Abstract
イネいもち病菌の感染初期段階、特に付着器への分化過程について分子生物学的解析を行うため、本菌の付着器形成条件下で発現するcDNAディファレンシャルライブラリーを構築し、解析を進めている。ライブラリー中のクローンについて既知配列との相同性、および発現特異性の検討により、優先的に解析を行うクローンを選択した。注目した複数の遺伝子については遺伝子破壊株の作出による逆遺伝学的アプローチを試みている。CBP1は本アプローチにより取得された、栄養成長時では発現がほぼ完全に抑制される新規遺伝子である。本遺伝子破壊株は誘導性の人工基質上で付着器形成能を欠損していたが、植物体上では付着器を形成した。本遺伝子の推定ORFは既知遺伝子との全体的な相同性を示さなかったが、キチン結合モチーフなどの特徴的なドメインを持っていた。CBP1の機能推定のため、本遺伝子破壊株の形質解析ならびに、レポータ遺伝子を用いた解析を行っている。またneuronal calcium sensor 1(NCS-1)と高い相同性を示す遺伝子を見い出し、Mg-NCS-1と命名した。本遺伝子についても遺伝子破壊株を作出し、その形質を検討した。
平成14年度日本植物病理学会植物感染生理談話会(2002年8月、鳥取県大山)ポスター発表