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「物性なんでもQ&A」更新記録 (300-699)

アップした日付
質問項目
分類
質問者
2005.12.19699. 真空にするわけ真空工学広島大学大野さん
2005.12.19698. 半導体における非線形電流電圧特性半導体物性O大学Mさん
2005.12.15697. ルチルとアナターゼのマイクロ波特性のちがい誘電物性S学校Hさん
2005.12.15696. なんでもQ&Aのファイルサイズを縮小して欲しい一般阪大小林さん
2005.12.14695. 薄膜の誘電率の光学的決定法光物性N大Wさん
2005.12.12694. シリコンと酸化チタンのマイクロ波誘電率と誘電損失誘電物性S学校Hさん
2005.12.12693. Fe-Ni合金の飽和磁束密度磁性A大Kさん
2005.12.12692. ITOとAgペーストの界面の不具合光デバイスS社Uさん
2005.12.07691. 遷移金属錯体の磁化率への軌道角運動量の寄与について磁性H大Sさん
2005.12.07690. シリコン酸化厚膜の用途セラミクス材料O大学Yさん
2005.12.06689. CrとITOの熱膨張係数熱物性N社Kさん
2005.12.06688. Si-Alコンタクト半導体デバイスD大学Mさん
2005.12.06687. Niの透磁率の周波数特性磁性材料C大Wさん
2005.12.1686. 閃亜鉛鉱型GaNの熱膨張係数半導体物性M大Aさん
2005.12.1685. 金メッキ端子と半田(錫)メッキ端子の接続部は腐食するか金属物性O社Mさん
2005.12.1684. スズの高温でのふるまい金属物性T社Mさん
2005.12.1683. サイズモ式ピックアップ計測学北九州工大瀬戸口さん
2005.11.21682. ニッケル酸化膜の用途セラミクスB社Bさん
2005.11.21681. デバイ温度と物理量の関係物性基礎名大Mさん
2005.11.21680. 水の誘電率はなぜ大きいか誘電性京都工繊大大場さん
2005.11.21679. 多結晶シリコンの抵抗率のばらつき結晶工学A社Aさん
2005.11.21678. 半田の融点における抵抗率変化金属物性T大Kさん
2005.11.21677. マイカから発生する、白色の煙と、刺激臭の気体が何であるかセラミクス会社顧問Aさん
2005.11.09676. 吸収性物質における多重干渉光物性立命大長瀬さん
2005.11.09675. 電磁波中の磁場の大きさ電磁気学D社Fさん
2005.11.09674. 無機材料の通電性 電気物性日大石井さん
2005.11.08673. 原子と分子の電子状態の記号の見方物性基礎A社Yさん
2005.11.08672. 貴金属の色光物性Y社Sさん
2005.11.08671. 渦電流による電磁制動電磁気学会社員矢野さん
2005.11.07670. FDTD法によるフォトニック結晶の解析光物性T大N君
2005.11.02669. SiO2へのSbの拡散結晶工学T社Hさん
2005.11.02668. ランダウ準位から電子を取り出すエネルギー半導体物性K大伊藤さん
2005.10.31667. 界面電荷の発生原因半導体物性都立大Oさん
2005.10.31666. 水の粘性の温度変化レオロジー臨床工学技師江嶋さん
2005.10.26665. ITOにおける格子定数のスズ濃度依存性結晶工学T大学Rさん
2005.10.26664. シロキサンの金属・樹脂に対する吸着率表面化学P社Iさん
2005.10.26663. 田んぼのひび割れ土壌学N社Sさん
2005.10.26662. シリコンインゴットのρb値の計算法結晶工学A社Yさん
2005.10.25661. ドルーデ則、バンド間遷移と貴金属の色光物性Y社Sさん
2005.10.24660. 熱電対による温度測定のデータのばらつき計測工学T高校Bさん
2005.10.24659. 金属表面の酸化による変化金属物性K大学Sさん
2005.10.24658. 金属の誘電率の温度依存性光物性N社Oさん
2005.10.20657. 炭素繊維の繊維方向と垂直の物性値材料物性J機構Aさん
2005.10.20656. ITOの可視光の透過性について光物性U機構Kさん
2005.10.20655. コランダムのヤング率の温度依存性機械的性質T大Nさん
2005.10.13654. 超伝導体の永久磁石上における浮上超伝導東理大工藤さん
2005.10.13653. 鉱物の発光の温度依存性光物性O大Nさん
2005.10.4マイクロ波誘電率の温度係数誘電物性M大学Kさん
2005.10.4651. ウィレマイトの結晶構造結晶工学山口東京理科大Hさん
2005.10.4650. 円偏光フォトンと直線偏光フォトン光物性A社Kさん
2005.10.4649. アルマイト加工したアルミ板のマイクロ波反射率電磁気学N社Tさん
2005.09.21648. 高反射率の金属が太陽光を吸収して熱くなる訳光物性L社Fさん
2005.09.21647. 高圧円筒容器の軸方向ののび力学I社Mさん
2005.09.16646. 金、銀、Ni、Al、Cuの反射率光物性O社Hさん
2005.09.16645. X線回折でシリコンの200禁制反射が観測される理由結晶工学F県工業試験場Kさん
2005.09.13644. 金属とITOの密着性セラミクスT大学Yさん
2005.09.13643. 高電圧電流導入端子における金属の異常蒸発金属物性S社Hさん
2005.09.13642. 光吸収による熱発生光物性M社山田 さん
2005.09.13641. モワレ縞光物性T大Kさん
2005.09.07640. 格子面間隔結晶工学名城大Kさん
2005.09.06639. 重金属の汗への排出金属物性B社Kさん
2005.09.06638. 酸の水溶液の誘電率誘電物性H社Yさん
2005.09.05637. シリコーンゴムの屈折率分散光物性S社Aさん
2005.08.31636. マイカの熱不安定性素材セラミクスN社Sさん
2005.08.31635. 磁気光学効果の測定磁気光学A社Kさん
2005.08.31634. 金属電極と半導体の合金化の結合エネルギー金属工学Tさん
2005.08.31633. 力のモーメントの問題力学基礎主婦Sさん
2005.08.31632. 液晶の交流駆動光物性A社Mさん
2005.08.29631. サファイアの1850℃までの高温特性素材セラミクスP社佐藤さん
2005.08.29630. シリコン研削粉のpn分離半導体プロセスエムセデック齊藤さん
2005.08.29629. カーボンブラックの濡れ性物性基礎N社Aさん
2005.08.29628. 10円銅貨の汚れ落とし化学中学3年生関山さん
2005.08.22627. トンボの眼の紫外線視感度光物性磐田南高佐藤さん
2005.08.15626. 導波管にTEM波を入射するとどうなるか 電磁気学S社Nさん
2005.08.12625. 電子レンジによる水の加熱の原理誘電体物性電通大村田さん
2005.08.04624. 有機溶媒の誘電率の周波数分散誘電体物性C社Nさん
2005.08.04623. ダイヤモンドとグラファイトの違い固体物性Aさん
2005.08.04622. モル吸光度から屈折率を求めるには光物性F社Uさん
2005.08.04621. TEM 波と静電磁界電磁気学S社Nさん
2005.07.29620. スピン演算子の固有値問題物性基礎X大学Yさん
2005.07.27619. ステンレスにおけるマルテンサイト量の評価金属物性A社O様
2005.07.27618. グラファイトの誘電率(εr)と損失角(tanδ)誘電物性R大Oさん
2005.07.27617. 回折格子と近接場光物性M社Fさん
2005.07.25616. 誘電損失はなぜ生まれるか誘電体物性R大学Oさん
2005.07.25615. 単結晶Siの線膨張係数半導体熱物性三菱電機柳澤さん
2005.07.25614. AlGaN/GaN HEMTの抵抗率異方性半導体物性N大学Hさん
2005.07.20613. 金属水酸化物金属物性Mさん
2005.07.18612. ZnSと[CuInS2]2の占有軌道数電子物性T大Tさん
2005.07.18611. 分子軌道法物性基礎S大学坂口さん
2005.07.18610. 誘電加熱誘電性K社Yさん
2005.07.13609. ITOの電気分解による導電性の劣化電子材料物性H社Sさん
2005.07.11608. NaのD線のゼーマンスペクトル光物性T大学Aさん
2005.07.11607. プラチナ・パラジウムの分離法金属物性T社Tさん
2005.07.11606. チタン・ニッケル合金の機械的強度金属物性T社Tさん
2005.07.11605. LEDにおける波長と光度の関係光物性T大学Yさん
2005.07.07604. ひずんだシリコンのバンド構造と有効質量半導体物性農工大七条さん
2005.07.06603. 二酸化珪素の熱伝導率の温度変化 熱物性名大田中さん
2005.07.05602. 炭素繊維の構造結晶工学東洋大浜野さん
2005.07.05601. エチレングリコールとトリエチレングリコールの粘度と表面張力流体物性K社Yさん
2005.07.01600. 厚底鍋のIH加熱電磁気学M社Mさん
2005.07.01599. 磁性ナノビーズの磁束観察磁性A社Oさん
2005.06.30598. 水素化アモルファスシリコンの電子移動度と正孔移動度の差はなぜか半導体物性S社Hさん
2005.06.30597. 遷移金属酸化物のバンドギャップと移動度光物性S社Mさん
2005.06.28596. TiO2とUO2の結晶構造結晶物性神戸大Hさん
2005.06.27595. マイクロ波を用いたセラミックスの焼結セラミクスK大学大学院A
2005.06.27594. ユーイングのたわみ法と引っ張り試験で得られるヤング率機械特性D大Yさん
2005.06.27593. 2D, 1D, 0D 量子構造における発光光物性T大Tさん
2005.06.27592. TFEのp-h線図熱物性W大Nさん
2005.06.23591. 金属の赤外反射・吸収特性光物性T社Oさん
2005.06.23590. アルミニウムの塗装と接着性金属加工電線会社池田さん
2005.06.23589. シリンダー内のピストンのロック金属工学S社Kさん
2005.06.23588. 一般的な無機物の熱伝導率と硬さのデータ熱物性M社草間さん
2005.06.23587. 鉛フリーハンダの銅食われ金属物性N社Uさん
2005.06.23586. 浮力に関する入試過去問物理基礎主婦Sさん
2005.06.22585. GaAsにドープしたMn中性アクセプターの光遷移の選択則光物性K大Hさん
2005.06.22584. 磁流と導磁率電磁気学S社Nさん
2005.06.22583. 金属表面への吸着金属物性S社Uさん
2005.06.22582. 2次元フォトニックバンドギャップ光物性大学院生Tさん
2005.06.21581. 水の解離定数と電気化学反応電気化学T大Mさん
2005.06.21580. ステンレスのヤング率金属物性 園部さん
2005.06.21579. YIGのディスアコモデーーション磁性久武さん
2005.06.21578. 拡散反射を高くするには光物性F社Mさん
2005.06.21577. メッキの素過程における結晶成長電気化学ICメーカ松永さん
2005.06.14576. 不純物半導体のフェルミ準位の決定法半導体物性W大学Sさん
2005.06.14575. 超伝導体への電場の侵入長超伝導物性M社Yさん
2005.06.10574. コランダムの熱膨張係数の方位依存性熱物性Y専O.M.君
2005.06.10573. "42合金"の光吸収係数光物性X高専Hさん
2005.06.10572. 温泉水の冷却熱物性S社Kさん
2005.06.10571. バンドギャップボーイングの起源半導体物性N社Tさん
2005.06.10570. LEDの通電劣化の原因光デバイスT社Zさん
2005.05.30569. 水の最大密度物性基礎N社Sさん
2005.05.30568. 樹脂の硬さ測定法 機械的性質N社Sさん
2005.05.27567. シリコンの熱酸化膜形成によるシリコンの消費半導体プロセスT大Tさん
2005.05.26566. 異種金属間における電位差と腐食速度金属物性船舶修理技師村上さん
2005.05.23565. Geの仕事関数と電子親和力半導体物性S大学Nさん
2005.05.23564. 光導電材料の感度光物性T大Kさん
2005.05.19563. 低抵抗液体の誘電率測定法電気化学S大学Sさん
2005.05.16562. Rayleighの分解能の式光物性早大斉藤さん
2005.05.13561. 圧着端子の加熱による強度変化金属物性J社Rさん
2005.05.13560. 化学処理後の高濃度ドープシリコンに見られる不動態膜半導体プロセスS電機Tさん
2005.05.12559. フェライトによるインダクタンス増大の理由電磁気学成蹊大藤田さん
2005.05.12558. ステンレスの赤外領域における反射率の温度依存性光物性サーモエレクトロン社牛場さん
2005.05.10557. 半導体の光学定数の温度依存性光物性N社Tさん
2005.05.10556. ダイヤモンドの熱膨張係数熱物性Y大学Yさん
2005.05.06555.カーボンブラックの誘電特性誘電性Kさん
2005.04.28554.X線と光の透過について光物性放射線技術者Hさん
2005.04.21553.シャフトの輸送中の磁化磁気物性TセンターKさん
2005.04.21552.フォトダイオードの量子効率光デバイスE社Mさん
2005.04.21551. バンドギャップの温度依存性光物性N社Tさん
2005.04.21550. 金属酸化物薄膜の熱膨張係数 熱物性H社Hさん
2005.04.16549. 直交するレーザ光の干渉光物性A社Mさん
2005.04.16548. 微小ビーズの銀メッキの色光物性PB社赤沼さん
2005.04.16547. 電子回路の問題回答電気工学M大学Kさん
2005.04.16546. 電気回路の問題回答電気工学A社Nさん
2005.04.11545. ポリエチレンの誘電率(2)電気物性H社Nさん
2005.04.11544. 消光係数の意味光物性化学会社Mさん
2005.03.28543. シリコーンの気体透過性化学W社Kさん
2005.03.25542. ドープされたシリコンの赤外吸収光物性H社Kさん
2005.03.25541. 高圧ガス配管の伸び金属物性J社Oさん
2005.03.18540. ニオブ酸リチウムの物性値機械物性F社Sさん
2005.03.18539. 薄膜の誘電率薄膜物性O大学Dさん
2005.03.16538. 陰極蛍光管の暗黒効果光物性T社Sさん
2005.03.15537. 表皮効果のシミュレーション電磁気学P社Sさん
2005.03.14536. 1000℃におけるシリコンの物性値 半導体物性日清紡竹崎さん
2005.03.14535. 黒クロムの反射率光物性O社Mさん
2005.03.3534. シリコンの熱処理 半導体物性M社山田さん
2005.03.3533. 真空の導電率光物性ダイキン工業池田さん
2005.02.23532. αスズの屈折率スペクトル光物性N社Sさん
2005.02.23531. 高温におけるシリコンの比抵抗半導体物性M社Sさん
2005.02.23530. ガラス転移温度の低い高分子有機化学D社Sさん
2005.02.22529. "7075"アルミニウム合金の焼鈍後の腐食金属物性茨城大雲さん
2005.02.22528. 材料工学科vs物理工学科一般的質問T大Nさん
2005.02.17527. アモルファスカーボンの評価物性一般R社Iさん
2005.02.15526. X線領域での屈折率光物性T大学Zさん
2005.02.14525. 初透磁率と分子場近似磁性H社西尾さん
2005.02.14524. ブリルアン散乱と偏光面の回転 光物性X大学Sさん
2005.02.14523. 水酸化アルミニウムと炭酸カルシウムの熱伝導率熱物性N社Kさん
2005.02.10522. 光と磁気p.48の質問光物性筑波大菅野さん
2005.02.08521. 反射を用いた食塩の同定光物性N大Yさん
2005.02.04520. 表面プラズモン共鳴センサー光物性阪大川住さん
2005.01.27519. 金属の誘電率のシミュレーション光物性N社Sさん
2005.01.24518. レーザパワーの計測法光物性A社Nさん
2005.1.24517. ポリシリコン、銅の赤外での光学定数光物性もと半導体材料会社員山本さん
2005.1.24516. ナイトライドのエピ成長における問題点と解決法結晶成長Y大学Sさん
2005.1.24515. 微結晶シリコンの核生成結晶成長A高専Kさん
2005.01.19514. 高周波回路と誘電率 電子物性N大学Kさん
2005.01.17513. 電子の利用電子物性九州東海大尾崎さん
2005.01.17512. 原子中の電子物性基礎熊本大学Oさん
2005.01.13511. 金属の電気抵抗の起源 電子物性K高専Sさん
2005.01.13510. 真空中の導電体の誘電率光物性T社Uさん
2005.01.13509. 圧延後と低温焼鈍による伸び率の変化金属物性T社Mさん
2005.01.12508. アルミと銀のスキンデプス光物性阪大Tさん
2005.01.12507. ITOの熱物性熱物性名大Aさん
2005.01.12506. 周期表の原子の並べ方物性基礎樟蔭大小野田さん
2005.01.12505. 金属混合による発色金属物性A社Mさん
2005.01.12504. 全反射と屈折率光物性高専学生
2005.01.12503. 鉄イオンの拡散について物性基礎アドテック半井さん
2005.01.12502. アルミ合金とステンレスのポワソン比金属物性シンコー佛円さん
2005.01.04501. X線結晶解析結晶学M大学Tさん
2004.12.29500. バンド理論について物性基礎阪市大Nさん
2004.12.29499. 液晶の表面電位電子物性KS大Fさん
2004.12.24498. ショットキー障壁と整流性電子物性W大学Kさん
2004.12.24497. バンド励起後の電子緩和光物性大阪市大Nさん
2004.12.22496. パラジウムの表面の曇り金属物性S社Kさん
2004.12.22495. レジスト回転塗布と広がり方プロセスN社Nさん
2004.12.20494. モリブデン焼結体の粒径結晶成長K大学Mさん
2004.12.20493. 光学異方性とスネルの法則光物性岐阜大望月さん
2004.12.20492. X線吸収端の定義光物性東大伊藤さん
2004.12.16491. モリブデンの反射率光物性M大学Oさん
2004.12.16490. 色覚について光物性キャノン長谷川さん
2004.12.13489. タンタルの仕事関数 金属物性名大佐々野さん
2004.12.13488. 方向性鋼板の磁区観察 磁性H大Fさん
2004.12.13487. オーステナイトステンレス鋼の脆性金属物性石川島播磨豊嶌さん
2004.12.08486. チタン・クロム・アンチモン系の顔料光物性S社Tさん
2004.12.07485. 高屈折率透明物質光物性帝京平成大阿部さん
2004.11.30484. 混相のX線回折材料評価M大学Tさん
2004.11.30483. カーボンマトリックスとグラニュラー磁性体磁性材料某大学Nさん
2004.11.30482. ステンレスの屈折率金属物性N大Tさん
2004.11.30481. Si/SiO2/air構造におけるSi発光の反射光物性N大Tさん
2004.11.25480. 金属反射率の温度変化光物性K社Oさん
2004.11.24479. 電界によるバンド間励起は可能か電子物性T大Oさん
2004.11.24478. アモルファスシリコンの光化学光物性T大Sさん
2004.11.24477. 1/4波長板の偏光状態光物性W大Kさん
2004.11.22476. 光吸収による汗の分析光物性A高専Tさん
2004.11.22475. YIGの放射率熱物性F社Sさん
2004.11.22474. 密度汎関数理論とバンドギャップ物性理論T大Nさん
2004.11.18473. 金属と絶縁体の屈折率光物性京大Iさん
2004.11.18472. 強誘電体の誘電率誘電体物性T社Tさん
2004.11.17471. 電磁波の電界測定電気通信電通大笹川さん
2004.11.17470. 銀薄膜の酸素透過率金属物性三社電機寺本様
2004.11.16469. 一般炭素鋼での高温でのヤング率金属物性会社員Nさん
2004.11.12468. プラズモン励起について光物性北陸先端大岩井さん
2004.11.12467. 反磁性の磁化率磁性京大Kさん
2004.11.11466. 金属の粘性係数と表面張力金属物性D社Kさん
2004.11.11465. 「光と磁気(改訂版)」付録Cの式の導出」磁気光学関西大小川さん
2004.11.09464. チタンの屈折率金属物性T高専K
2004.11.09463. 半導体金属複合材料の光吸収光物性T大Nさん
2004.11.09462. スーパーボールがドアの動きを止める物性基礎K 高校2年Hさん
2004.11.08461. 異方性結晶中の光の伝播光物性岐阜大1年望月さん
2004.11.02460. 円二色性のミュラー行列光学農工大小川さん
2004.11.01459. エアロゲルの熱輸送について熱的性質K社Yさん
2004.11.01458. 反射スペクトルと屈折率光物性日大Hさん
2004.11.01457. 配管リークの許容値へのコメントプロセスS社Kさん
2004.10.28456. めっき材と被めっき材の抵抗金属物性C社Kさん
2004.10.28455. ステンレスの不動態の抵抗金属物性Y社Oさん
2004.10.27454. Bi2Te3の誘電率誘電性R大Mさん
2004.10.25453. グラファイトの抵抗率電気的性質茨城高専内藤さん
2004.10.25452. 光の屈折とダイヤモンドの輝き光物性中1土井さん
2004.10.25451. 配管リークの許容値プロセスE社Oさん
2004.10.22450. シリコンと同等の熱膨張をもつ金属熱的性質プロブエース社木本さん
2004.10.22449. 示温塗料熱的性質川村さん
2004.10.22448. 金属の接触電位差電子物性筑波大大場さん
2004.10.22447. 磁気テープの層厚と入出力特性磁性埼玉大浜田さん
2004.10.20446. 接地用のSUS板電気特性ミズノ金型石黒さん
2004.10.20445. 分散と群速度光物性/td>京大Yさん
2004.10.20444. 回折格子とプリズム光物性大学2年佐々木さん
2004.10.20443. Mie散乱と表面プラズモン共鳴光物性Oさん
2004.10.19442. 銀パラジウムの物性値金属物性C社Kさん
2004.10.18441. 表皮効果とリアクタンス電磁気学O大学Iさん
2004.10.14440. 小孔からの空気のリーク物性基礎M社Oさん
2004.10.13439. 光ファイバーのレーリー散乱を減らすには回答せず電機大4年斎藤さん
2004.10.13438. 常磁性極限から導いた磁気光学効果のスペクトルのちがい磁気光学東大大学院嶋田さん
2004.10.12437. 光のエネルギーの吸収・損失光物性A社Kさん
2004.10.12436. 音響的に優れた金属の加工法金属物性K大学Kさん
2004.10.12435. 光の全反射について光物性化学工業協会高橋さん
2004.10.12434. カーボンの付着と剥離機械的性質O大学Nさん
2004.10.08433. ナノ粒子の光反射光物性F社Nさん
2004.10.07432. 高分子と金属の物性比較物性一般早大YTさん
2004.10.07431. 水銀の光吸収係数光物性光関連企業Oさん
2004.10.06430. 半導体エピ層における圧電効果半導体物性東京工科大大平さん
2004.10.04429. フォトリフレクタンス光物性K大学Sさん
2004.10.04428. コイルの磁界電磁気学花田さん
2004.09.24427. 回転磁界電磁気学技術者汐崎さん
2004.09.22426. 水晶の転位点での熱膨張係数熱的性質K社Sさん
2004.09.15425. 注射器の中の空気の膨張物性基礎S社Kさん
2004.09.15424. MOSキャパシター半導体デバイス東北大小林さん
2004.09.15423. 吸収端決定のための吸収スペクトルの式光物性B社Hさん
2004.09.15422. 変圧器の等価回路電気回路神戸大鈴木さん
2004.09.07421. プラズモン増強とエネルギー保存則光物性M社Oさん
2004.09.07420. プラズモンとエバネセント波光物性R社Yさん
2004.08.31419. 電子部品の硫化による断線(8/7質問:up忘れ)金属化学電機メーカーHさん
2004.08.30418. プラズモン振動数について光物性R大Tさん
2004.08.27417. 炭素繊維複合材料の透磁率磁気的性質素材関係 Aさん
2004.08.27416. IH加熱に適した鍋材電気物性金属会社鈴木さん。
2004.08.27415. 合金の仕事関数金属物性N社のOさん
2004.08.25414. 1次元の箱に閉じこめられた質量mの粒子の運動量物性基礎社会人学生中島さん
2004.08.25413. 自然酸化膜につて半導体プロセスG社上山さん
2004.08.24412. アルゴンガスの飽和水蒸気量物理化学基礎C社Hさん
2004.08.24411. シリコンウェハーの赤外線スペクトル半導体光物性K大学Tさん
2004.08.17401. フロロシリコン化学A社Nさん
2004.08.17409. 鉄、アルミ、ステンレスの熱膨張金属熱的性質建築金物業寺西さん
2004.08.17408. 拡散反射を用いたバンドギャップ算出光物性K大KSさん
2004.08.17407. 金属はなぜさびる金属化学美容学校生山田さん
2004.08.06I406. TOの密着度機械的性質G社Aさん
2004.08.06405. 42合金への銀メッキ金属工学R社Kさん
2004.08.04404. 表皮効果と金属の反射電磁気学A社Kさん
2004.07.30403. アッベの屈折計光学装置フィルムメーカーのAさん
2004.07.29402. バイポーラトランジスタのhFE(=Ic/Ib)の温度依存性半導体デバイスM社山田さん
2004.07.26401. 金属の反射(ZnとAl)金属光物性M社Wさん
2004.07.24400. 酒石酸単結晶結晶成長都立大Iさん
2004.07.23399. 誘電損失と結晶性誘電特性K大学Yさん
2004.07.21398. 空気は積もらないか物理基礎金沢大持田さん
2004.07.21397. Siにショットキー障壁を作る金属半導体デバイスG社上山さん
2004.07.20396. 逆バイアスでのトランジスタの破壊半導体デバイス立命館大岡本さん
2004.07.20395. 石英ガラスの低温特性セラミクス熱的特性N社Sさん
2004.07.15394. 金属による光吸収金属光学的性質M社Wさん
2004.07.15393. Pd/Geはショットキーダイオードになるか半導体物性Y大学Mさん
2004.07.14392. 透明電磁波シールドフィルムの電気抵抗電子材料A社Kさん
2004.07.13391. アナログ電子回路の現状と課題電子回路広島工大Tさん
2004.07.12390. 真性半導体の活性化エネルギー半導体物性群馬高専亀谷さん
2004.07.12389. ハイブリッドICの熱設計半導体デバイスM社Kさん
2004.07.12388.半導体素子の温度依存性半導体物性M社山田さん
2004.07.08387. シンチレーションカウンタ用のオプティカルセメント光学岐阜大学杉原さん
2004.07.05386. トムスン四面体結晶学K大学四年Oさん
2004.07.05385. シリコンの曲げ応力機械的性質R社Fさん
2004.07.05384. MOSFETのフラットバンド電圧の評価法半導体デバイス法政大Tさん
2004.07.02 383. 空気/金/ガラスの反射率光物性M社Oさん
2004.07.02382. 冷却したときのセラミクス箱の内部圧力物性基礎R社Fさん
2004.06.29381. 回折限界の式の係数は0.5か0.82か光学基礎会社員Kさん
2004.06.28380. 化学実験における誤差の考察物性基礎高校生Kさん
2004.06.28379. FeとAlの沈降速度の計算物性基礎M社Yさん
2004.06.25378. 偏光板の金属微粒子光物性K大学Mさん
2004.06.25377. 金属材料の線膨張係数金属物性N社Kさん
2004.06.25376. 超格子のサテライト回折線結晶物性O大学M2Oさん
2004.06.24375. モース硬度をショアー硬度に換算出来るか機械的性質会社員山口さん
2004.06.24374. 間接遷移がわからない物性基礎化学系Oさん
2004.06.22373. ITOの特性改善電子材料 N社Iさん
2004.06.22372. エチレンプロピレンゴムの誘電率絶縁材料豊橋技科大田中さん
2004.06.22371. アルミ板の反り金属材料O社和佐さん
2004.06.21370. 光の屈折光物性中学1年山田さん
2004.06.18369. パソコンのモジュラージャックの材料金属材料豊橋技科大 藤森さん
2004.06.18368. 高温での銀ペースト金属材料M社Mさん
2004.06.17367. ロッド形微粒子分散系の表面プラズモン共鳴光物性F社Nさん
2004.06.10366. 縮退半導体の静電遮蔽効果半導体物性F社Oさん
2004.06.07365. 偏光板とヨウ素光物性 道立理科教育セ前田さん
2004.06.07364. 非線形光学特性の評価法光物性I大学Dさん
2004.05.26363. IH鍋と銀ペースト金属・電気的性質M電機Mさん
2004.05.24362. 樹脂封止での金属の強度材料T社Fさん
2004.05.24361. 光の伝搬光物性X教育大学Iさん
2004.05.20360. キャリア濃度の評価半導体物性T大学Mさん
2004.05.20359. カーボンブラックと黒鉛の違い材料物性M社のSさん
2004.05.20358. 金属表面処理金属物性N大学Tさん
2004.05.20357. 縦波弾性率とヤング率音波物性医用機器メーカMさん
2004.05.20356. 逆圧電効果と電気歪誘電体物性M大学Tさん
2004.05.20355. ガラスの赤外特性光物性K社Kさん
2004.05.20354. 金属の近赤外反射特性光物性K社Kさん
2004.05.10353. 鉄心材料磁性M大学Tさん
2004.05.10352. 空気のヤング率材料物性R社Fさん
2004.05.10351. カーボンブラック中の金属の除去法材料物性S社Kさん
2004.05.10350. 石英ファイバーとシリカファイバーの違い光デバイスJ社堀内さん
2004.05.06349.人間の血液での732nm励起生体光物性A社小澤さん
2004.05.06348. 酸化スズの熱伝導率熱的性質グローリー工業上山さん
2004.04.26347bis. ペロブスカイト型強誘電体の圧電性誘電体阪府大Oさん
2004.04.26347. 鉛の密度金属核燃料メーカ高橋さん
2004.04.26346. アルミニウムの反射率金属広島大高瀬
2004.04.12345. ポリエチレンの比誘電率有機材料M社Oさん
2004.04.09344. 青色波長でのアイソレータ材料磁気光学T社Mさん
2004.04.04343. フォトダイオードの低温特性光デバイス金沢工大中村さん
2004.04.07342.バーベキューで日焼けするか光物性S社Kさん
2004.03.26341. フォトニック結晶のlight lineとlight cone光物性奈良先端大Tさん
2004.03.16340. 薄いファラデー回転子Q&Aへのコメント磁気光学東北大Kさん
2004.03.16339. 導体の誘電損失誘電率K社中堀さん
2004.03.16338. 薄いファラデー回転子磁気光学N社中村さん
2004.03.15337. 複合誘電体の誘電率誘電体D社Oさん
2004.03.15336. アモルファスカーボンの電気特性電気伝導K大学Hさん
2004.03.10335. ZnOの赤外吸収光物性イビデン玉木さん
2004.03.04334.「光と磁気」誤植p206磁気光学千歳科学技術大川辺さん
2004.03.03333.「光と磁気」誤植p147磁気光学阪大山内さん
2004.03.03332. サファイアの放射率光物性A社Sさん
2004.03.01331. 高圧ケーブルの劣化電気材料S電機Kさん
2004.02.24321b. ZnOのフォトルミネッセンス(2/2質問の続き)光物性S大Hさん
2004.02.23272b. スピン依存散乱の起源(10/27質問のつづき)磁性H大Wさん
2004.02.19330. 物質中の光速の波長依存性光物性高校教員古家さん
2004.02.19329. ZnOの圧電性について半導体/物性京都工繊大Mさん
2004.02.17328. もろみの比熱熱的性質O社藤沢さん
2004.02.10327. 磁気光学効果の測定法について磁気光学群馬大米山さん
2004.02.06326. クロムの降伏応力 金属/物性Y大Kさん
2004.02.05325. 表面プラズモンとエバネッセント波の結合光物性O大学Nさん
2004.02.04324. 酸化しない金属ってあるの金属N社Sさん
2004.02.04 323. 薄膜における干渉と膜厚光物性K大学Mさん
2004.02.02 322. 導体の誘電率電磁気A社Bambooさん
2004.02.02 321. ZnOのフォトルミネッセンス光物性 S大学Hさん
2004.01.30 320. 紫外線340nmのLED光物性/デバイス T大学山本さん
2004.01.29 319. 二次非線形分極率と2光子吸収との関係光物性 K社Mさん
2004.01.22 318. 光の散乱と吸収光物性 T社内田さん
2004.01.22 317. 酸化ゲルマニウム中のエルビウムの発光機構光物性 某大学SKさん
2004.01.22 316. 太陽電池におけるジュール発熱光電変換 M高専Oさん
2004.01.22 315. ポリ塩化アルミニウム化学 まさひろさん
2004.01.22 314. 水の非線形屈折率光物性早大川口さん
2004.01.22 313. アゾベンゼンの光異性化現象光化学N大学Kさん(コメント追加1/29)
2004.01.13 312. InGaAs薄膜のクロスハッチの観察電気化学S大Hさん
2004.01.13 311. 標準電極電位電気化学S大Hさん
2004.01.13 310. 無機砒素の定量分析化学味の素兜嵩。さん
2004.01.09 309. Feスパッタ膜磁性 江原さん
2004.01.09 308. ゼロ次回折効率を上げるには光物性 F社Sさん
2004.01.09 307. 光学フィルタ膜をコートした水晶板光物性 半導体メーカKさん
2004.01.06 306. ニッケル亜鉛フェライトの飽和磁化磁性 早大TMさん
2004.01.06 305. アーンショウの定理電磁気 
2004.01.06 304. 偏光板の劣化について光物性 S社Sさん
2003.12.26 303. 金属の吸収係数、反射率金属/光物性 T社Fさん
2003.12.25 302. 有機物の光学定数光物性 K社Aさん
2003.12.25 301. 表面プラズモンのエバネセント波金属/光物性 社会人1年生平井さん
2003.12.18 300. 超硬合金の英訳金属 翻訳家小泉さん


  • 300.

