Abstract
Rasは各種シグナル伝達に関与する低分子量GTP結合蛋白質であり,その重要性から詳細な研究が行われてきたが,植物病原糸状菌におけるRasの機能についてはまだ不明な点が多い.そこで,キャベツ萎黄病菌Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans についてRasの機能を解析するために,本菌よりPCR を用いてRas遺伝子と相同性の高い遺伝子foras1をクローニングした.この foras1 は216個のアミノ酸をコードし,植物病原糸状菌であるColletorichum trifolii やBotryotinia fuckelianaのRas遺伝子とアミノ酸レベルで非常に相同性が高かった.さらに,foras1 の遺伝子破壊ベクターpFDRAS1を構築し,野生株のforas1 の遺伝子破壊を行った結果,60菌株中6菌株の遺伝子破壊株が得られた.これらの遺伝子破壊株は野生株と比較して各種培地での生育が著しく遅く,菌糸が太くて短い等の形態異常が確認された.また,培養菌体をキャベツに接種しても萎黄病は起こらなかった.以上より,foras1はキャベツ萎黄病菌において,生育や菌糸の形態形成等に関与している可能性が示唆された.
*農環研 Natl. Inst. Agro-Environ. Sci.
第3回糸状菌分子生物学コンファレンス(2003年11月6−7日、東京都文京区)ポスター発表