東京農工大学の、(b) 中型のLMD (装置)、(c) 強磁場のHFD (装置)、(d) 世界最小のSHD (装置) (全て篠原卓越教授による)(本論文図6に記載)
図2 幅広いサイズ領域での、高密度ヘリコンプラズマの非常に良い生成効率スケーリング。理論的限界に近いプラズマ生成効率となる実験結果です。(本論文図4と同等)

◆研究に関する問い合わせ◆
 東京農工大学大学院工学研究院
 先端機械システム部門 卓越教授
 篠原 俊二郎(しのはら しゅんじろう)
  TEL/FAX:042-388-7097

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