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RNA依存RNAポリメラーゼ (RNAいぞんRNAポリメラーゼ)RNA dependent RNA polymerase (RdRp)
ウイルスのRNAを鋳型にして一本鎖RNAを合成する酵素。植物ウイルスの多くはRNAウイルスであり、ゲノム上にこの酵素をもつ。
[←先頭へ]萎縮 (いしゅく)dwarf
植物の背丈が極端に低くなる症状あるいはそのような症状を示す病気(萎縮病)。矮化あるいは矮化病とされる場合もある。
→矮化
[←先頭へ]萎凋 (いちょう)wilt
全身が萎れる症状またはそのような症状を示す病気(萎凋病)。維管束が罹病し、水が全身に十分供給されないことで起こる場合が多い。主にFusarium oxysporumによって引き起こされる土壌病害。
[←先頭へ]遺伝子対遺伝子説 (いでんしたいいでんしせつ)gene for gene theory, gene for gene hypothesis
植物の病原に対する抵抗性反応の誘導が、病原の持つ非病原力遺伝子avirulence geneと植物の抵抗性遺伝子R geneの組み合わせによって決定されるとする説。
[←先頭へ]イネいもち病 (いねいもちびょう)rice blast
子嚢菌、Magnaporthaceae科に属するMagnaporthe oryzae (syn. M. grisea; anamorph: Pyricularia oryzae, syn. P. grisea)によって引き起こされるイネの最重要病害。イネの葉身、葉鞘、穂等に主に紡錘状の病斑を形成する。
→いもち病
[←先頭へ]イネいもち病菌 (いねいもちびょうきん)rice blast fungus
Magnaporthe oryzae (syn. M. grisea; anamorph: Pyricularia oryzae, syn. P. grisea)。子嚢菌、Magnaporthaceae科に属するイネいもち病の病原菌。
→いもち病
[←先頭へ]いもち病 (いもちびょう)blast
罹病部は紡錘状に壊死し、淡褐色から灰色を呈する。Magnaporthe属菌によって引き起こされる。
[←先頭へ]か |
かび毒 (かびどく)Mycotoxin
[←先頭へ]過敏感反応 (かびんかんはんのう)hypersensitive reaction (HR)
宿主植物が非親和性の病原を認識して急激に形態的、生化学的変化を起こすこと。その結果、病原の進展を妨げる場合がある。
[←先頭へ]疑義資材 (ぎぎしざい)
農薬登録をしていないにも拘らず、農薬のような効果を標榜している、あるいは、成分からみて農薬登録をとる必要のある資材。すなわち、「病気を寄せ付けない」などの表現でいかにも効果があるかの様に喧伝している資材、明記されているいないにかかわらず農薬に類する成分を含有している資材、農薬の様な使用法(希釈て散布する)などが明示されている資材、等である。農薬を使用できない有機栽培、使用回数を減らす必要のある特別栽培等でこのような資材を誤用する可能性があるが、無登録農薬の使用と判断されるので注意が必要である。
→農薬
→特別栽培
→有機栽培
[←先頭へ]局部病斑 (きょくぶびょうはん)local lesion
ウイルスの機械的感染等によって、葉に局所的にスポット状に形成される病斑。
→病斑
[←先頭へ]交差耐性 (こうさたいせい)cross resistance
交叉耐性あるいは交差抵抗性と記述する場合もある。生物や細胞がある化合物に対して耐性を獲得すると、同じ機序によって他の化合物に対しても耐性を示す様になること。
[←先頭へ]交配 (こうはい)mating, cross
異なる交配型mating typeの菌株が出会い、細胞融合、核融合、減数分裂して次世代を作る有性生殖の一連の現象。生活環のうち、このステージを完全世代と呼ぶ。多くの場合、子実体、子嚢殻(子嚢菌の場合)、担子器(担子菌の場合)を形成し、その中に次世代が形成される。
[←先頭へ]交配型 (こうはいがた)mating type (MAT)
菌株の交配挙動における型。基本的に菌類は雌雄同体であるが、交配型が異なる菌株同士が出会うことでそれぞれが雄、雌の機能を発揮し、交配が開始される。
[←先頭へ]交配型遺伝子 (こうはいがたいでんし)mating type gene, MAT
菌株の交配型を決定する遺伝子。交配の調節機能を持つ。交配型遺伝子領域に座位する。
[←先頭へ]さ |
殺菌剤 (さっきんざい)fungicide
(広義)農薬の中で、植物の病気の予防・治療に使用されるもの。(狭義)殺菌性を持つ物質。
[←先頭へ]子嚢胞子 (しのうほうし)ascospore
子嚢菌ascomyceteが交配(有性生殖)の結果形成する、通常核相nの胞子。子嚢ascusの内部に形成される。
[←先頭へ]弱毒ウイルス (じゃくどくういるす)attenuated virus
