我々の暮らしは、エネルギーの供給によって初めて成り立っているといっても過言ではありません。

エネルギー問題は、21世紀の最も深刻でかつ早急に解決しなければならない課題の1つです。
今まで我々は、エネルギーが無尽蔵であるかのように大量消費し、テクノロジーを発達させ、物質文明を発展させてきました。またそれによって地球環境が汚染されることにも全く無頓着に過ごしてきました。今、そのつけがまわってきています。世界の人口はどんどん増加しエネルギー需要も増加しているのに、我々が最も依存している化石燃料の
石油は40−50年しかもたないと試算されています。その上、化石燃料を燃やし続けてきた結果 、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素を排出し続け環境汚染をまねき、特に地球温暖化問題は深刻さを増しています。このような状況の中で地球規模での国際的な温暖化防止の話しあいがもたれるようになり、京都議定書では、はじめて具体的な温室効果 ガス排出削減の数値目標があげられました。
アジアの諸国は、地球温暖化によって最も大きな影響を受ける地域の1つであるとともに、これから最も発展が期待されている地域でもあります。これらの諸国は、今日明日の発展に精いっぱいであり環境問題までには到底手が回りません。9月17日(月)の朝日新聞朝刊には、「成長センター」であるアジアが温暖化の抑制に失敗すると、最大の被害現場となりかねないと書かれてあります。アジアの中で、日本のエネルギーに関する主導的な役割が大変重要になってきました。

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 No more CO2  地球環境に優しいエネルギー    自然エネルギーの利用     燃料電池の開発

エネルギー問題がクローズアップされてきましたが、エネルギー大量 消費の生活を見直さなければならないことはもちろんですが、地球環境の汚染をこれ以上悪化させないで、見込まれるエネルギー需要をまかなわなければなりません。それには、石油に代わるクリーンな代替エネルギーを追及するとともに、自然の力、例えば、太陽光や風力を利用したり、燃料電池を開発したりする必要があります。そこで、それをバックアップし、そのエネルギーを効率的に貯めて、無駄 なく使うテクノロジーすなわち「地球環境に優しい新しいエネルギー貯蔵方法」が、重要な意味を持ってきました。一方、我々の生活は、電気に大きく依存しています。例えばガスで沸かす風呂でさえ電気がなければ沸かせないとか、石油があるのに電気がなければストーブがつかないとか、コンピュータは電気で動いていて、全てのものがそのコンピュータで制御されている状況になってきました。安定した電気の供給がないと生活が回っていかないといえるでしょう。エネルギーの転換が進められる中で、エネルギー貯蔵は、私たちがすぐ頭に思い浮かぶ懐中電灯の電池のような役割だけでなく、もっと幅広く私たちの生活全面 をサポートする重要な役割を担うようになってきました。直井研では、この「地球環境に優しいエネルギー貯蔵方法」を、電気化学的手法からアプローチし、研究しています。

地球環境に優しいエネルギー貯蔵法は、21世紀のエネルギー問題のキーテクノロジーです。

太陽電池も燃料電池も電池という名前はついていますが、太陽電池は光エネルギーを利用した発電装置で、燃料電池は水の電気分解という電気化学エネルギーを利用した発電装置で、エネルギーを貯める装置ではありません。せっかく発電したそのエネルギーを、クリーンですばやく大量 にかつ効率よく貯める装置が必要です。太陽光を利用した自動車は、雨天時や夜間時は発電できませんし、便利な電気ポットも電源がないと湯を注ぐこともできません。個人宅で作った余剰電気も貯めておいて使用したいときに使用できたら、どんなにすばらしいことでしょう。

         
   雨天時のソーラー自動車   プラグの届かない所の電気ポット  燃料電池で作った余った電気

携帯電話のように早く充電してほしいもの、心臓のペースメーカーのようにわずかな容量 ではあるけれど長時間
の使用に耐えられる物や、電気自動車のように大容量 が必要とされるなど、目的によって必要とされるものは違いますが、エネルギー貯蔵に求められる特性は、すばやい充放電、大容量 の充放電、何回も繰り返してできる充放電の3点です。



                      

直井研の研究の詳細は、研究概要紹介をご覧ください。