イネいもち病菌発芽管で高発現している遺伝子A26の付着器形成に及ぼす影響
金森正樹・斉藤憲一郎・有江 力・寺岡 徹・ 山口 勇*・鎌倉高志*

Abstract

イネいもち病菌は宿主イネへの感染に付着器形成が必須と考えられている。胞子発芽から付着器形成時において高発現している遺伝子をcDNAサブトラクション法により濃縮し、ライブラリー化した。そのひとつであるクローンA26はリゾホスホリパーゼと高い相同性を示し、その推定アミノ酸配列には、哺乳類、糸状菌等で高度に保存されたcatalytic triad(S,D,H)をもち、推定分子量から低分子量リゾホスホリパーゼと推察された。A26遺伝子の両末端配列を数Kb残し、A26遺伝子領域をブラストサイジンデアミナーゼ(BSD)遺伝子に置換した破壊用ベクターを構築し、本遺伝子破壊株を作出した。付着器形成を誘導する疎水性人工基質上で、本遺伝子破壊株は同等の発芽率を示すものの、付着器形成はやや劣る傾向が観察された。リゾホスホリパーゼの基質であるリゾリン脂質は、アデニル酸シクラーゼならびにprotein kinase Cを活性化するとの報告もあることから、付着器非誘導条件下、イネ葉における付着器形成能についても検討を加えている。
*理化学研究所微生物制御研究室


日本植物病理学会平成13年度関東部会(2001年10月、茨城県つくば市)口頭発表