3月27日から4月6日の間、東京・上野公園にある国立科学博物館である展示が行わ れている。テーマは「100年先から見てみよう」。2103年、宿題に悩まされた子供達 がタイムマシンに乗って100年前、つまり現代社会を見にやってくるという設定だ。 この展示、わが農工大の堀尾正靭先生が中心となり、さまざまな視点から現代社会の 問題を捉えている。この展示を見て思う。地球上は問題点だらけだ!でもまだ救いよ うがある、と。


第1区画は「大変だったよ21世紀」。入り口に待ち構えていたイノシシの剥製にび びらされた記者はそのパネルの内容にさらに驚かされることになる。化石燃料の歴史 は人類の2000年の歴史のうち、わずか500年にすぎないこと。2040年には60万種の生 物が絶滅してしまうこと。日本が海外から輸入する水の量は日本で使用される水の量 に等しいこと。花粉症は杉の木の本数だけでなく、手入れが行き届いていない杉林が 多いことにも由来すること。世界的に見て日本は「森の多い国」ではあるが、きれい な森は少ないこと。これを見た22世紀の子供達がきっとガッカリするだろう。「こい つら先のこと全く考えてないよ。自分勝手だな。」って。

会場へと進む子供たち

展示パネルの並ぶ会場
そこで21世紀の私たちはなんとか解決策を提示する。それが第2区画、「困難の解 決はABC(本質・原理)から」。ここではエネルギー問題はどうやって解決するのか、 水田のすばらしさ、山業革命(!?)などといった意外な事実がデータをもとにして 示されている。「もう無理だって。農業じゃ食えないし、ましてや林業なんかじゃ生 活できないよ。」なんて背中を丸めている大人たちに左ストレートをおみまいしてく れる。ゴミはエネルギーなんだ!やり方次第で林業は食える産業なんだ!防災機能の 面でも棚田は大切だ!と今までうじうじしていた大人は立ち上がる。22世紀の子供達 はさぞやほっとしたことだろう。


そういえばこの会場は子供の数が多い。子供達は第1区画、第2区画をそこそこに第 3区画の虜になっていた。第3区画では実際に新技術を分かりやすく私たちに伝えてい る。 たとえば太陽電池を使って小さな町の中を電車が走り回っている。解説はもちろん農 工大学の学生。「お兄さん、何でドラえもんがいるの〜?」なんて質問に困りながら も、子供達の賞賛を一身に浴びていた。 風向きや天気から大気汚染の広がりを予想してくれるソフトも見せてもらった。いろ んな環境対策が実際にどのような影響を与えるかもシュミレーションしてくれる。例 えば「全ての車がハイブリッドカーになったら」とか「ビルの屋上の50%を緑化し たら」なんていう対策もお手の物。一瞬のうちにその効果を見せてくれる。ゲームみ たいですね〜、とあくまでお気楽な記者に「大変だったんですよ〜、コレ」とつぶや いていた。

近未来の都市モデル

燃料電池車の模型


そして今はやりの燃料電池もお目見え。実際に触ることが出来る。またパソコンで燃 料電池で動く自動車についても紹介。燃料電池で使う水素タンクはなんと時速900キ ロでぶつかったときの衝撃にも耐えうるのだという。クレーンで20メートル程度の高 さから落とされて、ベコベコになった車から、無傷の水素タンクが現れたときはさす がに驚いた。


私たち研究者は普段一般の人と触れ合うことが少ない。他の研究者と向き合うことが ほとんどだ。しかし、この展示を見て私たちの研究は一般の人々の暮らしをよりよい ものにするために行われているということを再認識できた。あたり前のことだが忘れ がちなことだ。 これを見た22世紀の子供達は「21世紀のやつらなかなかやるじゃん。」って思ってく れたかな?


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