回折強度データの収集(R-AXIS II Cによる)

殿塚隆史(東京農工大学大学院応用生命化学専攻)


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【1】使用前の準備

 

 

1. 数日前

 

1. 冷却水を循環させる。

黒色のボタンを数秒押し続けると冷却水が循環する。

 

2. 本体の真空排気の開始

本体のメインスイッチ(装置の裏側にある)をON

本体パネル一番左にある VACCUM START ボタンを押す。

 

3. 窒素ガスの発生

冷却窒素ガス発生装置の MAIN スイッチを押す。スイッチが黄色のランプの点滅になり窒素ガスが流れ始める。

 

 

2. 前日

 

窒素ガスの冷却

1. 真空排気ポンプのリークバルブが閉じていることを確認。

2. 真空排気ポンプのスイッチをONにする。

3. 真空引口のバルブ(緑色)を開き真空排気を開始する。

4. 冷却窒素ガス発生装置の REF START スイッチを押す。

 

不凍液(クライオプロテクタント)の用意

 結晶が得られたリザーバー溶液に 2030% の不凍液作製用試薬を混ぜたものを用意する。不凍液作製用試薬としては、グリセリン、エチレングリコール、MPD2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、グルコースなどを用いる。

 

 

【2】X線を発生させる

 

 

1. X線発生装置のパネルを上に示す。OPERATE@ランプが点灯していることを確かめて POWER ONAボタンを押す。

2. 画面Bに READY NOW の表示が出たことを確かめて XRAY ONCボタンを押す。ランプが点灯して 20 kV, 10 mA の出力で X 線が発生する。 READY NOW の表示が出ない場合、その原因としては防護カバーのどこかが開いている可能性がある。防護カバーを全てチェックしてなおかつ READY NOW の表示が出ない場合はシステム管理者まで連絡する。

3. MENU ボタンのDを押して画面にメニューを表示させる。カーソルボタンEを押して kV/mA SET のところまでカーソルを持っていき ENTER ボタンFを押す。kV/UP DN ボタンG、mA/UP DN ボタンHを使用して以下に示すようにX線の出力を上げていく。

 

kV

20

20

20

30

30

40

mA

10

50

100

50

100

100

時間()

10

10

10

10

10

10

 

 

【3】データの測定

 

1. コンピュータの起動

1. コントロールボックス(コンピュータと本体の間にある箱)のスイッチを入れる。(スイッチは裏側にある)

2. 外付けハードディスクを起動させる

3. コンピュータを起動させる。

 

2. コンピュータの操作

1. ユーザー名およびパスワードを入力して、コンピュータにログインする。

2. cd コマンドおよび mkdir コマンドで、ユーザー名のディレクトリを作り、そのディレクトリへ入る。

3. シェルのコマンドラインから start とタイプし Menu Program を起動させる。

 

 

 

4.  CONTROL をクリックすると Control Program ウィンドウが立ち上がる。

 

 

 


5.  Initialize
Execute を選択して装置を初期化する。

 

 

3. 結晶のマウント

1. X線発生装置の DOOR ボタンIを押す。ピーピーという音がなり、防護カバーを開けることができる。装置内の電灯をつける。

DOOR ボタンを押さずに防護カバーを開けるとX線が緊急停止するので注意する。

2. 結晶をクライオプロテクタント(不凍液)につけて、クライオループですくう。

3. 結晶に冷気が当たらないようにカードで冷気を遮りながら、クライオループをマグネットヘッドに取り付ける。

 


4. ゴニオメーターヘッドの@を緩める。

5. ゴニオメーターヘッドを回転させ、AおよびBのネジで水平方向を、ネジCを緩めDのリングで縦方向を調整する。

6. あわせたらネジCを締める。

7. ゴニオメーターヘッドの切り欠き部分にある目印Eを回転してあわせ、ネジ@を締める。

8. 装置内の電気を消し、ドアをマークに合わせて閉める。警告音が止まる。

camera length は通常は150 であるが、近づけたいときはもう一度ドアを開けて本体入り口側のネジを回す。

 

 

4. 回折データの収集

まず1枚回折データを撮って、結晶が解析に適したものか判定する。ここはオシレーションの撮影の例であるが、スチルでもよい。

 

1. Measure Oscillation を選択する。

2. File nameSample nameOperatorExposure time(ここでは15分程度)、Number of Photos(ここでは1枚)、Start File No.(ここでは通常1)、Start Phi(通常0)、Delta Phi(通常12度程度)を入力する。これら以外の設定はデフォルト値でよい。

File name は後で Mosflm で処理することを考え、最後にアンダーバーを入れるとよい。

3. Update をクリックする。

4. Measurement List ボタンをクリックして、Measurement List ウィンドウを確認する。確認したら OK をクリックしてウィンドウを閉じる。

 

 


5. よければ Measure OK をクリック。

 

反射が出ていれば、回折強度測定を行う。

 

6. Measure Oscillationより Oscillation のウィンドウを出し、同様の手順でFile nameSample nameOperatorExposure time(例えば60分)、Number of Photos(例えば45枚)、Start File No.(通常1)、Start Phi(例えば 0)、Delta Phi(例えば2度)を入力する。

Exposure timeNumber of PhotosStart PhiDelta Phi(振動角)は結晶の状態や空間群によって異なる。Mosflm Strategy などを参考にする。

 

 

 


7. Update をクリックする。

 

 

 

8. Measurement List ボタンをクリックして、Measurement List ウィンドウを確認する。確認したら OK をクリックしてウィンドウを閉じる。

 

9. よければ Measure OK をクリックしてデータを収集する。

 

 

【4】測定終了後の装置のシャットダウン

 

1. X線の出力を以下に従って 20 kV10 mA まで下げる。

 

kV

40

36

30

30

20

20

mA

100

100

100

50

50

10

時間()

10

10

10

10

10

10

 

2. XRAY スイッチを OFF にする。POWER スイッチを OFF にする。数日後に使用する予定がないときは真空も止める。

3. コンピュータをシャットダウン

4. コントロールボックス(コンピュータと本体の間にある箱)のスイッチをOFF

5. 冷却窒素ガス発生装置の MAIN スイッチを押して、冷却窒素ガス発生装置をとめる。ただし、数日後に使用する予定がある場合は、MAIN スイッチではなく REF STOP スイッチを押す。

 

 

翌日以降

 

冷却窒素ガス発生装置の停止

1. 真空引口のバルブ(緑色)を閉じる。

2. 真空排気ポンプのスイッチをOFFにする。

3. すぐに真空排気ポンプのリークバルブを開放にする。

 

本体の停止

1. 本体のメインスイッチ(装置の裏側にある)をOFF

2. 赤色のボタンを押して冷却水の循環を止める。