    超硬合金の英訳


    Date: Thu, 18 Dec 2003 12:44:36 +0900
    Q: 佐藤勝昭 様
    技術文献の英訳をしている小泉と申します。
    現在超硬合金の英訳について悩んでおります。
    超硬合金の英訳としては、一般的にcemented carbideが使われておりますが、 sintered hard alloyと使った例が日本の文献に出てきます。
    インターネットで検索したところ、物理システム工学科2年次「材料物性工学概論」 (92教室)第4回講義 1999.5.13 のなかでsintered hard alloyと使われておりまし た。
    お忙しい所申し訳ありませんが、cemented carbideと全く同じ意味と考えてよいの か、もし違うのであればその違いを教えていただけないでしょうか。
    よろしくお願いします。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 18 Dec 2003 18:43:46 +0900
    A: 小泉様、佐藤勝昭です。
     機械工学の堤先生にお伺いしましたところ、金属工学では炭化物に限らず硬い合金を一 般的にsintered hard alloyといっているが、切削用の刃など工作機械用工具の分野では、 炭化タングステン系が使われているのでそちらでは、超硬合金をcemented carbideという ようであるとのことでした。したがって、sintered hard alloyは、cemented carbideを 含む広い意味での超硬合金をさすのではないでしょうか。
     因みに、打越二弥「機械材料」では、工具用の超硬合金をsintered hard alloyとよん でいます。業界でも統一されていないのではないでしょうか。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 19 Dec 2003 09:34:23 +0900
    AA: 佐藤勝昭 様
    早速ご回答いただきありがとうございます。
    できるだけ正確に訳したいと思い問い合わせをさせていただきましたが、このように ご返事を頂き本当にありがとうございました。
    炭化タングステン系の超硬合金にはcemented carbideが使われ、広く超硬合金という 場合にはsintered hard alloyと使い分けるようにしたいと思います。
    ありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 301.

    表面プラズモンのエバネセント波


    Date: Thu, 18 Dec 2003 09:31:17 +0900
    Q:お世話になります。
    入社して1年目の社会人の平井です。
    学生のときとちがう分野を担当することになり、テンテコマイになっています。
    表面プラズモンのエバネッセント波について教えてください。
    金属膜とプリズムの間で全反射をさせて、エバネッセント波が金属膜表面に染み出るわけですが、染み出たエバネッセント 波は金属膜の吸収、損失などの妨害は受けないのでしょうか。
    もし、金属膜が特に影響をあたえないとすれば、その染み出る深さはどのように計算するのかお聞きしたく思っております。
    どうぞ宜しくお願い申し上げます。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 22 Dec 2003 20:30:54 +0900
    A: 平井様、佐藤勝昭です。
     ご質問の金属表面のエバネセント波の問題については、私にはあまり得意な分野ではな いので、近接場に詳しい本学機械システムの梅田先生にお尋ねしましたところ、
    =================================================
    表面プラズモンのエバネッセント波に関する資料ですが、 下記のものがあげられます。
    1.大津、河田、堀編、ナノ光工学ハンドブック(朝倉書店)、林真至p.86-101
    2.S. Kawata ed., Near-field optics and surface plasmon polaritons, Springer, 2001
    この他にも解説記事はあると思いますが、今すぐには分かりません。わかり次 第お知らせします。
    なお、最近、プラズモニクス研究会なるものが立ち上がりました。そのURL は下記の通りです。ご参考にしてただければ幸いです。
    http://www.plasmon.jp/index.html
    ==================================================
    という返事をいただきました。
     なお、表面プラズモンを励起するには、プリズム/金属膜において、光はKretschmann配 置という配置にしなければなりません。
    =================================================================
    The Kretschmann Geometry については、
    http://aigproducts.com/surface_plasmon_ resonance/spr_kretschmann.htmに以下のように書かれています。
    表面プラズモンは金属表面に沿って伝搬する電荷疎密波である。通常、波数k=0において 光を表面プラズモンと結合するのはむずかしいがクレッチマン配置ではこのことが可能に なる。光はプリズムを通り抜け、ある入射角を以て金属薄膜に入射する。エバネセント光 が金属内に生じ、液体に浸漬された反対側の表面上に表面プラズモンを励起する。この状 態を「表面プラズモン共鳴」という。光が吸収され、表面プラズモンが生成される。プラ ズモンと結合するのは、TM偏光(電界が入射面内にある場合)のみである。表面プラズモ ン共鳴は、光の波動ベクトルの面内成分が表面プラズモンの波動ベクトルと整合する場合 に起きる。
    表面プラズモン共鳴を得るには、光の周波数を変化させるか、入射角を変化させるかして 波動ベクトルの整合をとらねばならない。どちらのやり方でも、ある点で共鳴現象が起き、 プリズムからの全反射光は劇的に低下する。共鳴の起きるところは、液体試料の屈折率に 敏感で、このため、屈折率を正確に決めるための優れた技術であるといわれている。
    =========================================================================-
    また、http://www.fys.sdu.dk/Fys72/html/F72proj6.htmlによれば、
    表面プラズモンと結合させる方法として、Otto配置とKretschmann-Raether配置があって、 Otto配置では、プリズムと金属膜の間に真空ギャップがおかれるので、表面プラズモンが プリズムによって乱されないと利点があるが、実験的に難しいので、Kretschmann- Raether配置がよく用いられる。反射の極小値(膜と光の結合の強さ)は、膜厚で決定され る。なぜなら、入射光・反射光の減衰の程度は、金属の膜厚、および、プリズム/金属、 金属/真空界面に生成された部分波の位相関係によって決まるからである。Ag薄膜の場合、 波長500nmにおいて、反射率の極小は膜厚が55nmのときに起きる。
    ==========================================================================
    となっていますので、あとは、ご自身でお調べ下さい。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 24 Dec 2003 09:12:30 +0900
    AA: 佐藤勝昭様

    お忙しいところご回答をいただきまして誠にありがとう ございました。
    このような掲示板にあることで、新しい情報を得ることが でき、助けられ、本当に感謝を申し上げます。

    ご回答していただいた情報をもとに、勉強してみたいと 思います。
    誠に有難うございました。
    -------------------------------------------------------------------
  • 302.

    有機物の光学定数


    Date: Thu, 25 Dec 2003 13:50:13 +0900
    Q: 東京農工大学工学部 佐藤勝昭先生

    No259で表面プラズモンについて質問させていただいた K社のAと申します。
    その節は、大変お世話になりました。 先生にご紹介頂いた書籍を元に、少しずつではありますが理論の勉強を進めております。
    (化学屋の頭には難解ですが・・・)

    さて、今回ご相談させて頂きたいのは、有機物の光学定数についてです。
    弊社で行っているスペクトルシミュレーションでは、「Handbook of optical constants in solids」 に記載されている光学定数を使用しています。
    しかし、この文献にはポリエチレンの光学定数しか記載されておらず、他の有機物を含む系を扱うことができません。

    有機物の光学定数を記載したハンドブックのようなものは存在するのでしょうか。
    お心当たりございましたら、御教示頂ければ幸いです。

    また、分光エリプソメトリー測定にて光学定数を求める事ができると聞いたことがあるのですが、 どの波長領域での値が求まるものなのでしょうか。求まった光学定数の信憑性はどの程度あるのでしょうか。

    以上、お忙しいところ恐縮ですが宜しくお願い致します。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 25 Dec 2003 21:29:21 +0900
    A: A様、佐藤勝昭です。
     私は、ポリマーについてのデータを持ち合わせていません。
    静岡大学電子工学研究所の山口十六夫教授がFLARE、HOSPなどのポリマーの光学定数を分 光エリプソでデータをとっておられますので、そちらにお尋ねになってはいかがでしょう か。山口先生のメールはrstyama@rie.shizuoka.ac.jpです。
    Kamil Postava and T. Yamaguchi, T. Nakano, Characterization of organic low- dielectric-constant materials using optical spectroscopy; Optics Express Vol. 9, No. 3 July 30, 2001 Page: 141 - 151
    フルテキストは
    http://www.opticsexpress.org/view_file.cfm?doc=%23%29%2CK%2E%0A&id=%24%28%2C%2B% 2FJ0%20%20%0A
    からダウンロードして下さい。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 26 Dec 2003 14:37:18 +0900
    A2: A社K様、佐藤勝昭です。
     有機高分子材料の非線形光学をやっておられる本学有機材料化学科の渡辺先生に伺った ところ、下記のようなお返事でした。
    ===========================================================-
    高分子の屈折率のデータですが、波長分散まで考慮して測定した
    ものはほとんどありません。

    データは以下の文献およびデータベースから、集めることができます。
    Polymer Handbook, John Wiely & Sons
    Polyinfo (Webベースの無料データベース、登録すれば誰でも使用できる

    高分子の屈折率は温度や、フィルムの作製条件によって変わる場合があります。
    (特に複屈折性が大きい試料)

    参考までに
    Polyinfoより
    PEO, PEG(同じ試料です)1.454 nD (結晶性の高分子なので、正確な測定は不可能)
    PVA 1.52 nD

    住友ベークライトのWebページより
    PES 1.65 nD

    PMMA 1.492 nD
    1.494 ne
    1.502 ng
    Abbe数 58.0
    PMMAだけは、波長分散がでています。
    nDとか、neが波長に対応しています。
      =============================================================-
  • 303.

    金属の吸収係数、反射率


    Date: Thu, 25 Dec 2003 22:33:18 +0900
    Q:T梶@Fです。
    先日(12/17)の
    先端技術普及セミナーではどうも有難うございました。 大変興味深い講演で誠に参考になりました。

    絵も拝見させて頂きました。セミナーでは「?級」と言われていたので、 どんなもんかと思っていましたが、しっかりプロ級で驚きました(凄いですね)。 また、度々ホームページにアクセスし拝見させて頂きます。

    ところで、先日質問させてもらった金属の反射についてもう少し教えてください。
    @先生のお話では、光の深さ(金属の必要厚み)は Io=Ij*e-αd より200Å位
      ということでしたが、もう少しはっきり教えてください。
       EX.計算式の意味やαの値。
       できればAg、Au、Cu、Ni、Pdについてご教授ください。
       またそれは、金属の状態によって(バルクやめっき等)どの程度影響を受けますか?

    A弊社のデーター(積分球での測定)では、金属の光沢があがると全反射率が上がる
    傾向にありますが、その場合、自由電子の挙動はどうなっていると考えれば良いのですか?
     先生の言われた測定機の問題もあるとは思いますが、お客様の実装評価でも光沢と
    反射率は比例関係にあり、どう考えればよいか悩んでいます(単に正反射と拡散反射の
    割合が変化するだけではないと思います)。
     それと、ムラ(光沢ムラ)と反射の関係についても意見をお聞かせください。

    Bセミナーで合金の場合、自由電子によらないとのことでしたが、合金の反射につい
    ても教えてください。
     ・金属中に何%以上異金属が入った場合、それに相当するのか?
     ・それはどういう原理による反射?なのか
     ・合金の種類によるのか? 
      EX.2相分離型、固溶体、金属間化合物、アモルファス等 

    大変、不躾な質問で申し訳ありませんがよろしくお願いします。
    それとWebにアップされる場合、匿名でお願いします。
    ----------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 26 Dec 2003 12:25:45 +0900
    F様、佐藤勝昭です。
    メールありがとうございました。
    下記のご質問にわかる範囲でお答えします。
    @計算式の意味、αの値
     物質の吸収の強さを表すパラメータとして吸収係数αが用いられます。これは、単位長 さあたりの吸収の程度を表す係数で単位はcm^-1です。
     吸収係数の考え方を説明しましょう。物質中の位置xにおける光の強度の減衰率-dI(x)/ dxは、その位置での光の強度I(x)に比例します。この比例係数がαです。すると、
    -dI(x)/dx=αI(x) (1)
    という微分方程式が成立します。式(1)を解くと、
     I(x)=A exp(-αx)
    となります。x=0における光の強度I(0)をIiとすると
     I(x)=Ii exp(-αx) (2)
    長さdの距離進んだ後の光の強度Ioとすると、
     Io=Ii exp(-αd)
    となります。これが、お示しした式です。
     次に、このαが光学定数n, κのうちの消光係数κとどのような関係にあるかを説明し ましょう。消光係数は、光の強度(パワー)Iではなく光の電界Eについて定義されています。
     x=0における電界をEi, 距離xにおける電界をE(x)とすると、
     E(x)=Ei exp(-κωx/c) (3)
    となります。
    パワーと電界の関係は
     I=(1/2ε)|E|2 (4)
    と与えられるので、
     I(x)=(Ei2/2ε)exp(-2κωx/c)=Ii exp(-2κωx/c) (5)
    式(2)と比較して、
     α=2κω/c=4πκν/c=4πκ/λ (6)
    が得られます。tableに波長と消光係数が載っていれば、吸収係数はすぐ計算できます。

    今、青色477nm(2.6eV)において
    Agのκ=2.726→α=4π×2.726/(477×10-7cm)=7.18×105cm-1
     従って、光強度1/eになる距離dはd0=1/α=1.39×10-6cm=139Å
    同様に
    Auでは、κ=1.72 → α=4.5×105cm-1 → d0=221Å
    Cuでは、κ=2.50 → α=6.58×105cm-1→ d0=152Å
    Niでは、κ=3.04 → α=8.00×105cm-1→ d0=125Å
    Pdは手元にデータがありません。

    金属のκの値は、Landolt-Boernsteinを見ても、著者によってかなり違った値が報告され ていますが、これは、試料の作製法によるちがいと思われます。おそらく、表面の状態 (汚染、酸化など)やモルフォロジー、金属組織の緻密さなどによっても変化すると思わ れます。バルク研磨面とスパッタ膜、めっき膜では、表面状態、モルフォロジーがすっか り違うので、何ともいえませんが、上の例にあるように、種々の金属中で477nmの光は100 -200Å進むと1/eとなりますから、裏面で反射されて戻ってきたら、裏面の反射率を100%、 表面の透過率100%としても、入射光の1/e2=1/7.38=0.135=13.5%しか戻ってきませんので、 作り方によらず200Å程度あれば十分と思います。

    A 光沢と自由電子状態
     光沢が高いということは、表面の粗さが光の波長に比べ十分平坦ということです。平均 粗さが50nm(RMS)程度なら、このような取り扱いが可能です。光沢が低い荒れた面という のは、結晶粒(グレイン)が発達して波長程度になり散乱が大きい場合です。
     たしかに反射率にはDrudeの式を通じて自由電子の密度や電子の散乱の緩和時間が影響 しますが、波長程度に発達した結晶粒の場合には、ほぼバルクと同程度のキャリア密度、 電子散乱確率であると考えられますので、これによる反射率のちがいは考えられません。  もし散漫反射率に差があるとしたら、荒れた面での酸化などを考えるべきではないかと 存じます。それは、反射スペクトルにちがいとなって反映するはずですので、特定の波長 の反射率だけでなく、波長依存性を測定されることをお勧めします。

    B 合金の反射率
     私は、合金の反射について系統的に調べた経験がないので、このご質問には十分お答え できません。金、銀、銅の反射にしても、色を決定しているのは、Drude項のみではなく、 バンド間遷移が始まることによりハイブリッドプラズマ周波数が変化することによってい ます。(詳細は、D.Pines: Elementary Excitation in Solidsをお読み下さい)
     金属間化合物、規則合金の場合は、母体金属のバンド構造が変化して、強い光学遷移の 起きる波長が変化することによって、(途中のプロセスは省略しますが・・)色が変化し ます。一方、スピノーダル分解が起きるような系では、それぞれの金属のバンド構造は保 たれ、もし、そのドメインが波長より小さければ、重み付き平均したような光学誘電率を 使って、反射スペクトルが説明できますし、グレインが波長より大きければ、それぞれの 金属での反射光が合成されたような色になります。また、縞状の相分離が起きると、回折 格子のようになって、複雑なirridescenceを示す場合があります。アモルファス合金は、 独特のバンド構造をもつので、金属間化合物のような扱いでよいと思います。
    ------------------------------------------------------------------------------
  • 304. 偏光板の劣化について


    Date: Mon, 5 Jan 2004 15:26:14 +0900
    Q: S社のSと申します。
    突然のメールで失礼します。HPを拝見させて頂きました。
    WEB上には、匿名でお願いします。

    偏光板をもちいて、センサーに応用してみたいと考えていますが、 偏光板には斑があったり、経時劣化があったりすると聞いた事があります。
    どのような斑であるのか、また、経時劣化で偏光板の能力がどのように 変わっていくのか、教えてください。
    また、劣化度合いのグラフ等、定量的な記載されている文献でも良いので ご教授頂けたら幸いです。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 6 Jan 2004 10:54:46 +0900
    A: S社S様、佐藤勝昭です。
     偏光板の劣化について、液晶ディスプレイの専門家である本学電気電子工学科の飯村靖 文助教授にお伺いしましたところ、偏光板はPVAにヨウ化物系の色素を混入して延伸して 作るのですが、PVAは吸湿性があり水分の混入があると、配向性が劣化して偏光性を悪く するのではないかということでした。
     また、私の個人的経験ですが、偏光板が剥離しているのを見たことがあります。液晶デ ィスプレイ用の偏光フィルムは、偏光板、移相板、輝度向上膜から構成されているので、 粘着性がわるいと剥離するようです。
     日東電工から出ている日東技報2000年2月号に
    「軽剥離粘着偏光板」についての論文がでておりますのでご参照されてはいかがでしょうか。
     劣化特性などの技術データは、各社独自に測定していると思いますが、表には出ていな いようです。サンリツなり日東電工なりの研究者に直接アクセスされてはいかがでしょうか。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 6 Jan 2004 13:14:06 +0900
    AA: ご多忙の中、ご丁寧な回答を戴き、ありがとうございました。
    メーカーに確認してみます。
    ----------------------------------------------------------------------------------
  • 305. アーンショウの定理


     鉄球の磁気浮上に関連して、それに対する見解を問うご質問が多く寄せられていますが、学術論文が発表される前に報道が先行しており、実験条件についての十分な情報がない段階ではお答えできません。ここではアーンショウの定理に関する質問にのみお答えしておきます。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 04 Jan 2004
    Q: 鉄球の磁気浮上の報道で有名になったアーンショウの定理とは何ですか。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 04 Jan 2004
    A: アーンショーの定理(Earnshaw's theorem)は、「固定した磁石と電荷のいかなる組み合わせによっても静的な浮上を達成できない」という理論です。(1842年)
    「重力、静電力、静磁力のようなinverse square lawに従う力では、divF=0となるので、dF/dx+dF/dy+dF/dz=0となり、復元力は互いに直交する3軸について同符号になることはあり得ない。従って、inverse square lawに対してlocal minimum はあり得ない。」というのが証明になっています。
    例外としては、反磁性体、超伝導体、回転するコマ(ハリガンのLevitronというおもちゃ)等があげられます。
    LevitronについてはYale大のJ. M. McBrideのわかりやすいOHPがWebで見られます。
    -----------------------------------------------------------------------------------------
  • 306. ニッケル亜鉛フェライトの飽和磁化


    Date: Tue, 6 Jan 2004 16:02:34 +0900
    Q: 質問内容:ニッケル亜鉛フェライトについて、ニッケルと亜鉛の比を亜鉛が増える方向へ変化させていくと飽和磁化は上昇していきますよね?しかし、ある程度までいくと極端に下がっていきますよね?この現象の理由を教えてください!!よろしくお願いします。TM (早稲田大学応用物理学科三年), 匿名でお願いします★なにせ、ものすごく基礎的な質問のような感じなので・・・
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 6 Jan 2004 20:39:52 +0900
    A: TM様、佐藤勝昭です。
     学部3年生には難しい内容です。匿名にしなければならないほどつまらない質問ではあ りませんよ。昔から、議論されている問題なのです。
    フェライトには、Aサイト(四面体配位)とBサイト(八面体配位)の2つのカチオンサイトが あることはご存じですね。
    亜鉛フェライトZnFe2O4においては、Zn2+がAサイト、Fe3+がBサイトを占める正スピネル構造をとります。BサイトのFe3+同士は反強磁性的に結合するので、全体として自発磁化をもちません。ネール温度は15Kです。
    NiFe2O4は、逆スピネルといって、AサイトにはFe3+が入り、Bサイトの半分をNi2+が占め、残りをFe3+が占めます。飽和磁化は0.38T、キュリー温度は585Kです。
    NiFe2O4の場合、BサイトのNi2+とFe3+は強磁性結合、AサイトのFe3+とBサイトのFe3+は反強磁性結合です。
    亜鉛フェライトをニッケルフェライトに固溶させた場合、Zn2+はAサイトを占めようとす るので、その分だけAサイトのFe3+イオンがBサイトに入り、飽和磁化が増加します。半分 入ったところで最大値をとります。さらにZnが増えるとキュリー温度が低下します。(Ni: Zn=0.75のときTc=725K, 0.5のとき550K, 0.75のとき375Kです。) これによっても室温での 飽和磁化が低下します。また、Zn:Niが1:1を超えると、A, B, Bが平行・半平行ではなく 互いに角度をなして配列するので、かなりやっかいな話になります。Zn100%では、上に述 べたように反強磁性になってしまいます。
     このあたりのことは、磁性体ハンドブック(朝倉書店、1975)のp.607-624あたりに出て いますので図書館でじっくり読んで下さい。
    ---------------------------------------------------------------------------------
  • 307. 光学フィルタ膜をコートした水晶板


    Date: Wed, 7 Jan 2004 15:33:31 +0900
    Q1: はじめまして佐藤勝昭先生。私は半導体メーカーでで製造工程を担当しているもので す。
    物性なんでもQ&Aを見て是非お力を貸願いたいと思いましてメールした次第です。 物理学的な知識に乏しいためわかり易くご回答いただければ幸いに思います。

    複屈折板(人工水晶)に光学フィルターとなる膜をコーティングし400nm 以下の光は99%以上遮光する仕様の部品を使用しておりますが。
    透過率測定試験をしていったところ、400nm以下の紫外光を鉛直方向で当てると前記 仕様通りの性能を示すのですが、入射角を傾けていくにつれ透過率が上昇し45° で最大値となります。参考までに入射エネルギーに対し約40%の透過率が得られ ました。偏光による現象だと思うのですが自分の力では具体に説明できません。

    この現象についての理論的な説明に力をお貸しいただけないでしょうか?

    よろしくお願いいたします。
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 7 Jan 2004 17:35:02 +0900
    A1: K様、佐藤勝昭です。
     その光学部品の具体的な仕様がわからないので明確にお答えできません。
    光学フィルター膜に偏光性のあるものを用いているのか、単なる干渉フィルターなのか、 それとも、400nmに吸収端のある膜(たとえばTiO2やSrTiO3)なのか,そのような情報をいた だきたいと存じます。斜めにすると光路長が伸びたことが影響する場合が多いですが、と きには、複屈折の量が変わる場合もあります。具体的なケースによって話が異なると存じ ます。
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 7 Jan 2004 18:18:01 +0900
    Q2:Kです。佐藤勝昭先生ご回答ありがとうございます。
    光学部品の具体的な仕様ですが、上面にIRカット用コート膜(赤外線カット) 、下面にARコート膜(低反射防止膜)が形成されているものです。
    尚、意図的に400nm以下の光を除去するために製造したものでは無く結果的にこの仕 様になってしまった部品です。IR、ARコート材質については現時点では確認しており ません。
    コート前の複屈折版は人工水晶のため400nm以下(〜200nm付近迄)の光は 約90%以上の透過率を有するものになります。

    以上の情報を追加いたします。宜しくお願いいたします。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 08 Jan 2004 00:11:38 +0900
    A2: K様、佐藤勝昭です。
     了解しました。IRカットフィルタは、添付図のように、バンドパスフィルタに なっております。これは、誘電体の多層膜を用い、干渉の効果である波長領域の み透過するように設計されています。帯域透過特性をもつことも、範囲外で不透 過になっているのも多層膜における多重反射干渉によるものです。従って、この 特性が出るのは垂直入射の場合のみで、入射角が45°になると光路長が増えるこ とによって多重反射干渉の条件が変化します。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 8 Jan 2004 10:25:35 +0900
    Q3: Kです。佐藤勝昭先生、ご回答ありがとうございます。概ね理解 する事が出来ました。自分なりに今回の現象を下記のようにまとめ て見ましたが光学的な知識にも乏しいせいか未だ完全に理解出来 ていないように思えます。
    大変あつかましく思うのですが垂直入射の場合と45°入射の場合 の光の干渉のごく簡単なモデル図なぞ提示していただければ 幸いです。あまりにお手数であれば再度文章にご説明いただければ と思います。

    1.垂直入射の場合
    多層膜の中で繰り返し反射が発生する。繰り返し反射しやすい 波長帯の400nm以下と700nm以上の光は繰り返し反射により 減衰し透過率が低下する。可視光域の光は多層膜内部で反射し にくいため透過する。

    2.入射角45°の場合
    光路長が増えることにより多重反射の効率が低下するため 設計波長領域外の光を透過する。

    3.不明な点
    入射角45°の場合に光路長が増える理由としては屈折率が 大きくなるからと考えてよいのでしょうか?

    以上よろしくお願いいたします。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 8 Jan 2004 21:40:22 +0900
    A3: K様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。返事が遅くなり申し訳ありません。
    再度のご質問を受けてもう一度考え直してみました。
     入射角が45°で、多層膜の屈折率を1.5と仮定しますと、スネルの法則により、膜中 の屈折角θは、sin(π/4)/sinθ=1.5よりsinθ=0.707/1.5=0.47なのでθ=28.1°となりま す。すると光路長はd/cosθ=1.14dとなります。すなわち、光は垂直入射に比べ14%程度長 い距離を進みます。しかしこの程度では、40%になるような大きな変化は望めませんね。

     やはり、最初にK様がご指摘のように、偏光が関係するかもしれません。屈折率を1. 52としたとき、入射角45°で入射するときのS偏光の反射率は17.7%であるのに対し、P偏 光の反射率は1.8%に過ぎません。つまり、膜内に入った屈折光は強くP偏光しているわけ です。おそらく、膜から出射するときも同様でしょうから、P偏光になって水晶板に入射 します。水晶は複屈折がありますから、P偏光とS偏光とでは反射率が異なります。こうし て、多重干渉の条件が変化して、非偏光では干渉条件が成立していたものが、P偏光にな ったため干渉条件が変わってしまったということは十分考えられます。

     具体的な屈折率や厚みをきちんと入れて、薄膜の多重干渉の計算をしてみる必要があり そうです。古い本ですが、藤原史郎編「光学薄膜」(共立出版1985)に干渉 のことや、斜め入射の偏光のことなどが載っておりますので、図書館で探され、ご自分で 計算されてはいかがでしょうか。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 9 Jan 2004 18:49:02 +0900
    AA: 先生、ご回答ありがとうございました。
    今回でいっそうクリアになりましたので、これ以降は自分で調べてみます。
    お手数かけました。又何かあればご質問させていただきます。
    --------------------------------------------------------------------------
  • 308. ゼロ次回折効率を上げるには


    Date: Wed, 7 Jan 2004 16:01:13 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    Web上で検索中、「物性なんでもQ&A」を偶然見つけました。楽しく拝見させていただ きました。F社のS(所属・氏名は匿名でお願い致します。)と申します。
    ご教授いただきたくメール致しました。
    小生は、磁気光学素子の製作から応用を職としております。素子の磁区を制御するた め、光学面に碁盤の目状に傷を付けたところ、回折に悩まされています。傷の形状、 深さを管理して、0次回折効率を向上させたいと希望します。そこで0次回折効率の 導き方をご教授ください。
    例えば、溝の幅をW、溝のピッチをd、溝の深さをDとし、x方向,y方向ともにM個 が二次元に配列しています。溝の形状は矩形で近似してください。さらに、波長λの レーザーを屈折率nの素子に、法線からθの方向から透過させます。ただし、ビーム の有効径を溝格子のエリアにマッチングさせます。簡単ではありますが、ポンチ絵を ご参照ください。
    フラウンホーファー回折扱いでかまいませんので、お知恵を拝借願います。

    > Date: Thu, 8 Jan 2004 18:44:16 +0900
    A: F社S様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございました。お返事が遅くなってすみません。
    ご質問の趣旨は理解しました。私は、回折については専門外なので、間違っているかもし れませんが、ちょっと調べてみた範囲のことでお答えします。
     x方向に一定間隔dで並んだ多数のスリットのフラウンホーファー回折像については、山 口一郎「応用光学」(オーム社1998)のp172-174に載っています。
    結果のみを示しますと、
    I(lx,ly)=(sin2(Mkdlx/2)/sin2(kdlx/2))Ie(lx, ly)
    ここにMはスリットの個数、k=ω/c=2π/λ、dはスリット間隔、lx, lyは規格化された観 測点の座標です。
    Ie(lx,ly)=|Ue(lx,ly)|2は要素スリットの回折像で、Ie=Io sinc2(kalx)sinc2(kbly) となっています。aはスリットの幅、bはスリットの長さです。ここにsinc(x)=sin(x)/xで す。
    全体の回折像Iに生じる鋭いピークの位置はlx=mλ/dで与えられ、ピークの幅は2λ/Mdと なります。mは整数で回折次数と呼ばれます。ly=0として、m次の回折強度は
    Im=Io(sin2(πMm)/sin2(πm))sinc2(2πma/d)=Iosinc2(2πma/d)
     =Io (sin(2πma/d)/(2πma/d))2
    となりますから、a/d=1/2にすれば、I1, I2,・・は0になるのではないかと思うのですが、 間違っているかもしれません。
    上記教科書や、それに挙げられている参考文献をご自分で調べてご覧になってはいかがで しょうか。
     なお、斜め入射の場合や、溝の深さを考慮するとどうなるかは、調べた範囲ではわかり ませんでした。
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 13 Jan 2004 09:32:02 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    敏速なご返事、ありがとうございました。
    ---------------------------------------------------------------------------------
  • 309. Feスパッタ膜


    Date: Thu, 08 Jan 2004 19:00:36 +0900
    佐藤 勝昭 様
    明けましておめでとうございます。
    昨年は、
    「物性なんでもQ&A」で貴重なご意見を頂き、大変お世話になりました。
    今回は、またお聞きしたい事があり、メールを送らせてもらいました。
    現在、スパッタ法を用いて単体元素(NiやFe)の磁性膜堆積を試みているのですが 、これについてお聞きしたいことがあります。
    (@)堆積させた磁性体は、XRDパターンにおいてピークがみられないことから、
      結晶でない(アモルファス)であると考えています。
       単体元素の磁性体(膜)は、アモルファスでも磁化されるのでしょうか?
    (A)私の狙いとしては、堆積させた磁性膜を結晶化させたいと考えているので
      すが、実際はアモルファス状態になります。現在、基板温度を室温(実際は、
      プラズマの影響により100〜200℃であると思われます)で磁性膜を堆積させ
      ているのですが、結晶化させるためにはやはり基板温度を上げなければなら
      ないのでしょうか?
     ご回答の程、宜しくお願いいたします。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 8 Jan 2004 20:50:38 +0900
    A:江原様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございました。
    (1)XRDで明確なピークにならないからといって、アモルファスと断言することはでき ません。粒径の非常に小さい「ナノ粒子」であれば、回折線は非常にブロードになること が知られています。
     通常はFe単体ではアモルファスにならないので、Fe-Si-Bなどの合金にしてアモルファ ス化させます。Si, Bなどはglass forming atomと呼ばれ、大きさの異なる元素を複数混 ぜることで結晶化を防ぎアモルファスにしています。微結晶ができておれば、当然磁化を 示します。
    (2) 上に述べたことが正しければ微結晶粒を成長させればよいわけで、成長中に基板 温度を上げるのではなく、堆積後アニール処理をすればよいのではないでしょうか。ただ、 ゆっくりアニールすると酸化膜になる心配があるので、ランプ加熱によるRTA(rapid thermal annealing)や、レーザアニールなどの短時間プロセスを考える必要があるかもし れません。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 14 Jan 2004 18:11:03 +0900
    AA: 佐藤勝昭 様
    先日質問メールを送らせて頂いた江原です。お礼の返事が遅れてしまい申し訳 ありません。

     丁寧なアドバイスをして頂き有難うございました。自分が誤解していた事がわ かり、大変勉強になりました。先生がおっしゃられた事を参考にして、更に研究 を進めていきたい思います。
     今後も質問をさせて頂く事があると思いますが、その時もまた宜しくお願い致 します。

     ご多忙の中、時間を割いて頂き、誠に有難うございました。
    --------------------------------------------------------------------------
  • 310. 無機砒素の定量分析

    Date: Fri, 9 Jan 2004 17:01:10 +0900
    佐藤様、こんにちは。

     突然のメール、失礼致します。
    私は味の素株式会社で、品質管理業務に携わっております 武藤と申します。よろしくお願い致します。

     さて、首題の件について佐藤様の知識をお借りしたく メール致しました。ご多忙の所、恐縮ではありますが、 よろしくご教授ください。。。

     詳細ですが、当社では食品の安全性確認の為、 『砒素含有量』の検査項目があります。
    食品中の砒素の定量の為、前処理で試料を硫・硝酸により 有機物分解した後、その希釈液を原子吸光計により分析、 定量しております。
     この分析法での『砒素含有量』は有機物分解を行なっている為、 全砒素(有機・無機全て)を現しています。

     先日、ある試料を検査依頼された際、「無機砒素の定量をしてほしい」 ということで、弊社では「塩酸分解法」による無機砒素の定量をしましたが、 以前、この「塩酸分解法では無機砒素は定量できない」というような話題を 耳にしました。

     無機砒素の定量方法について、文献の紹介など、参考になるお話を頂けると 大変ありがたく思います。

     どうぞ、重ね重ねよろしくお願い致します。。。
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    Date: Fri, 9 Jan 2004 18:40:15 +0900
    A: 武藤様、佐藤勝昭です。
     私は、化学分析の専門家ではないので、もと筑波の環境研におられ、現在、本学化学シ ステム工学科の細見教授に電話しましたところ、ふさわしい方を知っておられるというこ とでした。それで、恐れ入りますが、細見教授にメールをして頂けないでしょう か。メールアドレスは(hosomi@cc.tuat.ac.jp)です。よろしくお願いします。
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    Date: Tue, 13 Jan 2004 07:37:07 +0900
    AA: 佐藤様
    私は、味の素鰍フ武藤です。
     親切にありがとうございました。丁寧なご配慮に感謝しています。。。
     早速、紹介されました細見教授へ、メールを致します。

     このようなサイトは私の周りの方々にも是非とも 活用して頂きたいと思っていますので、佐藤様のご負担にも なると思いますが、どうぞよろしくお願い致します。。。
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  • 311. 標準電極電位


    Date: Tue, 13 Jan 2004 02:06:31 +0900
    Q: こんにちは.S大 Yです。
    早速質問なのですが,
    各金属、標準電極電位というものがありますが, 合金の標準電極はどのようになるのでしょうか?
    標準電極電位の高い金属と低い金属の 金属間化合物の場合、例えば1対1であればトータルで見れば 高くも低くもない合金となるのでしょうか?
    また、上の質問とほぼ同じ内容の質問となるのですが, ある合金に対し,第三元素としてベースの金属より標準電極電位の高い金属(例えば Cu等)を 添加した場合,その3元系合金の電位は貴の方へシフトするのでしょうか?

