平成15年度
2581 病原微生物学授業情報

Modified: Feb 19, 2004

質問に対する回答など


10月28日以前の分


11月11日クラス

質問と回答

核相nと核相2nはどちらが有利か?
私の理解しているところを書きます。核相nは核が保有する染色体セットが1組であることを示します。従って、その染色体上に乗っている、ある遺伝子も1つ(同様な機能性を持つ遺伝子が他の座に存在する可能性がないと仮定)と考えられます。この場合、この遺伝子に変異が起きたり、またこの遺伝子に由来する性状が生存環境に不利になった場合などに、核相nの場合は対応しにくくなります。一方、核相が複相2nの場合、核が染色体セットを2組保有することになります。この場合、1つのセットの遺伝子に変異が起きても、もう一つの遺伝子がその機能をカバーすることも可能ですし、染色体セットがヘテロな場合は、通常優性を示す遺伝子の形質が現れますが、バックグラウンドにもう1つの遺伝子(劣性)を保持しておくことが可能で、交配によって劣性遺伝子由来の性状を発現する個体の出現が期待され、これは環境変化などに対応するための多様性維持に有利であると考えられます。nである利点は、クローンを作る場合に染色体セットがコンパクトであること、nの個体(株)が、菌に特有な菌糸融合、異核共存体に速やかに移行しやすいことなどが考えられます。どちらが有利かについてはお答えできるだけの根拠を知りません。

菌が無性胞子と有性胞子の2形態をとる利点、欠点は?
一般に、無性胞子は、同じ性質の次世代(クローン)をたくさん作るため、環境条件が安定している場合などに、数を増やすのに有利、有性胞子は、有性生殖の結果形成されるため、性質に多様性が想定され、様々な環境変化に対応しやすいと考えられます。

どんな時に菌は多核になるのか?細胞内の核はみな同じなのでは?
混乱があるかもしれませんので、簡単に説明しますと、一般の生物の細胞内の核は1つで、体細胞分裂で形成される新しい細胞にも親と同じ核が1つ含まれます。しかし、菌は特殊な核の存在様式を持ち得、例えば異なる核を持つ異なる個体(菌株)の細胞が融合した場合に、異なる2つ以上の核が1つの細胞に存在する状態(異核共存体)となり得ます。そのどちらの核が機能するかによって結果的にことなる性質が現れます。ただし、どちらの核が機能するかの調節がどのように行われているかはまだ不明だと思います。

セクターは生存のために必要か?
セクターは、異核共存体の機能している核が変わること、あるいは遺伝子自体の変異の結果、多様性のある性状が現れる1つの例であると考えられます。従って、これが生存に有利か不利かとは関係ない現象です。また、セクターとして見えるのは、菌そうが変化する場合だけで、目に見えない形で他の性状の変化が生じている可能性があります。

子嚢菌および担子菌の交配について
子嚢菌、担子菌の交配型、および交配群についての質問をいくつかいただきました。ここでお答えすると長くなりますので、10月28日の質問に対する回答をご覧いただくとともに、さらに不明の点については、有江までお越しください。なお、交配群mating populationは、「内部で交配できる集団。交配型が異なっていても交配群外の菌株とは交配しない」と説明させていただきます。

隔壁孔はどんな役割をするのか?
菌糸を構成する細胞は、隔壁によって分けられているものの、隔壁孔を通じて細胞質はつながっています。従って、核やその他の細胞小器官も隔壁孔を通り、隣の細胞へ移動できます。ボロニン小体は、菌糸が破壊されたときなどにそのダメージを隣接する細胞に及ぼさないように、隔壁孔を塞ぐ役割を持つと言われています。なお、担子菌でみられる複雑な構造を持つたる型孔隔壁(dolipore septum)は、孔が小さく、小器官は通り抜けられないとされています。

菌糸が伸長する際、菌糸の先端で一旦細胞壁が壊されるとのことだが、これは、vesicleの働きか?
菌の菌糸は、講義でも紹介したように、先端成長をすることが特徴です。この場合、菌糸の先端に、酵素等を持った小胞vesicleが集まり、菌糸の細胞壁をvesicleが持つ酵素的に分解、細胞膜を新生、そのご再び細胞壁を作るというステップを繰り返していると言われています。

菌糸先端のvesicleと、Aspergillusの分生子柄上のvesicleは同じものか?
全く異なります。菌糸先端のvesicleは菌糸の細胞内の小胞のこと、分生子柄先端のvesicleは頂のうと呼ばれる先端がまるく肥大した器官のことを指します。

かすがい連結は細胞分裂のたびに起こるのか?
基本的にはその通りです。Introductory Micology (Alexopoloulos, 1996) p. 492をご参照ください。機能、模式図、写真を見ることができます。

菌核は無性胞子を作る時に形成するものか?
違います。菌核それ自体が無性増殖器官と考えて差し支えありません。多くの場合、菌核から菌糸を発芽して、クローナルな次世代を形成します。ただし、子嚢菌の一部に、菌核から直接子嚢盤(完全世代)を形成するものがあります。これについては、各論で紹介する予定です。

