樹木の音響トモグラフィ診断


研究概要

環境問題や資源問題が深刻化している昨今、森林資源の有効利用と保護育成が重要になっている。そのような中で、立ち木の健常度を、非破壊的に検査する手段の開発が要求されている。そのため、立ち木の周囲に音波の送受信器を設置して、音波の伝搬時間の測定結果から、経路上の音速を算定する。同じ樹種であれば、健常な木部はおおよそ標準的な範囲内の音速を持つのに対して、腐朽した木部は極端に音速が低下(数十%以上)することが知られている。そのため、樹木断面内の腐食分布をより詳細に検査する目的で、樹木周囲の多数の場所で伝搬時間を観測し、そのデータをもとに樹木断面内音速分布の再現を可能にするCT映像法の実現に期待がかけられている。木材のCT映像法の研究は、古くから行われているが、当初は電柱や遺跡建築物などを検査する目的で検討されてきた。立ち木の場合、伐採後時間経過した乾燥材と違って、水分含有率が多いため音響特性が大きく異なることや、樹皮部分での減衰が大きいなどの問題がある。このため、立ち木のCT検査は、最近ようやく報告されはじめたばかりであり、まだ未解決な問題を多く残している。その第一は、樹木内部に年輪があるため、音波の伝搬方向によって音速が異なる。すなわち、樹木断面内の径方向(年輪を横断する方向)と接線方向(年輪に接する方向)の各々で音速が異なる異方性を示す。この問題に対して本研究では、樹木断面内の異方性伝搬特性の物理的メカニズムを解明し、異方性特性を考慮に入れたトモグラフィ計算を行う。二番目の問題として、樹木のCT検査においては、医療用のX線CTのように、数千以上のオーダの送受信経路上で送受信することは、費用や検査時間の問題から現実的でない。その数は、数十オーダの程度の少ないデータ数にせざるを得ない。このため本研究では、少ない経路データから、音速CT像を再現できる経路平滑化ART法を導入する。本研究では、以上の対策を施した音速トモグラフィ映像法の導入により、これまで以上に検出精度の高い樹木腐朽診断技術を開発することを目的とする。

従来法の問題点

  • X線検査は放射線被爆の危険がある。
  • X線の場合、装置規模の問題からトモグラフィ検査は実現されていない

    特徴

  • X線、γ線に比べて安全
  • トモグラフィ断層像が再現できる

    用途

  • 立ち木の腐朽診断