    よろしくおねがいします
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    Date: Tue, 13 Jan 2004 11:58:14 +0900
    A:S大H様、佐藤勝昭です。
     金属の標準電極電位は、化学便覧等に掲載されていますが、大部分が計算によって求め たものです。実際には、あの数字通りにはならないようです。合金や金属間化合物となる と、もっと複雑で、シンプルな話ではないと思います。
     本学の応用分子化学科の直井教授が電池の専門家なので、そちらにメールを転送してお きました。
    直井勝彦教授の話では、「それほど簡単な話ではない。合金の場合の一般論はなく、個々のケースについて調べないといけない。できる範囲で調べてみる」ということでした。
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  • 312. InGaAs薄膜のクロスハッチの観察


    Date: Mon, 12 Jan 2004 06:01:42 +0000
    Q: 私、千葉大学工学部4年、小菅 学と申します。
    質問がありましてメールさせていただきました。
    私どもの研究室ではInGaAs系薄膜をMBEで成長しております。
    臨界膜厚を超えて成長しているはずなのなのですが、 クロスハッチの確認がなかなかできておりません。
    InP(001)を基板としてInGaAs/InAlAs/MQWのような構造でも バルクのような単純な構造でもどちらでもクロスハッチの確認にいたっていません。
    なにか表面の欠陥を見えるようにするエッチャントか何かありましたら 教えていただきたくメールさせていただきました。
    宜しくお願いいたします。
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    Date: Tue, 13 Jan 2004 11:25:51 +0900
    A: 小菅様、佐藤勝昭です。
     どのような観測をしておられるのですか?クロスハッチはノマルスキー(微分干渉) 顕微鏡を用いれば、エッチングしなくても見えるはずです・・。 (本学応用分子化学科纐纈研寒川助手談)
     いずれにせよ、クロスハッチの基礎を勉強しておかれてはいかがでしょうか。
    たとえば
    S. Y. Shiryaev, F. Jensen, and J. W. Petersen, Appl. Phys. Lett. 64, 3305 (1994).
    R. Beanland, M. Aindow, T. B. Joyce, P. Kidd, M. Lourenco, and P. J. Goodhew, J. Crystal Growth 149, 1 (1995).
    を読んでおいて下さい。
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    佐藤勝昭様 小菅です。
    メールありがとうございました。
    メールのように微分干渉顕微鏡を用いてクロスハッチを確認しようとしているのですが、 なかなか確認にいたらずに恥ずかしながら質問のメールをしてしまった次第です。

    AFMなどの装置を用いなくてもクロスハッチの確認ができることがわかりましたので、 私の技術不足なのだと思います。研究としては「InGaAs系における、歪、緩和、 ミッスフィット転位」関係の研究をしています。
    参考文献まで教えていただきありがとうございました。
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  • 313. アゾベンゼンの光異性化現象


    Date: Sun, 18 Jan 2004 02:57:37 +0900
    Q:N大学大学院2年に所属するKと申します。(所属、名前は匿 名でお願いします)先程ネットサーフィンをしていたところこちらのHPにめぐり合え ることが出来、その情報量の多さに驚いています。そこで3つ程質問させていただき ます。
     質問1;私は現在光記録情報などに使用されるアゾ色素の光異性化について研究し ております。アゾベンゼンに紫外光を照射するとトランスからシスへ、可視光を照射 するとシスからトランス型へ異性化することが知られていますが、波長550nmの光を 照射しているにもかかわらずトランスからシスへの異性化が顕著に表れているようで す。理由を教えてください。(ちなみに波長550nmというのは吸収スペクトルのピー クが存在する波長帯です。)
     質問2;その光異性化前後のアゾ色素(薄膜)の誘電率と吸収スペクトルを測定し たところ吸収スペクトルは光照射とともにピークが減少し、誘電率も実数部、虚数部 とともに減少していきました。この2つの特性の変化についてどのような関係がある のでしょうか?(なお光照射によりアゾ色素は色素分解されて白くなっています。)
     質問3;さらに光を偏向板を通して照射し、それについてP偏向、s偏向かけて吸収 スペクトルの変化をそれぞれ測ったところp偏向かけたものは大きく吸収スペクトル が変化し、s偏向かけたものは非常に小さい変化にとどまりました。この現象につい て理由等を教えてください。
     以上3つ質問をさせていただきました。大変恐縮ですがなにとぞご教授の程お願い いたします。
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    Date: Wed, 21 Jan 2004 20:53:05 +0900
    A:N大学K様、佐藤勝昭です。
     メールありがとう。出張していて返事が遅くなり申し訳ありません。
    私は、有機化学の専門家ではないので、十分にお答えできません。それで、この方面の専 門家である本学の有機材料化学科の堀江教授(horiek@cc.tuat.ac.jp)にあなたのメールを転送しておきましたので、 来週には、教えて頂けると思います。
     私が答えられる範囲は、下記の通りです。
    (1)550nmでtrans->CISが起きるのは普通に考えるとおかしいことです。この点は、堀 江先生から答えて頂けると思います。
    (2)光照射とともに吸収が減少するのは、色素が分解されたのだから当然です。
    吸収スペクトル(誘電率の虚数部に対応)と誘電率の実数部のスペクトルはクラマースク ローニヒの関係で結ばれていて、虚数部のピーク位置と実数部の分散の中心が一致します。 実数部のpeak-to-peakの大きさはほぼ虚数部のpeak値に一致します。色素の分解で虚数部 のピークが小さくなったので、実数部の分散波形も小さくなったのです。
    (3)光吸収の異方性は、色素の構造と関係があります。この点も、堀江先生から答えて 頂けるでしょう。
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    堀江先生からの回答
    Date: Wed, 28 Jan 2004 15:23:47 +0900
    A2: K君、佐藤勝昭先生からご依頼がありましたので返事をします。

    1. アゾベンゼンは、2つのベンゼン環に置換基がついていない通常アゾベンゼンと言われているものは、トランス型が安定で360 nmあたりに吸収があり、シス型は440 nmあたりに吸収があります。
    しかし、パラの位置に置換基がつくと吸収はさまざまにシフトし、非線形光学材料として知られているアゾ色素と呼ばれている化合物類は電子供与基と電子吸引基がひとつずつ置換基として入って、550 nmあたりにトランス型の吸収があるものもあります。
    もうひとつ、トランス型からシス型へ光異性化したあとのトランス型への熱戻りの緩和時間も置換基の種類によって大きく変わり、非置換のアゾベンゼンが2週間であるのに対し、550 nmにトランス型の吸収があるアゾ色素類はシス型は不安定で瞬時に熱戻りするものもあります。

    2. は、佐藤先生の解答のとおりです。薄い膜では、レーザーを当てると、レーザーや光の強度によっては酸化あるいは分解反応することはよくあります。

    3. p偏光・s偏光という以上は、レーザー光をフィルムに対し斜めから当てて、それぞれ面外配向・面内配向している分子を励起しているのだと思います。
    光を吸収するのは、光の電場ベクトルの方向と分子の吸収の遷移双極子モーメントの方向が一致したときに起こる現象ですから、p偏光とs偏光で反応性が違うということは、アゾ色素の配向の様子が面外方向と面内方向で異方性があることを意味しています。

    なお、アゾベンゼンの異性化やアゾ色素に関する参考書をあげておきます。
    図書館で見てください。
    1. 堀江一之, 牛木秀治著「光機能分子の科学」講談社 (1992)
    2. 笹部雀之編「有機フォトニクス」アグネ承風社(1995)

    とりえあえず、ご返事まで。
    堀江 一之 E-mail: horiek@cc.tuat.ac.jp
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  • 314. 水の非線形屈折率


    Date: Sun, 18 Jan 2004 13:24:38 +0900
    Q: 私、早稲田大学理工学部応用物理学科4年理工総合研究センター所属の川口と申しま す。私の現在の卒業研究としてパルスラジオリシスをやっているのですが、そのプ ローブ光として白色光を用いています。私たちの研究室では水にNd;YLFレーザーを集 光して白色光を生成しています。
    白色光生成の原理は論文などで調べた結果だいたい わかってきました。しかし、ある論文で自己集束力が起きるレーザーパワーの閾値を 与える式があったのですが、その中で非線形屈折率n2が含まれていました。そこで水 の非線形屈折率をweb上で探したのですが、どこにも無いようです。これ自体測定す るか計算しなければならないのでしょうか?なにぶん専門が違う(専門は放射線です) もので資料もどのようなものからとっていいのか誰もわかりません。私自身興味を 持った問題なのでぜひ教えていただければ幸いです。
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    Date: Wed, 21 Jan 2004 21:20:03 +0900
    A: 川口君、佐藤勝昭です。
     出張のため、返事が遅くなりました。
    レーザ物理や非線形光学がご専門の物理システム工学科の三沢和彦助教授に伺いましたと ころ、下記の返事をいただきました。参考にして下さい。
    ==================================================================
    高強度のレーザーを透明物質に集光して、白色光を生成した最初の論文は
    R. R. Alfano and S. L. Shapiro, Phys. Rev. Lett. 24, 584 (1970)
    です。ただし、これにはn2の値は直接載っていません。

    下記のサイトには水の非線形屈折率としてn2〜1 X 10-13 esuという値が載っています。 これは水以外にも白色光生成に使われる透明液体の典型的な数値と考えてよいでしょう。 ちなみにシリカファイバーのn2も 同程度です。このesuという単位はなじみがないかもし れませんが、1 X 10-13 esu〜3X10-16 cm2/Wぐらいです。
    http://www.uah.edu/LSEG/past1.htm
    =====================================================================
    参考になれば幸いです。
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  • 315. ポリ塩化アルミニウム


    Date: Mon, 19 Jan 2004 13:52:52 +0900
    Q: ポリ塩化アルミニュウムの性質についてお聞きしたいのですが? 毒性とか洗浄・中 和等についてもお願いします。まさひろ
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    Date: Wed, 21 Jan 2004 13:00:52 +0900
    A: まさひろ様、佐藤勝昭です。
     私は、化学の専門家ではないので、別のサイトでお尋ね下さい。
    なお、Aluminium polychloride[Al2(OH)n Cl6-n.xH2O]mの簡単な性質については、
    http://www.znminmet.com/Al_Polychloride.htmlのサイトを参照して下さい。
    アルミニウムはアルツハイマー病に関係するといわれていますが、
    http://www.grippa.org/html/cd10_english.htmというサイト によれば、下記のように、飲料水の不純物の凝固のためにAlminium polychlorideを用い ることはダメだと書いてあります。
    NO:to the use of aluminium polychloride for accelerating the coagulation of impurities in drinking water production with water purified by inverse osmosis.
    住友化学ではSumixという商品名でAluminium polychlorideを販売していますので、そち らにお問い合わせになってはいかがでしょうか。

    なお、このなんでもQ&Aは、原則として、所属、氏名の明確でないご質問にはお答えしないこと になっています。匿名希望のときはその旨書いて下さい。
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  • 316. 太陽電池におけるジュール発熱


    Date: Tue, 20 Jan 2004 10:31:52 +0900
    Q: M高専専攻科二年のOです。匿名でお願いします。
    前回のお返事ありがとうございました。大変勉強になりました。
    太陽電池のジュール熱による発熱は無視できる値だと考えますが、実際に計算で正確にジュール熱による温度上昇率を求めるにはどのような式が用いられますか?温度上昇の要因には幅射熱が大体をしめますがジュール熱による温度上昇はどのくらいでしょうか?
    お忙しいところすいません。
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    Date: Wed, 21 Jan 2004 02:37:52 +0900
    A: O君、佐藤勝昭です。
     太陽電池では、p側に+、n側に−が生じます。光発電した電流がpn接合を逆方向に 流れるときには直列抵抗損失が生じます。直列抵抗Rsは0.5Ω以下(濱川他編太陽エネル ギー工学p27)です。この本の図2.11によれば、Rs=0のときの太陽電池の変換効率を12.2 %とすると、Rs=1Ωのときの変換効率は11.5%になります。即ち、太陽光のエネルギーの約 0.7%がジュール熱として発生したことになります。単純には太陽光のエネルギーのうち 電気に変換されなかった分が輻射による加熱となったとしますと、変換効率11.5%なら、 太陽光の88.5%が輻射熱と言えます。一方、直列抵抗による加熱は太陽光のエネルギーの 0.7%ですから、輻射熱による加熱の0.7/88.5×100%=0.79%程度であると言えましょう。
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  • 317. 酸化ゲルマニウム中のエルビウムの発光機構


    Date: Tue, 20 Jan 2004 22:10:40 +0900
    Q:佐藤勝昭 先生
    ホームページを見てメールをしています。私は某大学、電子工学科、修士1年のSK です。修士に与えられたテーマが酸化ゲルマニウムに希土類Erをドープした場合の発 光特性ですが、シリコン中にエルビウムをドープした文献はたくさんあるんですが、 当然ながら物性的な特性が酸化ゲルマニウムの場合と違うため、いろいろと苦戦して います。去年卒業した、先輩が酸化ゲルマニウムの方が、シリコンよりも適した母材 であり、発光強度が上がると立証したのですが、いくつか納得いかない点がありま す。測定方法はカソードルミネッセンスによって、エルビウムの不完全内核4f電子 において反転分布を形成して1.5μmで発光させています。先輩は、考察の部分で、酸 化ゲルマニウムの伝導帯から価電子帯に電子がオージェー再結合することによって、 エルビウムにエネルギーが移動し、反転分布を形成し強く発光したとゆう結論になっ ているんですが、そもそもスパッタで作成した絶縁物のアモルファス上の酸化ゲルマ ニウムにバンド理論は適用できるのでしょうか?また、修士論文のアイデアとして は、発光層の周りに誘電体多層膜を作成して微小共振器をスパッタで作成しようかと 思うのですが、半導体レーザーなどに使用されている共振器(ファブリーペロー形共 振器など)の理論は適用できるのでしょうか?
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    Date: Wed, 21 Jan 2004 01:45:36 +0900
    A: SK様、佐藤勝昭です。
     私は、酸化ゲルマニウムを研究したことがありません。従って、十分なアドバイスが できるかどうかわかりませんが、私の考えたことをコメントします。
     「そもそもスパッタで作成した絶縁物のアモルファス上の酸化ゲルマニウムにバンド 理論は適用できるのでしょうか?」というご質問ですが、
     もし、酸化ゲルマニウムのナノ粒子ができていたとすると、量子サイズ効果によっ て、量子井戸準位が可視光領域にあって、何らかの共鳴減少によってエルビウムにエネ ルギー伝達が起きて、強く発光することは十分考えられます。
     つぎに、「発光層の周りに誘電体多層膜を作成して微小共振器をスパッタで作成しよ うかと思うのですが、半導体レーザーなどに使用されている共振器(ファブリーペロー 形共振器など)の理論は適用できるのでしょうか?」というご質問ですが、可能である と思います。農工大の越田信義先生は、ポーラスシリコンを用いて、ファブリペロー共 振器を作っています。T. Nakagawa, H. Sugiyama and N. Koshida:"Fabrication of Periodic Si Nanostructure by Controlled Anodization",Jpn. J. Appl. Phys. 37 (Part 1, No. 12B) (1998) 7186-7189をご参照下さい。
     酸化ゲルマニウムについては、慶応大学の中嶋敦先生のサイト
    (http://sepia.chem.keio.ac.jp/Nakalab/mirai.html)によれば、「純粋なゲルマニウム クラスターのバンドギャップは、赤外領域の光のエネルギーであり、ナノサイズによっ ても可視発光しないことがわかった。一方、酸化ゲルマニウムクラスターでは、特に原 子数比1:1のクラスターで、そのバンドギャップが可視光のエネルギーであることを 見い出した。そこで、酸化ゲルマニウムクラスターを気相中で生成させ、これをシリコ ン基板上に蒸着して325 nm光励起の発光スペクトルを測定したところ、400-600nmの領 域に可視発光を観測することに成功した。」とあります。
    また、立命館大学の小島一男先生は、Er添加GeO2ガラスをアップコンバージョン発光に用いておられます。 "Up-Conversion Fluorescence and Electron Spin Resonance in Er3+-Doped GeO2 Heated Gel Prepared via a Sol Gel Process" J. Mater. Sci. Lett., 14, 813, 1995 を publishしておられます。参考にされては如何でしょうか。
     なお、修士の研究は基本的にはあなたの指導教員と相談すべきもので、指導教員をさ ておいて、他大学の教員にアドバイスを求めるのは、ルール違反です。指導教員とよく 話し合われるようお勧めします。
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  • 318. 光の散乱と吸収


    Date: Wed, 21 Jan 2004 20:37:38 +0900
    Q1: 東京農工大 佐藤勝昭教授様
    はじめまして。
    T社(化学系メーカーです)の内田と申します。
    先生のHPを拝見してその内容の豊富さ、素晴らしさに感嘆しました。
    そこで不躾ではありますが、質問させてください。

    光の散乱について、
    1.光の波長や散乱体の大きさなどで散乱の様子(強度や方向性)が
      違うのはどのように理解すればよいのでしょうか?例えばレイリー
      散乱とミー散乱は”散乱”という意味では同じと思うのですが、
      この2種類のの散乱は、散乱体の大きさ、波長に対してどのように
      繋がっていくのでしょうか?任意の大きさの散乱体、任意の波長の
      光に対する散乱を表したものは何かありますでしょうか?
      また、レイリー散乱では波長の4乗に反比例して強度が増すと
      いうことですが、X線のように波長が短いのに物質(例えば人体)
      を透過してしまう電磁波もあり、どのように理解したらよいか
      悩んでおります。

    2.入射光の波長が散乱体に比べて大きいと散乱されずに透過してしまう
      ということも良く理解できないのですが、どう理解すればよいの
      でしょうか?(1.と関連すると思いますが。。。)

    3.光の吸収と散乱はどちらが優先しますでしょうか?光の吸収は
      光の振動数と物質の固有振動数(例えば電子や原子間振動の振動数)
      が等しいときに起きる(E=hν)ことは知っているつもりですが、
      このようなときは散乱は生じずに吸収が優先して生じると理解して
      よろしいでしょうか(吸収したあと、熱となって失活したりする)?

    光のことをもっとよく勉強しなくては行けないのは重々承知しておりますが、
    お時間のあるときで構いませんのでご回答頂ければ幸いです。

    (HP掲載時には、社名は匿名でお願いします。。。)
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    Date: Wed, 21 Jan 2004 21:33:35 +0900
    A1: 内田様、佐藤勝昭です。
    1.ミー散乱 は、波長と同程度の散乱体を含む媒質を光が進む場合に起きる散乱で、レ イリー散乱は散乱体の寸法が波長の1/10以下である場合です。いずれも、入射光と散乱光 のエネルギーが変わらないで進行方向だけがかわる弾性散乱です。これらの場合は、媒体 による吸収のプロセスを考えないので、純粋に散乱体の誘電率を使ってマクスウェルの方 程式で記述できるはずです。
    X線の場合は、エネルギーが高く、X線のエネルギーに対しては物質の誘電率はほとんど1 (少しだけ1より小さい)なのでほとんど散乱を受けません。また、電子殻(K殻とかL殻) のエネルギーと共鳴しない限り吸収はおきず透過します。
    2.水の上の波を考えても同じです。波長の大きな波が来たとき、小さな杭があっても、 それによる散乱は、杭のすぐそばだけで、少し離れると波は何もなかったように進みます ね。あれと同じことです。電磁波でも微小散乱体のすぐそばには、電気双極子によるロー カルな乱れ(近接場)が存在しますが、遠隔波はほとんど影響を受けません。
    3.吸収と散乱は同時に起きます。金属や半導体の粒子を分散した系では、どちらも観測 されます。また、フォノンなどの吸収があるとラマン散乱のようにエネルギーを保存しな い非弾性散乱が付け加わります。
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    Date: Thu, 22 Jan 2004 12:55:04 +0900
    Q2: 佐藤先生
    丁寧なご回答、どうも有り難うございました。

    1.の後半部分は、比誘電率は入射光の波長に依存していてX線のような短い波長 の光の時はεが1に近いこと、またそのため電子分極がほとんど起きないため 散乱されずに透過するということでよろしいでしょうか?

    2.は、お陰様で、もやもやしていた疑問が晴れました。

    3.は、吸収も散乱も分けて考えては行けないと言うことですね。それと、 吸収が起きるかどうかは振動子強度から確率的に求められますでしょうか?
    それが求められるとして、その確率から洩れたフォトンが散乱を起こす、と 考えてもよろしいでしょうか(結果的に吸収と散乱が同時に観測される)?

    再度の質問で申し訳ありません。またお時間のあるときにでもご回答頂ければ と思いますので、宜しくお願い致します。
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    Date: Thu, 22 Jan 2004 21:01:51 +0900
    A2: 内田様、佐藤勝昭です。
    1.お考えの通りです。
    3.吸収は遷移確率に対応する振動子強度fiとエネルギー分母[1/(ω2 -ωi2)]とから 決まります。fiはi番目の電気双極子遷移の振動子強度、ωは光の角振動数、ωiはi番目 の遷移の角振動数です。ω=ωiのとき共鳴的に物質は光を吸収します。
    吸収するといっても、表面で周波数ωのフォトンが全て吸収されるわけではありません。 吸収によってできた電気双極子はレイリー散乱やミー散乱などの弾性散乱に寄与します。
    共鳴しない角周波数の光でも量子力学的にはvirtualな遷移が起きて電気双極子を生じ、 弾性散乱に寄与します。
    もっと周波数の低い励起ωpを起こしたとすると、その分のエネルギーに相当する分だけ 異なる周波数ω±ωpの散乱光が生じることがあります。これがラマン散乱です。負号の 場合がStokes Raman, 正号のときがAnti-Stokes Ramanといいます。
    共鳴した場合でも、励起エネルギーωpを失っただけで、出てくる場合があり、これ を共鳴ラマン散乱といいます。これは、フォトルミネセンスと見間違いやすいので要注意 です。
     このようにミクロに見ると、散乱も吸収も電気双極子を通じて起きるので、一体のもの として、電磁気と組み合わせて考えるべきでしょう。しかし、マクロな現象まで量子力学 で扱うと大変なので、弾性散乱は電磁気学で、吸収や非弾性散乱は量子力学で考えるとい う棲み分けをしているわけです。
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    Date: Fri, 23 Jan 2004 12:48:00 +0900
    Q3: 佐藤先生
    丁寧なご回答どうも有り難うございます。

    3.で、光を吸収することで弾性散乱の要因ともなり得るとの理由で 吸収も散乱も同時に観測されることがあるとのこと、何となく理解で きたように思います。

    そのあとの、”virtualな遷移”ですが、これは、実際に遷移(=吸収) が起きているわけではないけど、起きたと考えれば、その現象が説明 つく、ということなのか、あるいはバンド準位間のエネルギー差より 小さい振動数の光であっても瞬間的な吸収がある(不純物準位とか そういう準位があるわけでなく)、ということでしょうか? (量子力学的、ということですから、何か物理的に意味のある過程で、 前者よりも後者に近いかもしれませんが。。。)

    ラマン散乱の説明で、仮想的に光励起(吸収)があって、その励起が 緩和するとき、ωpだけ±された光がラマン散乱光だという説明を他で も読んだことがあります(ωp=0のときがレイリー散乱)。

    私も学生時代に量子化学を通じて量子力学を多少は学びましたが、光の 吸収はエネルギー準位間の差に等しい光のみが吸収され、それ以外は 吸収されないと学びました。 もちろんvirtual=仮想的であることは存じておりますし、量子化学でも virtual orbital(HF法で計算された結果得られる空軌道(伝導帯)) というものがありますので、”virtualな遷移”も、電磁波の散乱過程 を量子力学的に計算すると出てくるもので、物理的に意味合いはないけど その表式が光学遷移と同じ表式のためそのように呼ばれているのかなぁと 思ったりもするのですが、どうなのでしょうか?(きっとそうではない と思いますが...)
    共鳴ラマン散乱とフォトルミネセンスに関する注意事項、どうもありがとう ございました。
    かつて、無機蛍光材料の開発に携わったこともありましたので、こういう こともあるんだなと思いました。
    (実際に励起波長付近に発光が観測された経験はありません−通常の蛍光 光度計では検出されないかも知れませんが−)
    また何度も質問をしてしまって申し訳ありません。
    お時間のあるときで結構ですので、ご回答頂けたらと思います。
    宜しくお願い致します。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 23 Jan 2004 19:12:04 +0900
    A3: 内田様、佐藤勝昭です。
     virtualな遷移についてご説明します。
    ちょっと回りくどくなりますが、我慢してつきあってください。
    ガラスは無色透明ですよね。無色透明ということは可視域のすべての波長の光を 吸収しないことを意味します。即ち、可視光によっては基底状態から励起状態に 遷移することがないのです。
     それでは、ガラスと光の間には全く何の相互作用もないのでしょうか?そんな ことはありません。ご存じのとおりガラスに入った光は屈折します。屈折するの は、光速が空気中より小さくなるためです。屈折率nは、光の速度が光速cからど れくらい減速しているかを示す尺度です。ガラス中の光の速度はc/nです。な ぜ、光はガラス中で遅くなるのでしょうか。光はガラス中では純粋の電磁波では なく、物質中の電子分極の波を引きずって進むのです。電子分極の起きやすさを 表すのが誘電率です。(誘電率にイオン分極も関与しますが、ここでは簡単のた め電子分極に話を限ります。)
     電子分極を量子力学的に考えてみましょう。電子分極が起きるとは、もともと 一致していた負の電荷の中心と正の電荷の中心の位置がずれることを意味しま す。すなわち、電子雲の形状(電子の波動関数)が歪むのです。どんな形状の関数 も、正規直交系の関数のセットによってフーリエ級数展開できますから、歪んだ 波動関数φをもとの対称的な波動関数ψ0+励起状態の波動関数に係数をかけたも のciψiの総和で表すことができます。すなわちφ=ψ0 + Σciψi。この係数ciは、振動子強度fiとエネルギー分母で表されるのです。ci=fi/(ω2i2)
    ここにfi∽|<ψ0|qr|ψi>|2/ωのように、遷移行列の二乗によって表されます。言い換えれば、光の電界による摂動によって、基底状態ψ0に励起状態ψiが 「virtualに」混じって、波動関数が歪むことによって電気双極子、従って、電子分極が生じているのです。
     すなわち、共鳴吸収は起きなくても、光の摂動で基底状態にバーチャルに励起 状態が混じり物質に電子分極が生じ屈折率が1ではなくなり、光の速度が落ちる のです。
    私の慶応義塾大学での大学院講義の
    パワーポイントファイルを参考にして下さい。
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    Date: Sat, 24 Jan 2004 01:03:11 +0900
    Q3: 佐藤先生
    T社の内田です。
    (自宅からお返事させて頂いております)
    早速のご回答本当にどうも有り難うございます。
    ご説明も、全く回りくどいものではありませんでした。

    電磁波と媒質の相互作用を摂動的に取り扱ったときのシュレディンガー の波動方程式を解いていくと、摂動波動関数には無摂動時の励起状態 が混じってくることが、先生の講義ノートを見て何となく理解できま した(そういう気になりました)。

    この混ざってくることを、「virtualな遷移がある」と表現されたと いうことでよろしいでしょうか?(混ざってくると言うことは、励起 状態にも電子がしみ出すことを意味しますから”遷移”という言葉が 使える?)

    この意味では、昨日私が読んだと書いたラマン散乱の説明に関しては 私の理解が必ずしも正しいものではなかったように思います。

    先生のお陰で光の散乱についていろんな事が少しずつ見えてきたよう に思います。
    私の拙問におつきあい頂き、本当にどうも有り難うございました。
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    Date: 16:11 04/01/25 +0900
    A3: U様、佐藤勝昭です。
    >この混ざってくることを、「virtualな遷移がある」と表現されたと
    >いうことでよろしいでしょうか?(混ざってくると言うことは、励起
    >状態にも電子がしみ出すことを意味しますから”遷移”という言葉が
    >使える?)

    そのようにお考え頂いて結構です。摂動があると、基底状態に部分的に励起状態が 混成することですから、逆に励起状態にも基底状態が混成します。このことを遷移とい っています。
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     なお、「realな遷移ではエネルギーの散逸を伴うが、virtualな遷移ではエネル ギーの散逸は伴わず分極のみが形成され屈折現象にのみ寄与する」ということを電気工学 の言葉で説明しましょう。
    電力密度WはW=J*Eであらわされます(*は共役複素数)。電流密度Jには伝導電流と 分極電流とがあります。誘電体では伝導電流を考える必要がないので、分極電流(変位 電流)だけが寄与しますが、分極電流密度はJ=∂P/∂tで表されます。
     いま、E,Pともにexp(-iωt)で振動しているとしましょう。すると、∂P/∂tよ り、J=-iωPとなりますから、電力密度W=J*Eは-iωP*Eとなります。
     ここで、電気感受率をχとしましょう。すると、P=ε0χEと書けます。virtual な遷移ではχは実数部のみですが、realな遷移があるとχは虚数部を持ちます(=χ'+iχ")。も しχが実数部のみなら、PとEがin phaseとなり、電力密度は虚数となってエネルギー 散逸を伴いません。電気工学ではこれを無効電力と呼びます。
     一方、もし、realな遷移があるとχが虚数部をもち、分極Pと電界Eはout of phaseとなり、電力密度はJ*E=-iωP*E=-iωε0(χ'+iχ")|E|^2=-iωε0χ'|E|^2+ωε0χ"|E|^2と表され、実数の電力密度が生じ、エネルギー散逸を起こします。
     要するに、分極が電界の変化について来るかぎり吸収はおきません。共鳴が起きる と、分極が電界についていけなくなり、損失すなわち吸収が起きるのです。
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    Date: Mon, 26 Jan 2004 19:07:01 +0900
    Q4: 佐藤先生

    「realな遷移、virtualな遷移」の解説どうもありがとうございました。

    本質的なことは電気工学をちゃんと勉強しないと理解できない のだと思いますが、電気感受率χが複素数となるとき、実の電力 密度Wを生じることが即ち吸収(散逸)であること言うことは( このときの虚数部は電力密度Wの位相の変化に対応?)、別の見 方をすれば、χ=1+εの関係から誘電率が複素数となり、その ことにより複素屈折率Nの虚数部である消光係数が有限の値を持つ ことになるので、ここからもrealな遷移ではエネルギーの減衰 (散逸、吸収)を表現していると理解できるのではないかと思 います。(但しこれも教科書の表面的な理解ですので、本質は もっと複雑なのだと思います)

    ここで1つ教えて頂きたいのですが(何度も質問してしまって 済みません。おそらくこれが最後の質問になると思います)、 電気感受率や誘電率に虚数項が存在すること(即ちエネルギー 吸収があること)と、共鳴吸収とはどのようにつながると理解 すればよいのでしょうか?
    共鳴吸収はバンド間遷移に対応しますが、消光係数の存在は、 その振動数の光に対して、バンド間遷移の存在を示すと考えて よろしいのでしょうか?

    エネルギーの減衰は状態間の遷移だけではなく熱として減衰す ることもありますので、必ずしもバンド間遷移だけではないと 思いますが、いかがでしょうか?

    しつこく質問してしまって申し訳ありません。もう少しだけ私 の拙問にお付き合いください。お返事もお時間のあるときで結 構ですので、宜しくお願い致します。
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    Date: Mon, 26 Jan 2004 20:02:59 +0900
    A4: 内田様、佐藤勝昭です。
     複素数の感受率についての理解は、内田様の理解でよいと思います。 ご質問の虚数項と吸収の関係ですが、
    もし散逸を考えないと遷移がω=ωiに存在すれば、誘電率は実部のみで ε'=1+(Nq2/mε0)Σfi/(ωi22)
    と書けます。この形はω=ωiで発散します。
    これをKramers-Kronig変換すると虚数部が次のように求まります。
    ε"=(Nq2/mε0)Σfi(π/ω)[δ(ω-ωi)+δ(ω+ωi)]
    つまり吸収スペクトルはδ関数になります。
    ω-->ω+iγに置き換え、γ-->0とするとδ関数を置き換えることができます。
    すなわち複素誘電率は
     ε=1+lim(γ→0) (Nq2/mε0)Σfi/{ωi2-(ω+iγ)2}
    ここでγを有限の値にとどめると、εの発散は抑えられ、虚数部ε"(吸収)スペクトルは ベル型(γは半値幅を与えます)、実数部ε'(誘電)スペクトルは分散型になります。
     γは、状態iのlifetimeτの逆数を表しています。バンドを形成すると、各準位の lifetimeは無限大ではなくなり、吸収スペクトルはδ関数でなくベル型の重ね合わせにな り、共鳴吸収はあるエネルギー幅をもちます。γが0でない(τが無限大でない)というこ とはi準位に励起されてもτ=1/γの時間で基底状態に戻るということを意味します。光を 連続的に当てていると、ある速度で励起されながら、ある速度で緩和していて、バランス しているのです。基底準位に戻るときそのエネルギー差を光として放出するとき発光現象 がおきます。もし、何らかの理由で光らないで戻るときを非輻射遷移(最近は非発光遷移 ということが多いようで)とよびます。そのとき、エネルギーは格子に伝達されて熱に変 わります。それがご質問の「状態間の遷移だけではなく熱として減衰することもあります ので、必ずしもバンド間遷移だけではないと思いますが、いかがでしょうか?」への回答 です。熱になる場合も、遷移はきちんと起きているのです。
     光と物質の相互作用をミクロに考えるには、いろんな知識が必要になります。ご興味が おありでしたら、いくつかの書物を芋蔓式に読んでいくほかないと思います。
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    Date: Mon, 26 Jan 2004 20:46:05 +0900
    AA:佐藤先生

    早速のお返事どうも有り難うございました。
    先生のご回答で、消光係数にも状態間の遷移がしっかり入っている ことが分かりました(クラマースクローニッヒ変換の導出などは 理解していませんが。。。)

    前のメールでも書いたかと思いますが、先生のお陰で光の散乱や 吸収のことが少しずつ見えてきましたように思います。
    今後少しずつでも時間を見つけて光の散乱や吸収について勉強を したいと思います。
    もし良ければ参考書など教えて頂ければ幸いです。

    これまで、私の拙問に長々とお付き合い頂き誠に有り難うござい ました。
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    Date: Thu, 08 Apr 2004 09:04:16 +0900
    Q5:東京農工大学 教授
    佐藤勝昭 様
    おはようございます。
    T社の内田と申します。

    今年の1月に、標記タイトルでいろいろと質問させて頂きました。 そのときの先生のご回答中、「吸収と散乱は同時に起きます。金属や 半導体の粒子を分散した系では、どちらも観測されます。」という コメントがあります(下記、項目3の回答です)

    これは、粒径などにも依存する話だと思いますが、この話について 参考となる文献(論文でも単行本でもいいです)を教えて頂けない でしょうか?