付着器、吸器などの機能や構造について
「病原の植物侵害戦略(1月13日)」で再度詳しくご紹介する予定ですので、それまでお待ちください。なお、侵入糸や吸器の数についての質問をいただきましたが、基本的には一つの付着器に、1つと考えていただくと良いかと思います。形態などは、病原菌の種により、異なります。また、吸器は細胞中で発達し、栄養分を吸収しますが、隣接する細胞へ進展することもあります。

嫌気呼吸し得る菌は、なぜ効率が悪いにもかかわらず嫌気呼吸するのか?
培養条件、例えば液体培養した際に十分酸素が供給されない場合に嫌気呼吸を行うと考えられます。従って、そのような条件では、嫌気呼吸を行えることが生理的活動を行うのに有利であると考えられます。

水虫菌は、ドリル型の器官をつくり組織に侵入するとのことだが、動物組織の方が植物組織より侵入しにくいのか?
どちらが侵入しにくいのか、体験したことがありませんので、答えられませんが、水虫菌(白癬、Arthroderma spp.)の場合、角皮に侵入し、そこに固着し、ケラチンを分解して栄養源とします。

なぜ菌類は、セルロースなどを体内に取り込んで分解せず、体外で分解するのか?
動物の消化を思い起こしてください。動物は、食物を口からとりこみ、消化器官で、酵素的、あるいは物理的に分解して栄養源とします。一般に、これは体内と考えてしまいますが、良く考えると消化器官(口、食道、胃、腸など)は外界と隔てられておらず、体外です。ここで分解されて小さい分子(単糖、アミノ酸など)になった栄養分は、腸壁などから細胞内に取り込まれます。この時点で体内に栄養分が入ることになります。菌は、動物のような複雑な「からだ」を持ちませんが、行っていることは類似しています。つまり、体(細胞)外に、酵素を分泌し、これで細胞内に直接取り込むことができないセルロースなどの大きな分子を分解して、細胞内に取り込める小さな分子にします。その結果生じた小さな分子は、膜輸送系やエンドサイトーシスによって体内(細胞内)に取り込まれます。

菌類は、なぜトレハロースなどを転流糖として使うのか?
理由はわかっていないと思います。ただ、植物でも、グルコース以外にトレハロース等が転流糖(この場合、光合成器官から貯蔵器官へ)として使われていると言われており、生物に一般的なことなのかもしれません。また、菌類では、転流糖は、最終的にグルコース等に変換され、呼吸基質として使用されます。

小テスト解答のヒント
Protista界、Chromista界および、菌界の各門について、無性生殖、有性生殖、栄養体、菌糸隔壁、細胞壁、リジン合成系、植物寄生性に関する特徴を纏めた表を作りなさい。
講義の中で紹介したことを含めて、参考書などを参考に、表にまとめてみてください。→参考 pdf 26k

Zygomycetesに属する植物病原菌で、ヒトに利用されている菌があります。どのような機能が利用されているのか、植物病原性と関連して述べなさい。
後日紹介しますが、まずは調べてみてください。


11月18日クラス

質問と回答

前回の授業での質問に対する回答の時間が長すぎる
ご意見、ありがとうございます。前回の授業を良く理解いただけた方、あるいはHPをご覧いただいた方には確かにその通りかもしれません。ご質問いただく点は、私の説明が不十分であったことも考えられ、質問いただいたことを材料にもう一度復習してみることは理解も深めますので、私としてはできる限りいただいたご質問に対して回答していきたいし、それを皆さんにお伝えしたいと考えています。HPを1週間で閲覧いただくのは延べ20名程度しかありませんで、受講者の2/3は授業の中で回答を聞かれているのが現状であると判断しています。私の希望としては、もう少し多くの方にHPを閲覧いただければ、と考えています。質問の中から重要なものを選択して、できるだけ短時間のうちにご理解いただけるように努力します。

病名は主に植物の症状からつけられるのか?同じ病名で病原が異なる場合もあるのか?
最も一般的な病名の命名(萎凋病、苗立枯病など)は、症状に準じたものです。その他に、病原菌によりある程度決まった病名を与える場合(炭そ病、疫病、菌核病など)があります。べと病は、べとべとからきたものと考えられます。1種の植物では、病原が異なる場合には異なる病名を与えることが基本ですが、病徴が区別しにくい場合、近縁の病原菌によって引き起こされる場合等に、複数の病原が引き起こす病気の病名が同じ場合もあります。また、植物の種が異なると同じ病原によるものでも病名が異なる(例えば、Fusarium oxysporumによるものでも、トマト萎凋病、スイカつる割病、ナス半枯病、キャベツ萎黄病など)場合もありますが、これは主に、現れる症状が植物の種によって異なる場合や、病名の付与に先命性があること等によります。一度、「日本植物病名目録、日本植物病理学会編」をご覧ください。

