量子物性工学 佐藤勝昭教授(量子機能工学研究室)2001年度前期第11回配付資料 H13.7.6
金曜日1限 13教室 テキスト「機能性材料のための量子工学」
E-mail:
satokats@cc.tuat.ac.jp URL: http://www.tuat.ac.jp/~katsuaki/
第10回「光エレクトロニクスと量子力学3」で学んだこと
● 誘電率のミクロな起源
● 古典力学モデルに立って運動方程式を立て電気分極を議論した。
● 最初に、イオン分極による誘電率を導いた。
● マクスウェル方程式と組み合わせてポラリトンの分散式が得られた。
● イオン結晶では光学モードの格子振動の振動数付近に負の誘電率が現れる領域があり、ここでは反射率が100%となる。これをレストストラーレン反射と呼ぶ。
● 次に電子分極の場合を扱った。
● 自由電子の集団運動からはDrudeの反射が導かれた。
● 束縛電子の運動からはLorentz型の分散曲線が導かれた。
第10回の問題:
電束密度を電界と分極を使って書くとどう表されるか
第11回で学ぶこと
○ 誘電率の量子論:教科書p161-162
○ バンド間遷移と光吸収スペクトルp166-173
期末試験について:
7月13日(金)8:45-10:15
(当日は、佐藤は応用物理学会結晶工学分科会のサマースクール講師として名古屋に招かれて)いますので、石橋先生に監督をお願いしてあります。)
● 出題範囲:授業の範囲+教科書(第1章バンド構造p48-51, 第2章半導体p57-61、p66-70、第4章光機能p147-148,
p150-153, p157-163, p166-173、第4章の問題p193-195)
● 持ち込むもの:A4のレポート用紙1枚に、勉強したことを要領よくまとめておくこと。
(自筆に限る。コピーは不可)、電卓持ち込み可(ノートパソコンは不可)
● 持ち込んでもよいもの:教科書
第10回の質問
Q:何でイオン分極や電子分極の方が配向分極より高周波に応答するのか(清水)→A:分子からできた大きな永久双極子がゆさゆさ動くのが配向分極、正負イオンの相対変位がイオン分極、電子分布の変位が電子分極です。軽いものほど高周波まで応答するのです。
Q:ポラリトンはイオン分極のみに見られる量子状態でしょうか。(松山)→A:この他に励起子ポラリトンといって、励起子と格子振動との結合状態にも同様の現象が現れます。
Q:分極でダンピングとは具体的にどのようにして生じるのですか(長谷川)→A:分極の際に吸収がおきることがダンピングに相当します。
Q:P=χε0Eと書けないのは物理的にどんな場合か(福地)→A:強誘電体のように外部電界にかかわらず自発分極がある場合とか、PがEの2乗に比例するとき等です。
Q:吸収の強い極限では反射率が100%になるといったが、吸収された光と反射された光のエネルギーは同じですか。また通常の反射とこの反射とでは位相に違いがあるのでは?(福地)→普通の反射では光の振動数はずれません。すなわち光エネルギーは同じです。反射の際の位相は確かに異なります。
Q:分極の周波数分散の図で、イオン分極が終わって電子分極に移る際に生じるピークや下向きピークでは分極はどのような状態ですか(大内)→A 共振状態にあります。
Q:電界をかけたとき正負の重心位置は不変ではないですか(山崎)→A:重さが異なれば重心がずれます。イオン分極は相対変位しか問題にしないので重心の移動があっても同じです。
Q:吸収するものは反射も強いといったが、黒いものはすべての可視光を吸収するのに反射が少ないがなぜか(城後)→A:黒いものは吸収が中途半端に強いものです。例えばグラファイト(炭素)は黒いですが、金属に比べて吸収は遙かに小さいです。
Q:ポラリトンのところで分極の式とマクスウェルの式を連立させた意味がよくわからない(上)→A:光(電磁波)によって分極波が誘起される様子を示すのが分極の方程式で、分極波によって電磁波が生じる様子を記述するのがマクスウェル方程式です。これらの電磁波と分極波は自己無撞着でなくてはなりません。だから連立させるのです。