    宜しくお願い致します。

    先生からいろいろ教えて頂いて以来、少しずつですが光について 勉強しております。多少理解が深まってきているようにも感じますが、 まだまだです。今後とも少しずつでも理解できるようにしていきたい と思っております。
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    Date: Fri, 16 Apr 2004 15:56:26 +0900
    A6:内田様、佐藤勝昭です。
    東工大の阿部先生にお伺いしたところ、次の本が最適であると推奨されました。
    U. Kreibig and M. Vollmer: Optical Properties of Metal Clusters (Springer, 1995) かなりがっちりと書いてあるので読み応えのある本だと言うことです。
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  • 319. 二次非線形分極率と2光子吸収との関係


    Date: Thu, 29 Jan 2004 17:35:31 +0900
    Q: 佐藤先生
    化学会社のMです。ご無沙汰しておりますがお元気でしょうか。ひさしぶりに物性なんでもQ&Aに 質問させていただきます。
    最近、光導波路材料の調査をはじめました。
    目下、ある有機ポリマーにレーザー光を照射した時、2光子吸収が起こり やすいのかどうかの判定はどうやるかを問題にしております。これは二次 の非線形分極率βによって可能なのでしょうか。βは第二高調波の発生を 規定するものとのことですが、第二高調波は分子がまず2光子吸収し、そ れが”落ちるとき”に発生するのではないかと思いますので、βが大きい ものほど2光子吸収が起こりやすい、と言えるのではないかと思うのですが。
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    Date: Thu, 29 Jan 2004 18:38:53 +0900
    M様、佐藤勝昭です。
     第2高調波発生は、リアルプロセスとして2光子吸収が起きなくても、バーチャルに遷 移すれば発生します。たとえば、KTPに1060nmのレーザ光を入れて530nmのSHGが発生しま すが、530nmに吸収があるわけではありません。(もし吸収があると、せっかくできたSH 光が吸収されて出てこられなくなります。)
     一方、2光子吸収は、リアルプロセスですから、入射光の振動数をωoとするとω=2ωo に吸収がなければなりません。
    Y.R. Shenの有名な"The Principles of Nonlinear Optics"の12章によれば、 2光子吸収係数γは、3次の非線形感受率χ(3)の虚数部に比例すると書かれています。 一方、第2高調波発生の変換効率は同書の7章にあるようにχ(2)に比例します。
    従って、β〜χ(2)を使って2光子吸収の効率を判断できないと存じます。
    (レーザ光学の専門家である学科の同僚のT教授にも伺って確認しました。)
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 3 Feb 2004 13:03:58 +0900
    AA: 佐藤先生
    ご回答ありがとうございました。なるほど3次の非線形感受率がポイントだったのですか。
    また、「遷移」と言ってもリアルプロセスとバーチャルプロセスとに区別しなければならない ことも新鮮な知見です。おかげで今後勉強すべきことのポイントが分かりした。
    -------------------------------------------------------------------------
  • 320. 紫外線340nmのLED


    Date: Fri, 30 Jan 2004 09:19:16 +0900
    T大学S研究室 山本 茂 です。
    最近は340nm帯のUV-LEDが研究されていますが高効率で取り出し実用化するには至っ ていないと本でみたりいたします。どうして実用化されていないのでしょうか?
    あと自分はCL法について勉強しているのですが、加速電圧を上げると深度方向の分析 に向いているというのは分かるのですが、必ずしも上げていったからといってピーク の位置が規則性がないようなのでもし理由がおわかりでありましたら教えていただけ ると幸いです。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 30 Jan 2004 13:21:45 +0900
    山本様、佐藤勝昭です。
     なんでもQ&Aへのご質問をお受けしました。
    (1)340nmの高出力LEDですか?GaNだけではLEDを作れないのでヘテロ接合にしなければ なりません。さらに効率を上げるには、発光層をバンドギャップの高いGaAlNではさんだ GaAlN/GaN/GaAlNのDH(ダブルヘテロ)構造にしなければなりませんが、GaAlNの研究の歴史 が浅いため、膜質の改善が十分されていないのではないでしょうか。また、マーケットが 十分に見通せないので、会社も熱心に実用化研究をしていないということもあるのではな いでしょうか。
     その辺の事情は、S先生がむしろお詳しいのではないかと思いますので、直接聞かれ てはいかがでしょう。それとも、ゼミでの課題として与えられたのですか?

    (2)CLで加速電圧を上げたときに深さ方向に電子ビームが侵入して深いところからの発 光が見られるようになるというのが普通に起きることですが、絶縁性の高い試料に強い電 子ビームをあてると、帯電して測定が難しくなると聞いたことがあります。そのあたりを 注意されてはいかがでしょうか。
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    Date: Sun, 01 Feb 2004 15:33:29 +0900
    AA:ご返答有り難うございました。参考にさしていただけます。S先生なのですが春ご ろに過労のため入院され10月ごろ復帰されたのですが、なかなか学校で教えるという のには至っていないようで静養しながら学校には少し顔をだされているようです。私 自身本や先輩、先生に質問したりするのですがうまく答えてもらえず理解するのが大 変であったので佐藤先生のような方が質問に答えていただけるということで私自身大 変光栄です。これからも何かありましたらよろしくお願いいたします。
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    Date: Sun, 01 Feb 2004 17:52:42 +0900
    AAA:山本様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございました。S先生が体調を悪くされたということを存 じませんでした。事情がわかりました。状況が状況ですから、どうぞ、遠慮なく 何なりとご質問下さい。私のお答えできる範囲でお答えします。S先生には、どうか ご無理をなさらないで、お体をお大事にされますようお伝え下さい。
    ---------------------------------------------------------------------------
  • 321. ZnOのフォトルミネッセンス


    Date: Sun, 1 Feb 2004 13:50:03 +0900
    佐藤先生、こんにちは。S大学修士学生Hと申します。
    かなり以前に一度メールにて、質問をさせていただきました。
    私は、修士のテーマがかわり、フォトルミネッセンス測定をすることになりました。 材料はZnOバルク焼結体について行なっています。
    現在フォトルミネッセンス測定の詳しい解析が出来ずに困っています。
    バンド端近くに、ZnO不純物無添加試料では酸素空孔によるものと思われる、ブロー ドの発光を確認しています。Al2O3添加(3,5,10wt%)で、ブロードのスペクトル、空孔による発光が無添加試料より もかなり大きく出ました。
    Alが亜鉛位置を置換して、ドナー準位を形成、酸素空孔は、深いドナー準位を形成 していると言われていますが、キャリア(電子)の増大、このキャリアが光励起によって遷移し、発光に関与するので しょうか。発光強度が大きくなる理由が良くわからないでいます。

    また、束縛励起子はフォノンを放出する過程フォノンレプリカをもつのでしょうか。(測定温度77K)

    酸化亜鉛の場合、ドナー準位に束縛された励起子発光をとらえていると私は考えているのですが考察に苦しんでいる状況です。
    幾分、参考になるものが少なく、もし良い参考書があれば教えていただきたいと思います。
    よろしく御願いします。
    名前と大学名はふせておいてください。
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    Date: Sun, 01 Feb 2004 20:47:04 +0900
    A: H君、佐藤勝昭です。
     ZnOの発光についてのお尋ねですが、発光のメカニズムは必ずしも明らかに なっていないようです。
    Y.G. Wang et al., J.Cryst. Growth 259 (2003)335-342によると、MBEで成膜したZnO薄膜の発光は、NBE(near band-edge emission)発光 (3.3eV付近)と、DLE(deep level emission)のブロード発光(1.8eV, 2.3-2.4eV) からなります。
    NBEは自由励起子発光、DLEは欠陥に関連した発光にアサインされ ています。NBEは900℃1時間半のアニールによってエンハンスされ,さらにアニー ルを続けるとNBE発光が弱くなるということが書かれています。DLEのオレンジ発 光(1.85eV)はアニールによって減少するが、緑色発光(2.3-2.4eV)はアニールで エンハンスすると言うことです。この緑色発光帯のメカニズムが酸素空孔による か亜鉛空孔によるか、あるいは、両空孔が関与するかについては論争があり、決 着が付いていないようです。この論文では、アニールによって発光が強くなる理 由について、非発光中心の密度が減少したことによると述べています。

     あなたの試料は、バルク焼結体なので、MBE薄膜に比べ、欠陥が多いものと考 えられます。あなたのおっしゃる「バンド端近くの酸素空孔によるものと思われ るブロードの発光」のエネルギー位置はどのあたりですか。「酸素空孔による」 ということは、上の論文のNBE発光ではなくDLE発光なのでしょうか。
     あなたの試料では、Al2O3を添加することによるキャリア密度の増大が発光の 増大の原因ではないかと考えておられるようですが、フォトルミネセンス(PL)に おいては、自由キャリアの励起が発光に結びつくことはありません。もし、Zn空 孔が非発光再結合に関与しているならば、AlがZnを置換することによって、非発 光再結合が減少して、よく光るようになったと考えられませんか。
     次に、束縛励起子発光ですが、どのエネルギー位置にでる発光を指しているの ですか。束縛励起子発光は線幅が狭いのでフォノンレプリカが明確に分離して見 えると思います。(77Kでは、ややブロードになると思いますが・・)
     いずれにせよ、データをお見せ頂かないと、判断のしようがありません。スペ クトルのデータをjpgファイルなどの電子ファイルでお送り下さい。
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    Date: Tue, 3 Feb 2004 20:30:11 +0900
    Q2: 夜分すいません、S大学 H です。
    丁寧なご指導ありがとう御座いました。 大変参考になりました。

    おっしゃるとおり、空孔による深い準位による発光をとらえたものであると おもいます。
    前日、先生のHPを拝見いたしました。やはり、自分のデータについては、 指導教官との話し合うべきものと私自身も思いました。
    お恥ずかしい次第です。

    しかし疑問は尽きないもので、勉強不足を露呈するものですが 再度、質問を2,3さて頂きたいと思います。
     空孔はどのような発光過程を持つのでしょうか、
    例えば酸素空孔であれば、酸素が抜けドナーの振る舞いをしていることが予測できま す が、深い準位を形成すると、この準位に励起子が束縛されて、発光が起こるのでしょ うか。

     バンド端の発光についてですが、先生から頂いた論文では、室温での測定でした が、 なぜ、自由励起子は室温でも存在できるのでしょうか。自由励起子は、並進による運 動エネルギー を持つと言われていますが、そのために、室温でも存在できるのでしょうか。

     最後に、PLスペクトルにおいて測定温度が低温から高温に変化するにつれて、 スペクトルが低エネルギー側にシフトしますが、その理由がよく分かりません。

    お忙しいところ申し訳御座いません、 ご指導よろしく御願い致します。
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    Date: Tue, 3 Feb 2004 23:06:51 +0900
    A2: S大学H様
    (1)空孔はどのような発光過程を持つのでしょうか。
    あなたが観測したブロードな発光は励起子発光ではありません。DLEはDAP(donaor- acceptor pair)発光ではないかと存じます。この場合、Znを置換したAlドナーに捉えら れた電子とZn空孔のアクセプタに捕まったホールの間の発光遷移が考えられます。ある いは酸素空孔(ドナー)に捕まった電子と、亜鉛空孔(アクセプタ)に捉えられたホールの 再結合かもしれません。DAP発光であれば、PLスペクトルの励起強度依存性をとると、発 光ピークの高エネルギーシフト(blue shift)が起きます。いっぽう、時間分解スペクト ルをとると、励起終了後時間とともに発光ピークは低エネルギーへシフトします。

    (2)自由励起子は室温でも存在できるのでしょうか。
    ZnOの励起子束縛エネルギーは60meVもあります。室温のkT=25meVなので、室温でも電子 とホールの束縛は解けず、自由励起子は解離しないのです。大きな束縛エネルギーは大 きな有効質量と小さな比誘電率のせいです。

    (3)測定温度が低温から高温に変化するにつれてスペクトルが低エネルギー側にシフトしますが、その理由がよく分かりません。
    一般に、半導体のバンドギャップは温度を上昇すると小さくなります。従って、半導体 の発光も、バンド間発光も、励起子発光も、バンドー束縛準位間発光も、DAP発光も、バ ンドギャップが小さくなれば、低エネルギー側にシフトします。

    参考書としては、
    佐藤勝昭編「応用物性」(オーム社, 1991)
    励起子吸収 p.114
    半導体の発光 p.124
    山田・佐藤他著「機能材料のための量子工学」(講談社, 1995)
    ドナーアクセプタ対発光 p.182
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    Date: Sun, 22 Feb 2004 21:14:07 +0900
    Q3:S大学 Hといいます。

    (図をクリックすると拡大します)
    酸化亜鉛のバンド端近くのスペクトルの解析についての質問です。
    JPEGにてスペクトル結果を送らせて頂きました。
    私は、DAP(ドナーアクセプター対)発光であると考えているのですが、 右から二番目の大きなピークの解釈が出来ずにこまっています。
    もし、DAPであれば、アクセプターとなる不純物をドーピングしていなければ、起こ らないのでしょうか。
    フォノン線と考えられるピークがあることからDAP発光考えました。
    無添加のZnO焼結体です。(24時間1000℃で焼成したものをZnによって熱処理したも >のです。)
    自分での解釈を試みましたが、理解に苦しんでいます。
    何度も先生にご質問をさせていただき恐縮ですが、よろしく御願いします。

    Date: Mon, 23 Feb 2004 23:39:16 +0900
    A3: H様、佐藤勝昭です。
     添付の図を見ました。
    まず、フォノンレプリカのアサインメントについて考察しました。
    ZnOのフォノンのエネルギーは
     N. Ashkenov et al.: JAP 93 (2003) 126 
    に出ています。
    それによれば、LO phononのエネルギーは、E1 590cm-1(=73meV), A1 574cm-1(71meV) となっています。あなたは、3.318eVをDAPと見ましたが、私は、自由励起子FEを3.391eV として、3.318eVをFE-1LO, 3.241eVをFE-2LO, 3.169eVをFE-3LOと見るのが自然でしょ う。そうすると、3.366eVのピークはFEから25meVの差であり、浅いドナーに束縛された 束縛励起子D0Xと見てよいでしょう。
    古い論文ですが、ZnO結晶のPLについては、
    S. Miyamoto: JJAP 17 (1978) 1129
    を参照して下さい。
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    Date: Tue, 24 Feb 2004 11:27:38 +0900
    A3':H様、佐藤勝昭です。
     S.Miyamoto: JJAP 17 (1978) [6] 1129-1130
    のFig.1を添付します。

    (図をクリックすると拡大します)
    この論文は、私がNHK基礎研に勤めていた時代の物性研究部の先輩である宮本重弘氏が測定 したものです。ZnOは、亜鉛を酸素中で焼成して作製したと書かれていますから単結晶では ありません。超高圧水銀灯で励起、Corning 7-54 filterで発光波長付近を選択、3/4mの Czerny-Turner型分光器とtrialkali陰極のフォトマルを使い測定しています。
     論文によれば、1.5Kでは束縛励起子線I(369nm=3.36eV)とそのLOフォノンレプリカ(I-LO, I-2LO・・)が支配的であると書かれています。[束縛励起子線Iについては、D.C. Reynolds et al.: Phys. REv. 140 (1965) A1726 を調べて下さい。]
    また、374.6nm(3.31eV)と383nm(3.23eV)にはそれぞれEx-1LO、Ex-2LOのフォノンレプリカも同時に見えてい ると書かれています。Ex-1LO発光線の強度は温度を上げると弱くなり(77Kのグラフに× 9と書かれているのはもとのグラフを9倍して示してあるということです)、Ex-2LOの相 対強度が上がってくると書かれています。フォノンレプリカに関する限り、H様の図は、 宮本氏のデータの120Kのグラフに似ていますね。(ただし、束縛励起子線IはH様のデ ータの方が顕著です。この論文ではI線は温度とともに急速に減衰すると書かれています) 。参考になれば幸いです。
    -----------------------------------------------------------------------
  • 322. 導体の誘電率


    Date: Sun, 01 Feb 2004 11:23:57 +0900
    佐藤研究室のみなさまへ

       電磁気の教科書の最初に書いてある事で素朴な疑問がありまして、色々調べ、Webの質問コーナーにアップしたところ、このHPを紹介されましたので、「最後のすがり」のつもりで質問させて下さい。
     紹介が遅れましたが、私は、神奈川県相模原市に住むBambooという者で(HPにアップする場合、ペンネーム:Bambooを希望します)、A社に勤めています。学生時代は、電気を専攻していましたので、当時は電磁気も勉強したハズですが、その時にはなんら疑問にも感じず通り過ごしましたが、とある事で電磁気をやり直すといきなりつまずきました。

     お聞きしたいことは、導体の誘電率にどうして真空の誘電率ε0が使えるか?ってことです。
     電磁気の教科書には、先ず、「静磁界の電界」が出てきまして、真空の電界は、E=Q/4πε0r2...と書いてある。これは、納得するとして、教科書のページが進んで、導体球内の電界...となった場合も、全く同じε0が使われているのが納得できません。もう電磁気の教科書を何十冊も見ましたが、全て何の説明もなく、すんなりと導体の誘電率をε0として解説に入っています。真空と導体の誘電率って全く同じなのでしょうか? 「誘電体の電界」に進むとεなの比誘電率εsか何かがでてきて「真空とは違う」事を表現しだしてくる。
     真空と導体...電気を通す、通さないでは天と地の差があるのに「誘電率が同じ」とは...。
    どうか私の勘違いをご説明下さい。
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    Date: Sun, 01 Feb 2004 23:27:32 +0900
    Bamboo様、佐藤勝昭です。
    誘電率を表すのに、SI単位系では、物質の誘電率εは、真空の誘電率をε0と単位 として比誘電率εrをかけたものを用いています。ε=εrε0(cgsでは、物質の誘電 率はεr、真空の誘電率は1です。)
     あなたの問題にしておられるのは「導体球内の電界」ですが、ここでいう「導 体球」は「導体で囲まれた中空の球」のことです。中空の球内の電界ですから、 当然真空の誘電率を使うことができます。「導体がぎっしり詰まった球」なら ば、当然、球内に電界は存在せず、球の表面に電荷が存在し、その電荷から面に 垂直な電界が存在するのみです。
     一例として東工大のHPにある
    電磁気学演習のpdfを添付します。問題1では、 明確に「同心球」と言っていますが、問題2では単に「半径aの導体球」と書か れているので、一瞬、むくの導体かと思ってしまいます。しかし、次を読むと 「中心よりbなる位置に点電荷を置いたとき」と書かれていますが、むくの導体 の内部に点電荷を置くことは不可能です。当然「中空の球」だと気付くはずで す。さらに読み進むと「導体内面の最大電荷密度」という言葉が出てきます。こ れで、導体は薄皮だけであったことがわかるはずです。
     問題を出す人は、導体内部に(直流の)電界が存在しないことは自明なので、ま さかあなたのような誤解をする人がいるとは、考えなかったのでしょう。
     なお、ωが0でないときは、金属には自由電子プラズマによるDrudeの法則が成 り立つので、(バンド間遷移を考えないと)
     ε=ε00ωp2/ω(ω+i/τ) (SI);
     εr=1-ωp2/ω(ω+i/τ) (cgs)
    と表されます。ここにωpはプラズマ周波数、τは電子の散乱緩和時間です。
    従って、導体の"中の"誘電率は、直流では(ω→0として)εr→-∞となります。一 方、高周波(光を含む)では、誘電率は有限の値をもちます。ここでも決してε0 (cgsでは1)ではありません。
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    Date: Tue, 03 Feb 2004 00:04:49 +0900
    A: 佐藤勝昭さま
    誘電率の愚問をさせていただきましたBambooです。明快な解説で一気に氷解しました。 ありがとうございました。「私の勘違いをご説明してください」と書いておいたこと だけが救いでしょうか(^^)
    このような勘違いであろうとは想像していましたが、こんな回答を大学の大先生に 解説していただいて感謝やら恥ずかしいやらの気持ちでいっぱいです。
    > あなたの問題にしておられるのは「導体球内の電界」ですが、ここでいう「導
    > 体球」は「導体で囲まれた中空の球」のことです。中空の球内の電界ですから、
    > 当然真空の誘電率を使うことができます。「導体がぎっしり詰まった球」なら
    > ば、当然、球内に電界は存在せず、球の表面に電荷が存在し、その電荷から面に
    > 垂直な電界が存在するのみです。
    >  問題を出す人は、導体内部に(直流の)電界が存在しないことは自明なので、ま
    > さかあなたのような誤解をする人がいるとは、考えなかったのでしょう。

    ここまで書いていただきますと、さすがに恥ずかしいですが、強力な説得、解説で あるのは間違いありません。
    電磁気の教科書を今一度読み返してみると、同軸円筒導体の静電容量を求め る問題など、「パイプ」の絵が書いてあるのでそのパイプの肉厚部分が導体と解釈し、 その肉厚部の電解がE=λ/2πε0r .....とあるので、おかしいな〜となっていたわけ ですが、これは、「薄い肉厚のパイプの中に中実の円筒導体がある」、あるいは「薄 い肉厚のパイプが同心で二重に配置されている」と解釈し、その間の真空中の電界 がE=...と解釈しなければならないのでしょうね。佐藤さんに解説されたそうとれる ようになりましたが、挿し絵と解説からでは今でもそう見えないのですがね〜(^^)

    いずれにせよ数週間悩み続けた疑問は、お恥ずかしい誤解、勘違いであることが分 かりました。
    学生に説明するときに「こんなとんでもない解釈をする奴がいるので注意するよう に」と言ってもらえると私も光栄です(^^)。
    ありがとうございました。感謝しております。
    ----------------------------------------------------------
  • 323. 薄膜における干渉と膜厚


    Date: Tue, 3 Feb 2004 19:54:05 +0900
    Q1:東京農工大 佐藤勝昭教授様
    始めまして。K大学修士1年のMと申します。
    Webで公開されれる場合は匿名(大学名、学科、氏名)を希望します。
    質問のファイルを添付しましたのでどうぞよろしくお願いいたします。
    図のように、斜め入射させた時の各境界面からの波長λの反射光が同位相で強めあうように干渉する時の、薄膜の膜厚l1、l2を知りたく、以下のように求めたのですが、入射角が、大きくなるとl1の値が虚数となってしまうというおかしな現象が起きてしまいます。どこが間違っているのかどうしても分からないのでご指摘お願いいたします。 各層の屈折率が、n0=1.5、n1=1.0、n2=1.5と与えられている時、 ブルースター条件により、入射角θ0は、
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    Date: Wed, 4 Feb 2004 00:06:24 +0900
    M様、佐藤勝昭です。
     添付文書の図にしたがえば第0層、第1層、第2層の屈折率はn0=1.5, n2=1.5, n1=1.0 となり、第0層と第1層の間は反射が起きません。
    n1,l1, n2,l2は逆なのでしょうか。その場合は、図(a)のように上から[n0=1.5]/[n2=1.0]/[n1=1.5] と積層されていることとなりますが、あなたの描かれた図は入射角>屈折角となっていますが、これは違っていて、入射角<屈 折角となるはずです。
    このとき、θ0を大きくし、図(b)のように
    θ0>sin-1(n2/n0)=sin-1(1/1.5)=41.8°
    となるとθ2=90°以上となり全反射がおきます。すると、光は進まず、その伝搬ベクトルは虚数となります。
    これは、いわゆるエバネセント波の状態です。ここに無理やりブラッグ条件を当て はめると虚数の膜厚が必要になるのです。
     なお、なぜいきなり、ブリュースター条件がでるのかわかりません。これだと、θoは 固定されてしまうので、入射角が大きくなると・・という話と矛盾します。
     もうすこし、整理して質問して下さい。
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    Date: Wed, 4 Feb 2004 14:58:12 +0900
    早速のお返事どうも有り難うございました。
    ブリュースター条件を用いた理由は、導波路においてガラスと空気の層で、T EモードとTMモードを分波することが出来るか、確認する準備段階として、導 波路を多層膜に近似し、ガラスと空気の周期構造を用いp偏光とs偏光を分離で きるか確認したかったからです。
    また、入射角を変化させてみたのは、層の屈折率が与えられた事により決まるブ リュースター角が、きれいな角度ではなかったので、実際作成した時、理論値か らずれる事が考えられ、その時、どの程度なら理論値からずれても許容範囲であ るのかを調べてみたかったからです。
    また、図に関しては間違っていました。先生のおっしゃられた通りです。
    お忙しい中、時間を割いていただきありがとうございました。
    -------------------------------------------------------------------
  • 324. 酸化しない金属


    Date: Wed, 4 Feb 2004 18:39:55 +0900
    東京農工大学
    佐藤 勝昭 教授殿

    はじめまして。私はN(株)総合研究所勤務の Sと申します。

    先生のHPは昨年から拝見させて頂きまして、 私が受け持っている分野とは違う事でも、 分かり易いお答えだなぁ〜と、大変楽しく 拝見させて頂いてます。

    不躾ではありますが、ご質問させてください。 都合のよい質問になるかもしれませんが、 アドバイスを頂ければ幸いです。

    質問:酸化雰囲気中で高温状態(600℃〜700℃ぐらい)の中でも
    酸化されない金属はあるのでしょうか?
    ただし、貴金属を除いての話ですが・・・。
    合金なら可能だとしたら、どんな材料があるのでしょうか?

    材料に関しては全く知見がないので、ご質問させて頂きました。
    お忙しいと思いますが、回答の方頂けないでしょうか?
    以上、宜しくお願い致します。

    P.S.Webへのアップの際は、申し訳ないですが匿名にてお願いします。
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    Date: Wed, 4 Feb 2004 21:46:29 +0900
    N社S様、佐藤勝昭です。
     金属が酸化されやすいかどうかを見るには、生成熱heat of formationΔHfを評価すれ ばよいのです。ΔHfは、25℃において、元素の安定な形態から1モルの化合物(今の場合 は酸化物)が形成されるに要するエンタルピー変化に等しいとされます。金属の酸化の生 成熱は負で、exothermal(発熱反応)であることがわかります。つまり、酸化して熱を出す (燃える)のです。マイナスが大きいほど酸化しやすいのです。
    一覧表にしますと、
    金属酸化物生成熱
    (kJ/mol)
    AgAg2O-30.6
    PdPdO-85
    HgHgO-90.7
    CuCuO-155.2
    CoCoO-239.3
    PbPbO-276.6
    SnSnO-286.2
    ZnZnO-348.0
    MnMnO-384.9
    BaBaO-558.1
    MgMgO-601.8
    CaCaO-635.5
    FeFe2O3-822.2
    CrCr2O3-1128.4
    AlAl2O3-1669.8
    となり、Cuが比較的酸化しにくいことがわかりますが、いずれにせよ、室温の生成熱は負 ですから、高温で酸化しない金属はないということになります。合金でも変わることはな いと存じます。このようなわけで、Ptなどの貴金属がつかわれます。PtOは触媒に使われ る酸化物ですが、電気化学的な方法を使うと酸化されますが、直接の酸化は難しいようで す。
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    Date: Thu, 5 Feb 2004 17:15:52 +0900
    AA: 佐藤勝昭教授殿

    早速のご回答ありがとうございました。
    やはり、そんな都合の良い金属は存在しないですよね・・・。
    Pt等の貴金属であれば可能ですが、他の材料で無いのかなと 思いまして質問をさせて頂きました。
    また違った方向性で検討してみたいと思います。
    ありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 325. 表面プラズモンとエバネッセント波の結合


    Date: Wed, 4 Feb 2004 19:59:00 +0900
    Q: 佐藤先生
    O大学、研究員のNといいます。(匿名でお願いします)
    表面プラズモン共鳴について質問があります。
    全反射によって発生する電界と金属表面の自由電子のカップリング がどのようにして起こるのかが分からず、困っています。
    全反射によって発生している電界(エバネッセント波)は金属表面 においては金属と垂直に発生している思っています。
    一方、金属表面に発生する表面プラズモン(電子の疎密)は、 金属と平行の方向に発生します。
    この考えが正しいとすると、電界の方向と自由電子の運動方向が 90°ずれていることになって、どうしてカップリングが起こるのかが なかなかイメージで理解できません。
    金属表面から少し離れればエバネッセント波に金属表面と 平行な成分が存在するので、その電界が自由電子とカップリング しているのかとも考えたのですが、正しいかどうか分かりませんでした。
    根本的に間違っている部分があるかもしれませんが、 前からずっと気になっていたことですので、お教えいただけると非常に助かります。
    以上、ご多忙の中大変申し訳ありませんが、何卒よろしくお願い致します。
    ----------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 05 Feb 2004 01:29:58 +0900
    A: O大学Nさん、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。
    N様がどのようなセッティングについて述べておられるのかよくわかりませんが、 かりに、添付のクレッチマン配置であるとします。
    http://aigproducts.com/surface_plasmon_ resonance/spr_kretschmann.htm によれば 全反射によって発生している電界(エバネッセント波)がプラズモンと結合するのは、 TM偏光(電界が入射面、すなわち、入射光と反射光を含む面内にある場合:p偏光)のみ です。斜めに入射していますから、電界には表面に垂直な成分と平行な成分とがありま す。光の伝搬方向も、表面に平行な成分を持ちます。表面プラズモン共鳴は、光の波動 ベクトルの面内成分が表面プラズモン(電荷の粗密波)の波動ベクトルと整合する場合 に起きます。
    S. Kawata ed., Near-field optics and surface plasmon polaritons, Springer, 2001 を読んで勉強して下さい。
    ---------------------------------------------------------------------
  • 326. クロムの降伏応力


    Date: Fri, 6 Feb 2004 15:52:59 +0900
    Q: Y大学M2のKと申します。
    不躾ではありますが、ご質問させてください。
    クロムの降伏応力などの物性値を調べても見つかりません。
    教えて下さい。
    又、酸化クロム膜となった状態での物性値も知りたいのですが、 お忙しいと思いますが、回答の方頂けないでしょうか?
    以上、宜しくお願い致します。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 6 Feb 2004 17:25:20 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
    ESPI Metalという会社のHPに
    クロムのことが詳しく掲載されたpdfがアップされています。
    その中にあります。
    (クロムの)機械的性質:
    引っ張り特性 (再結晶化、スエージ処理、アーク鋳造された電解クロム):
    温度(℃)引っ張り力(MPa)比例限界伸び(%)面積減少率(%)体積弾性係数(MPa)
    2083--00248
    200234--00--
    300154(a)11.734290
    35019710568168
    400225(b)1325189227
    500 ----3075--
    600242694281200
    700203--3385--
    800180974792255
    注:水素雰囲気1200℃にて再結晶化。テストのひずみ増大率0.017 m/m per min.
    注 (a) 降伏応力 131 MPa. (b) 降伏応力 140 MPa.
    と書いてあります。
    酸化クロム自身は、一種のセラミクスなので、硬いけれど脆く、引っ張り試験などは行わ れていないのではないかと思います。また、クロム表面に酸化クロムができた状態での引 っ張り試験については、膜厚や形成条件に依存するので原著論文などを地道に調べるしかないでしょう。
    -------------------------------------------------------------------------
  • 327. 磁気光学効果の測定法について

    MHR> Date: Tue, 10 Feb 2004 00:41:00 +0900
    Q: はじめまして。突然のメール失礼致します。
    群馬大学の米山と申します。
    インターネットで検索をかけていて、偶然に佐藤様のページを拝見し、参考にさ せて頂いております。
    付きましては、お時間があればご質問に回答をお願いしたいのですけれども、佐 藤様のホームページにおきまして、
    第5章 磁気光学効果の測定法とその解析
    こちらなんですけれども。
    本文中に図等の説明があるのですけれども、図の方は掲載しておらず、どちらの 参考書を引用なされたのかをお聞きしたくメール致しました。また佐藤様がお書 きになっていましたら、書名等お教え頂けたら幸いです。

    お忙しい中とは存じますが、もしお時間ありましたらご返信宜しくお願い致しま す。では失礼致します。
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    Date: Tue, 10 Feb 2004 11:00:14 +0900
    A: 米山様、佐藤勝昭です。
     書籍は、佐藤勝昭著「光と磁気(改訂版)」(朝倉書店2001.11)p.90
    です。HPにあるのは、慶應義塾大学での授業での配付資料ですが、  図は、慶應義塾大学物性物理学特論第8回講義の図としてWebにあります。
    Word file ダウンロード