宿主に対する病原性(病原力)が低下したウイルス株。宿主での増殖能は保持しているため、植物に事前に処理する事で後から感染するウイルスによる発病を抑える事が可能となり、生物農薬として使用される。
→生物農薬
[←先頭へ]宿主特異的毒素 (しゅくしゅとくいてきどくそ)host specific toxin (HST)
植物病原菌が生産する宿主植物に対してのみ毒性を発揮する毒素であり、病原性決定因子とされている。宿主特異性毒素の満たすべき条件は、宿主植物の毒素感受性と罹病性の程度が一致する、病原菌の毒素生産能と病原性が一致する、胞子発芽時に毒素が生産されることが感染に重要である、毒素による感染の誘導が起こること、などである。毒素は、宿主植物の病害に対する抵抗反応を抑えると考えられている。T-毒素などが知られている。
→T-毒素
[←先頭へ]植物病原 (しょくぶつびょうげん)plant pathogen
植物に病気を起こす微生物的要因。菌類、細菌類、ウイルス類、ウイロイド類、線虫類、原虫類等の植物病原が知られている。
[←先頭へ]植物病理学 (しょくぶつびょうりがく)plant pathology
植物の病気plant diseaseの様相、原因、防除法等を研究する学問分野。
[←先頭へ]生物農薬 (せいぶつのうやく)biopesticide
生物防除効果をもつ生物を、病害防除用などの目的で農薬として登録したもの。
→生物防除
[←先頭へ]生物(的)防除 (せいぶつ(てき)ぼうじょ)biological control, biocontrol
植物病原を他の生きた生物の力(抗菌、拮抗、競合、抵抗性誘導等)を利用して制御し、病気を防ぐ方法。
→生物農薬
[←先頭へ]全身獲得抵抗性 (ぜんしんかくとくていこうせい)systemic acquires resistance (SAR)
植物が異物(病原や化合物)を認識した際に全身的に誘導される防御反応の1つ。
[←先頭へ]た |
立枯病 (たちがれびょう)take-all
植物全体が枯れる病害あるいはその症状。
[←先頭へ]抵抗性遺伝子 (ていこうせいいでんし)resistance gene, R
植物が持つ、ある病原に対する抵抗性を決定する遺伝子。この産物が、病原の非病原性遺伝子産物を認識して、植物が抵抗性反応を起こす。
[←先頭へ]T-毒素 (ティー どくそ)T-toxin
HMT-毒素(HMT-toxin)とも呼ばれる。トウモロコシごま葉枯病菌Cochliobolus heterostrophusが生産するポリケチド系宿主特異的毒素。T-細胞質形質のトウモロコシ品種に特異的に作用する。作用点はミトコンドリアにある。
[←先頭へ]特定農薬 (とくていのうやく)
その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬。すなわち、安全性が明らかなで、効果が確認され、農薬登録をするまでもないものであり、2003年4月に、食酢、重曹、土着天敵が指定された。アイガモや水蒸気等は農薬にあたらないとされた。これ以外の、合成酢酸等(過去に農薬登録があったもの)の使用や、効果がなく特定農薬とされなかったもの(牛乳等)などの効果を標榜した使用は、無登録農薬の使用にあたるので注意が必要である。
→農薬
[←先頭へ]特別栽培 (とくべつさいばい)
当該地域の慣行に比べて使用する化学農薬および化学肥料を50%以下にした栽培法。「特栽(とくさい)」と呼ばれる場合がある。
→有機栽培
[←先頭へ]トマト萎凋病 (とまといちょうびょう)tomato wilt
Fusarium oxysporum f. sp. lycopersiciトマト萎凋病菌によって引き起こされる土壌伝染性の病害。
→萎凋
[←先頭へ]土壌病害 (どじょうびょうがい)soilborne disease
土壌伝染性病害、土壌伝染病ともいう。土壌中に生息する病原菌が地下部で感染して起こる病気の総称。萎凋病など。
→萎凋
[←先頭へ]な |
軟腐 (なんぷ)soft rot
病原が生産するペクチン質分解酵素などの働きで感染組織が軟化、腐敗する病気あるいはその症状。Erwinia carotovoraによるハクサイ軟腐病、Rhizopus spp.によるサツマイモ軟腐病など。
[←先頭へ]日本植物病理学会 (にほんしょくぶつびょうりがっかい)The Phytopathological Society of Japan
[←先頭へ]日本農薬学会 (にほんのうやくがっかい)Pesticide Science Society of Japan
[←先頭へ]農薬 (のうやく)pesticide
「農作物等を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤、及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる植物成長調整剤、発芽抑制剤その他の薬剤」を農薬というと農薬取締法に定められている。
[←先頭へ]は |
媒介者(ベクター) (ばいかいしゃ)vector
病原を運ぶ生物や物。
