学生に足りないものとはなんだろう?常日頃、私を捕らえて離さなかったこの疑問に終止符を打ったのが、とあるCMであった。

『学生さんは金がない!』

そうだ!今も昔も学生さんには金がないのだ!あふれる情熱、アイデア、欲望、全てをすんでのところで踏みとどまらせるのがまさにこの"マネー"に他ならない。

そしてそのCMは続く。
『だから半額やります!』

控えおろう!このカードをなんと心得る!学生証なり!我は学生なり!「ハハー学生様、未来のお客様、安くするのでどうぞご利用くださいませ。」

そうそう、世の中には学割という金無し学生を救いたもう素晴らしい制度があるのだ。
せっかく学生なのだからこの制度を使わずにおいてはもったいない。
新年早々金の無いいち記者は立ち上がった。
金は無いが思いっきりゴージャスな思いをしたい!1年の始まりにまさにふさわしい思い出を!学生に縁遠いハイソサイエティーな場所に行きたい!
そして蛙記者はクラッシックコンサートに目をつけたのであった。

 蛙記者が挙げた条件は2つ。
1、学割価格で3000円以下。
2、とは言っても聞きに行くからには有名な楽団の演奏を聞かなきゃ意味が無い!


 なかなか厳しい条件だがここは譲れない。
Weeklyぴあを早速購入し、目を皿のようにして探すと、まず発見!サントリーホールで1/6に行われるウィーン・シュトラウス・フェスティバル・オーケストラ
錦織健も加わるというからかなり良さそうだ。
最高9000円のところを学生さんは3000円!これはいい!さっそくコンビニに駆け込むも売り切れ。う〜ん、道は険しいか!?

これがポスター

そんなこんなで悪戦苦闘しつつもついにゲット!
1/5にパルテノン多摩で行われる『ニューイヤーガラ2003』新日本フィルハーモニー交響楽団が演奏するというからなかなかだ。席は2500円のところ、学生さんは1500円。さすがに錦織健より手ごろな雰囲気だが、まぁいい。早速行ってみよう!



 当日は14:30開場、15:00開演。ワードローブの中からこれ以上は無いという一張羅を身にまとい、いざ敵陣への気分。
学割価格で入場とはいっても、ハイソサイエティーな文化に乗り遅れてはいけないという精一杯の抵抗である。
そしてホールについて唖然。1500人は入ろうかという大ホールである。錦織健が来ないと思ってなめていた。想像より数倍でかい。
さらに唖然。みんな普段着じゃん!ちょっと場違いな装いをしてしまったことに少々後悔しつつも席へ向かう。
席は前から2列目であった。近い。団員の汗がほとばしるのまで見えそうである。演奏を聞く場合ホールの真ん中で聞くのが最も良い音であるらしい事は知っているが、まぁそこは学割。仕方の無いところだ。
(写真 ホールの中「こりゃでかいです」)




 いよいよ演奏開始。J・シュトラウスU世の喜歌劇「こうもり」序曲での幕開けとなった。
今回は若手ソリストを招いての演奏になるらしい。
続いてのベッリーニ「オーボエ協奏曲」ではどことなくバレーダンサー、熊川哲也氏に似たソリストが自慢のオーボエの音色を披露した。熊川哲也のオーボエの音色はとにかく優しい。舐めるようなメロディーはまるで子守唄のようだ。にも関わらず熊川哲也の顔色はどんどん赤くなる。どうやらオーボエとはかなりの肺活量を必要とするらしい。思いっきり息を吸い、赤くなりながら息を吹き込む。そうして出てくる音色は子守唄。このコントラストがオーボエの魅力か。

 続いてサックス。ソロはパンフレットの写真とは似ても似つかぬ髪ボンバー本人だよね?と思わず覗き込んでしまうほどだった。
サックスとは160年程度しか歴史が無い新しい楽器で、ベルギーのサックス氏が発明したからこの名がついたそうだ、などという豆知識を教わりつつ、ヴィラ=ロボスの「ファンタジア」を堪能する。さすがに色気のある音を出してくれる。