    なお、パワーポイントが アップしてあるので、Internet Explorerでご覧いただけます。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 10 Feb 2004 11:41:33 +0900
    AA: 佐藤勝昭 様

    群馬大学の米山です。
    お忙しい時期に、迅速で丁寧なご回答ありがとうございました。
    早速図書館に行き、本を借りようと思っております。

    ありがとうございました。
    発表が落ち着いたら、ゆっくりホームページの方をうかがわせていただきます。

    それでは失礼致します。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 10 Feb 2004 17:30:22 +0900
    AA2:群馬大学の米山です。
     図の方お忙しい中お探し頂きありがとうございました。図書館の方に訪れまし たら、貸し出し中でした。助かりました。

    ありがとうございました。
    ---------------------------------------------------------------------------
  • 328. もろみの比熱


    Date: Tue, 17 Feb 2004 13:07:46 +0900
    Q: はじめまして、私、O社の藤澤と申します。
    醤油製造工程における、諸味の加熱設備を計画するに当たり諸味の比熱を調査してお りましたがなかなか見つけることができません。教えて下さるよう御願い申し上げます。 諸味の内訳は、下記のとおりです。

    大豆2580kg,小麦1800kg,食塩1570kg,水3029kg 合計8978kg

    以上、御忙しい所、恐縮ですがよろしく御願い申し上げます。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 17 Feb 2004 19:36:22 +0900
    A: 藤澤様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。私は、食品関係は専門ではないので、本学の農学部応用 生物科学科の高橋幸資教授(食品化学)に問い合わせましたところ、下記のメールをいた だきました。
    =============================================================================
     さて、お問い合わせの標記事項についてですが、少々無責任なお応えですが、下記 書籍に詳しいと聞いています。小生持ち合わせがありませんでご希望の内容が書かれ ているか不明ですが、調査する価値はありそうです。

      醸造協会編 「醤油の科学と技術」 Tel 03-3910-3853

     もしこれに記載ない場合は、日本醤油協会(多分そんな名称と思いますが)に照会 するか、ヒゲタ醤油、または、キッコーマンの技術陣に伺うことでしょうか。
     取り急ぎ不完全ではありますが、解る範囲でお応え申し上げました。(高橋幸資)
    =============================================================================
    ということです。調べてみて下さい。
     お酒の博物史によると「もろみ」は「酵母を純粋培養した「酒母」に麹、水、蒸米を数 回に分けて加え造ります。「もろみ」の中では麹による米のデンプンの「糖化」と、酵母 による糖のアルコール発酵とが同時に進行します。」と書かれていますが、発酵の段階で 成分や、形態が微妙に変化すると思われます。比熱として最も効いてくるのは水(比熱= 1kcal/kg℃)で、他の成分は1桁小さいので、もろみの比熱は、どれくらい水分を含んで いるかでほとんど決まるのではないかと推察します。
     補足しておきますと、もし、大豆2580kg,小麦1800kg,食塩1570kg,水3029kg がただ混ぜ合わさった状態の比熱は、総熱容量を総重量で割ればよいのです。
     白米の比熱は、約0.4kcal/kg℃なので大豆、小麦も同程度でしょう。
     食塩の比熱は、0.2043kcal/kg℃です。
    従って、大豆2580kg,小麦1800kg,食塩1570kg,水3029kg の総熱容量は、
     0.4*(2580+1800)+0.2*1570+1*3029=5095kcal/℃
    これを総重量で割ると5095/8978=0.56kcal/kg℃
     実際の「もろみ」では、大豆が溶けて発酵して物性が変わってしまうので、ただ混ぜ合 わさったものとは全く違ったものになると思われます。しかし、全体として水の比熱を超 えることはありません。

     なお、
    中小企業総合事業団の「省エネルギー指導」のホームページに、エネルギー使用 合理化設備導入促進事業 モデル事例にヤマキ醸造株式会社のことが載っています。
     (ご参考まで)
    醤油の製造工程における省エネルギーの詳細は次のサイトに出ています。
      http://www.jasmec.go.jp/info_tech/ene/ene_body/hp6/98/honbun/982001.htm
    が、もろみのことは、「旧来のコンクリート製(1本18,000)100本の醗酵タンクは温醸加 温はしていない。屋外の醗酵タンク(容量80kL×30本・容量120kL×6本)は必要な時には 温水(25℃〜35℃)の循環により加温されている。」とあるだけで、比熱については載っ ていませんが、参考になるかもしれません。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 18 Feb 2004 11:08:37 +0900
    AA: 佐藤先生
    専門外でありながらも早速になおかつ丁重に御解答頂き、大変ありがとうございました。
    今後とも、難解な事項ございましたら、相談させて頂きたく考えております。
    よろしく御願い申し上げます。  
                           O社 藤澤
    -----------------------------------------------------------------------------------
  • 329. ZnOの圧電性について


    Date: Tue, 17 Feb 2004 23:06:11 +0900
    Q: 突然のメール失礼します。佐藤先生のホームページを拝見してメールをさせて頂きました。
    私は京都工繊大大学院のMと申します。
    匿名希望でお願いします。私は酸化亜鉛ZnOの光物性の研究をしているのですが、 ZnOはc軸配向すると、なぜ極性を帯びて圧電性を持つのでしょうか?
    いろいろ手を使って調べたのですが、わかりません。宜しければ、教えてください。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 18 Feb 2004 00:45:47 +0900
    A: Mさん、佐藤勝昭です。
    APS(米国物理学会)1995年春の講演会のプログラムに下記の講演の要項が出て います。第1原理計算でZnOの圧電性を説明しています。これによれば、「クラ ンプされたイオン」と「内部ひずみ」という2つの競合するメカニズムがあっ て、ZnOでは両メカニズムの打ち消し合いが最も弱く圧電性が大きいが、ZnSでは 打ち消しが強いため、圧電性が出ないということです。
    引用されているPhys. Rev. B 50, 10715 (1994)の論文を読んで見て下さい。
    ----------------------------------------------------------------------
     Andrea Dal Corso,Michel Posternak,Alfonso Baldereschi
    (IRRMA--Lausanne, Switzerland ),Raffaele Resta (U. of Trieste, Italy)
     We demonstrate the feasibility of ab--initio studies of piezoelectricity within an all--electron scheme et al., Phys. Rev. B 50, 10715 (1994).. We focus on wurtzite ZnO; for comparison, results are also presented for the related materials BeO and ZnS. The comparative study is performed in order to understand the microscopic origin of the peculiar behaviour of ZnO, whose piezoelectric response is the strongest among the tetrahedrally bonded semiconductors. In all such materials the piezoelectric effect results from two opposing contributions which are usually referred to as ``clamped--ion'' and ``internal--strain''. Experimental access to each of the two terms separately is difficult; our first principles analysis shows that cancellation is less effective in ZnO, where the dominant effect is due to a rigid--ion--like mechanism. This feature is shared by BeO and seems to be typical of oxide materials with ionic bond and small unit cell. On the contrary, ZnS shows the strong cancellation typical of other II--VI materials studied in the past.
    -----------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 20 Feb 2004 11:43:30 +0900
    AA: 佐藤先生へ
    先日先生にメールをしたMです。先生のご意見ありがとうございました。非常に参考になりました。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 20 Feb 2004 12:59:37 +0900
    A2: M様、佐藤勝昭です。
     先日は、夜中に家からお答えしたので、資料がなく十分なお答えになったかどうか心配 です。
     ZnOは六方晶系、空間群はC6v4(C6mc)です。結晶工学ハンドブック(共立1971)第5章 p1217にある対称性とテンソル要素の表によると、六方晶C6vにおいては、3つの独立な圧 電パラメータ(d31=d32, d33, d15=d24)がゼロにならないということがわかっています。
     従って、ウルツ鉱構造のZnO自身は、圧電性になる能力をもっているのです。
    次にWyckoff "Crystal Structures" Vol. 1, p.111のFig. III, 13aにあるZnOの結晶構造 (添付jpgファイル)を見ると、c軸に沿って、Zn面(000;1/3 2/3 1/2)とO面(00u;1/3 2/ 3 u+1/2)があり極性のある結晶であることがわかります(u=0.345)。このため、(001)面に 垂直に(c軸方向に)歪みが加わると電気分極が生じることが理解できるでしょう。
     あとは、同じウルツ鉱構造なのになぜZnSの圧電定数は小さく、ZnOの圧電定数が大きい かという問題に答えるのが、前回のお答えなのです。ご理解頂けたでしょうか。

    Date: Sun, 7 Mar 2004 21:58:57 +0900
    佐藤先生へ
    先日メールした京都工芸繊維大学のMです。匿名希望でお願いします。
    返事が非常に遅くなってすみません。わざわざ資料を添付して頂いて有 難うございました。非常に理解しやすかったです。

    ----------------------------------------------------------------------------
  • 330. 物質中の光速の波長依存性


    Date: Wed, 18 Feb 2004 10:39:17 +0000
    栃木県立鹿沼東高校の理科の教員です。
    物質中の光速はなぜ波長によってわずかに変化するのですか。教えてください。
    古家 正夫
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 18 Feb 2004 21:50:42 +0900
    古家正夫様、佐藤勝昭です。
     物質の可視光領域における屈折率をnとし、電子分極による比誘電率をεeと しますと、マクスウェル方程式を解くことにより、
     εe=n2  (1)
    と表されます。
     ω=ωjに局在光学遷移のある場合の比誘電率はεe=1+fj/(ωj22) の形で 表されます。実際には、遷移の緩和時間τのため、比誘電率は複素数となり、
      εe=1+fj/{ωj2-(ω-i/τ)2}   (2)
    と表されます。この式はローレンツの分散式と呼ばれています。
     *********************************************
     なぜこのように比誘電率はωに依存するのでしょうか。これをきちんと説明 するには、電磁気学と運動方程式の知識が必要です。古家様は理科の教員なの で、ある程度理解いただけると思いますので、回りくどいですが、つきあって ください。
     光は電磁波なので電界と磁界があります。物質中で電界Eと誘起された電束 密度Dの関係を与えるのが誘電率ε=εeε0です。電束密度は
       D=εE    (3)
    ですが、分極Pを使って書き表すと、
       D=ε0E+P   (4)
    と表されます。つまり、物質中の電束密度は、真空の電束密度と物質に生じた 分極の総和で表されます。分極Pと電界Eとの間には、P=χε0Eの関係がありま す。χは電気感受率です。χε0は分極率と呼ばれます。(4)をχを使って書き 換えると、
       D=(1+χ)ε0E  (5)
    となりますが、(3)と比較して
       εe=1+χ    (6)
    つまり比誘電率は、物質に電界が印加されたときの分極のできやすさを表して いるのです。
     *******************************************
    つぎに、電子分極 Pとは何かを考えてみましょう。
    もともと電子は原子核の正電荷の周りに分布していますが、電子分布の負電荷 の重心と、核の正電荷の重心とが同じ位置にあるので分極はありませんが、電界を印加 すると電子は+側に引き寄せられ、正電荷との間が離れ電子分極が生じます。  古典電子論では、正電荷と負電荷の間はバネで結びついていると考えます。 共振周波数ω0とすると、ω0=(K/m)1/2 で表されます。ここにKはバネ定数です。
    変位をuとして、電界Eが加わったときの電子の古典的な運動方程式を書くと、
       md2u/dt2+mω02u=-eE     (7)
    と表されます。電界がE=E0 exp(-iωt)、変位がu=u0 exp(-iωt)で表されると すると、(7)は
       -ω2u002u0=-eE0/m     (8)
    と書けます。従って、
       u0=eE0/(ω022)      (9)
    分極は、電荷×変位で表されるので、振動する分極をP=P0 exp(-iωt)とする と、
    P0=(Ne2E0/m)/(ω022)    (10)
    従って、
      χ=P0/E0ε0=(Ne2/mε0)/(ω022)   (11)
    が得られます。εe=1+χなので、εeは周波数依存性(従って波長依存性)をも つのです。式(1)から屈折率nも波長依存性をもちます。
    --------------------------------------------------------------------
     実際には、古典論ではなく量子論で説明しなければなりませんが、ここで は、これでとどめておきます。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 19 Feb 2004 00:14:24 +0000
    Q2: 佐藤先生
    拝啓
     早々の回答 大変ありがとうございました.
    屈折率 比誘電率 電子分極 共振周波数 の関係がおぼろげにわかりました. 波長が大きくなると 比誘電率、屈折率が増加し 光速がわずかに減少する という解釈でよいのでしょうか?
    私は 高校で 物理と化学を担当しています.特に高校物理に関しては  教科書に理論の説明が非常に少なく 毎日悩んでいます.今後とも  指導よろしくお願いします.
    -------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 19 Feb 2004 12:17:14 +0900
    A2: 古家様、佐藤勝昭です。
     紹介しましたように、あの式は周波数ωについて書いてあります。
    εe=1+χ=1+(Ne2/mε0)/(ω022)
    透明な物質では、ω0は可視光のωより高いところにあるので、ω<ω0です。
    従って、ωがω0に近づくにつれて比誘電率が高くなります。
    ω=2πc/λなので、波長λが短くなるのに従って比誘電率は大きくなり、これに伴って屈 折率も大きくなります。屈折率が大きくなると光速は減少しますから、
    「波長が短くなると光速が減少する」というのが正解です。
     ---------------------------------
    なお、教科書に理論的なことが載っていないという点ですが、学習指導要領では、微分方 程式など数学を使って物理を説明することを禁じています。このため、知識の詰め込みに なっており、困った問題だと思っています。
    あなたのような高校の先生が増えて、物事の本質をきちんと知るには、理論的な扱いが必 要であることを、より多くの高校生にお伝え頂くことをお願いしたいと存じます。
    私たち大学人は、いつでも、そのためのお手伝いをします。
    また、応用物理学会の教育企画委員会では、先生方のためのリフレッシュ理科教室などを 開いております。本学でも、東京都の高校理科教員の研修のお手伝いを企画しております。
    お近くの大学の物理系学科に、気軽に声をかけて下さい。
    また、日本物理教育学会も同様の活動をしていますので、コンタクトして下さい。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 19 Feb 2004 04:42:15 +0000
    AA:非常に丁寧な説明 大変ありがとうございました.
    何とか生徒に 少し理論的に説明できそうです.
    生徒には常に どうしてそうなるのか 考えよと指導しております.
    化学は何とか説明できるのですが、物理は何箇所か 非常に 非論理的な個所があるため 必死に調べるのですが、なかなか うまくいきません.偶然 ネットで先生のHPを見つけ 地獄に仏の心境です.
    今後とも よろしくご指導のほど お願いいたします.
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  • 331. 高圧ケーブルの劣化


    Date: Wed, 25 Feb 2004 20:35:04 +0900
    佐藤先生
    はじめまして。HPを見てメールさせて頂きました。
    私はS電機のKと申します。(匿名でお願い致します) 教えて頂きたいことがあります。
    高圧ケーブルの絶縁皮膜の絶縁劣化についてなのですが、 高電圧(数千V)の電位差のあるケーブルを束ねたような場合、 絶縁被膜の絶縁劣化は、時間とともに進行してしまうのでしょうか?
    それとも、閾値があってそれを超えない条件(欠陥等)であれば、 半永久に使うことができるものなのでしょうか?
    (耐候性の問題は無いものと仮定した場合)
    色々な本を見てもなかなか明快な回答が見つかりません。 良い教科書など併せてご紹介頂けると助かります。
    ご多忙の中大変申し訳ありませんが、 何卒よろしくお願い致します。
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    Date: Thu, 26 Feb 2004 20:47:50 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
     高電圧における絶縁破壊の問題は、古くて新しい問題です。絶縁破壊は、欠陥を見つけ て樹枝上に破壊のパスが広がっていくようですが、破壊の起き方は千差万別です。
    お尋ねのケースは、ケーブルに使われている絶縁体の種類や電流の大きさ太さなどいろい ろな要素が絡んできます。また束ねたことにより、単一の場合より実効的に高い電圧がか かる場合も考えられます。また、束ねることで熱の放散が妨げられるということもあるで しょう。
     私は、絶縁破壊の専門家ではないので、この道の専門家である武蔵工業大学の高田達雄 教授(環境情報学部長)にメールを転送しご検討願っています。高田先生から返事をいた だきましたら、K様にお伝えします。
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    Date: Thu, 26 Feb 2004 21:11:56 +0900
    佐藤先生へ
     早速のご返信、ありがとうございます。
     しかも、専門の先生まで紹介頂き、大変感謝いたしております。
     色々と勉強させて頂きますので、よろしくご指導・ご教授のほど
     お願い申し上げます。
                               以上
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 28 Feb 2004 23:37:03 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
     武蔵工業大学横浜キャンパスにある環境情報学部長である高田達雄先生から次のよう なお返事を頂きましたので、転送します。
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    K様                     2004/02/28

    私は武蔵工業大学の高田達雄と申します。東京農工大学の佐藤勝昭先生から紹介頂きま した。私は電線ケーブル会社で働いた経験はありませんが、高電圧ケーブルに関する基 礎研究をしてきた者ですので、K様の質問にお答えします。

    まずは、ご質問に近いことが書かれている参考書を紹介します。
    速水敏幸著「CVケーブル」コロナ社
    第8章 CVケーブルの寿命推定および劣化診断法

    (1) 劣化の概念
    一般に、酸素と水および熱が存在していると、有機物も無機物も原子結合が切れて劣化 すると考えてよいと思います。人間の体の細胞も酸素と水および熱で分解されています が、食物からの栄養供給により破壊された細胞は補修されます。若いうちは細胞の増殖 で成長しますが、歳をとるとやがて細胞の増殖より劣化が支配的になると、体は老化し ます。

    (2) 電気絶縁材料の劣化
    電気絶縁材料の劣化も同様で、酸素と熱が存在すれば、材料の分子結合の切断が起こり 劣化が進展します。水分を含んでいて電圧が加わっていると、水分の存在する部分に電 流が集中しエネルギーも集中するので、分子結合の切断も起こします。従って、ご質問 の高電圧ケーブルは、製造工程において水分や不純物を含まないように絶縁材料の品質 管理を十分に行い、外部から水分や酸素が絶縁層に浸入しないような外部遮蔽構造に設 計されています。電気を沢山使用しているときは、高電圧ケーブルには大きな電流も流 れますので、中心導体の銅線から発熱があり温度が上昇します。電気を使わない夜間に は電流が少ないので温度上昇はありません。従って、絶縁層に温度上昇と降下、さらに は熱膨張による伸縮が起こります。

    (3) 質問の解答
    以上のことを考えると、電気絶縁材料の劣化は時間とともに進行してしまいます。前述 の劣化条件が少なくなる条件で絶縁層の厚さと電圧を設定し、使用条件の閾値が決めら れています。しかし、実際に高電圧ケーブル地下トンネルに敷設して使用しています と、初期は欠陥に起因する破壊が発生しますが、その後は安定して使用できます。しか し、20年30年と使用していきますと、絶縁性能の劣化が進んでいます。劣化が進ん でもすぐには破壊は起きていません。現実には、どこでどの程度の劣化が進行している のか、いつ破壊が起きるのか、診断できる技術はまだ確立されていません。閾値を超え ない条件で使用しても、半永久に使うことはできないと考えます。
    「高圧ケーブル束ねたような場合」との質問からすると、超電圧ケーブルではなく、数 千Vの中電圧ケーブルの場合かと思います。この場合ですと経済的な面から、外部から水 分や酸素が絶縁層に浸入しない、十分な外部遮蔽構造に設計されていない場合もあるか と思います。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 01 Mar 2004 10:55:02 +0900
    佐藤様
     S電機Kです。
     大変お世話になっております。
     貴重な情報をありがとうございます。
     高田先生へも感謝の意、お伝え頂きますよう、  よろしくお願い致します。

     長期的な絶縁劣化抑制に関しては、酸素と水の遮断が重要と言う点、  診断する技術は完全には確立されてない点、理解致しました。
     もう一点、質問させてください。
     (3)で「初期は欠陥に起因する破壊が発生」とありますが、  これは(2)の「製造工程において水分や不純物を含まないように  絶縁材料の品質管理」とあるように、水分・不純物は初期絶縁破壊の  原因となる、と考えてよろしいのでしょうか?
     逆に言うと、  「製造工程で水分や不純物」という欠陥が無く「使用条件の閾値」以下の  条件であれば、5−10年程度の耐久性はある、と考えて良いのでしょうか?

    お忙しいところ、大変恐縮ですが、よろしくご指導賜りますよう、 お願い申し上げます。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 2 Mar 2004 01:18:51 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
     ご質問の件ですが、お考えのとおりでよいと思います。
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  • 332. サファイアの放射率


    Date: Wed, 3 Mar 2004 15:02:10 +0900
    Q1:佐藤先生、初めまして。
    A電気のSと申します。(所属、名前は匿名でお願いいたします)
    先生の「なんでも物性Q&A」を見せていただき、質問させていただきたくmailさせて いただきました。

    私は真空装置で酸化亜鉛の薄膜形成を行っています。
    サファイア基板を用いているのですが、加熱のため裏面にTi、Moなどの高融点金属 を蒸着して熱吸収させています。

    この際、温度をモニターするのに放射温度計を使用しているのですが、 放射率がわからず困っております。
    もちろん表面状態等で放射率異なってくるとは思うのですが、まずは文献値を 参考にしたいと思っています。
    つきましてはこのようなデータがわかる文献等ございましたらお教えいただけませ んでしょうか?
    なお測定波長は、5μmを使用しております。

    またその他このような測定を行う際の注意点等ありましたらご教授いただけますよ うお願いいたします。

    以上よろしくお願いいたします。
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    Date: Wed, 3 Mar 2004 19:22:36 +0900
    A1: S様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。私どももBiSrCaCuO/SrTiO3やMnGeP2/GaAsのMBE成長の際 に基板温度の校正のために放射温度計を使っています。低温の場合に、どのくらい正確な 値を示しているのかは問題ですよね。GaNのMOCVDをやっている研究室に聞いたのですが、 最近は使っていなくてサセプタに取り付けた熱電対の温度をたよりに・・というような状 況でした。
     放射率(emissivity)のデータですが、私も手元にないので、Google でemissivity tableと入力したところ、33000件も引っかかってきました。
    MONARCH INFORMATION CENTERのsiteに
    Table of emissivityのpdfがありました。Omegascopeで測定したとあるだけで何μmのデータであるかわかりませんが、一般 に平坦な金属の放射率は低く0.05-0.1の程度ですが、セラミクスの放射率は大きくwhite alumina(多結晶のAl2O3)で0.94、シリカガラス0.85程度です。サファイア(Al2O3単結晶) のデータはよくわかりませんがアルミナと同程度ではないかと思います。Tiの放射率は0. 08-0.19, Moの放射率は0.08-0.18です。従って、金属からの熱放射は無視して、基板から の放射を考えればよいでしょう。ZnO膜の放射率ですが0.95となっています。
     なお、SVTというMBE装置の会社のHPにProcess monitorのApplication Noteが載って います。ここでは、GaN薄膜の成膜時に正確に透明基板の基板温度を測定するにはという 問題が提起されています。pdfファイルを添付します。この冒頭の部分を引用しておきますと、 「半導体薄膜の堆積の最中に放射温度計で計測するとき、薄膜の屈折率と基板の屈折率が 異なると測定誤差の原因になる。堆積が起きるにともない、時間とともに変化する干渉効 果のために薄膜の透過率が変化し、放射温度計に到達する黒体輻射の量を変えてしまう。 この「変動放射率効果」が放射温度計を用いた基板温度の測定に影響を与える」と書かれ ています。このように単に放射率の問題以外に、干渉縞による放射率変動に気をつけなけ ればいけないようです。
     よけいなことかもしれませんが、英語で検索すると日本語では得られない多くの情報が引っかかってきますので、ぜひご活用 下さい。物理学のtechnical termの英訳は、岩波「理化学辞典」などがご利用になれます。
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    Date: Thu, 4 Mar 2004 13:02:52 +0900
    Q2:A電気Sです。
    お忙しいところ早速のご返信ありがとうございます。

    英語で調べるとかなりの情報が得られることがわかりました。 早速有効に活用させていただきます。ありがとうございます。

    ところでサファイアの放射率ですが、アルミナと違いサファイアは 広い範囲で透明であるため放射率は小さいと考えています。
    (基板メーカのデータでも0.02以下@2.6-3.7μmと出ています)
    ZnOについてはよくわからないのですが、バンドギャップと透明性、成膜中の 放射温度計の読みの変化を見ている限りそれほど影響ない(放射率小さい) と考えています。
    これらから放射温度計は裏面の金属膜を基板越しに見ていると考えました。
    ただし、サファイアは5μmを吸収するので、吸収率を計算し、 放射率に透過率をかけたものを使用しようと考えております。

    このような考え方をしたのですが問題ありますでしょうか?
    ご指摘いただけると助かります。

    以上よろしくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 4 Mar 2004 14:02:01 +0900
    A2: S様、佐藤勝昭です。
     基板は透明なのでアルミナのデータは使えないのですね。こちらが勉強させて頂きまし た。なお、ご質問の件ですが、金属膜のみが発熱しサファイアに伝わっていると考えるな ら金属の放射率に透過率をかけたものでよいと思います。
    純粋なサファイアの5μmにおけ る消光係数は0なので、透過率自身は100%あると存じますが、界面での反射の方を考慮し なければならないでしょう。
    サファイアの屈折率は(多少の異方性がありますが)1.6程 度です。5μmにおけるTiの屈折率は4.87, Moのそれは3.61です。従って、Tiとサファイア 界面での反射率はR1=(1.6-4.87)^2/(1.6+4.87)^2=0.36, Moとサファイアでは、R1=(1.6-3. 61)^2/(1.6+3.61)^2=0.15, サファイアと空気の間の反射率R2はR2=(1-1.6)^2/(1+1.6)^2= 0.053なので、全体の透過率はT=(1-R1)(1-R2)となり、Ti/sapphire/airではT=0.61、Mo/ sapphire/airでは、T=0.80となります。
    Tiの低温でのemissivityを0.08とすると、Ti/sapphire/airを透過した赤外光の emissivityは0.05となり、サファイアのemissivity0.02は無視できなくなりますので注意 が必要です。
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    Date: Fri, 5 Mar 2004 09:19:52 +0900
    A電気のSです。
    非常に参考になります。

    サファイアの透過率ですが、 京セラのHPによると5μm辺りでは、10%以上の吸収があるようです。
    このことから5μm付近のサファイアの放射率は0.02よりはもう少し大きくなり 影響が大きくなるように思われます。

    先生に頂いたアドバイスをもとに再検討してみたいと思います。
    ありがとうございました。
    また何かの際にはよろしくお願いいたします。

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  • 333. 光と磁気誤植p147


    Date: Wed, 3 Mar 2004 01:35:10 +0900

    Q:佐藤先生

    お忙しいところ、突然メールを送り失礼致します。
    私は阪大でバンド計算から磁気光学効果を計算しようとしている学生で、 先生の著書「光と磁気」を愛読させて頂いております。

    ところで、「光と磁気」の147頁に掲載されているFeのカー効果の計算結果で 論文の著者名が間違って引用されています。
    "MIYAZAWA, Oguchi" が、"MIYAZAKI, Oguchi" と誤植しているほか、 漢字の方も「宮沢、小口」が「宮崎、小口」と誤植しています。

    もう既にご存知であれば大変失礼ですが、 念のためメールさせて頂きました。
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    Date: Wed, 3 Mar 2004 12:37:58 +0900
    A:山内様、佐藤勝昭です。
     ご指摘ありがとうございました。
    改訂版第2刷の印刷には間に合いませんでしたが、次回の増刷では修正したいと存じます。 こんごともよろしくお願いします。
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  • 334.

    光と磁気誤植p206


    Date: Thu, 4 Mar 2004 11:39:16 +0900
    Q: 佐藤勝昭先生

    千歳科技大の川辺と申します。初めてメールを差し上げます。 先生の「光と磁気」は講義の参考にさせていただきました。

    誤植と思われるところを見つけましたのでお知らせします。
    (すでにお気づきであればご容赦ください)
    なお、改訂版第1刷を見ています。

    p206 7〜9行の(8.8)式に関する記述で、
    (本文) Pj(2ω) -> Pi(2ω)
    (左辺) 同じ
    (本文)添え字 j, k, l, m -> i, j, k, l

    同じページ (8.9)式 1行5列目の χxxz が6列目に来ています。

    あと、誤植というわけではないのですが、p208の表8.1の極Kerr配置の odd 成分のところが気にかかります。注釈に書いてあるようにもともと Shenのグループの計算に間違いがあり、Rasingはそのうち、
    χxyz と χyxzの関係(符号)については訂正してますが、χzxy, χzyxについては何も触れていません。 これは本来4回軸の対称性から0になるはずのもです。
    Rasingのレビュー(貴書ref. 40 のsummer schoolとは別のもの) では、対称要素のとり方にあやまりがあるようです。
    ちなみにHubnerの95年の論文では0になっています。

    ご参考までにお知らせいたします。

    千歳科学技術大学 川辺豊
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    Date: Thu, 4 Mar 2004 13:10:19 +0900
    A: 川辺様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございました。丁寧にお読み頂きありがとうございます。
    p.206 line 7-9、式(8.9)の誤植はご指摘の通りです。
    p.208の表も、ご指摘の通りです。文献34)のTable 3.1では、そのように訂正されていま す。見落としておりました。
     改訂版第3刷では、修正したいと存じます。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 335.

    ZnOの赤外吸収


    Date: Tue, 9 Mar 2004 11:29:33 +0900
    Q1: 佐藤勝昭様
    はじめまして。
    酸化亜鉛の光学物性についての疑問を解決すべくサイトを検索中、佐藤様研のHPを拝見し質問させていただきます。 大変基本的な質問で恐縮ですが、酸化亜鉛の赤外域(特に10μm前後)の吸収率が掲載されている文献・本等御存知ありませんでしょうか?
    宜しくご教授お願い致します。
    イビデン葛ハ木
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    Date: Wed, 10 Mar 2004 00:13:51 +0900
    A1: イビデン玉木様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。
    Palik「Handbook of Optical Constants of Solids I, II」 や工藤恵栄「物性基礎図 表」などを見ましたが、載っておりませんでした。Landolt Boernstein New Seriesの Vol III-17bあたりに出ているのではないかと思うのですが、図書館に行く時間がなく調 べておりません。
     ストイキオメトリ組成の絶縁性ZnOであれば、バンドギャップ以下の光子エネルギーに 対応する波長の吸収はほとんどなく、赤外部にあるLO フォノンによる吸収のみが見られ るはずです。ZnOのLOフォノンのエネルギーは590cm-1(16.9μm), 574cm-1(17.4μm)なの で、10μm付近の吸収係数はほとんどゼロでしょう。(追記:後で調べたところ
    下にありますようにゼロではありません
     しかし、ご存じのようにZnOはストイキオメトリからずらすことで透明導電膜として使 える材料です。これは、酸素欠陥がドナーとなって自由電子が伝導帯に供給され、フェ ルミ準位が上がり縮退半導体になるためですが、高密度の自由電子があると、free carrier absorption が起き、波長の増大とともに急激に増加する吸収をもたらします。 従って、10μmにおける吸収係数は、自由電子密度に依存するのです。この場合は、ハン ドブックなどには載っていないので、太陽電池の透明電極の開発などの論文を探せば、 出ていると存じます。
     お役に立たず申しわけありません。
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    Date: Wed, 10 Mar 2004 08:24:17 +0900
    Q2: 佐藤勝昭 先生
    お世話になっております。
    貴重なご教授有難う御座いました。
    大変参考になりました。
    早速、本や論文あたってみます。
    今後もお尋ねする機会があると思います。
    その際は、宜しくお願い致します。

    絶縁性ZnOのLOフォノンのエネルギーをご教授頂き有難うございました。
    しかしながら、恥ずかしいことに、 ZnOのLOフォノンのエネルギー:590cm-1(16.9μm), 574cm-1(17.4μm) がどのような参考書に掲載されているのか知りません。
    お忙しい中申し訳御座いませんが、 本名等ご教授頂けませんでしょうか?
    宜しくお願い致します。
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    Date: Wed, 10 Mar 2004 17:42:41 +0900
    A2: イビデン玉木様、佐藤勝昭です。
     ZnOのフォノンのエネルギーの参考文献ですが、新しいものとしては、
    N.Ashkenov et al., J.Appl. Phys. 93 (2003) 126.
    があります。これには、過去の文献値もTableの形でリストされていますので 便利かと存じます。
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    Date: Wed, 10 Mar 2004 13:05:59 +0900
    A3: イビデン玉木様、佐藤勝昭です。
     昨夜は、家からメールしたので、手元に資料がなく失礼しました。
    本日、図書館で、Landolt-Boernstein III 17b (p356, Fig.73, Fig.74)を調べた結果、 10μm付近にもフォノンの吸収があり、10μmにおける吸収係数は、電気ベクトルEがc軸 に垂直な偏光についても平行である偏光についても120 cm-1程度であることがわかりま した。ただし、これは、あくまで、絶縁性のZnOの場合で、導電性の場合には、free carrier absorptionがありますので、注意が必要です。

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    Date: Wed, 10 Mar 2004 13:36:33 +0900
    AA: 佐藤勝昭 先生

    お世話になっております。
    わざわざお調べ頂き、有難う御座いました。
    大変参考になりました。
    今後とも宜しくお願い致します。
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  • 336.

