ストレスおよび感染過程において誘導されるイネいもち病菌の体細胞相同組換え
Stress and infection stage induce somatic homologous recombination in Magnaporthe grisea
●荒添貴之*・大里修一*・有江 力・米山勝美*
Arazoe T., Ohsato S., Arie T.., Yoneyama K.

Abstract

イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)において非病原性遺伝子の変異は新レース出現と関連する.本研究はその機構の1つとして考えられる体細胞相同組換え(HR)の検出およびその特徴付けを目的として,EYFP遺伝子とブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子を融合したEYFP::BSDを用いて, 2つの非発現型相同組換え検出マーカーを構築し,それらの共導入を行った.得られた共導入株は一次代謝経路の阻害物質存在下において高いYFP蛍光出現率を示し,HR効率の向上がみられた.また熱ストレスや酸化ストレス誘導試薬存在下においてもHR効率の上昇が確認された.YFP蛍光は主に胞子から発芽した菌糸で観察され,菌糸においてHRが誘導されていることが示唆された.また接種によって形成された病斑部位から胞子を分離し,組換え率を算出したところ,各病斑ごとに差異はあるものの,HR率の向上がみられるものも存在した.組換え後のYFP::BSD領域の塩基配列を調査したところ,発現型配列の他に検出マーカーの混合配列が存在し,EYFP::BSD間において多様性が生じていることが示唆された.


*明大農 Meiji Univ.


日本植物病理学会平成22年度大会(2010年4月、京都市)ポスター発表  *学生優秀発表賞受賞*