今回のインターンシップが、高橋正樹(機シス3年)にとって、初の海外であった。やってきたのはドイツ。日独協会のインターンシッププログラムでやってきた。人、建物、小鳥のさえずりも、街路樹の木漏れ日も、何もかも違う。高橋が、日本で飽きるほど想像した憧れが目の前のものとなった瞬間であった。

「ついに来たんだ」

地図を頼りにインターンシップ先の会社へ入る。高橋が行ったのは、キリアという食品加工製品メーカーである。誰も、制服や作業服を着ていない。服装は自由らしい。
あたりを見回すと、おへその見えている女性がいる。日本では考えられない。なんていい会社なんだ。最初に高橋に与えられた仕事は、CADで部品を描くことである。椅子に座っている高橋の前に、おへそが近寄ってくる。
「私がタンヤです。あなたのCADのトレーニングを担当します」
見上げると、綺麗な女性が立っている。ドイツ美人というのであろうか。
「なっ、なんて、ラッキー」
初めてのことの連続と語学で精一杯であった高橋の心は癒された。


「ドイツでは、お客さんはグッドパートナー」

と、マーケティング部門のフリーズさんはいう。仕事は機械系ばかりではなく、日本語HPの作成、日本企業との交渉も担当した高橋にとって、心にしみる言葉であった。日本ではお客さんは神様だからだ。お互いを支え合うという意識がはっきりと感じられた。

あんな少ない労働時間でGNP世界第三位なのはどうしてだろうか。
高橋は考える。
「一つは教育制度だと思う。ドイツでは学生時代にインターンに行くことは、ほぼ義務付けられておりで最低半年の企業研修を行う。キール大学の学生と知り合いになり話を聞くと、大学で学んだことを生かすためにはインターンに行くことは当然という意識を持っている。将来認識と専門教育が、経済大国を支えているのだろう」



ミュンヘンで開かれた世界最大ビールの祭典、オクトーバーフェスタに参加することもできた。 「プロースト!!」(乾杯)
世界からビール好きが集まったこの祭りでは、グラスを重ねれば、みんな友達だ。ウインナーとポテトの旨さに驚く。だから太ると思わずにいられない。昼だというのにみんな陽気である。高橋には、一リットルのジョッキを空けるのに精一杯なのに、隣の太ったドイツ人は、既に十杯は空けている。
ビールを飲んで仲良くなってみんなで、ジェットコースターに乗り込む。ジェットコースターは猛スピードで五回転した。さすがに、はきそうになった。


滞在中のほとんどは、ホームステイとなる。ドイツ滞在を半ばも過ぎたある日、ホームステイ先の、おじさんに、車を運転してみないかと言われた。車は、ドイツだけあってBMW。車好きの高橋には、願ってもない機会。なんといっても、スピード無法地帯アウトバーンである。
「はい!運転させてください!」
すぐに、車に飛び乗る。アクセルを踏み込む。スピードメーターはぐんぐんとあがっていく。



誰よりもおじいちゃん子である高橋が、機シスを選んだのは、これから迎えるであろう高齢化社会の役に立ちたいから。そしてものづくりが好きだから。福祉機器を作ってみたい、そんな気持ちがあった。ドイツは、医療や福祉の先進国である。

「ドイツに留学してみたい。ドイツで働いてみたい」

走れ!タカハシ。夢を載せたタカハシという車は、今、走り出した。



帰国後、高橋は次のように語っている。



「そんなことを踏まえて自分なりにこれからの大学生活で何を日本でやっていくべきか、何を身に付けるべきかという考えが明確になってきた気がします。そしてただ漠然としかなかったやるべきことへの具体的な行動をしなくてはならない。それから最後にこのような海外インターンへの参加は是非勧めたいです。日本企業とはまた一味違った面白さとスリルが体験できますよ。楽ではないけど、その分得られるものは大きいと思います。僕が今日話したことが、みなさんのひとつのきっかけとなってくれればと思います。
Danke, Auf Wiedersehen!!」



文:まっしい
ページ:Toru



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