    アモルファスカーボンの電気特性


    Date: Thu, 11 Mar 2004 22:37:02 +0900
    Q: 佐藤 勝昭先生
    はじめまして。K大学大学院博士2年のHと申します。電気伝導度について調べてましたところ、 先生のHPを拝見させていただき連絡させていただきました。
    現在、アモルファスカーボンとナノ微結晶ダイヤモンドの混相膜 の電気特性を測定しているのですが、結果として半導体特性 を示し、電気伝導度はダイヤモンドに比べて数倍大きく、 アモルファスカーボンに比べて3桁以上大きい値を示しました。 (温度領域97〜500Kです。)
    ダイヤモンドとアモルファスカーボン の混相膜ですので電気伝導度がこのようになるのは分かりますが、 半導体特性を示した理由がいまひとつ不明な状況です。
    半導体研究室の先生にお聞きしたところ、ホッピング伝導に要する 活性化エネルギーと考えるのが普通だといわれました。
    電気特性、半導体物性評価に関しまして、私自身勉強不足 で招いた疑問であることは承知です。お忙しいかと思われますが 「ホッピング伝導に要する活性化エネルギー」について、 および先生のご意見をお聞かせ願いませんでしょうか。
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    Date: Sat, 13 Mar 2004 10:50:37 +0900
    A: H様、佐藤勝昭です。
     いわゆるアモルファスカーボンは、正確には原子レベルでアモルファスではなく、六 方晶のグラファイト結晶の超微粒子がランダムに結合し、全体として長距離規則を失っ ている状態です。グラファイトは、炭素の蜂の巣構造のネットワークで、面内は金属伝 導性を持ち、炭素ネットワーク面間(ファンデアワールス結合)は半導体的です。
     アモルファスカーボンではグラファイト微結晶同士が緩く結合しているので、粒界が 存在します。おそらく粒界には、ダングリングボンドや、不純物の修飾のため、ポテン シャル障壁が存在します。この障壁の高さをΔEとすると、グラファイトの粒子から粒子 に電子が飛び移る(=ホッピングする)確率は、exp(-ΔE/kT)となります。従って電気伝 導率は活性化エネルギーΔEをもつ温度変化を示すのです。
     ダイヤモンド微結晶も、もしドープされておれば、電気伝導に寄与しますが、グラ ファイトに比べれば電気抵抗が高いので、あなたの作られた膜の導電性は、ほとんどア モルファスカーボンから来ているのではないでしょうか。
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    Date: Sat, 13 Mar 2004 15:16:23 +0900
    AA: 佐藤勝昭 先生
    早急なご返答ありがとうございます。
    大変勉強になりました。 今後ともよろしくお願いいたします。
    -----------------------------------------------------------------------------------
  • 337.

    複合誘電体の誘電率


    Date: Fri, 12 Mar 2004 15:41:09 +0900
    佐藤先生

    Q1:はじめまして。私はD社で材料を研究しているOというものです。
    導電体と絶縁体(誘電体)の複合材を検討しているのですが、 そこで「導電体の誘電率とは?」という疑問に突き当たり、 いろいろ調べている内に貴HP「物性何でもQ&A」にたどり着きました。
    下記の点につき、ご教示いただければ幸いです。

    「誘電体現象論(電気学会大学講座)」という本によると、 誘電体1及び2からなる平行平板型の直列2層誘電体 (それぞれの比誘電率、導電率をそれぞれεr1'、εr2"、σ1、σ2、とし、
    誘電体1の厚さが(1-γ)、誘電体2の厚さがγとする)において、複合誘電体としての誘電率は、

    εr' = εr∞ + (εr0−εr∞)/(1+ω2)
    εr" = σ/ωε0 + ωτ(εr0 − εr∞)/(1+ω2)

    ここで、εr0 = {γ εr2' σ2 2 + (1-γ)εr1' σ12}/{γ σ1 +(1-γ)σ22
    εr∞ = εr1'・εr2'/(γ εr1'+(1-γ)εr2')
    τ = {γ ε0 εr1' + (1-γ)ε0 εr2'}/{γ σ1+(1-γ)σ2

    と書かれています。

    この場合のεr∞値というのは単純な合成誘電率で、 それに界面分極の寄与が上乗せされた値がεr'になる、と解釈しました。
    ただ、例えばこの場合、誘電体2をある抵抗を持つ導電体(カーボン等)として、 複合体としての誘電率を計算する場合に、 εr2'の値はどうなるのか(そもそも導電体の誘電率とは?)という疑問に突き当 たった訳です。

    「Q&A」を拝見させていただきましたところ、 金属のεr'について、電子の散乱緩和時間より低周波数側では、 −∞に発散すると書かれていましたが、 それはある程度導電率の低い(カーボンや半導体)についても、 それに相当した周波数(例えば直流)では成り立つのでしょうか。
    また、緩和時間より高周波数側では、それら導電体のε'は金属の場合のDrude式のよ うなものに従うのでしょうか。
    上記の式では、複合体の界面分極周波数の前後で導電体(誘電体2)のεr2'は変化しな いとしているように思うので 導電体の誘電率としてはどの値を代入すべきなのか気になります。
    (私の興味のある周波数領域はGHz前後なのですが。)
    また金属で電子の散乱緩和時間というのは、その金属中の電子の移動度に関係するも のなのでしょうか。
    そうなると、カーボンや半導体についての緩和時間は、導電体の導電率というより 荷電粒子の移動度に関係(比例?)すると考えてよいのでしょうか。

    さらに上記で複合誘電体の τ については、構成誘電体の導電率σの式で表わされて いますが、 それよりも荷電粒子の移動度のほうが感覚的にはしっくりくるように思うのですが。 (周波数増大に荷電粒子の移動が追随できなくなるところで界面分極がなくなる、と いうイメージ)

    いろいろ分からないことだらけなので、質問がまとまらず申し訳ありませんが、 もしよろしければご指導ください。よろしくお願い申し上げます。

    なお、申し訳ありませんが、WebにUPする際には匿名でお願い致します。 ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 13 Mar 2004 01:32:55 +0900
    A1: O様、佐藤勝昭です。

    Q1) 「Q&A」を拝見させていただきましたところ、 金属のεr'について、電子の散乱緩和時間より低周波数側では、 −∞に発散すると書かれていましたが、 それはある程度導電率の低い(カーボンや半導体)についても、 それに相当した周波数(例えば直流)では成り立つのでしょうか。

    A1) 自由キャリアがない半導体ではDrude則は成り立たず、直流では有限の εr'を持ちます。自由キャリア密度の高い半導体では、GHz帯ではDrudeに従う負 の誘電率になります。グラファイト結晶は、網の面内では金属的ですが、網と網 の面間は半導体です。カーボンは、グラファイトの微結晶の集合体なので、半導 体と金属の中間的な性質になり、GHz帯では負の大きな誘電率をとると思います。
    Q2)また、緩和時間より高周波数側では、それら導電体のε'は金属の場合の Drude式 のようなものに従うのでしょうか。

    A2) 自由キャリアのない半導体はDrude則には従いません。
    金属の自由電子の緩和時間は10^-14[sec]のオーダーなので、緩和時間より高周 波数側というのは光の周波数になります。この周波数領域では、バンド間遷移に よるローレンツ型の誘電率スペクトルの重ね合わせで表されます。

    Q3)上記の式では、複合体の界面分極周波数の前後で導電体(誘電体2)のεr2' は変化 しないとしているように思うので、導電体の誘電率としてはどの値を代入すべき なのか気になります。 (私の興味のある周波数領域はGHz前後なのですが。)

    A3)半導体やカーボンのGHz領域の誘電率に、界面分極の影響もイオン分極の 影響もほとんど考えられないので、電子分極のみによります。金属や自由キャリ ア密度が大きい半導体では、誘電率は負の大きな値をとるはずです。 

    Q4) また金属で電子の散乱緩和時間というのは、その金属中の電子の移動度 に関係す るものなのでしょうか。そうなると、カーボンや半導体についての緩和時間は、 導電体 の導電率というより荷電粒子の移動度に関係(比例?)すると考えてよいので しょうか。
    A4) 金属の電子の散乱緩和時間をτとすると移動度μは、μ=eτ/mで表されま す。導電率σは、キャリア濃度Nとすると、σ=N(e^2)τ/mで表されます。

    Q5) さらに上記で複合誘電体の τ については、構成誘電体の導電率σの式で 表わされ ていますが、それよりも荷電粒子の移動度のほうが感覚的にはしっくりくるよう に思うのですが。
    (周波数増大に荷電粒子の移動が追随できなくなるところで界面分極がなくな る、というイメージ)

    A5)上の式に使われたτは、この誘電体の時定数です。
     γ=1としてみましょう。面積S,厚さdとすると
     τ=ε0εr1'/σ1=(ε0εr1'S/d)(ρ1d/S)=CR
     となり、時定数であることがわかるでしょう。
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    Date: Mon, 15 Mar 2004 12:14:50 +0900 Q2: 佐藤先生

    早速御回答いただきありがとうございました。
    丁寧にご説明いただいたにもかかわらず まだ理解不足なのですが、解釈としては、

    バンドギャップを持つ一般的な半導体(例えばSiC等)では Drudeの法則に従わない。
    (バンドギャップがある=自由キャリアがない)
    その場合GHz帯程度の周波数における誘電率は、ほぼ電子分極 (+イオン分極?)による値となる。

    というようなところでよろしいのでしょうか。
    (自由キャリア密度の「高い」「低い」のレベルが今一つピンとこないのですが。)

    あと、Q4の散乱時間と緩和時間の関係でお伺いしたかったのは、 ある本にSiCのホール(電子)移動度は1000cm2/Vsという値があり、 また別の本にCuの自由電子の移動度は0.0044m2/Vsという値があったので
    緩和時間が導電率ではなく移動度で決まるなら、 導電率の低いSiCの荷電粒子の緩和時間は 導電率の高い金属よりも大きくなる、と考えたのですが それは間違っていないのでしょうか。

    度々雑多な質問で申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
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    Date: Tue, 16 Mar 2004 12:39:30 +0900
    A2: O様、佐藤勝昭です。

    Q6)まだ理解不足なのですが、解釈としては、
    「バンドギャップを持つ一般的な半導体(例えばSiC等)では Drudeの法則に従わない。(バンドギャップがある=自由キャリアがない)。その場合GHz 帯程度の周波数における誘電率は、ほぼ電子分極(+イオン分極?)による値となる。」 というようなところでよろしいのでしょうか。
    (自由キャリア密度の「高い」「低い」のレベルが今一つピンとこないのですが。)

    A6)不純物を非常に濃く(10^18[cm^-3]以上)添加した半導体では、フェルミ準位が伝導 帯または価電子帯の中に入り、金属的な状態になります。これを縮退半導体とよんでいま す。このような半導体では自由電子または自由ホールによるDrude tailが見られます。こ のような場合の、GHz帯での誘電率は、負の値をとります。

    Q7)あと、Q4の散乱時間と緩和時間の関係でお伺いしたかったのは、 ある本にSiCのホール(電子)移動度は1000cm2/Vsという値があり、 また別の本にCuの自由電子の移動度は0.0044m2/Vsという値があったので 緩和時間が導電率ではなく移動度で決まるなら、導電率の低いSiCの荷電粒子の緩和時間 は導電率の高い金属よりも大きくなる、と考えたのですがそれは間違っていないのでしょ うか。

    A7) 一般に導電率σはキャリア数Nと移動度μを用いて、σ=Neμと表されます。金属の高 い導電率は、キャリア数の多さ(10^22[cm^-3]のオーダー)によっています。μが小さいの はμ=eτ/m*と表したときの緩和時間τが小さいのではなく、有効質量m*がほぼ自由電子 の質量moに等しいからです。半導体の導電率は、高い移動度に支えられていますが、これ は、小さな有効質量m*が原因です。GaAsの電子のm*=0.066moです。
    CuのτもGaAsのτも10^-14[s]のオーダーでそれほどちがいはありません。
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    Date: Tue, 16 Mar 2004 14:32:16 +0900
    AA:佐藤先生

    御回答ありがとうございました。
    SiCもキャリアは電子なので、有効質量が違うとは考えていませんでした。
    生半可な情報での思い込みは禁物ですね。
    大変勉強になりました。
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  • 338. 薄いファラデー回転子


    Date: Mon, 15 Mar 2004 19:30:04 +0900
    Q: 東京農工大学教授 佐藤勝昭先生

    突然メールにて質問させて頂くご無礼をお許しください。
    先生のホームページでこのような質問が可能であることを知りましてメールさせて いただきました。
    N社中村と申します。(ホームページ掲載時には社名は 匿名でお願いします)磁性材料に関しまして全くの素人です。

    光アイソレータの必須部材であるファラデー回転子について教えていただきたいと 思います。
    極めて安易な発想なのですが、液晶ディスプレイで用いられている偏光フィルムと ファラデー回転子を組み合わせて可視光域で、片側は光を通し、逆方向は遮断する ようなフィルタを、携帯電話くらいのサイズで実現できないものかと考えています。

    そこで、このファラデー回転子を

    @ 可視光全域で使用可能なものが、原理的に作製可能でしょうか?
    A 大面積化は可能でしょうか?
    B 比較的うすいガラスもしくはフィルムベースで作製する事は可能でしょうか?
    C 永久磁石を用いずに、磁性膜単体で作製は可能でしょうか?

    極めて的外れな質問かもしれませんが、素人ゆえのご無礼と理解頂き、御教授頂け れば幸いです。
    少しでも、可能性があれば是非チャレンジしたいと考えています。
    全く雲をつかむ様な話なのかもしれませんが、今回だけお付き合いください。

    よろしくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 16 Mar 2004 12:09:17 +0900
    A: 中村様、佐藤勝昭です。
     おたずねのファラデー回転子ですが、アイソレータとしては45°のファラデー回転が必 要です。可視光全領域でそのような大きなファラデー効果を示す透明な磁性体は現在のと ころ存在しません。従って、大面積もフィルムベースも不可能です。ガラスのファラデー 効果は小さいので、長さ12.5[cm]のクラウンガラスの棒に10^6[A/m]=1.25×10^4[Oe]の磁 界を印加して初めて45°回ります。磁性体単体の膜ではガーネットが赤外線ならファラデ ー回転子として使えますが、可視光では45°回転するだけの厚みにすると光が通りません。
     お役に立てず、申し訳ありません。
    :このQ&Aに対する
    コメントが寄せられています。
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    Date: Tue, 16 Mar 2004 13:00:48 +0900
    AA: 東京農工大学教授 佐藤先生
     早速のご回答どうもありがとうございました。
     やはり、このような光学部材は現在のところ夢物語であることが良く認識できま した。 もし、可能であればすでに色々なところで応用されていて当然だと、今になって 恥ずかしく思うばかりです。

     このような、全く的外れな質問にも、丁寧にご回答頂き、本当にありがとうござ いました。
     今後とも、よろしくお願いいたします。
    --------------------------------------------------------------------------------
  • 339. 導体の誘電損失


      Date: Mon, 15 Mar 2004 13:07:45 +0900
    Q1: 初めてメール差し上げます。
    K社中堀と申します。
    以前より、先生のホームページを拝見させていただいており、今回質問させていただ きます。
    (万が一webで公開される場合は「K社」でお願い申し上げます)

    過去も金属の誘電率というものがありました。
    私の質問は、非常に基礎的なもので恐縮なのですが、
    「導体に誘電率・誘電正接というものが存在するのか」というものです。

    弊社のなかでも誘電特性に関する仕事に携わっている人間がおります。
    彼らからは、導体の誘電率・正接については明確な定義が無いようなことを聞いてい ます。よって、測定を行っても数値が出ることもあるが、それが正しい数値ではないという 理解です。

    しかしながら、いろいろ調べますと、導体の誘電率をカタログに載せているメーカー なども有るようです。

    とりとめも無い質問で申し訳ございません。
    お忙しいとは思いますが、ご教示の程宜しくお願い申し上げます。
    -------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 16 Mar 2004 00:31:19 +0900
    A1: 中堀様、佐藤勝昭です。
     導体にも誘電率は定義できます。直流では、負の大きな値をとりますが、光の 周波数では極めてリーズナブルな値をとります。通常の誘電率の測定装置で評価 できないだけのことです。
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    Date: Tue, 16 Mar 2004 08:36:30 +0900
    Q2:佐藤先生
    早速の返答ありがとうございます。
    更に質問させてください。

    今回の質問の背景は我々が作っているセラミックスにあります。
    現在、セラミックス部品の多くが半導体・液晶製造装置(エッチャー、CVD)の絶 縁 部材として使用されています。
    それらの装置ではプラズマを発生させるために高周波、マイクロ波を用います。 (具体的には13.56MHz、60MHz、2.45GHzです)

    中には耐食性が目的でセラミックスを使用しており、絶縁が不要な部分もあります。 こういった場合、導電性部材を用いる可能性があります。

    誘電率、誘電正接があるということは、上記高周波などが透過された場合、その 部材は発熱すると言う理解をしています。

    そういった状況があるかわかりませんが、もしあった場合、部材の誘電特性は測定 出来ないが、使用したら予想していなかった温度上昇などがありえるということなの でしょうか。

    わかりにくい質問で申し訳ありません。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 16 Mar 2004 11:54:30 +0900
    A2: 中堀様、佐藤勝昭です。
     導電性部材の導電率をσ、比誘電率の虚数部をε"としますと、σ>ωε"ε0であれば 損失(発熱)はσから生じ、ε"から生じる分は無視できます。
     金属の誘電損失を普通のブリッジで測定することは不可能に近いと思います。なぜなら、 導電率と区別できないからです。赤外線の周波数については、屈折率nと消光係数κの測 定データが出ているものもありますので、それからε"=2nκとして見積もることができま す。しかし、その値をマイクロ波に適用することはできません。Drudeの式の損失項など 何らかの外挿によって、マイクロ波でのε"を推定するしかないと存じます。
     たとえば、Feの1012Hzにおける比誘電率の虚数部ε"は10^5のオーダーです。この値が マイクロ波2×109Hzにおいても成り立つとすると、ωε"ε0=2π×2×109×105×8.85×10-12=1.11×104[S] 一方、鉄の室温での導電率は1.02×105[S]ですから、ε"による導電性の値は1桁小さいと思われます。
     従って、導電性部材の誘電正接は考えなくてよいでしょう。
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    Date: Tue, 16 Mar 2004 13:19:47 +0900
    AA: 佐藤先生
    度々のご指導、ありがとうございます。
    頂戴したアドバイスを参考に、社内でも打ち合わせを行いたいと思います。
    この度は本当に有難うございました。

    またご質問させていただくことがあると思います。
    その際はよろしくお願いします。
    今後も先生のご活躍をお祈り申し上げます。
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  • 340. 薄いファラデー回転子Q&Aへのコメント


    Date: Tue, 16 Mar 2004 18:19:08 +0900
    東京農工大学教授 佐藤勝昭先生

    東北大学のKと申します。
    いつも、物性なんでもQ&Aで勉強しております。

    本日は、質問ではないのですが、気になった点をメールにて申し上げます。

    本日アップされた
    薄いファラデー回転子についてですが、 ベルデ定数は波長に依存するため、可視光全域で使用する際には、 45度の回転角を与えるためにそれぞれの波長で厚みを変える必要があるとおもいます。
    そのため、
    @ 可視光全域で使用可能なものが、原理的に作製可能でしょうか?
    という問いについては原理的に不可能だと思いますが、いかがでしょうか??

    少し気になったのでコメントをお送りいたしました。
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    Date: Tue, 16 Mar 2004 20:50:28 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございました。ご指摘の通りです。実際には、スペクトルがあります ので、それを補償することを考えない限り、可視全域にわたり45°を保つのは不可能です。
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  • 341. フォトニック結晶のlight lineとlight cone


    Date: Fri, 26 Mar 2004 16:57:36 +0900 (JST)
    Q: 佐藤先生、はじめまして。
    奈良先端科学技術大学院大学、M1のTと申します。(匿名希望)
    いつもHPを拝見させて頂いております。

    私も一つ質問させてください。
    フォトニック結晶について勉強しているのですが、「light-line」「light-cone」というものを理解する ことが出来ません。
    学振のHPに簡単な説明もあるのですが、どのようにして導かれたものなのか、物理的にどのような意味があるのか、よくわかりません。

    フォトニック結晶については解説書などもほとんどなく、調べる手段さえ思いつかないほどです。

    大変恐縮ですが、よろしければ、ご教示いただけないでしょうか?
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    Date: Fri, 26 Mar 2004 20:24:30 +0900
    A: T様、佐藤勝昭です。
    イタリアのシンクロトロン施設ElettraのHPにフォトニック結晶についてのすばらしい解 説(Luca Businaro:Fabrication and Characterization of Photonic Band Gap Materials) を見つけました。

    その中の2D photonic crystalsという章のPhotonic Crystal Slabsという節にLight Line とLight Coneの説明があります。
     2次元フォトニック結晶スラブというのは平面誘電体導波路を2次元パターンに従って 深くエッチングすることに得られるもので、xy面内では周期的で、垂直方向には階段関 数になっているような2次元パターンです。
    このようなパターンでは、light line 問題が起き、ブロッホモードにカットオフが生じ ます。導波路の厚みがあまり薄くなければ、フォトニックバンド図(添付)におけるクラッ ド層のk-ωの分散関係のlight lineより下の部分に導波モード(本当のブロッホ定在波)が 存在し、ロスなしに導波します。このlight lineよりも上では、連続的な状態と共鳴状態 にある「準導波モード」になり、面の上下方向に光を回折するようなleakyな(漏れのあ る)モードになります。このとき、平面導波路のほうは、単一モードになったり多重モー ドになったりします。もし多重モードになると、平面導波路における高次のモードの開始 に対応するカットオフをもつブロッホ波が生じます。
     light lineより上の部分は、2次元のkに対して円錐形になるので、この部分のことを light coneと呼びます。この中の状態の光は、スラブの上下に放射するのです。



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  • 342.バーベキューで日焼けするか


    Date: Wed, 07 Apr 2004 18:19:07 +0900
    Q: はじめまして, S社のKと申します。
    佐藤研究室のHP「物性なんでもQ&A」を見て質問いたします。

    先日、春の曇った日にバーべキューに行ってきました。
    ところが、次の日会社で日焼けしたね、と言われました。
    バーベキューの日は曇っていたので日焼けした覚えがなかったので もしかしてバーベキューの炭(黒体放射)で日焼けしたのかと疑い始めました。

    バーベキューの炭で日焼けするのでしょうか?

    黒体放射のスペクトルを見る限り バーベキュー程度の低い温度で紫外領域の光が出るとは思えないのですが、
    ご意見をお伺いいたしたく。よろしくお願いします。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 7 Apr 2004 21:15:52 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
     私は、皮膚科の医師ではないので、的確なお答えができるか不安ですが、 基本的には赤外線で日焼けすることはないと思います。
    あなたが日焼けされた 原因は、日頃屋外で過ごしていない方が、長時間屋外で過ごされので、 曇りの日でも一定量の紫外線がありますから、そのトータル照射量のために 日焼けされたものと存じます。
    Family ResourceのHP によれば、
    Limit sun time during the hours of 10am and 3pm when the sun's rays are strongest. Children can get a sunburn even on cloudy days
    と書かれています。
    またILRCのHP によれば、
    Did you know that you may still a get sunburn on a cloudy or overcast day? Always be sure to apply sun screen if you will be spending a lot of time outdoors - even if it looks a little overcast.
    と、曇りの日にも日焼けに注意しろと書かれています。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 08 Apr 2004 09:59:06 +0900
    AA: 東京農工大学工学部物理システム工学科
    佐藤勝昭先生
    S社のKです。
    よくよく考えますと、先生にお聞きするレベルの質問でなかったかなと 反省してましたが、丁寧にご返答していただきましてありがとうございました。 よく分かりました。

    今度は、先生にお聞きするくらいのレベルの 材料の物性についての難しい疑問が生じましたら またご質問させていただきます。

    ありがとうございました。
    ---------------------------------------------------------------------
  • 343. フォトダイオードの低温特性

    Date: Sun, 4 Apr 2004 16:38:47 +0900 (JST)
    Q: はじめまして私、金沢工業大学3年の中村和夫と申します。
    いつも楽しく先生のホームページを見させていただいております。
    早速なのですが、先生に3つ質問があります。
    1.低温(10K)における通常のダイオードIV特性
    2.仮に片方の層のみに光を照射したときの光電流方程式、
    3.フォトダイオードのI-V特性
    ****************************************************************************
    先ず1の質問なのですが、自分の調べた範囲ではどの参考書にも記載されていなかったので 先生に質問してみたいと思いました。
    通常のダイオードは低温において、ドーピングされた不純物が活性化されておらず p・n層共に価電子帯・伝導帯にキャリアがいないためIV特性を考えれば立ち上がり電圧が室温に比べて高くなることは予想できます。そこで質問です、もし仮に実験をするとするなら ば約何Kの温度までそのダイオードの特性を得ることができますか。 電圧を無限に印加できるのであれば少し立ち上がり電圧が高くなるが整流性のIV特性 は得られるというのが予想なのですが。
    **************************************************************************
    2.片方の層のみに光照射しと時(吸収係数を考慮して光進入長と照射したほうの膜厚を 同等した時)そのような状況の場合も通常の光電流の方程式を用いて導出してよろしいのでしょうか?
    **************************************************************************
    3 フォトダイオードのIV特性
    よく暗状態と光照射時のIV特性は参考書に記載されております。
    そこで質問があります。
    光照射時のIV特性は通常の暗状態のIV特性から光電流分の電流値をマイナス方向にスライド させているように見えるのですが、本当にそれだけでよろしいのでしょうか? 個人的な考えだと光が当たっている分、仮にn層のみ照射したなら(2の質問) 伝導帯にいる電子は増える分、立ち上がり電圧は(開放電圧ではない)低くなるよう な気がするのですが、間違っているのであれば先生の回答を聞きたいです。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 06 Apr 2004 01:40:48 +0900
    A: 中村君、佐藤勝昭です。
    1.低温(10K)における通常のダイオードIV特性
    中村君の予想通り、通常のpn接合ダイオードにおいて低温ではキャリアの活性 化が小さいので、n型側ではドナーが中性でフェルミ準位は伝導帯のすぐ下にあ り、p型側ではアクセプターが中性でフェルミ準位は価電子帯のすぐ上にありま す。従って、拡散電位差は、ほぼバンドギャップの大きさとなります。立ち上が り電圧が高くなるが整流性が得られるという予想は正しいです。ダイオードの式 にはexp(eV/kT)があるので、低温ほどIV特性における電流の立ち上がり方が急に なります。
    **********************************************************************
    2.片方の層のみに光照射した時の光電流の方程式
    太陽電池も一種のフォトダイオードですが、この解析では、表面から距離xの位 置にある電子正孔対の生成レートg(x)がその点での光吸収に比例するとして解析 しています。詳細は、濱川・桑田共編「太陽エネルギー工学」(培風館)p.22の式 (2.9)に詳しく出ています。
    ***********************************************************************
    3 フォトダイオードのIV特性
    通常、簡単のために、光照射下でのI-V特性は、暗状態のI-V特性をIscだけシフ トした形で書かれますが、正しくはもっといろいろな効果が加わっています。立 ち上がりの電圧が減少する効果だけでなく、表面層付近での再結合など、複雑な さまざまな効果が加わっているので、等価回路で並列抵抗Rshおよび直列抵抗Rs が加わった形で表します。このあたりのことは、前掲書のp.26 の式(2.20)に示 されています。
    -------------------------------------------------------------------------
  • 344. 青色波長でのアイソレータ材料


    Date: Thu, 8 Apr 2004 22:01:33 +0900
    Q1: 国立大学法人東京農工大学
    佐藤先生

    T社のMと申します。(Web掲載の際は匿名でお願い致します。)
    初めてメールさせて頂きます。
    磁性体に関していろいろ調べておりましたら、佐藤先生のホームページに辿り着 き、興味深く拝見させて頂いておりました。
    その折に、お忙しいであろう中、幅広い分野から数多くの質問の お答えになっている「物性なんでもQ&A」を見させて頂き、感動致しました。 私も先生のホームページの内容を拝見させて頂きまして、疑問が湧いて参りまし たので、失礼とは存じつつメールさせて頂きました。
    私は少しだけアイソレータ材料に携わった事がある者です。(ただし専門家では 御座いません)先生のホームページの中で「佐藤教員の講義」→「平成15年度(2003年度)の講 義」→「
    学生によるプレゼンテーション」とたどり、パワーポイントの資料を見させて頂きました所、ガーネット材料のファラデー回転角測定の項目を見つけました。イットリウム鉄ガーネット、ガドリニウム ビスマス 鉄 ガリウムガーネットのファラデー回転角を青色LEDを用いて測定されているという項目です。 学生が実際に膜を作製でき、LEDを使って測定まで行えるということを知 り、少し羨ましく思いました。
    ところで質問なのですが、私の記憶ではYIG(特にビスマス鉄ガーネット)は完 全に黒色で可視光は透過しなかったと思います。
    学生実験では青色LEDが用いられており、実際にファラデー回転角が測定で きておりますので、光が透過しているということだと思いますが、これは薄膜で測定しているからそうなるのでしょうか?
    あるいは私がだいぶ前に見たガーネット材料だけが黒色だったのでしょうか? 専門家ではないため、的外れな質問になっているかもしれませんが、ご教授頂け れば幸いです。
    また、アイソレータは光通信用に1〜2ミクロン付近で多く用いられていると思 いますが、学生実験で使用しておりました青色LED等の可視光(特に短波長光)の レーザー用のアイソレーターの必要性は今後増してくるのでしょうか?
    また、その際の候補材料として挙げられるものがございましたら、 その特性および想定される膜厚と共にご教授頂きたく存じます。
    学生実験で使用されておりましたガーネット膜も候補になるのでしょうか?