各論で紹介される病原の生活環は覚える必要があるのか?
病原の生活環には、病原の生存・伝搬・発病・拡散・遺伝など、病気の発生に関わる多くの情報を含んでいますので、非常に大切な情報であると考えています。そのため、生活環をプリントとしてお渡しし、また、授業のなかでご紹介しています。この理解は、病気の防除(病原の制御)にも応用できます。しかしながら、開講時にお伝えしたように、記憶していただくことよりも理解していただき、興味を持っていただくことを、私は皆さんに期待しています。生活環の細かい名前などは、プリントを見ればわかることですので、そのデータを元に、病原の生活環と病気の発生について理解していただければ、と思います。蛇足ですが、試験の際は、配布したプリント(もちろん書き込みも)および自分のノートを持込み可とさせていただきます。

アブラナ科野菜根こぶ病菌Plasmodiophora brassicaeの生活環で、二核結合体から先が2つに分かれているのはどういう意味か?
まず、アブラナ科野菜根こぶ病菌をphylumと書かれた方が複数おられました。これは、私が板書で、界(この場合Protista)の下位の分類階級である「phylum」(門、10/21プリントp.2参照)と書いた横に、「ネコブカビ門」と書いたのが原因で混乱されたと考えられます。失礼しました。正しくは、phylum Plasmoniophoromycota(和訳:ネコブカビ門)で、その中に、アブラナ科野菜根こぶ病菌Plasmodiophora brassicaeという種を含むことになります。さて、ご紹介した生活環の図は、Agrios 1997よりとっています。この図では、二核結合体の先を、根の外観および内部の2つに分けて紹介しています。2つのステージが存在するわけではありません。

根こぶ病菌Plasmodiophora brassicaeがアブラナ科植物の根にこぶを形成するのにオーキシンが関係しているとのことだが?
これについては複数のご質問をいただきました。根こぶ組織中ではオーキシン濃度が高くなっており、これがこぶの形成(肥大)を促しているとされています。では、(1)オーキシンは根こぶ病菌が生産するのか、植物が生産するのか? :想定されるのは、根こぶ病菌がオーキシンを生産する、アグロバクテリウムのように(後日紹介します)オーキシン生産に関与するプラスミドを植物に導入して植物に生産させる、植物が通常持っているオーキシン生産の機能を促進するの3つです。まだはっきりしていませんが、最後の、「植物が通常持っているオーキシン生産の機能を促進する」であろうと考えられています。(2)何故長日条件で発病するのか?:これもまだ明らかにされていません。しかし、(1)で示したように、植物のオーキシン生産が短日条件では促進されにくいためと推測されています。

PCNBの作用は?また、PCNBが使用できなくなった現在、根こぶ病にはどのように対処しているのか?
PCNBは、呼吸系のSH基を活性触媒として持つ酵素を阻害する、呼吸系阻害剤とされ、実際には、根こぶ病菌の休眠胞子の発芽を阻害し、静菌的に作用すると考えられていました。PCNBが使用できなくなり、現在では新たな殺菌剤(フルスルファミド:ネビジンなど)が使用できるようになっています。また、抵抗性品種の利用によって(一時的かもしれませんが)かなり発病は押さえられます。しかしながら、ご紹介した病原の生活環のどこかを妨げるような防除法、すなわち、きれいな土で苗を育てて移植する、圃場の排水を良くする、土壌pHをあげる、土壌に根こぶを残さないようにする、可能な限り遅植えする、アブラナ科以外の植物を植える、などの方法も効果があり、これらを組み合わせて総合的に防ぐ試みがされています。

土壌伝搬する病原に何か共通の特徴はあるのか?
今回の授業で紹介した病原のいくつかは、べん毛を有する遊走子をつくり、これが土壌水によって伝搬されます。しかし、次週以降ご紹介する中で登場する土壌伝染性の病原は特にそのような形態をつくりません。空気伝染のみで伝搬される病原に比べて、土壌中での他の微生物などとの競合に勝てるように、耐久体を作る場合が多いことは特徴と考えられるかもしれませんが、、、

菌類媒介ウイルスについて
いただいた質問の中に、混乱されている方がおられました。講義の中でご紹介した、PolymyxaやOlpidiumは、それそのものは病原ではありません(これらの菌が感染しても病気は起きないと考えられる)が、これらの菌が保持しているウイルスによって(どのように植物へウイルスを移行させるのか、またどのように菌がウイルスを保毒するのかは不明です)、病気(ムギ類縞萎縮病、レタスビッグベイン病)が引き起こされます。従って、この関係では、ウイルスが病原、菌が媒介者です。

Aphanomycesは培養できるか?
培養可能です。Aphanomycesはミズカビとして腐生的に生存していることが多く、どちらかというと、条件的寄生菌と考えると良いかと思います。

Phytophthoraなどで、胞子のうの直接発芽と胞子のう胞子を形成するのはどのように制御されているのか?
どちらによるかは、菌の種、系統、環境条件によってかなり異なるようです。また、何故か(どちらがどう有利か)、あるいはどのように制御されているのか、については私の知る限り情報はありません。