 続いてコントラバス。コントラバスのソロというのもなかなか珍しい。
コントラバスはビオラの仲間で、500年の歴史を持つバイオリンより古い楽器なのだそうだ。
ソリストは筑波大医学部に在学中、音楽の道へ一転した変わり者。曲目はボッテシーニの「コントラバス協奏曲」第2番より第2楽章、とまさにコントラバスのソリストに捧げられる一曲。
たいていの奏者は演奏中、恍惚の表情を浮かべるが、彼はなぜかずっとしかめっ面。表情だけ見ているとまるで頭痛のCMのようだ。
痛いの痛いの、頭が痛いの。パパ大丈夫?頭痛にはノ○シンよ。などと勝手に空想していると、曲のラストには恍惚の表情を浮かべるではないか!
パパ!治ったんだね!ありがとう。ノ○シンのお陰さ、などと勝手なCMも見事に完結した。(写真 始まる前に席から激写)

 そしていよいよヴァイオリン。サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」を演奏する彼は若干19歳。 よくもまぁそんなに指が動くもんだ、と感心するばかりだ。
そんな彼がバイオリンを始めたのはわずか3歳。もちろん親がやらせたのかと思いきや、親は乗り気ではなかったそう。
「僕がやりたいやりたいっと言って聞かないので、3歳まで待って、まだ言ってたらやらせてやりましょう、って言うことになったんです。」との話。
どんな2歳児だよ、白井君。偉い人の伝記を読んでるみたいだよ。さすが、この非常に有名かつ技巧的なこの曲を見事に弾き上げるだけの男だ。エピソードも半端じゃない。

 休憩をはさんで、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」に続くは、フンメルの「トランペット協奏曲変ホ長調」より第1楽章。
指揮者に言わせると超大型新人らしいソリストの服部氏が吹くトランペットはまさに色気たっぷり。
トランペットと言うとオペラ「アイーダ」に代表される勇ましい音色を想像しがちだが、それはどうやら知識不足のようだ。トランペットは4000年の歴史を持ち、エジプト、クフ王の墓からも見つかっていると言うから驚いた。服部氏のトランペットは、本日ご機嫌斜めだったようで、唾をしきりに切る姿が印象的だった。(写真 ホール外の屋台でおやつ。スブラキ(ギリシャ風ハンバーグ)\400。なぜか「正月」の文字。)

 そしてこれまた指揮者絶賛のソプラノ歌手、木下美穂子さん。
ドヴォルサークの歌劇「ルサルカ」より"月に寄せる歌"と、プッチーニの歌劇「蝶々夫人」より"ある晴れた日に"。
歌手と言うと「ちょっと太めで〜す。歌手だからしょうがないの〜。」という方が多いが、彼女はその予想を裏切る体型。
しかしながら腹筋はかなり鍛え上げてある様子だ。素敵なドレスに隠れて見えないが、ひょっとしたら8つに割れているかもしれない。
そして特筆すべきはその演技力。こんにちは、今日はありがとう、と舞台袖から普通にすたすた歩いてきたのに、いざ曲が始まると
「わたしはルサルカ。王子様会いたいの!切ないの!」
と彼女の周り1メートルは恋する乙女モード全開。かと思えば、曲が変わると
「私は蝶々。ダーリン早く帰ってきて!会いたいの!切ないの!」・・・って同じか。
曲が終わると「ありがとう〜」と言いながらまた袖に戻っていく。その姿は普通のお姉さん。すごいな、プロは

 最後はJ・シュトラウスU世の「美しく青きドナウ」で締め。う〜ん、今日はいいもん聞かせてもらいました。いい耳の保養になりましたよ。来て良かった!


(写真 ホールから駅の間にはイルミネーションが)


皆様も学割使ってぜひプチゴージャス味わってみてください。目からうろこ間違いなしです!





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