    お忙しい中、このような質問でお手間を取らせてしまうことが非常に心苦しいの ですが、 皆様同様に甘えさせていただきました。
    何卒よろしくお願い致します。
    今後ともよろしくお願い致します。
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    Date: Thu, 8 Apr 2004 23:04:09 +0900
    A1: T社M様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。ご質問にお答えします。
    ご指摘のとおりアイソレータとして45度偏光を回転させるためには磁性ガー ネットの厚みは100μm程度必要です。従って、光は透過しません。
     これに対し、私どもの場合、せいぜい1度くらいのファラデー回転なので、 薄くても十分です。実際、膜厚は1回の塗布焼結で40nm程度、学生実験にやら せている5回塗りで200nm程度です。従って青色LEDの光は十分透過します。
    実際、学生のプレゼンのパワーポイントにありますように、薄い黄色の膜で す。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 8 Apr 2004 23:30:31 +0900
    Q2: 東京農工大学
    佐藤先生

    T社Mです。
    遅い時間にも関わらず、さっそくのご返信誠にありがとうございました。
    不勉強のため、素人的に質問となり申し訳ございませんでした。
    勉強になりました。

    そうしますと、青色レーザー用のアイソレーターはいかがでしょうか?
    今後必要となる可能性はございますでしょうか?
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    Date: Fri, 9 Apr 2004 09:01:07 +0900
    A2: 佐藤勝昭です。
     少なくとも、現在のガーネットでは難しいと存じます。
    そのためには、可視透明の磁性体(または磁性半導体)の開発が望まれるのです。
    酸化物の磁性半導体が開発されれば、可能性はかなりあると存じます。TiO2系、ZnO系、 GaN系などに遷移元素を添加した磁性半導体の研究が進められているので、そのうち、可 能になるかもしれませんね。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 9 Apr 2004 10:11:17 +0900
    AA: 東京農工大学
    佐藤先生
    T社Mです。お世話になります。
    ご返信誠にありがとうございました。大変勉強になりました。
    ガーネット以外の酸化物磁性体について、もう少し突き詰めて 調べてみたいと思います。
    お忙しいところ、ありがとうございました。
    今後ともよろしくお願い致します。
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  • 345. ポリエチレンの比誘電率


    Date: Sun, 11 Apr 2004 14:30:13 +0900
    Q1: 私はM社のOというものです。
    同軸ケーブルの静電容量を計算しようとしてるんですが、 ポリエチレンの比誘電率が2.2〜2.4と曖昧な為、 どの値で計算したらいいか分かりません。
    ポリエチレンの比誘電率を教えてください。
    また、その情報が掲載されてるサイトもあれば教えて下さい。
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    Date: Sun, 11 Apr 2004 15:41:29 +0900
    A1: O様、佐藤勝昭です。
     ポリエチレンの誘電率は、密度によって異なるようです。
    http://www.sdplastics.com/polyeth.htmlによれば
    low densityでは2.25-2.35, high densityでは2.3-2.35
    と書かれています。また、ラミネートされた場合に厚くなるほど誘電率が下がる 傾向が知られています。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 11 Apr 2004 16:14:23 +0900
    Q2:佐藤勝昭様
    返信ありがとうございます。
    密度が変化することで、誘電率はどう変化するのか、 誘電率と密度の関係を教えてください。
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    Date: Mon, 12 Apr 2004 20:20:41 +0900
    A2:O様、佐藤勝昭です。
     誘電率と密度の関係はたぶん比例するのではないかと存じますが、温度・周波数その他 の因子も大きいようです。また、強度を稼ぐために架橋を進めているものがありますが、 これなどは誘電率を下げている可能性があります。したがって、ケーブルの設計に際して は、実際にお使いになる材料についてメーカーに問い合わされるのがよいのではないかと 存じます。
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    Date: Mon, 12 Apr 2004 20:36:10 +0900
    A2-2:O様、佐藤勝昭です。
     有機電子材料が専門の本学有機材料化学科の臼井助教授に問い合わせています。何らか の情報をいただけると存じます。
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    Date: Fri, 16 Apr 2004 14:22:21 +0900
    A2-3:O様、佐藤勝昭です。
     本学有機材料化学科の臼井助教授から返事があり、ポリエチレンの誘電率は、物質定数 ではないので、対象とするもの毎に測定しなければならないというお返事を頂きました。  完全にアモルファスの材料なら、誘電率を特定できますが、ポリエチレンはアモルファ スと結晶とが混合した状態であり、混合の程度はものによって異なるので、誘電率もばら ついており、幅のある値を示すのだそうです。
    ------------------------------------------------------------------------------
  • 346. アルミニウムの反射率


    Date: Mon, 26 Apr 2004 02:12:25 +0900
    Q: 突然のメールで失礼いたします。
    広島大学先端研の修士2年の高瀬と申します。

    先生の運営されているサイト、興味深く拝見させていただきました。 大変勉強になりました。
    つきましては、お忙しい中申し訳ないのですが、 ひとつ基本的な質問にお答えいただければと存じます。

    私は光の研究を行っておりまして、アルミ二ウムをミラーとして用いています。 アルミ二ウムの反射係数を調べていたとき、800nmより少し小さい波長で反射係 数が落ちていることが分かりました。
    恐らくアルミ二ウムは、200nmあたりでバンド間の吸収がなくなり反射し始めま す。
    また、800nmあたりでプラズマ振動による反射が起こり、反射係数が増えます。 しかし、800nm弱で反射が減少している理由が納得いきません。

    もしかすると、物性を理解するうえでまったくエッセンシャルな問題ではないか もしれませんがお教えいただけるとうれしいです。

    高瀬 功介
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    Date: Mon, 26 Apr 2004 11:41:00 +0900
    A: 広島大学高瀬様、佐藤勝昭です。
     お尋ねのようにAlは800 nm付近に反射率のdipがあります。
    誘電率ε"の虚数部のスペクトルには800nmにおいてピークが生じますが、これはこの付近 のエネルギー(1.55eV)でバンド間遷移が始まるためです。
     アルミの場合バンド間遷移がなければ、ドルーデの式ε'=1-ωp^2/(ω^2+γ^2)におけ るプラズマ共鳴周波数ωpは(文献にもよりますが)10eV付近にありますから、本来は反射 率は可視全域で100%近いはずです。しかし、バンド間遷移のため、1.5eVで虚数部ε"にピ ークが生じるとそれとKramers-Kronig関係にある実数部ε'には分散型の曲線が重畳し、 これが反射率にdipをもたらします。このように金属では本来のプラズマではなく、バン ド間遷移が重畳することによるハイブリッドプラズマが生じているのです。詳細はPines のElementary Excitation in Solidsをお読みになって下さい。
     言い換えれば、800nmより長波長の反射は自由電子のプラズマ振動による高い反射率を 示すが、それより短波長ではバンド間遷移を引きずったようなハイブリッドプラズマとな っているので反射率が低くなっていると解釈できます。
     おわかりになりましたでしょうか。
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  • 347. 鉛の密度


    Date: Mon, 26 Apr 2004 10:48:19 +0900
    Q: 東京農工大学
    佐藤 勝昭 教授殿
    ホームページを拝見しました。

    某燃料メーカーで遮蔽材料に関する研究もしている高橋という者です。 遮蔽材料としては一般に密度の高い物質を利用します。(但し、ガンマ 線遮蔽の場合)通常、どこの放射性同位元素等を扱うところでも、鉛 ブロックを使用していますが、よく調べると鉛の密度は最大のものに 比べて半分くらいです。同じ周期律のタンタルからチタン(質問者の思い違い:Tiは同じ周期にありませんし、密度4.51の大変軽い金属です!)までが大体 20g/cm3であるのに、鉛、ビスマス、アンチモン(質問者の思い違い:Sbは同じ周期にありません)と小さくなります。原子 核の質量数があまり変わらないと考えると金属での結晶構造の違い または格子間距離の違いが考えられます。また、アクチノイド元素の ように密度の変化する金属がありますが、低温(常温)が一番密度が 高くなっています。
    物性物理が専門ではなかったので、どうして鉛の密度が高くならない のか?分かりません。ご質問させて頂きました。
    お忙しいと思いますが、回答の方頂けないでしょうか?
    以上、宜しくお願い致します。

    (遮蔽材料としては、単価が安い、酸化しにくい等で鉛が使われている と理解しています。)
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    Date: Mon, 26 Apr 2004 14:21:55 +0900
    A: 高橋様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。ご質問の趣旨がよくわからないのですが、鉛の密度を何 らかの方法で高くできないかという意味でしょうか。それとも、純粋に物理的興味で、鉛 の密度を決めているのは何かということなのでしょうか。
     前者については物理的に不可能なので、ここでは後者の質問であると考えてお答えしま す。
     鉛を同じ4属元素の中で比べてみますと、C 3.513, Si 2.33, Ge 5.323, αSn 5.75で すからPb 11.35は抜群に密度が高い物質です。C→αSnはダイヤモンド構造をとるので、 隙間が多くガサガサですから密度が低くなります。これに対してPbは立方最密構造(fcc) をとるので、遙かに格子定数が小さくなり密度が高くなります。αSnの格子定数は6.49Å であるのに対し、Pbでは4.95Åしかありません。
     今度は、鉛を周期表で同じ段の元素と比べてみましょう。確かに5d遷移金属であるHfは 13.31, Ta 16.65, W 19.3, Re 21.02, Os 22.57, Ir 22.42, Pt 21.45, Au 19.32ですか ら、ご指摘の通りPbの倍近い大きな値を持っています。結晶構造はまちまちで、Hf hcp (a=3.19Å c=5.05Å), Ta bcc (a=3.3), W bcc (a=3.16), Re hcp(a=2.76 c=4.46), Os hcp (a=2.74 c=4.32), Ir fcc (a=3.84), Pt fcc (a=3.92), Au fcc (a=4.08)です。格子 定数は結晶構造が違うと定義が異なるので簡単には比較できませんが、立方晶換算でほぼ 3-4Å程度なので格子の体積はかなり小さく密度が高いのです。なぜ遷移元素は、原子番 号が変わっても格子定数があまり変化しないかというと、5d電子が結合に使われず主とし て6s電子のみが金属結合に寄与しているからです。5d殻が閉じてTl (6s^26p^1), Pb (6s^ 26p^2)、Bi (6s^26p^3)と行くに従い結合に使われる電子数が増え格子定数が大きくなる ので、密度が低下(Tl 11.85, Pb 11.35, Bi 9.74)するのでしょう。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 26 Apr 2004 16:38:38 +0900
    AA: 佐藤 勝昭 教授殿、回答ありがとうございました。
    温度や圧力で密度が変わらないのかという疑問もありましたが、物理的な説明で分かりました。 もう少し整理した文章にするように努めます。
    こんなに早い対応、助かりました。
    ------------------------------------------------------------------------
  • 347bis. ペロブスカイト型強誘電体の圧電性


    Date: Mon, 26 Apr 2004 17:00:48 +0900
    Q1: 東京農工大学 佐藤勝昭先生

    突然のメールで失礼いたします。 私、大阪府立大学修士2年のOと申します。 (匿名でお願いいたします)

    物性なんでもQ&A大変参考にさせていただいています。
    さて、私も1つ質問させていただきたいと思いメールさせていただきました。

    現在、強誘電体薄膜の研究を行っています。
    ペロブスカイト型の結晶構造を持つ強誘電体材料の 圧電性についてはAサイトイオンを重く、Bサイトイオンを 軽くすることにより高い圧電性を示すことが予想されています。 しかし、なぜこのように予想されるのか物理的な根拠はないようで、 フォノンの相関かと予想しかできません。
    私は、圧電性に優れた材料の開発を目指していますが、 こういうところが曖昧ですので、就職活動で研究テーマを 述べるのにやや自信に欠いてしまいます。

    そこで先生にこの傾向について何かの知見や予想されること、 このようなことを記述する論文等がありましたら ご教授願いますでしょうか?

    お忙しいところ誠に申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 26 Apr 2004 20:07:08 +0900
    A1: O様、佐藤勝昭です。
     定性的にお答えしますと、
    ペロブスカイト型強誘電体たとえば、BaTiO3はBaが格子の骨格を作っていて、中に酸素の 8面体がはまっていて、その中心にTiが置かれ、Tiが変位することによって、変位型の強 誘電体となっています。圧電性はこの強誘電性に伴うものです。従って、Aサイトのイオ ンによる骨格はしっかりしていて、Bサイトのイオンが動きやすいことが重要だといえる でしょう。このためにはAサイトは重いイオン、Bサイトは軽いイオンというのが好都合 なのです。ただ圧電性を出すためには他にも条件があると思います。Aサイトイオンを重 く、Bサイトイオンを軽くというのはそのうちの1つの条件といえるでしょう。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 27 Apr 2004 10:29:15 +0900
    Q2: 佐藤勝昭先生
    早速のお返事ありがとうございました。
    Aサイトイオンを重く、Bサイトイオンを軽くというのが 1つの条件といえるのならば、他にどのような条件が 考えられますでしょうか。
    度々申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 27 Apr 2004 19:33:34 +0900
    A2: O様、佐藤勝昭です。
     強誘電性をもつものは必ず圧電性がありますが、逆は真ならず、強誘電性のない圧電体 もあります。たとえば、CdS, ZnO, αZnS, GaAsなどがそうです。このことは、圧電性が 必ずしも自発分極を必要としないことを意味します。このことを言いたかっただけです。
     ペロブスカイト型セラミクスにおける圧電性については、B.Jaffe:"Piezoelectric Ceramics"(Academic Press, 1971)に詳しく載っているそうですが、私自身は読んだこと はありません。
    日本における圧電セラミクスの開発の歴史や秘話については、村田製作所 編「驚異のチタバリ」(丸善, 1990)という本に、多くの偉い先生方がわかりやすく執筆し ておられますので、一度読んでご覧になるとよいでしょう。ただしこれを見ても、圧電性 を高めるためのポリシーなどは出ていません。多くの文献が紹介されているので、調べる といろいろわかるかもしれませんが・・・。いずれにせよ、ペロブスカイト型強誘電体の 開発は、1970年以前に行われたことなので、必ずしもミクロな物理的描像をきちんと抑え てあるわけではないと思います。新しい視点で捉え直すというのも一興かと存じます。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 27 Apr 2004 19:41:28 +0900
    佐藤勝昭先生

    度々本当にありがとうございました。
    もっと勉強して想像力も豊かにして立派な研究者に なれるように頑張ります。
    ------------------------------------------------------------------------------
  • 348. 酸化スズの熱伝導率


    Date: Wed, 28 Apr 2004 12:07:23 +0900
    Q: 佐藤先生

    グローリー工業 上山と申します。お世話になります。
    物性なんでもQ&Aには色々役立つ情報があり、よく活用させて頂いております。

    さて、当方では酸化スズを使ったセンサ開発を行っております。
    その中で、酸化スズ薄膜の熱伝導シミュレーションをする必要があるのですが、 酸化スズの熱伝導率、密度、比熱等の情報がなかなか入手できず困っています。 ご存知であれば教えて頂きたく思います。

    以上、宜しくお願い申し上げます。
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 28 Apr 2004 22:00:20 +0900
    A:上山様、佐藤勝昭です。
     SnO2の熱伝導率はP. Tuerkes, Ch. Pluntke, R. Helbig, J. Phys. C: Solid St. Phys. 13, 4941 (1980)に載っています。
    Table 1: Thermal conductivity in the (001) direction of SnO2 bulk crystalline
    T(K)k(W/m-K)
    318.160083.4250
    206.2700137.6900
    161.7900174.0800
    136.5800224.8300
    120.3500239.6800
    101.6100299.8100
    84.8790391.3700
    56.2040632.3000
    46.9340879.9200
    44.5110968.5300
    37.16901347.8000
    32.75201452.2000
    27.95301704.0000
    20.40001548.2000
    16.54301333.5000

    比重は〜6.45(http://www.reade.com/Products/Oxides/tin_oxide.html)です。
    比熱は手元に資料がありません。
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    Date: Thu, 6 May 2004 09:24:53 +0900
    AA:佐藤様

    早速のご回答有難うございます。
    大変助かりました。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。
    上山。
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  • 349. 人間の血液での732nm励起

    Date: Tue, 4 May 2004 02:30:30 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    「光と磁気」で、勉強させて頂いております。初めてメールいたしますA社の小澤伸次ともうします (社名は隠して下さい)。HPを拝見し、メールさせていただきました。
    分光光度計での測定で、人間の血液に732nmで励起モードになるピークがありまし た。血液を構成する生体物質でこの波長で励起モードになる成分はございません。何 らかの金属イオンの励起モードかと推察していますが、どの金属イオンなのか色々と 調べましたが不明です。人間の血液中には微量金属元素として、 Cu,Co,V,Te,Se,Cr,Mo等含まれております。何か想定されうる金属イオンについて御 存知でしたら御教授願いたくお願い致します。

    又、人間の血液に3Tの強磁場をかけて血清を分離すると分光光度計での測定で732nm で励起モードのピークが大きくなります。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 04 May 2004 12:19:05 +0900
    A: 小澤様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございました。私は、生体物質関係についてはほとんど研究 したことがなく、そのギョーカイの言葉が通じません。あなたのお使いの「励起 モード」という意味がよくわからないのですが、何か蛍光の励起スペクトルを測 定して励起のピークを見つけられたのでしょうか。それとも単なる「吸収帯」の ことをそちらのギョーカイでは「励起モード」というのでしょうか。













     ヘモグロビンHbと2酸化ヘモグロビンHbO2の光吸収スペクトルは、いろんなと ころに出ているので専門外の私も知っています。
    (例えば、
    医用物理のHP
    Hbのスペクトルの吸収の裾に760nm付近に小さなピークが見られます。

    この吸収の起源はFe2+と周りのヘムを含む錯体における電荷移動遷移(a2u->t2g) にアサインされているようです。
    小澤様の見出されたのは、732nmということですから、これとは異なるのです ね。760nmの吸収帯に重なって出ているのでしょうか?
     微量金属Co,V,Te,Se,Cr,Moのうち可視-近赤外域に吸収をもたらすのは、Co, V, Cr, Moの可能性があります。一般には吸収は弱く、ヘモグロビンのFe吸収に 隠されてしまうと存じます。
    Co2+であれば、米国科学院ProceedingsのHPにありますように、600-800nmにわたるbroadな吸収ですから、732nmのスペクト ルがCoであるとは考えられません。  いずれにせよ、もう少し詳細なスペクトルと測定条件などをお教え頂かないと 判断のしようがありません。
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 04 May 2004 13:19:47 +0900
    AA: 佐藤 勝昭 教授殿、回答ありがとうございました。
    こんなに早い対応にびっくりしています。
    732nmのスペクトルがCoであるとは考えられないことに先生の説明で自信がつきまし た。
    仕事で再生医療に関する生体物質の分離・精製を行っていますが、 この分野は未開拓の部分が多く、最新の機器での成果は過去に出来なかった事が 出来るようになっております(例えば、m-RNAの磁気による選択分離やレーザーによ るDNAの選択位置の固定等)。あらためて「光と磁気」の重要性を痛感いたしております。
    又、本質問ですが先生のWebサイトの主旨と異なりますので、 ヘモグロビンを除去した血清のデータを整理した上で再度御質問させていただきたく 存じます。
    回答誠にありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------
  • 350. 石英ファイバーとシリカファイバーの違い


    Date: Sat, 8 May 2004 18:43:13 +0900
    Q1: HPをみました!
    *石英ファイバーとシリカファイバーの違いや特性を教えていただきたいのです が・・・(例えば、レーザー光の伝わる比率・耐久性・構造・メリットデメリット等) できれば、教えていただきたいです。すいません。
    J株式会社ファイバー営業部 堀内
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 08 May 2004 21:58:49 +0900
    A1:堀内様、佐藤勝昭です。
     石英ファイバーとシリカファイバーは同じものです。
    石英ファイバーに使う石英はSiO2結晶ではなく溶融石英です。溶融石英(fused quartz)は石英ガラス(silica glass)とも言います。
    あなたのギョーカイでは、石英とシリカを使い分けているのでしょうか。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 10 May 2004 18:19:30 +0900
    Q2:佐藤先生
    お返事ありがとうございます。
    レーザーに対して接続するファイバーなのですが製品として一つに石英ファイバーの外側 はテフロン樹脂で覆われていまして、二つにシリカファイバーの外側はポリアミドコーテ ィングされています。先生が言われますように、石英ファイバーとシリカファイバーは同 じものであるのならばコーティングの区別によって性能の違いがあるのでしょうか?
    堀内
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 11 May 2004 20:51:54 +0900
    A2:堀内様、佐藤勝昭です。
     石英ファイバーがテフロンコート、シリカファイバーがポリアミドコートということで すが、同じ会社の製品なのでしょうか。会社が異なるので一方では石英とよび他方ではシ リカと呼んでいるのではないかと思いますが。会社が違えば、使っている材料の性質が微 妙に違うので、直接比較はできないと存じます。具体的に、どこのどの製品ということを お教え頂けないでしょうか。
     光ファイバーは、コアとクラッドという屈折率の違う石英ガラスからできていて、レー ザー光はコア内を(コアとクラッドの屈折率差を利用して)全反射しながら伝わるのです が、さらにクラッドの外側に保護のためのプラスチックのコーティングがしてあります。 ファイバー内の伝搬特性はコアとクラッドで決まっているので、外側のコーティングによ って変わることはありませんが、耐久性や耐衝撃性、曲げ耐性などにちがいがあるのでは ないでしょうか。
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    Date: Wed, 12 May 2004 10:02:39 +0900
    Q3:佐藤先生
    お返事ありがとうございます。
    お手数をお掛けしています。
    具体的にどこの製品とは限定してないんですが、これから半導体レーザーの開発を行 う予定なのですがそこで試験的・実験的にファイバーの試験を行います。どの種類の ファイバーを使うべきかの判断に迷っています。一つは石英ファイバーのテフロン コート、二つはシリカファイバーのポリアミドコートのどちらが望ましいかになりま す。(先生が言われますように耐久性・曲げ耐性・透過率等の問題が浮上していま す。)
    私の方でもっと詳しい情報がわかりましたら再度ご連絡いたします。
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  • 351. カーボンブラック中の金属の除去法


    Date: Sun, 9 May 2004 18:07:24 +0900
    Q: 佐藤先生
    はじめまして、ホームページを拝見しまして、是非金属のことでご教授いただきたい内容がありましたので メールをさせていただきました。
    S社のKと申します。匿名でお願いします。
    当社はカーボンブラックを製造するメーカーです。
    現在タイヤをはじめ各種のゴム製品の補強材として使用されております。
    最近ゴム業界では、ゴムを加硫するのにマイクロウエーブを使用することが多くなってきました。このためカーボンブラック製造時に金属が入ることを避けなければなりません。といっても1ppmもないくらいですが。 金属が発熱することによりゴム製品中に空洞が出来るためです。
    現在製造工程では、腐食に強いSUS304やSUS316を使用しています。しかし、カーボンブラック製造時に発生するガス等で実際には腐食が起こっています。この腐食により、カーボンブラック中に数ppmのSUS304やSUS316が認められました。
    現在、金属を取除くために、1万5000ガウスのマグネットを取り付けております。このマグネットは、常磁性である、SUS304や316の粉末をくっつけることが出来ます。
    前置きが長くなりましたが、ここで質問をさせてください。

    @ SUS304、316が腐食(SOxガス)した時は、なぜ強力な磁石で 取除くことができなかったのでしょうか。腐食物は、SUS304や 316とは構造が異なり、反磁性になるのでしょうか。 腐食物はどのような構造が考えられるのでしょうか。

    A このようなマグネットにつかないものに、磁性を帯びさせ マグネットで除去する方法がありますでしょうか。
      マイクロウエーブをあてるようなことも効果がありますでしょうか。

    すみませんがよろしくご教授ください。
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    Date: Sun, 09 May 2004 23:56:46 +0900
    A:K様、佐藤勝昭です。
     ステンレスSUS304, SUS316が腐食したときにどのような物質になるかについて Webで調べたところ、
    DOEのM. Ziomek-Morozの論文が引っかかってきました。
    これによれば、hematite (alpha-Fe2O3) ができているようです。
     さて、この物質は反強磁性体ですが、Morin temperature(TM)=260K 以上では weak-ferromagnetismを示すということが知られています。(Morin, Phys. Rev. 93, 1195 (1954))Weak-ferroというのは反強磁性モーメントが傾いていて正味の 磁化が生じている磁性とされています。従って、もし、hematiteができているな ら強い磁界で除去できるはずです。ということは、あなたの場合hemaiteではないのでしょ う。何か磁化率の小さな常磁性化合物ができている可能性が高いと思います。も し、腐食でできた化合物がカーボン粒子に含まれているならカーボンの反磁性磁 化率のほうが金属の常磁性磁化率より大きくなり粒子全体としては反磁性になる と存じます。
     腐食でできた化合物が常磁性ならば、室温で磁化率が小さくても液体窒素温度 にすると磁化率が大きくなるので、磁気的に取り除けるのではないかと存じます。  いずれにせよ、ステンレス鋼の腐食によってできた化合物を分析して、何がで きているかを特定しないと除去の方法が見いだせないのではないでしょうか。
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  • 352.

    空気のヤング率


    Date: Mon, 10 May 2004 15:20:33 +0900
    Q:佐藤研究室殿
    R社 Fです。
    現在、FEM解析で、空気の収縮による材料変形と最大応力値について解析しています。
    その際に使用する空気の物性値(ヤング率・ポアソン比・熱膨張係数)をご存知であ れば教えていただきたいのです。
    イメージとしては、正方形のセラミックの箱を350℃で製造(密閉)し、 室温での箱の変形(収縮による)をイメージしています。
    FEM解析では上記の物性値が必要とツールメーカーに聞いています。
    熱膨張係数については、以前アップしてある 2003.11.10 空気の熱膨張係数 でいいでしょうか??
    よろしくお願いします。
    以上
    -------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 10 May 2004 15:45:29 +0900
    A: F様、佐藤勝昭です。
     ヤング率、ポワソン比は固体にのみ適用できる物理量で、理想気体においては定義でき ません。ポワソン比は、引っ張り方向に垂直方向の歪みを平行な歪みで割った量ですが、 そもそも流体においては、剪断力が働かないのですから、この量を考えること自体がナン センスです。密閉した容器に入れた場合の圧力と体積の関係は、ボイル・シャルルの法則 に従います。理科の基本に戻って考えて下さい。
    膨張係数も結局はボイル・シャルルの法則が基本です)
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  • 353.

    鉄心材料


    Date: Mon, 10 May 2004 15:23:01 +0900
    Q: こんばんは。M大学で電子関係の勉強をしているTです。
    突然なのですが、質問に答えて頂けたら幸いです。
    鉄心材料として用いるのに適している物質を5つほど調べているのですが、なかなか 調べ切れません。
    恐れ入りますが、それぞれの物質の説明をそえてお答え頂けないでしょうか。
    よろしくお願いします。
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    Date: Mon, 10 May 2004 15:49:22 +0900
    A:T様、佐藤勝昭です。
     このコーナーでは宿題に直接お答えすることはできません。
    図書館に行って、磁性体ハンドブック、磁気工学ハンドブックを探して、軟質磁性体の項 目を探しなさい。インターネットで安易に答を教えてもらうというのは、心得違いですよ。
    -----------------------------------------------------------------------
  • 354. 金属の近赤外反射特性


    Date: Fri, 14 May 2004 14:25:31 +0800
    Q1: 拝啓佐藤先生、
    初めてメールさせていただきます。マレーシアのK株式会社のKと申します。(できれば匿名でよろ しくお願いします)
    現在近赤外、特に780nm〜2,500nmまでの範囲における金属微粒子の反射 率を検索しているときに先生のホームページに行き当たりました。
    258項の「中赤外における金属の反射」を参考にさせていただいておりますが、当 方の関心あるレンジとずれているため、もし出来れば、上記のレンジにおける金属の 反射率を御教授いただければ幸いです。
    また、先生が記述された金属以外の中でももし反射率が高いもの(出来れば80%以 上)がございましたらその点についても御指摘願えますでしょうか。
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    Date: Fri, 14 May 2004 20:38:30 +0900
    A1: 加藤様、佐藤勝昭です。
     金属の反射率は分光特性を持っています。780nm〜2500nmの広い波長領域では、反射率 は波長によってかなり大きく変化します。(ほとんどはDrude則に従います)
    Al, Ag, Au, Cu, Rhの220nm-10μmの反射率スペクトルは理科年表の物理/化学の光学的性 質の項に載っています。
    もっと広い波長領域についての金属の屈折率nと消光係数κの値は、Palik "Handbook of Optical Constants of Solids I, IIに掲載されています。
    I巻に掲載されている金属は、Al, Cu, Au, Ir, Mo, Ni, Os, Pt, Rh, Ag, Wです。
    II巻に掲載されている金属は、Li, Na, K, Cr, Fe, Nb, Ta, Be, Co, Hg, Pd, Vです。
    反射率RはR={(n-1)^2+κ^2}/{(n+1)^2+κ^2}の式で計算できます。
    LB(Landolt Boernstein) のNew Series III 15 b Optical constants of pure metal には、もっと多くの金属の広い波長域の誘電率の実数部、虚数部、屈折率、消光係数、反 射率が収録されています。
    手元の資料では、Al, Cu, Au, Ir, Mo, Ni, Os, Pt, Ag, Wは全て2500nmにて80%以上の反 射率を示しますが、780nmになるとAl86%, Cu98%, Au97%, Ir72%, Mo56%, Ni68%, Os38%, Pt71%, Rh82%, Ag99%, W49%となり、広い範囲で80%をクリアするのは少ないようです。
    あとはご自分でお調べ下さい。
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    Date: Sat, 15 May 2004 13:58:55 +0800
    拝啓佐藤先生、
    K社のKです。
    早速の御回答いただき大変有難うございました。これだけ早く御回答いただけるとは うれしい限りです。また先生のお時間を割いていただきましたことにも深く感謝いた します。
    さて、今回御教示いただきました点、資料を手に入れ研究していく所存です。マレー シア在住のためなかなか専門書の入手が難しいのが難点ですが。
    まだまだ勉強不足を痛感する今日この頃です。また、お世話にならなければならない ことが生ずるかもしれませんが、お邪魔にならない限りお付き合いいただければ幸い です。
    どうも有難うございました。
    敬具
    ----------------------------------------------------------------------------
  • 355. ガラスの赤外特性


    Date: Fri, 14 May 2004 19:17:22 +0800
    Q1: 拝啓佐藤先生、
    先生のホームページを赤外光反射物質の検索をかけている際に見つけました、コー ティング剤の研究を始めたK社のKです。(できれば匿名にてお願いいたします。)
    先生のホームページ非常に興味深く勉強させていただいています。あまり専門的な部 分についてはわからないところも多いのですが、守備範囲の広さに驚くばかりです。 ところで、コーティング剤の対象物としてさまざまな質問内容を拝見させていただい ている間、質問事項282、「金属微粒子の赤外光物性」で、
    「Q: 温室が暖かくなるのは、ガラスが赤外線を吸収し、ガラスが熱くなるからです か?それとも、外からガラスを通過し内部に入った赤外線が、外に出られなくなり、 内部の空気、植物等の水分や有機物に吸収されるからでしょうか?
    → A: 後者が正しいのです。ガラスは可視光線は透過するが赤外線は通しません。ガ ラスを通った可視光線が植物に吸収され、熱(赤外光)に変換されますが、赤外線はガ ラスをから外に逃げないので温かいのです。」
    という説明に少し追加事項を加えられればと思いました。
    「一般に広く使われている、反射などの機能が付与されていない透明な板ガラス(フ ロート板ガラス)の場合、一般に太陽光の300nm〜2,700nmをよく透過す るといわれています。」(旭硝子板ガラス建材総合カタログ、技術資料編2−1、板ガ ラスの特徴の光、熱と板ガラスの項参照)板ガラスの厚みにより、エネルギー透過率 は変化しますが、例えば、3mm厚の場合、300nm〜2,700nmの範囲では 平均80%程の透過率が有ります。
    それに対し、2,700nm以降になりますと、透過率は30%以下に下がる特性を 持っています。(分光データについては当方も分光器にて実際に測定してみましたが 公表されていたデータに近い数値が出ていました)
    ですから、なぜ温室の室温があがるかについて言えば、日射の放射エネルギーは短波 長側にシフトしているためガラスはこの部分のエネルギーは透過させますが、一度、 温室内の植物、室内の壁や、床、家具などに吸収され再放射される際には長波長側に シフトしてしまい、ガラスがより透過させにくい2,700nm以上の長波長側に なっているため、温度が上昇すると思われます。(旭硝子板ガラス建材総合カタロ グ、技術資料編3−1、2日射と室内発熱の項参照)
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    Date: Fri, 14 May 2004 20:40:56 +0900
    A1: 加藤様、佐藤勝昭です。
     おっしゃるとおり、2700nm以上の波長の赤外線を透過しないというのが正確でしょう。 ただ、赤外線でも2500nmより短い波長域のものは「熱」としては扱えないと思います。
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    Date: Sat, 15 May 2004 13:52:33 +0800
    拝啓佐藤先生、

    K社のKです。早速のご回答いただき誠に有難うございます。
    先生より御指摘いただきました点、当方勉強中の赤外遮蔽と省エネ、快適な居住空間 の関係において関連がありますので大変興味があります。
    先生より御指摘いただきました、2,500nm以下の短波長ものは熱としては扱え ないということでした。

    文献によって若干の違いがあるようですが、一般に太陽光の波長を280nm〜2, 500nmとしています。(ISO9050:1990等)
    建築やガラス業界では省エネを目指す場合、ガラスよりの熱流量を抑えるためにいか に可視光透過率を下げずに近赤外の780nm〜2,500nmを遮蔽できるかが競 われています。それで、当方の理解ではこの近赤外の部分も「熱」として理解していた のですが、当方が引用しました旭硝子の資料でも、「室内で発生する放射は、発熱源 が比較的常温に近いために波長が長くなるというように、その波長域が異なるため分 けて考えるのが普通です。」との記述がありました。(旭硝子板ガラス建材総合カタ ログ、技術資料編3−1、2日射と室内発熱の項参照)
    先生より御指摘受けましたいわゆる「熱」というのはこの長波長の事を指しておられる と理解してよろしいのでしょうか。

    また、人体が感じる快適度という点では、780nm〜1,200nm付近(これも 文献により若干の幅あり)を遮蔽することにより皮膚が感じる不快なジリジリ感が押 さえられるとも言われています。近赤外は物質の表面温度を上げる効果があると理解 しているのですが、それとあわせて考えると、当方の考え方は理屈にかなっているよ うに思われるのですが、この場合、体感する「刺激(ジリジリ感)」と「熱」とは必ずし も同一、あるいは一致しないことになります。この考え方は正しいのでしょうか。

    舌足らずな説明で申し訳ありません。御意見お聞かせいただければ幸いです。
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    Date: Sat, 15 May 2004 16:27:19 +0900
    A2: 加藤様、佐藤勝昭です。
     黒体放射(昔は黒体輻射といいました。英語ではどちらもblack body radiation)のことをご存じと思いますが、ある温度の物体が放射している電磁波 の波長分布は、ある波長をピークとして幅の広い波長範囲に広がっています(プ ランクの放射法則)。ピーク波長は温度が低くなると長波長にシフトします (ウィーンの変位則)。室温付近の温度の物体からの黒体放射のピークは中赤外 にあります。ガラスの温室効果においては室温付近の物体からの長波長の電磁波 の放射を外に逃がさないという意味があります。最近、環境問題で温室効果が注 目される2酸化炭素CO2は、分子振動による強い吸収帯が波長10μm付近にある ため、宇宙への熱放射が抑えられるとされています。
     さて、加藤様のご質問は、波長の短い電磁波を物体が受けたときにどれくらい 温度が上がるかというご質問だと理解します。例えば、カーボンにいかなる波長 の電磁波をあてても吸収され熱に変わります。可視ー近赤外線のセンサとして 「真空熱電対」が使われますが、これはカーボン板で光を熱に変え、熱を熱電対 で電気に変換するセンサで、感度に分光特性をもたないので重宝です。  太陽光を分光してこのセンサーで受けたとしますと(分光器の能率が波長に依 存しないなら)500nmにピークをもち、長波長側に長く裾を引いた「分光放射強 度曲線」が得られます。添付図(国際電子技術委員会TC-82) 
     これを見ますと300nm-780nmの可視光積分強度と、780-2500nmの近赤外積分強 度は同程度です。ガラスを通して、350-2500nmの波長範囲の太陽光が入射して、 それが物質に吸収され、すべてが熱に変わるとすれば、可視光の光による物質の 温度上昇と近赤外の光による温度上昇は同程度となります。
     日射熱カットガラスとして市販されているのは、可視域の透明度を保ったま ま、コーティングによってこの近赤外光をカットすることで、日射による温度上 昇を防ぐものです。太陽光の熱をカットするのではなく太陽光のうち可視光以外 の成分をカットして物体が吸収して熱を発生して温度上昇する分を減らすという 意味です。もちろん可視光だって物体が吸収して熱になる(従って皮膚がじりじ りする)のですが、それまでカットすると窓ガラスの意味がありません。目の感 度の低い700-780nm, 380-400nmをカットし、さらにすこし透明度を落とせば、
    70%くらいはカットできるでしょう。
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    Date: Mon, 17 May 2004 10:45:57 +0800
    拝啓佐藤先生、

    K社のKです。大変お世話になり有難うございます。
    当方の質問にお付き合いいただき本当に有難うございます。当方まだまだ勉強不足です。 今回の御説明をいただくことにより、今後当方として、「電磁波」「熱」といった基本的 な定義の理解をきっちりすることの大切さや、それによって得られるより正確な研究 の方向付けが出来たような気がします。
    先生にお教えいただいた資料については、同僚とも意見交換をして研究に活用させて いただきます。
    今後も何かとお世話になることがあると存じますが、お力添えいただければ幸いです。

    今回は誠に有難うございました。

    敬具
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  • 356.

    逆圧電効果と電気歪


    Date: Sat, 15 May 2004 14:11:18 +0900
    Q: はじめまして、M大学のTです。
    今回研究テーマとして圧電体を取り上げることになりました。
    しかし、逆圧電効果と電気歪との違いがわかりません。
    歪と電場の関係が線形であるかそうでないかだけなのでしょうか?
    違いを決定する要素が何かあるのでしょうか?
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    Date: Sat, 15 May 2004 16:54:34 +0900
    A1: M様、佐藤勝昭です。
    逆圧電効果(reverse piezoelectric effect)と電歪(electrostriction)は同じ現 象です。
    コーネル大学の圧電効果に関する講義ノート (http://www.mse.cornell.edu/courses/engri111/piezo.htm) をご覧下さい。和訳しておきますと、
     多くの高分子やセラミクスや水などの分子は永久分極をもっている。すなわち 分子の一部が正に荷電し、他の部分が負に荷電している。これらの物体に電界を 印加すると分極を持つ分子は配向し、分子または結晶に電気双極子を誘起する。  さらに、水晶やチタン酸バリウムのように自発分極をもつ物質では、物体が機 械的な応力を受けて変形するとき電界を発生する。このような物体を圧電体、現 象を圧電効果と呼ぶ。
     逆に、電界を印加することによって圧電体を変形することができる。この現象 は電歪(電気ひずみ)または逆圧電効果として知られている。

    私の知る範囲では、一般に圧電定数を逆圧電効果の式にも使うことができます。 ただし、最近話題の巨大電気ひずみ効果は、この圧電定数を用いた線形の解析で は扱えなくなります。これは、応力と歪みの関係が線形から外れてくるためで す。森様のご質問は、このような場合のことではないでしょうか。
    例えば、
    Lehmann W, Skupin H, Tolksdorf C, Gebhard E, Zentel R, Kruger P, Losche M, Kremer F., "Giant lateral electrostriction in ferroelectric liquid-crystalline elastomers", Nature. 2001 Mar 22;410(6827):447-50.
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  • 357.