胞子の発芽を促進する物質はあるのか?
いただいたご質問では、どの病原の胞子のことかわかりませんが、アブラナ科野菜根こぶ病菌の休眠胞子は、アブラナ科植物の生産する物質により、発芽が促進されると言われています。また、その他の胞子も水の存在により発芽が促進される場合が多く見られます。


11月25日クラス

質問と回答

接合菌の接合胞子zygosporeの核融合はいつ起こるか?
11/11に配布したプリント、p. 33の図によれば、核融合Karyogamyは越冬後に、接合胞子が配偶子嚢柄から脱離した後に起こることになっています。培地上などでは、接合胞子の形成から発芽までが時間的に近接することもあるようで、この場合は、配偶子嚢柄から脱離しないで核融合しているかもしれません。(なかなかこのタイミングを既述している文献は少ないのが現状です)なお、Rhizopusなどで特徴的なstolonは匍匐枝(ほふくし)と呼びます。

担子果は何からできているか?
担子果の最も特徴的なものは「きのこ」です。きのこは、菌糸が撚り集まった菌子束からできています。すなわち、菌糸が集まって器官を形成していると考えられます。

胞子堆(ほうしつい)とは何か?
堆(たい)は、ものが積み重なった状態を示します。すなわち、胞子堆(ほうしつい)は、胞子がたくさん形成されて積まれた状態になっていることを示します。

さび病菌は何故複数種類の胞子を形成するのか?
確かに、何種類もの無性胞子を作るのは何故だか不思議ですし、興味が持たれます。次の質問への回答でも述べるように、受精器官としての胞子、二次感染(拡散)のための胞子、異なる宿主への胞子、完全世代形成のための胞子など、役割分担ができているように見えるのがおもしろいですね。(お答えにはなりませんでしたが)

さび病菌の精子を受け取る卵に当たるものはないのか?
あります。本日配布したプリントp.9のreceptive hyphae受精毛で、これと精子(さび柄子)が受精してn+nのdikaryonをつくります。

異種寄生性のさび病菌で、一方の宿主がそばに存在しないとどうなるのか?
昨年、11/5のクラスでの質問に対する回答をご参照ください。

異種寄生性のさび病菌で、両方の宿主が重要な場合はあるか?
本日の授業の中でご紹介した、「中間宿主」の概念は、主にヒトにとって重要性のある宿主植物でない方の宿主を中間宿主と呼ぶことがある、という意味ですので、もう一度ご確認ください。従って、さび病菌にとっては、両方の宿主が生活環を全うするためには重要であるといえます。なお、「宿主交代についてもう一度説明してほしい」とのご意見がありましたが、一度、「新編 植物病理学概論、久能ら、1999、養賢堂」 p. 59-62を読んでみてください。その上で、わからない部分がありましたら、再度ご質問をお願いします。

植物病原菌は越冬するのか?
植物病原菌にとって、「冬」に相当するのは、宿主植物が無くなるときと考えることができます。例えば、トウモロコシの病原菌であれば、秋にトウモロコシが無くなると、我々の季節と同調して「冬」になります。コムギの病原菌にとっては、コムギが収穫期を迎える6月頃が「冬」の始まりといえます。温室栽培の場合は、農家が、作期を決めることで、植物病原菌の季節が決まります。植物病原菌がこのような「冬」を迎えると、休眠胞子、厚膜胞子、菌核、子嚢核、冬胞子などの耐久器官を作り、「越冬」する場合が多く見られます。植物残さとともに土壌中などに残る場合もあります。

担子菌のかすがい連結で、異なる核を1細胞内に持つことに意義はあるのか?
担子菌が1つの細胞が多核であることはよく見られます。この意義については、私の考えを、11月11日の回答で述べさせていただいていますのでご参照ください。担子菌の場合、細胞分裂時に、複数の核が核分裂しても、なぜか分裂後の核の挙動が同調しません。従って、細胞によって核の存在様式に差がでます。この差をなくす方向に核が移動する際に、担子菌の隔壁は、たる型孔隔壁をもち、核が隔膜孔を通過できないため、かすがい連結を作って核を他の細胞に輸送するとされています。なぜ、このような複雑なメカニズムをしてまで核を輸送するのかはわかりませんが、担子菌にとって、ここまでしてでも多核であることを維持する利点があるのでしょう。

小テスト解答のヒント
さび病菌で見られる、「宿主交代」の利点を考察しなさい。
上記の質問、「植物病原菌は越冬するのか?」に対する回答を参考に、考察してみてください。


12月 3日クラス

質問と回答

完全世代を形成せず、不完全菌類に分類されていた菌で、担子菌に入る菌と、子のう菌に入る菌はどのようにして区別するのか?
10/28に、いわゆる菌類の分類体系について、詳しくご紹介しました。また、系統関係と分類体系の関連、あるいは違いについてもかなり時間をかけて説明しました。もう一度、以前のプリントおよび10/28に戴いた質問に対する回答をご参照の上、復習してください。それでもわからない点につきましては、有江までお越しください。

