Abstract
イネいもち病菌Magnaporthe grisea付着器形成誘導条件下のディファレンシャルcDNAライブラリーを構築し,各クローンの解析を行っている.その中から既知配列との相同性検索によってneuronal calcium sensor 1 (NCS-1)様遺伝子を見いだし,Mg-NCS-1とした.NCS-1様遺伝子は広範囲の真核生物に存在しており,神経系を有する生物では神経組織・細胞特異的に発現する.NCS-1タンパク質がCa2+と結合することや,種によってNCS-1様遺伝子の関連形質が異なることから,Mg-NCS-1の解析を進めた.Mg-NCS-1の推定産物は他のNCS-1タンパク質と高い相同性を示し,Ca2+結合モチーフも保存されていた.二回相同組換えを利用して作出した複数のMg-NCS-1遺伝子破壊株は,野生株と比較して培地上での生育や付着器形成について顕著な差異を示さなかったが,0.5 M CaCl2添加や,酸性条件下において菌糸成長が遅延した.しかし,イネに対する病原性の低下などを示さなかったことから,Mg-NCS-1は少なくとも病原性発現に必須ではないと考えられた.
*理研 RIKEN
平成15年度日本植物病理学会大会(2003年3月、東京都千代田区)口頭発表