Tokyo University of Agriculture and Technology
Department of Mechanical Systems Engineering

 
   
 

ベンチャー研究室は2009年3月から東京農工大学で研究をスタートしました.
ベンチャー研究室では現在,ロボティクスに関しての研究を進めており,特にロボットシステムを用いて人間の動力学的な特性を導出する研究をしています.また,人間やヒューマノイドロボットの動力学の導出から人間の動作や力学を解析するための数学的・力学的な手法を開発しています.私たちベンチャー研究室は,これらの研究を進めることで人間と近しいロボットシステムを開発し,人間とロボットの関係を深めることを目標としています.
このような研究を進めることで,ヒューマノイドロボット,医療診断支援システム,リハビリテーション,スポーツ科学,エンターテインメントなど様々な分野に応用できると考えられます.



研究背景・研究技術

脚型システムの力学同定
古典的な同定手法を適用する際には各関節のトルク,角度,一般座標系,外力,粘弾性,摩擦の測定が必要である. しかしシステムによっては,各関節のトルクの測定が固難な場合があり,また誤差が大きく,関節の粘弾性,摩擦のモデル化も課題となる. そこで私たちが提案する同定手法は,可動システムの逆動力学モデルを3次元空間における6自由度のベースリンクの運動方程式と他のリンクの運動方程式に分けることに基づいている. ベースリンクの運動方程式に注目することで,関節トルクの測定,関節の粘弾性・摩擦のモデル化をすることなく,全ての力学パラメータの同定をすることができる. また純粋な動力学モデルのパラメータの同定は最小パラメータを用いて行うことができる.
この手法は特にヒューマノイドロボット,人間などの脚型システムの同定に有効である. ベンチャー研究室では大きさの異なるヒューマノイドロボットにこの手法を適用して実験を行った.一方で人間の動力学モデルの同定も行っており,人間の多体系モデルを用いて,モーションキャプチャーによって人間の運動を計測し,体の各部分の質量パラメータを算出する研究を行っている. またリアルタイムで人間の運動の計測結果を視覚的に評価できるソフトを開発している.これによってリハビリやスポーツ中の体の各部分のパラメータの時間的変化を検討することができる. ベンチャー研究室では実際に5ヶ月間マラソンランナーのトレーニングにこの手法を用いて,マラソンランナーの質量パラメータの時間的変化をモニターすることに成功した.


人間の関節の動力学モデルの同定
医療診断の支援,特に神経筋疾患の診断を支援するための手段が求められる中で,ベンチャー研究室では東京大学病院との共同研究で手足の関節の受動的粘弾性の同定手法の開発を行っている.
この手法によって視覚的評価に応じて患者を分類することができ,また患者の関節の粘弾性のパラメータを得ることができる. 関節の受動的性質は生物医学的な性質と診断の際のモーションキャプチャーによって得られたデータを用いて同定された各関節のパラメータによってモデル化される.

筋肉の力学同定
人間の動作生成と制御特性を理解するために,筋肉のモデル化は極めて重要である.現在はHill-Stroeve筋モデルが最も広く利用されているが,実際は参考文献にあるパラメータを使用する場合が多い.しかしそれはモデルの特異性を考慮する際不適当であり,誤差も大きい.そこでベンチャー研究室では筋骨格モデル計算に基づいて, Hill-Stroeve筋モデルの肘を屈伸させる筋肉のパラメータを同定した.その結果,得られた適切なパラメータを用いることで筋力推定は大きく変わることを確認できた.



 

これからの研究

人間関節の粘弾性の同定
人間の質量パラメータの同定実験を行う際はモーションキャプチャーシステムを利用することができる.しかし自宅で,あるいは外出先で使用することを考えると,より小型で扱いやすいシステムが必要となる. ベンチャー研究室の研究の一つの方向性として,モーションキャプチャーシステムに代用する簡単かつ軽量な計測システムの開発があげられる. 現在はマーカレスモーションキャプチャシステムやステレオカメラ,ジャイロセンサなどを対象として研究を行っている.

人間の動作から読みとれる感情に対する認識・理解
人間の運動力学は個人の典型的な特性である.ベンチャー研究室は人間の動作,行動から情報を得て,個人の認識するアルゴリズムを開発できると考えている.
また人間の動作から機械的な情報以外にも様々な情報が得られると考えられることから,最終的には動作から得られる情報を解析し,感情が分かるようなシステムの開発を目標としている.

筋肉の力学
国際的な共同研究として筋肉の動力学モデルと同定の研究を行う.

複雑なシステムのモデリング,同定と制御
ヒューマノイドロボットなどの複雑なロボットシステムは安定かつ高速な動作を実現するために優れた制御器が必要となる.そこでベンチャー研究室では本学の田川研究室との共同研究で,複雑なシステムの動力学モデルに基づいた制御の研究を進めている.


last update 03.08.2010 by g*
copyright Gentiane Venture 2009