完全世代名と不完全世代名とは何か?
上の質問とも関連しますが、これについてもすでに詳しくご紹介してあります。同様なご質問に対する回答が10/28分に有りますのでご参照ください。

子のう菌の蔵嚢器から分化する蔵嚢糸の先端のかぎ状構造がその後子嚢になるとのことだが、1つの蔵嚢糸から1つの子嚢しかできないのか?
プリントの図2の最上段右の図では、嚢器から分化した蔵嚢糸が分枝し、それぞれの先端にかぎ状構造が形成されています。従って1つの蔵嚢糸から複数の子嚢が形成される場合があります。関連して、「蔵嚢糸のうち、かぎ状構造にならなかった細胞はどうなるのか?」との質問がありましたが、このような細胞は子嚢を支える組織になると考えられます。

Taphrina属菌は、子嚢胞子と分生子以外の形態をとるか?
子嚢胞子とこれから出芽で生じる酵母状に分生子が主な形態です。例外的に、仮性菌糸という菌糸のような形態をとり、病枝で越冬するとされています。

カンキツ類緑かび病菌の増殖にはpHがどのように関連するのか?
昨年11/19の講義での質問に対する回答をご覧いただけると幸いです。

ライムギ麦角病菌(Claviceps purpurea)が昆虫を誘引するとのことだが、分生子の塊によるのか?
花器から溢出する分生子の液滴が昆虫を誘引する匂い物質を含むとされています。

マイコトキシンについて詳しく知りたい
マイコトキシン(かび毒)とは、菌類が生産する毒素で、主に動物に害を及ぼすものを言います。現時点の授業計画では、1/20に詳しくご紹介する予定です。

偽子嚢殻の意味が良く解らなかった。偽子嚢殻の周りに存在するstromaとは何か?
偽子嚢殻pseudotheciumとは、ストロマstromaと呼ばれる密集した菌糸に埋もれて、ここから形成される子嚢果のことを指します。子嚢殻peritheciumはストロマから形成されず、子嚢原器から形成されるものを指します。しかしながら、教科書によっては、偽子嚢殻と子嚢殻を併せて子嚢殻としている場合もあります。

講義で紹介された子のう菌のうち、不完全菌はどれか?
すでに紹介したように、不完全菌類は、菌の中の未決箱のような分類群です。完全世代が発見されたり、系統関係を明らかにすることで、担子菌や、多くの場合は子のう菌であることが解ってきています。講義でご紹介した子のう菌のうち、完全世代がまだ未観察の種は、不整子嚢菌綱の、Penicillium italicum、核菌綱のFusarium oxysporum、小房子嚢菌綱のAlternaria akternataなどです。プリントの種名が一つしか無いことがそれを示しています。

イネ馬鹿苗病菌の防除には、徒長したイネを早期に除去することが効果的とのことだが、それでも生物農薬が必要なのか?
圃場において、完全に罹病イネを除去でき、汚染種子が無くなれば馬鹿苗病の種子伝染に対する生物農薬等による防除は必要なくなります。しかしながら、現実はそう簡単には種子伝染を防げないこと、および他の病原の防除も目的に生物農薬などによる苗箱処理が行われます。苗箱処理は、非常に簡単であることからも期待されています。

小テスト解答のヒント
子嚢菌の各綱に属する菌が形成する子嚢果の特徴を纏めると共に、子嚢菌の進化について考察しなさい。
子嚢果の形態からは、裸生子嚢が原型であり、子嚢盤、偽子嚢殻、子嚢殻、閉子殻と進化したように見えます(次回説明します)。従って、原子嚢菌綱が子嚢菌の祖先に近いと考えられます。実際に、分子系統解析で、原子嚢菌綱、盤菌綱、核菌綱、小房子嚢菌綱、不整子嚢菌綱、の順に分岐、進化してきていると推定されています。


12月10日クラス

質問と回答

菌核病菌は越冬していた菌核から菌糸が発芽して感染するのか?
菌核病菌Sclerotinia sclerotiorumは、罹病植物体上に形成した菌核が土壌中や植物残渣中で越冬します。菌核は春になると、子嚢盤を直接発芽して子嚢胞子を飛散します。この子嚢胞子が花器などに感染して、新たな菌核病を引き起こします。ただし、これとは別経路で、土壌表面などで菌核が菌糸発芽して、菌糸をのばし、これが植物体地際部などへ感染する場合もあります。詳しくは、プリントの32図をご覧いただきたく思います。なお、植物体上に形成された菌核は、成熟する(言い換えると、植物が枯死する)と、容易に地面に落ちてしまいますので、物理的防除(手で菌核を取り除く)は、かなり困難です。