[←先頭へ]非殺菌性殺菌剤 (ひさっきんせいさっきんざい)nonfungicidal fungicide
広義の殺菌剤のうち、病原を殺す性質をもたないが植物病害の防除に機能する薬剤。病原が植物へ侵入する器官の形成を妨げたり、植物に病害に対する抵抗性を与えたりすることによって機能する。
[←先頭へ]非病原力遺伝子 (ひびょうげんりょくいでんし)avirulence gene
病原の持つ遺伝子で、抵抗性遺伝子Rを持つ植物に認識して植物に抵抗性反応を起こす。avrと略す。「非病原性遺伝子」と呼ばれる場合もある。
[←先頭へ]病害 (びょうがい)disease
植物の病気がヒトにとって不都合な場合をさす。
→病気
[←先頭へ]病気 (びょうき)disease
植物の生育障害のうち、微生物に起因する物を言う。微生物によらない障害は、生理障害、薬害、虫害、鳥害、獣害などと呼ばれる。
→病原
→病害
[←先頭へ]病原 (びょうげん)pathogen
病気を起こす要因となる微生物。菌、細菌、線虫、ウイルス、ウイロイドなど。
→病気
[←先頭へ]病斑 (びょうはん)lesion
葉などの罹病部に壊死などの原因によって形成される斑点。病変(部)。
→局部病斑
[←先頭へ]付着器 (ふちゃくき)appressorium (pl. appresoria)
病原菌が植物にとりつく際に形成する分化した器官。イネいもち病菌ではメラニン化した付着器を形成し、内部のグリセロール濃度を高めることにより生じる高い膨圧を利用して、物理的にイネ葉組織に侵入する。
[←先頭へ]プラントアクチベーター (ぷらんとあくちべーたー)plant activator
植物に施用すると植物がSAR等、病原に対する全身的な抵抗性を獲得し、病害に強くなる。イネいもち病用のプロベナゾール、アシベンゾラル-S-メチル等の農薬が例。殺菌性を持つ必要がなく、耐性菌の出現の危険性が低い、環境負荷が少ない、長期間、多種類の病害に対して効果がある等の特長を持つ。
→SAR
[←先頭へ]プロベナゾール (ぷろべなぞーる)probenazole
明治製菓が開発・販売するイネいもち病等用殺菌剤。商品名はオリゼメート。SARを発動する事でプラントアクチベーターとして機能する事が知られている。
→SAR
[←先頭へ]ま |
マイコトキシン (まいこときしん)mycotoxin
かび毒とも呼ばれる。菌類が生産する毒素。麦角病菌Claviceps purpureaが生産する麦角毒素、Aspergillus spp.が生産するアフラトキシンB、Fusarium spp.が生産するデオキシニバレノール、フモニシン等の様に、食物や飼料に残留してヒトや家畜に害を及ぼす場合が知られている。
[←先頭へ]や |
有機栽培 (ゆうきさいばい)organic farming
2001年の改正JAS法中で国際標準(コーデックス等)に準拠して定められた規格(有機JAS規格)に適合していると第三者機関によって認証された農家等が、適した方法による農産物の栽培。化学肥料、農薬及び組換え植物を使用しないことを基本とし、播種、植付け前の一定期間、堆肥等による土作りを行った圃場における栽培をいう。特定農薬および限られた指定農薬のみは使用可能。
→特定農薬
→特別栽培
[←先頭へ]有機農産物 (ゆうきのうさんぶつ)organic agricultural products
有機栽培によってつくられた農産物
→有機栽培
[←先頭へ]誘導抵抗性 (ゆうどうていこうせい)induced resistance
動的抵抗性とも呼ばれる。植物がエリシターelicitor等の刺激を受容して立ち上げる後天的な抵抗性反応。パピラpapilla形成、細胞壁のリグニン化、過敏感反応hyper sensitive reaction、ファイトアレキシンphytoalexic生産、PRタンパク質の生産等の反応が起こる。
⇔static resistance 静的抵抗性
ら |
レース (れーす)race
病原菌の生態型。菌系。菌型。本来は、pathogenic raceの省略。ある植物種に病原性を持つ病原の種の中に存在する、植物品種に対する病原性が質的、あるいは量的に異なる系統。
[←先頭へ]わ |
矮化 (わいか)stunt
ウイルス等に感染して、極端に生育が悪くなる状態およびそのような聖衆尾を示す病気。障害によって小さくなること。主に生育が停止するために、他の個体より小さくなる場合に使用する。
→萎縮
[←先頭へ]A-Z |
PAMP Pathogen-asociated molecular pattern
植物病原の表面に存在し、主に植物によって認識される分子。植物はこれを認識する事で免疫反応を起こす。この分子は、(1)宿主植物は保持していない、(2)複数の近縁の病原が類似の分子を有する、(3)比較的保存性が高く、変異速度が遅い、という特徴を有する。細菌のフラジェリン、ペプチドグリカン、リポポリサッカライドなど。
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