植物病原細菌にはなぜグラム陰性細菌が多いのか?
これは私にはお答えすることができない疑問点です。ただし、植物に定着、あるいは病原性決定因子を植物細胞に注入するのに、線毛pillus(原生動物等の繊毛ciliumとは異なることに注意)が重要であることを考えると、線毛を持つグラム陰性菌が植物病原菌に多いことはリーズナブルですが、これが正しいかどうかはわかりません。「なぜ桿状(桿菌)が多いのか?」という質問もいただきましたが、残念ながらこれにもお答えすることができません。また、「動物(ヒト)の病原細菌もグラム陰性細菌が多いのか?」との質問もいただきました。緑膿菌、大腸菌(大腸菌の多くは病原ではない)、赤痢菌、サルモネラ菌などはグラム陰性菌ですが、黄色ブドウ球菌(化膿、食中毒の原因)、連鎖球菌(咽頭炎等の原因)はグラム陽性細菌です。市販感冒薬に含まれる抗菌性物質や、良く医者に処方されるセファム系抗生物質の多くは、細胞壁合成を阻害するため、グラム陽性菌の感染症治療が目的です。

メソゾームについて詳しく知りたい
細胞膜が細胞質中に入り込み、複雑な形態を取っている状態を指します。呼吸、加水分解酵素分泌、DNA合成、芽胞形成など様々機能を持つ(酵素があつまっており、一連の代謝が進行する)とされており、また、これが細胞内共生でできた細胞小器官、ミトコンドリアや葉緑体の膜構造の原型と考えられています。

夾膜capsuleと粘層slime layerの違いは何か?
どちらも細菌の外膜の外側につくられる多糖質の層で、このうち、密度が高く粘液性のものを夾膜、密度が低く粘液性のものを粘層と呼びます。夾膜は、輪郭がはっきりしているので、夾膜染色によって光学顕微鏡下で観察が可能になりますが、粘層はこれが困難です。これらの多糖は、植物病原性、高温などに対する耐性などに関する機能を持っているとされています。夾膜と粘層による機能的な差についてははっきりしませんが、それよりも、多糖の構成糖の違いによる機能の差の方が重要なようです。

「導管」とは何か?
申しわけありません。「道管」に修正をしてください。最近は「道管」という用語を使用するのが一般的ですので、そのように訂正します。なお、「ナス科植物青枯病菌Ralstonia solanacearumは、道管を閉塞するとのことだか、師管は閉塞しないのか?」との質問を併せて頂きました。10/14の講義の中でご紹介したように、細菌は移動能を持ちません。そのために、根の傷部から侵入して、導管部に侵入した青枯病菌は、道管流に伴って、道管内を植物上部に拡大していき、そこで増殖して、青枯病を引き起こすと考えられています。また、道管が閉塞されるために、上部への水の輸送に障害が生じて、萎凋(しおれること)がおきます。従って、一般的には師管の閉塞が起こるとは考えられていません。

細菌が生産する色素の機能は何か?
細菌は、(ここでは光合成色素以外について)蛍光性、黄色性、など様々な色素を産生します。当然、色素は化学物質ですので、なんらかの生理活性作用を持つことが予想されますが、これについてはほとんど解っていないのが現状です。昨年も同様な質問をいただきましたが、まだお答えすることができず残念です。

細菌のリボソームで、30Sと50Sのサブユニットが結合してどうして70Sになるのか?
複数の方から同様な質問をいただき、少しとまどっています。生物学関連の講義で、沈降定数Sというのを勉強されたのを思い出して頂けると幸いです。「生物学基礎」の講義の中で戴いた質問に対する回答の中に沈降定数についてのものがありますので、ご参照ください。

小テスト解答のヒント

1 真核生物と原核生物の特徴をそれぞれ述べよ
核、DNAの存在の仕方、細胞小器官、細胞膜、細胞骨格、リボソーム等の有無や性状について、共通性、差について纏めると良い。

2 グラム陽性菌とグラム陰性菌の特徴をそれぞれ述べよ
講義プリントを参考に、共通性、差について纏めると良い。


12月16日クラス

質問と回答

バラ等に根頭がんしゅ病が発生すると生育が悪くなるのか?また、発生してしまったらどうしたらよいか?
根頭がんしゅ病に有効な殺菌剤はなく、一度感染した植物は次第に黄化し、やがて枯死に至る場合があるとされています。また、土壌伝染するため、周囲への感染源となり得ます。これらを総合的に考えると、罹病してしまった株は早期に掘り上げて植え替えることが好ましいとされています。しかし、家庭で育てているバラの場合はそうも行きませんから、がんしゅの肥大が停止し、がんしゅが概ね濃褐色になっている冬のうちにがんしゅ部をできるだけ削り取り、周囲にきれいな土を加えてやるのが良いと思います。

イネもみ枯細菌病を防ぐのはどうしたら良いのか?
イネもみ枯細菌病の病原細菌Burkhorderia glumaeは種子伝染しますので、種子消毒を確実に行うことが重要です。現在では、化学殺菌剤による種子消毒、育苗時の生物農薬処理などの方法が確立されています。また、高温で発生が激しくなる(講義で紹介するのを忘れましたが、病原細菌が生産する蛍光色素トキソフラビンが毒素として機能しますが、この毒素が高温で生産されます)ので、育苗時の温度上昇を防ぐことも有効です。同じく、種子伝染するキャベツ黒腐病菌Xanthomonas campestrisは、種子の温湯処理(50 C、15〜20分)が有効であるとされています。

種子伝染する病原としない病原とは何が違うのか?
回答させていただくことが困難な質問です。種子伝染する病原は、植物が種子をつくる段階で種子の部分に存在し得ること、種子の内部や外部に付着・あるいは潜在感染する能力をもつこと、種子が蒔かれて植物が成長を開始した際に感染する能力をもつこと、などの条件をクリアしたものと考えられますが、、、、

小テスト解答のヒント

種子伝染する植物病原性細菌にはどのようなものがあるか纏めなさい。また、イネもみ枯細菌の場合、種子に潜在した病原細菌がどのように広がって病害が激しくなるか、また、その病害が最近問題になっている理由について考察しなさい。
講義の内容、上記の質問に対する回答を参考に纏めてみてください。


1月13日クラス

質問と回答

植物寄生性線虫以外で口針を持つものはいないのか?
植物寄生性線虫の特徴は、口針を持つことでありますが、口針を持つすべての線虫が植物寄生性というわけではありません。

マツノザイセンチュウの生活環で、冬と初夏の2回アカマツが枯死することになっているが、、、
紹介した生活環の書き方がわかりにくかったかもしれません。「枯死木」という表現が2カ所にありますが、同一のアカマツ個体を示します。つまり、ザイセンチュウが感染し、夏から秋にかけて衰弱、その後枯死したアカマツの中での、冬から初夏にかけてのマダラカミキリやザイセンチュウの生活環が示されていると理解してください。

ベーシックな病原力についてもう一度解説して欲しい
「病原微生物が、病原となりうるための最低限の能力」と理解して頂けると良いかと思います。もちろん、非常に概念的な考え方ですが、ある病原微生物が、ある宿主植物に寄生して、栄養をとり、自分が生育して次世代をつくり、その過程で宿主植物に病気を起こす能力を想定できます。例えば、健康な植物に、病原が侵入するために、植物が先天的に持っている、いわゆる物理的・科学的な防御壁を打ち破るための戦略である、付着器形成、細胞壁関連成分分解酵素の分泌、植物の持つ抗菌物質の分解などです。

非病原性遺伝子についてもう一度解説して欲しい
非病原性(非病原力)遺伝子avirulence geneは、「病原が持つ遺伝子で、この遺伝子の産物に対応する抵抗性遺伝子Rを持つ植物に認識されて植物に抵抗性反応を起こす」と説明できます。詳しくは、「新編 植物病理学概論、久能ら、1999」のp. 289〜をご覧いただけるとより理解が深まると思われます。なお、この理解のために、同書p. 149-199「病原性と抵抗性」も併せてお読みいただくことを期待します。


1月20日クラス

質問と回答

ストロビルリン系薬剤に対する耐性が何故急速に発達したのか?
こちらをご参照頂けると幸いです。なお、農業環境技術研究所の石井英夫先生が研究を進められています。

菌類メラニンの合成を阻害する薬剤が何故いもち病菌のイネへの侵入を抑制するのか?
イネいもち病菌のイネ侵入のメカニズムを思い出してください。いもち病菌は、イネ葉面で付着器(1細胞からなります)を形成し、細胞内部のグリセロール濃度を高めることで浸透圧が高まり、これに伴い高い膨圧(約80気圧とされています)を生じます。この高い膨圧によって付着器と接するイネ葉組織に、物理的に侵入します。メラニンは、付着器の細胞膜の外側(細胞壁との間)に蓄積され、細胞膜をサポートすることで、高い膨圧が生じるのを助けます。従って、メラニン生合成阻害剤を処理すると、メラニンが蓄積しない→高い膨圧を生じることができない→侵入できない、という効果が得られます。

サリチル酸は、植物にどのようにして抵抗性を与えるのか。
まだこの分野は現在研究が進められている分野です。植物は複数の抵抗性獲得の経路を持っています。このうちの一つ、SAR(systemic acquired resistance)がもっとも解析が進んでいる経路です。SARでは、植物が外来の敵情報(あるいはそれにかわる化学物質の情報)を受容すると、未知の信号伝達系を経由して、付近の細胞で内生サリチル酸を増加します。サリチル酸増加の情報は、(それ自身とも、他の信号伝達物質を介してとも言われますが、)植物全体に伝わり、全身でサリチル酸濃度の増加を引き起こします。その後、未知の信号伝達系を経由して、npr1遺伝子の発現、さらには、PRタンパク質と呼ばれる、抗菌活性や細胞壁分解に関わるタンパク質の発現を誘導する結果、病原に対して抵抗性になると言われています。なお、「オリゼメート(プロベナゾール)を処理すると何故植物組織内のサリチル酸量が増加するのか?」というご質問をいただきました。植物がプロベナゾールを認識するメカニズムはまだ未知ですが、上述のように、外来の敵情報を細胞核に伝達してサリチル酸の内生を促す過程で、外来の敵情報あるいはその下流で機能する未知の信号伝達系の何かの物質としてプロベナゾールが誤認されるため、サリチル酸が内生し、濃度が上昇すると考えられます。詳しくは、「仲下英雄・ブラシノステロイドは病害ストレスにも働く、化学と生物、2003-6」などをご参照ください。

プリントのテキスト部分と図表の部分を別冊にして欲しい
来年度の参考にさせて頂きます。


1月27日、試験を行いました

試験は、以下の要領で行いました。『試験に際しては、講義で使用したプリント、ノート、参考書など持ち込み可とします。なお、試験前に講義のプリント・ノートおよび参考書を利用して勉強していただき、病原微生物に関する理解(記憶ではない)をしていただきたく思います。従って、細かい語句、名前等の情報についてはプリントなどの資料をご参照され、独自性のある答案をつくっていただくことを期待しています。』 評価のポイントは以下に紹介します。なお、成績の評価は、シラバスにもありますように、「授業出席回数(最大13)」+「試験評点」で行いました。授業回数には試験日は含みません。また、授業出席回数が「6」以下の者は試験の成績にかかわらずDと評価しました。詳しくは有江へお尋ね下さい。 

試験評価のポイント 
【】内は配点(合計87点)を示します

菌類の分類に関する以下の問いに答えなさい
(1)「菌界」とはどのような分類群か?:問うているのが、分類群の説明ですから、菌類の特徴(10/21)の説明だけでは不足です。真核生物の一分類群であることなどの既述を求めました。また、今回の講義では、「変形菌類や卵菌類は「菌界」に含まれないとする分類体系を生物系統との関係で紹介しましたので、この点の理解を期待しました。【10】
(2)菌界を構成する各門の特徴を纏めることを求めました:11/11の小テストで整理されたと思います。無性生殖、有性生殖、栄養体(すべて菌糸)、菌糸隔壁、細胞壁(すべてキチン、グルカンを含む)、寄生性などの既述を期待しました。【10】
(3)不完全菌類とはどのような分類群か?:不完全菌類という分類群が、生物の系統関係に関わらず、有性世代を持たない菌を集めた群であることを講義の中で強調したつもりです。すなわち、他の門などの分類基準とはことなる基準で設けられている特殊な分類群であること、生物の系統と無関係な分類群であることを理解して頂いているかどうかを評価しました。また、完全世代が発見されると、多くが子嚢菌門あるいは、担子菌門とされるに違いないことが、分子生物学的手法によって明らかにされていることなども紹介しましたので、その点について触れて頂いても結構です。【10】

異種寄生に関する以下の問いに答えなさい
(1)異種寄生とはどのようなことか?:異種寄生heteroecismとは、「さび病菌などで見られる現象で、生活環の中で異なる種の植物に交代で寄生すること」を言います。単に、「複数の植物を寄主にし得る」旨の答案が多く見られましたが、この様な書き方ですと「多氾性」の説明になってしまいますので、減点しました。11/25のプリントを参考にしてください。【10】
(2)異種寄生をする病原の例をあげ、生活環を説明しなさい:ナシ赤星病菌、コムギ黒さび病菌などの例をあげるとよいとおもいます。11/25のプリントを参考にしてください。病原微生物の生活環の理解は、病原を知ることに重要ですし、これを元に生活環のどこかを阻害することで病気の発生を防ぐことが可能となります。従って、「生活環」の理解を重視しました。【12】
(3)異種寄生の利点として想像できること:これも生活環の理解につながる設問です。さび病菌が概ね絶対寄生性であることも参考に、宿主植物が無い時期に病原がどのように過ごすか、など、独自性のある回答を期待しました。【10】

植物の病気の防除に関する以下の問いに答えなさい。
(1)病原菌を殺す働きを持つ薬剤の利点と欠点について:講義(1/20)の中で、「狭義の殺菌剤」と解説した薬剤に関わる設問です。利点として、効果が明瞭であること、少量で効果があること、利用が容易であることなど、欠点として、耐性菌が出やすいこと、環境負荷が懸念されることなど、それぞれ2つ以上の既述があることを期待しました。【12】
(2)殺菌剤の選択性が高いとはどういうことか?:「目的の菌に対してより高い効果を示すこと」です。呼吸系など生物に普遍的な代謝系を作用点とする場合は、タンパク質の形などの違いにより選択性を高めることが可能であり、また、対象生物に特異な代謝系などを作用点とすることによっても選択性を高めることが可能であることを講義の中で紹介したことを思い出して頂けると幸いです。【13】

解答用紙にご記入頂いた様々なご意見は是非来年度に反映させて頂きたいと思います。貴重なご意見をありがとうございました。


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