    縦波弾性率とヤング率


    Date: Sun, 16 May 2004 01:20:34 +0900
    佐藤様
    はじめまして。HPのQ&Aコーナーを見てメールさせていただきました。
    私は、医用超音波機器のメーカーに勤めており松本と申します。
    入社して3年、まだまだ勉強が足りない未熟者です。

    仕事内容は超音波探触子の開発が主で、現在レンズ材料などの検討をしていま す。
    その際、カタログスペックから音速や音響インピーダンスといった物性値を算出 する必要があります。
    一般に固体の音速は
    √(弾性率/密度)といった具合ですが、
    縦波の場合、縦波弾性率Mとヤング率Eの2通りが文献により登場し、
    √(M/ρ)、√(E/ρ)などとなっています。
    また、Mと体積弾性率K、剛性率GからEを求めるといったこともしており MとEの両者に違いがあることは分かっているのですが、
    縦波弾性率とヤング率の違いがどこにあるのかをお教えいただけますでしょう か?
    特に縦波弾性率の定義が良く分かりません。
    どうぞよろしくお願いいたします。
    WEBには匿名でお願いいたします
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    Date: Mon, 17 May 2004 23:31:31 +0900
    A: M様、佐藤勝昭です。
     超音波工学が専門の中島春彦教授(東京農工大学物理システム工学科)にお伺 いしましたところ、下記のような返事を頂きました。
    ----------------------------------------------------
    円柱を立てて上から押すと縦に縮みますが、その中身は真の体積収縮と脇へのは み出しに別けられます。実用に便利なように両方の効果を区別せずに変形のしに くさをあらわすのがヤング率です。饅頭は体積弾性率が強いが剛性率が液体並み に弱いのであんこがはみ出します。
    円柱同士を2次元的に並べて上から押すと互いに押し合いへし合いになってはみ 出せません。また縦波音波のビームのように回折出来ずに進行方向にのみ粒子変 位が許される場合も同様で、このような場合ははみ出しによる逃げは許されず体 積変化と変形に起因する(正方形が菱形になる)剛性率が寄与することになりま す。これが縦波弾性率です。
    いずれにしても等方体では基本量は体積弾性率Kと剛性率Gで、あとは変形の仕方 や波動のモードなどによりMやEを使います。
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  • 358.

    金属表面処理


    Date: Tue, 18 May 2004 16:09:59 +0900
    Q: 佐藤勝昭教授
    お忙しいところすいません。困った時によくこのHPを見て参考にさせて頂いております。
    私、N大工学部4年生のTといいます。
    いま、カーボン(粉末)を用いた金属表面処理を考えています。私が調べた結果、金属表面内に異種元素を熱によって拡散浸透させる拡散浸透法、金属塩の水溶液や有機溶液中に担体粉末を含浸し、乾燥した後、空気中で焼成してさらに水素やCOにより還元することにより担体上に金属微粒子を得る方法の含浸法が考えられました。この両者の方法ともカーボンの金属(特にCuやAl)への表面処理には有効なのか? また有効であったとしたら、カーボンとアルミニウムの間にはどのような化学反応が起こったのかを知りたいと思っております。また、粉末を用いての表面処理において、処理後の表面層の厚さの制御方法をお聞きしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
    学科、研究室名、名前とも匿名でお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。
    Date: Wed, 19 May 2004 00:03:30 +0900
    ---------------------------------------------------------------------
    T君、佐藤勝昭です。
     金属の表面処理の有効性に関するご質問ですが、あなたの指導教員がそのテー マを与えているので、私がとやかくいうのは越権行為になりますので、直接お答 えすることを控えさせて頂きます。ここでは、研究を進める上の指針を差し上げ ましょう。
     拡散浸透法、含浸焼結還元法が、それぞれどのような物理的なプロセスなのか を自分できちんと理解してください。
    元素の拡散が起きるには、結晶の格子欠陥を介することが必要です。その元素が 母体と合金や化合物(カーバイド)を作るかどうかによっても、拡散の仕方は変 わります。Hansenの平衡状態図などを参考にする必要があるでしょう。
    一方、化学的な処理方法ではどのような反応を考えているのでしょうか。また、 「有効」というのは、「何に対して有効なのか」を考えなければならないでしょう。 耐食性の向上に有効なのか、強度の向上に有効なのか、電気伝導性の向上に有効な のか・・それを明確にしなければなりません。それによって、処理法は異なって くるはずです。いずれにしても、金属材料学・無機化学・物性物理学などについて の幅広い知識とものの考え方が必要でしょう。
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    Date: Wed, 19 May 2004 09:47:28 +0900
    AA: 佐藤勝昭教授
    為になるお言葉ありがとうございました。

    精一杯頑張ります。
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  • 359.

    カーボンブラックと黒鉛の違い


    Date: Tue, 18 May 2004 11:10:41 +0900
    Q1: 佐藤勝昭 様
    はじめまして。
    M社のSと申します。匿名でお願いします。
    時々、Q&Aを拝見しております。

    さて、基本的なことだと思うのですが、カーボンブラックと黒鉛の違いは何でしょ うか?
    プラスチックへの充填材を検討中ですが、物性でかなり差があるものがあります。 HPやフィラー総覧等をみても、基本的すぎるためか、説明がありません。
    理系出身で(数学系)、恥ずかしい質問ですが、よろしくお願い申し上げます。
    ------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 18 May 2004 23:28:15 +0900
    A: S様、佐藤勝昭です。
     ご質問の件ですが、基本的には、黒鉛(グラファイト)は網目構造をもつ結晶 であるのに対しカーボンブラックは非晶質(アモルファス)です。アモルファス といっても原子が完全にランダムに配列しているのではなく、網目構造を折り曲 げてごちゃごちゃにしたようなもののようです。例えば、ウイスコンシン大学化 学科のHPの中の
    カーボンに関する授業のテキストの3.8節に出ています。HPをご覧になって下さい。
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    Date: Wed, 19 May 2004 09:08:22 +0900
    AA:佐藤勝昭 様、わかり易いご説明と、テキストのご紹介、誠にありがとうございます。
    テキストについては、これから読みます。
    ありがとうございました。
    これからもお世話になることがあるかと思いますが、今後ともよろしくお願いします。
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  • 360.

    キャリア濃度の評価


    Date: Wed, 19 May 2004 18:13:12 +0900 (JST)
    Q: はじめまして!
    T大学のMと申します。
    大学の講義のレポートが出て、「キャリア濃度の評価方法」と は?という出題が出ました。
    文献やインターネットについて見ているのですが、なかなか探 せずにここに辿り着きました。
    ここの質問に対する答えもわかりやすくとても勉強になりまし た。
    簡潔と言っては失礼なのですが、もし気に止めて頂いたらお返 事ください。
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    A: M君、佐藤勝昭です。
     大学の講義レポート(宿題)については直接詳しくお答えすることはできませ ん。カンニングと同じことです。私がキミの先生なら0点をつけます。
     キャリア濃度の評価は半導体工学の基本ですから、半導体関係のどの本にも出 ています。ヒントは「ホール効果」です。図書館に行って自分で勉強しなさい。
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  • 361.

    光の伝搬


    Date: Fri, 21 May 2004 20:54:36 +0900
    Q: 今晩は。X教育大学3年理科専攻のIと言います。
    質問は、横波である光が、縦波ではないのに、固体以外の水や空気中に伝達されるのは なぜかということです。物理をまったくやってなかったので、まだ調べている途中ですが、 どのような本やホームページを見たらいいかもわからないので、助言でもけっこうですの で、よろしくお願いします。
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    Date: Fri, 21 May 2004 23:51:16 +0900
    I君、佐藤勝昭です。
    A: X教育大学で理科専攻ということですが、物理を全くやってこなくて理科 の先生になれるのですか?そのような先生に理科を学んだ学生が大学に入ってく ることを考えると、物理系教員としては大変頭の痛い問題です。もし、あなた が、理科の先生になるには化学または生物だけを学んでおきさえすれば十分だと 考えているとしたら間違いです。化学における元素の周期表を理解するには、元 素における電子の働きを知ることが必要です。化学の結合を理解するには、量子 力学の知識が必要になります。生物において遺伝子のことをきちんと理解するに は生物物理の知識が必要です。生徒が好奇心をもち、不思議に思ったことを教師 に質問したときにきちんと答えてあげるためにも、ぜひ物理を基礎からきちんと 勉強して下さい。初等中等教育の先生自身の物理離れが、生徒の物理離れを起こ しています。科学技術立国をめざす我が国にとってゆゆしきことです。どうか、 教員になるつもりの学生さんが物理をきちんと学んで頂くようお願いします。
     さて、ご質問の件ですが、光は電磁波です。光(電磁波)の振動電界と振動磁 界をマクスウェルの方程式に従って扱うと、波動ベクトルと電界ベクトルとが直 交する(すなわち横波である)ことが導かれます。
     重要なことは、電磁波は媒体がなくても(真空中でも)伝搬します。電磁波は 音波のような媒体の変形を伴うものではないのです。真空中でも伝わるのは時間 と空間の変形を考えなければなりません。これは相対性理論によって説明できる のです。しかし、そこまであなたに要求するのは無理でしょうから、少なくとも 電磁気学だけはきちんと学んで下さい。
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    Date: Sat, 22 May 2004 20:04:35 +0900
    AA: X教育大学のIです。質問についての答えと私の物理の取り組みの甘さに対す る助言、ありがとうございました。苦手ややっていないことを理由にせずに基礎から 物理を勉強していきたいと思います。今後何かあったら、また質問させて下さい。で は、失礼します。
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  • 362.

    樹脂封止での金属の強度


    Date: Sun, 23 May 2004 01:13:02 +0900 Q: お世話になっております。先端技術普及セミナーで(このQ&Aでも)お世話になった T(株)Fです。
    今回もすいませんが匿名でお願いします。
    ちょっと教授の専門違いかもわかりませんが、他に頼れる人がおりません。専門書等 も探していますがあまり良いもの(具体的に書かれているもの)が見つかりません。
    よろしくお願いします。
    今回教えて頂きたいのは、金属と樹脂の接合についてです。
    半導体の実装において(プレス⇒鍍金⇒ダイボンディング⇒ワイヤーボンディング⇒ 樹脂封止)、現在、樹脂封止での金属(素材or鍍金)と樹脂の接合強度向上を検討しております。

    そこで
     ・金属と樹脂接合のメカニズム(水素結合、アンカー効果等)
     ・接合強度UPへの考え方・・・特に金属側で
    等、意見をお聞かせ下さい。

    ここでの金属は、主としてAu、Ag、Cu、Ni、Pdであり、また樹脂は液晶ポリマー、ポ リフタルアミド等です。
    また、一部で熱硬化性樹脂を使う製品もあります。

    以上、よろしくお願いします。
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    Date: Sun, 23 May 2004 17:07:32 +0900
    A:F様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。
    ご推察のとおり全く畑違いのご質問で戸惑っています。
    樹脂封止の際の強度の問題を「接合強度」という言葉で表しておられますが、 「強度」にもいろんな定義があります。
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    パーツのスチフネスは加重をかけたときの曲がりから評価されます。これは部品 の幾何学的配置と特定方向への材料の弾性率に依存する。
    強度は静的力学テストにおける部品の破壊点または降伏点における応力で定義 されます。
    衝撃強度は部品が降伏するまでに部品に吸収される最大エネルギーで定義さ れます。
    疲労強度は繰り返される加重における降伏応力として定義されます。
    寸法の安定性は樹脂封止された部品の形状と、経時後に封止除去したときの形 状の比較によって定義されます。
    ---------------------------------------------------------------------
    モールディングの手法とメカニズム、その問題点の説明については ミシガン州立大学の知能システム研究室のHPの中の
    Tutorial on Polymer Composite Moldingのサイト にやさしい説明があります。
    モールドされたパーツの強度は、封止樹脂と埋め込まれるパーツとの結合の問題 でなく、樹脂が硬化する際の形状変化による応力にパーツがどれくらい耐えられ るかにもよります。熱膨張係数の違いにもよります。樹脂の延性と金属の延性の バランスにもよります。
    もうすこし、問題点を整理されては如何でしょうか。
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    Date: Sat, 29 May 2004 23:07:47 +0900
    AA: 佐藤教授様
    専門違いなのに回答頂き有難うございます。
    私は耐湿性向上について検討しています。
    でも、何を質問して良いか理解できていないようなので、 もう少し勉強してから、また質問するようにします。
    どうもすいませんでした。
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  • 363.

    IH鍋と銀ペースト


    Date: Wed, 26 May 2004 18:29:29 +0900
    Q: はじめましてMのMです。
    「物性なんでもQ&A」を拝見しましてメールさせて頂きました。
    公開はできれば匿名でお願いします。

    どう調べてもわからないもので、御専門外かもしれませんが よろしくお願いします。
    銀の特性についてなのですが、IH調理器に陶器やガラスを使用可能に しようと底に銀ペーストが焼き付けて市販されています。一般的にIH調理器は鉄鍋 を基準に設計していると思いますが、銀はなぜ電気抵抗が少ないのに鉄鍋と同じよう に反応して消費電力もほとんど変わらないものなのでしょうか。
    電気抵抗が少ない他の材質、アルミや銅はIH調理器には かからないはずなのに。最新のオールメタル方式は自動的に周波数を 変えてかかりにくい材質をかかるようにしているものは特別ですが。
    あと有磁性も関係してくるのでしょうか。そうなるとステンレスの304は 有磁性はないですが、鉄鍋と同じように反応しますし・・・
    いろいろ調べているうちに、なおさらわからなくなってきました。
    内容はお分かりになりましたでしょうか、文章もどう表現いいかも悩みましたが。 どうかよろしくお願いいたします。
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    Date: Wed, 26 May 2004 20:36:01 +0900
    A: M様、佐藤勝昭です。
     IHの原理は、交流の磁界を加えたときの渦電流を利用しています。
    どのような金属でも十分な電力を加えることができれば発熱します。実際、金属工業では 高周波の誘導加熱で金属を融かして精製することが行われています。
     電磁調理器の場合、高周波電流は表皮効果により鍋の表面に集中して流れる為、鍋は大 きな抵抗を示し、その表面で発生するジュール熱により鍋自体が発熱します。周波数が高 いほどskin depthが短くなり抵抗は断面積に反比例するので、抵抗が高くなってジュール 熱が多く発生します。磁性体の鍋の場合、磁力線が突き抜けないでなべを伝って環流する ので磁力線の垂直成分が狭い範囲に限られ渦電流が発生する領域が狭く、かつ抵抗率も大 きいので発熱しやすいのです。
     銀ペーストは、銀をバインダーに溶かしたものを加熱して固めます。バインダーが残る ので銀そのものではなく抵抗率は5×10-5Ωcm程度もありますから、銀の抵抗率2×10-6 Ωcm(100℃)より1桁高く、鉄(鋼)の抵抗率2×10-5Ωcm(室温)よりも高いのです。
     SUS304は磁性がないので磁力線の垂直成分を表面付近に閉じこめる働きはありませんが、 この合金の電気抵抗率は7×10-5Ωcmと鉄(鋼)よりも大きいので、よく発熱するのでしょう。
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    Date: Thu, 27 May 2004 08:32:54 +0900
    AA: 佐藤勝昭教授さま
    早速のご返事、たいへん感謝しております。ありがとうございました。
    またお聞きすることがありましたらよろしくおねがいします。
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  • 364.

    非線形光学特性の評価法


    Date: Thu, 3 Jun 2004 17:11:55 +0900
    Q: 東京農工大学
    佐藤 勝昭先生
    前略 はじめまして、I大学応用化学科のDという者です。突然の質 問をお許し下さい。
     当研究室で、今年度から、非線形材料開発に関する研究として、ホストにゲストを 配向させ非線形光学特性を得ることを目指し研究をはじめました。その中で、大きな 単結晶の作製に取り組む前に、小さな結晶粉体の特性を調べたいと思っております。
    これは、生成した結晶が、非線形光学特性をもっているかどうか分からないためで す。今のところ、スクリーニングをしている状態です。文献や参考図書を調べ、粉体 法により非線形光学特性を調べ特性があったとする旨の記述が多くありましたが、そ の具体的なノウハウ(装置や測定法)については、探す事が出来ず、時間だけが立っ てしまいました。その最中、先生のホームページにたどり着き、教授をお願いしたい と考え、メールを致しました。  質問が、非常に素人的でありますが、お教え頂けると、非常に嬉しいです。  今後とも、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。  (匿名匿所属でよろしくお願い致します。) 草々
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    Date: Thu, 3 Jun 2004 20:47:31 +0900
    A: D様、佐藤勝昭です。(旅先なので資料がないので、取り急ぎお答えしてお きます。)
     有機化合物粉体の非線形光学特性の評価としては、3次の非線形感受率の測 定が行われているようです。モードロックしたフェムト秒またはピコ秒のパル ス幅をもつレーザ(通常チタンサファイアレーザが用いられる)を粉体にあて て,出てきた3次光をフィルタなどでとりだしフォトマルで受けて、フォトン カウンティング法で強度を測定します。あらかじめ非線形感受率がわかってい る材料と比較してその物質の非線形感受率の大きさを校正します。本学有機材 料化学科の渡辺先生がお詳しいので、大学に戻りましたら適当な参考書を渡辺 先生に聞いておきます。
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    Date: Fri, 4 Jun 2004 08:55:22 +0900
    Q2:東京農工大学
    佐藤 勝昭先生
    前略 I大学のDです。
     お忙しい中、質問にお答えいただき、ありがとうございました。
     参考書等が分かりましたら、先生のお時間のあるときに、教えていただけると、非 常に助かります。
     もうひとつだけ、質問をさせてください。この装置を、購入するとなると、おおよ そどの位の値段になるのでしょうか?当研究室では、分光措置としては、UV-vis、 FT-IR、ラマン分光装置しかありませんので、購入を考えています。
     この度は、誠に丁寧な対応をしていただいたことに感謝いたします。
     今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
                            草々
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 7 Jun 2004 10:58:42 +0900
    A2: D様、佐藤勝昭です。
     有機材料化学科の渡辺教授に伺ったところ、非線形光学効果の評価について化学系初学 者向けのよい書物はなく、物理的な基本をきちんと学んで勉強する必要があるだろうとの ことでした。後ほど、参考書をメールしてくださるそうですので、少々お待ち下さい。
     装置ですが、私どもは、C社のモードロックレーザ を用いていますが、最近の価格は存じませんが2千5百万円のオーダーです。あと、光学 防振台、レンズ系、試料ホルダー、偏光子、1次光遮断ハイパスフィルタ、フォトマル、 フォトンカウンティング装置、制御用パソコン+インターフェースなど一式で500万円 程度でしょう。従って、3千万円程度で、一応の測定はできると存じます。
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    Date: Mon, 7 Jun 2004 11:10:05 +0900
    Q3:東京農工大学
    佐藤 勝昭先生
     おはようございます、I大学のDです。
     早速の御回答、誠にありがとうございます。先生のご丁寧な説明に、大変感謝して おります。現在、私も基本を勉強しなければいけないと考え、勉強しているところで す。
     今後とも、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 8 Jun 2004 15:48:20 +0900
    A3: D様、佐藤勝昭です。
     本学の渡辺先生から非線形光学の参考書について次のような回答がありましたので 転送します。
    -------------------------------------------------------------
    佐藤先生
    昨日のお問い合わせに関する参考文献のリストをお送りします。
    この解析法を完全に理解するためには、電磁気学と光学の知識が 必要となります。それゆえ、化学者にはかなり敷居が高いかも 知れません。

    測定用の試料の調整が一番大変かもしれません。
    測定には試料の面出しが必要なうえ、試料の 屈折率波長分散および試料の絶対膜厚(誤差0.1ミクロン以下)
    が必要になります。

    日本語の参考書
    光エレクトロニクスの基礎第5版応用編、A. Yariv著、神谷武志訳、丸善

    日本語の文献
    新材料開発過程における非線形光学材料の評価 有機材料 結晶状態での評価
    著者名:森田隆二, 近藤高志, 小笠原長篤, 伊藤良一 (東大 工), 梅垣真祐 (東京工 大)
    資料名:応用物理 JST資料番号:F0252A ISSN:0369-8009 CODEN:OYBSA
    巻号ページ(発行年月日):Vol.57, No.9, Page1431-1432 (1988.09)
    抄録:有機物質は結晶成長が困難で,大きなバルク結晶が得られにくいために,薄膜状 態の単結晶における二次の光学的非線形性の評価について述べた。光第二高調波発生 に寄与する二次の非線形光学定数dの測定法として回転式メーカ・フリンジ法とウェッ ジ法を紹介し,dの評価のための屈折率分散について述べた

    英語の文献
    Warren N. Herman, L. Michael Hayden
    Maker fringes revisited: second-harmonic generation from birefringent or absorbing materials
    J. Opt. Soc. Am. B., 12(3), p.416-427(1995).

    その他の参考書
    なお、非線形光学材料に関してはデーターが少々古いですが、
    非線形光学のための有機材料/日本化学会編、学会出版センター
    季刊化学総説No.15
    が入手しやすいと思います。
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  • 365.

    偏光板とヨウ素


    Date: Thu, 3 Jun 2004 14:49:20 +0900 (JST)
    Q: 佐 藤 勝 昭 様
     はじめまして。北海道立理科教育センター@前田昭彦といいます。
     教育研究施設で化学を担当しているものです。
     佐藤先生のHPを、興味深く拝見させていただきました。
     ひとつ教えていただきたいことがあるのですが、  偏光板をつくるとき(市販のものでも結構ですが),PVAを着色するのに、ヨウ素を用いるのはどのような理由からなのでしょうか?
     円二色性や呈色がよいとは書かれているのですが、ヨウ素のどのような(もしくはPVAとの相性)性質が適しているのかがわかりません。
     お答えいただくことができれば幸いです。
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    Date: Thu, 3 Jun 2004 21:36:01 +0900
    A: 前田様、佐藤勝昭です。
    旅先なので資料が手元にないので、正確にお答えできるか心配ですが、知って いる範囲でお答えします。
    PVAフィルム偏光子ですが、PVAを引っ張ってPVA分子を1方向に並 べ、その分子と分子のすき間にヨウ素系の色素結晶が埋め込まれています。光 の電界には、分子の長軸に平行な成分と垂直な成分がありますが、平行な成分 は長軸に沿った振動分極をもたらし、これが、ヨウ素系色素に直ちにトランス ファーされて、エネルギーが消費され、熱に変わります。一方、長軸に垂直な 電界はそれほど大きな分極を引き起こさず、ヨウ素にエネルギーが伝わりませ ん。これが、PVAフィルム偏光板の原理です。ヨウ素系色素の光吸収帯が可 視域全般にわたっているので、効率よく一方の電界を吸収して他方の電界を透 過するのです。ヨウ素はもともとアルコール類と相性がよいので分子の隙間を うまく埋めるという性質も利用していると思います。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 4 Jun 2004 09:35:44 +0900 (JST)
    AA: 東京農工大学
    教授 佐藤勝昭 様
     おはようございます。北海道立理科教育センター@前田です。
     出張中にもかかわらず、早速回答していただきありがとうございました。理解し易く教えていただき、ヨウ素系色素の面白さを知りました。
     実は、当センターの「高校理科総合A」講座で、「プラスチックの化学」の単元で、スーパーの袋を縦方向と横方向に短冊を切り取り、それぞれの引っ張り強度や、伸ばした部分と伸ばさない部分を自作のPVA偏光板にはさんで、分子の方向を確認したりする実験を行う予定ですが、そのときに、ヨウ素を用いることが理解できなく困っておりました。
     お忙しいところ、丁寧な回答をいただき、感謝申し上げます。今後も、教えていただくことがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
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  • 366.

    縮退半導体の静電遮蔽効果


    Date: Tue, 8 Jun 2004 17:06:16 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    ホームページを拝見しての質問です。
    F社で半導体デバイスの開発・設計を行っているOといいます。
    ちなみに小生、東京農工大のOBです。貴職の講義を受けたことも有ります。
    半導体に高濃度の不純物をドープするとフェルミ準位が伝導体に入り込んで、 金属に近い性質を示すようになることは良く知られている話ですが、物性的に どこまで金属に近づくのでしょうか。
    例えば金属でみられる静電シールド効果は縮退半導体でも見られるのでしょうか。 またn型、p型不純物で違いはあるのでしょうか。
    お答え頂けたら幸いです。
    (すみませんがWeb掲載の際は匿名でお願いします)
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 10 Jun 2004 02:07:47 +0900
    A: O様、佐藤勝昭です。お久しぶりです。卒業後も忘れないで私にご質問いただきあ りがとうございます。
     縮退半導体がどの程度金属に近いかというご質問ですが、
    まず金属と半導体の電気伝導率の違いを考えましょう。
     電気伝導率はσ=neμで与えられます。
    金属では、キャリア密度nは5×10^22cm^-3のオーダーです。移動度μは10cm2/Vsのオー ダーです。σは10^5 S/cm程度となります。
    一方、縮退半導体のキャリア密度はせいぜい10^20cm^-3ですが、移動度は10^3 cm2/Vsの 程度ですからσは10^4 S/cm程度となります。
    シールド効果は電磁界がどの程度浸入できるかを表すskin depth δが尺度ですが、 δ=(2/ωσμo)^1/2 で表されます。μoは真空の透磁率です。σが小さければ、skin depth δが大きくなり、遮蔽効果は少ないと言うことになります。
     これに対し、光学的な効果については自由キャリアプラズマによる反射を考える場合 はキャリア密度だけが効いてきます。金属ではプラズマ角周波数ωpは可視光ー紫外領域 にありますが、半導体の場合は赤外になります。なぜなら、ωp^2=ne^2/mεoだからで す。従って、縮退半導体では自由キャリアによる金属光沢はありません。
    また、自由キャリア吸収はωp^2に比例し、ω^2に反比例します。ITOは一種の縮退半導 体です。電気伝導率は金属並みですが、自由キャリア吸収は赤外領域にあるので可視の 透過性が保証されています。
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    Date: Sat, 12 Jun 2004 12:58:33 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    解答ありがとうございました。
    シールド性は金属・半導体に依らず基本的に 伝導率で決まるということですか。
    移動度の低いa-SiやPoly-Siは更に厳しくなる ということですね。
    光学的な違いはなるほどその通りですね。
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  • 367.

    ロッド形微粒子分散系のプラズモン共鳴


    Date: Wed, 16 Jun 2004 11:39:45 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
     F社Nです。ホームページ拝見させていただいております。
    先生の非常に広い範囲での知識の深さ、豊富さにいつも感激しております。

    私どもは、基本的に記録材料を開発しております。(主に色変化の機能重視) 本題ですが、
    材料の色に関して、吸収や反射率に関して金属粒子の粒子径が10nm程度の 粒子の場合(たとえばAu)500nm付近に表面プラズモンの吸収があり、赤色に 溶液の色は見えます。この粒子をロッドの形(アスペクト比)を変化させていくと 吸収が長波に移行していくことが以下に計算で示されております。
    (2つの吸収極大が出現する)
    S.Link,M.A.El-Sayed J.Phys Chem.B,103,8410(1999)
    O.Wilson,G.J.Wilson,P.Mulvaney:Adv.Mater.,14,1000(2002)
    そこで質問なのですが、
    1)分極の縦モード及び横モード(2つの吸収極大)というのはどういうことでしょう か?  イメージがわきません。
     (粒子表面はつながっているので表面プラズモンに縦、横が生じる理由が良くわか りません。)
    2)計算では出ていますが、実際このような波長シフトは起こるのでしょうか?
    ご多忙のところ申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
    匿名希望です。
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Jun 2004 14:21:17 +0900
    A: N様、佐藤勝昭です。
     微粒子分散系の光学的性質の研究は古く、Maxell-Garnetの式にさかのぼります。金を 分散したガラスにおいて、金の誘電率スペクトルとそのサイズ、媒体の誘電率があれば、 実効的な誘電率スペクトルで、赤色の起源がわかります。(金の500nm付近の誘電率の変 化はプラズモンによりますが、そのような説明がある前からわかっている現象です。)
    1) ご紹介のO.Wilson,G.J.Wilson,P.Mulvaney:Adv.Mater.,14,1000(2002)によれば、 Gansが1911年, 1915年に金属の楕円体の強い光学異方性を計算したとあります。ここでも 誘電率の異方性があれば、楕円体の対称軸方向の偏光と、直角方向の偏光に応答性のちが いが生じることを述べているようです。おそらくアスペクト比と誘電率の異方性の関係が 報告されているのではないかと存じます。このことは私は初めて知ったのですが、この誘 電率の異方性によってプラズモンのピークの分裂が説明出来るのではないかと存じます。
    金属のプラズマ周波数をωpとすると、表面プラズマ周波数ωsp
    ωspp/(1+εm)1/2
    で与えられます。よく知られたようにバルクのプラズマ周波数ωpは ωp=(Nq2/mε0)1/2で与えられますが、実際に誘電率がゼロを横切る周波数ωp'(これ はハイブリッドプラズマと呼ばれる)は高い周波数における誘電率をεとして εp2ωp'2=0より、ωp'=(Nq2/mεε0)^1/2となり、εに関係します。
    楕円体では長軸方向と短軸方向では誘電率εが異なるので、楕円の長軸方向の偏光に 対するハイブリッドプラズマと短軸方向のハイブリッドプラズマの周波数が異なってくる のでしょう。このことを縦の分極と横の分極と表現したのではないかと存じます。
    2) O.Wilson,G.J.Wilson,P.Mulvaney:Adv.Mater.,14,1000(2002)によれば、実際に引 き延ばすことによって劇的な色の変化が見られたとありますから、実験的に確認されてい るのではないでしょうか。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 16 Jun 2004 16:18:36 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
     早速のご回答ありがとうございます。本当に早くて、明確で恐れ入ります。
    先生の説明、理解できました。
    今回は棒状粒子のことでしたが、さまざまな粒子形状に対しても応用していこうか と思います。(分裂が3つの素材とかです。)
    また、よろしくお願い致します。
    ----------------------------------------------------------------------------
  • 368.

    高温での銀ペースト


    Date: Mon, 14 Jun 2004 19:01:08 +0900
    Q1: 以前に
    IH鍋と銀ペーストの件で教えて頂いた者です。
    また教えてほしい事があります。
    公開はできれば匿名でお願いします。
    土鍋に銀ペーストを800℃位の温度で焼き付けていますが 酸化するものですか。メーカーは酸化するのでガラスコーティング すると言っていますが。前出の質問で(酸化しない金属ってあるの)先生のお答えを 拝見しますと銀は酸化しにくい方になっていますが、この場合も あてはまりますか。
    宜しくお願いします。
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    Date: Thu, 17 Jun 2004 22:22:47 +0900
    A1:M様、佐藤勝昭です。
     お返事が遅くなりました。銀が酸化しにくいと言っても室温での話で、「酸化しない金属ってあるの?」にも書きましたように、高温では保証の限りではありません。
    SPIのHP によれば、
    High temperature limits:
    Although the melting point of silver metal is reported to be 961.78degC (1763. 2degF), from a practical standpoint, one never comes close to this temperature in terms of use, because in addition to the well known oxidation and sulfiding that occurs when heated in air, what is not generally known is that even in vacuum, the metal starts to sublime on the order of 400degC (752degF) and by 500degC (932degF), the sublimation rate is sufficiently great that one can not go higher without running the risk of causing problems to their vacuum system (some would say this critical temperature is lower). If you have the need for this type of product at higher temperatures, we refer you to SPI Platinum Paint. Just remember that the price per gram of Pt is roughly 100 times that of Ag, so don't be too shocked at the high price of the equivalent kind of product in platinum!
    と書かれています。要約すると、「そもそも融点が961.78℃なので、この近くの温度にすべきでない。空 気中で温度を上げると酸化や硫化が起きるだけでなく、真空でも400℃以上にすると昇華 も起きるから、温度は上げられないと書かれています。温度を上げるときは白金ペースト がよい」と書いてあります。英語のホームページも検索されると多くの情報が得られますよ。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 21 Jun 2004 19:55:41 +0900
    Q2: 佐藤勝昭先生

    こんばんは、先回、高温での銀ペーストの質問をさせて頂きまして 御礼が遅くなって申し訳ありませんでした。(ルーターの調子が悪い為に)
    それで、こちらの書き方がいけなかったのですが高温で焼付けした後の、 常温でのことをお聞きしたかったのです。すみませんでした。
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    Date: Mon, 21 Jun 2004 20:07:10 +0900
    A2: M様、佐藤勝昭です。
     高温で焼きつける際に銀粒子が酸化や昇華する可能性があり、常温にしたときに期待さ れる特性が出ないことがありますというのが、銀ペースト業界の説明のようです。
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  • 369.

    パソコンのモジュラージャックの材料


    Date: Thu, 17 Jun 2004 18:28:11 +0900 (JST)
    Q: 藤森 勝彦  豊橋技術科学大学 機械システム工学科 4年

    パソコンの電話線挿入口の部分の端子の材料(銅?)と,それのさまざまな物性値を教えてください. 疲労破壊についてのレポートに使用したいので,お願いします. 
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    Date: Thu, 17 Jun 2004 22:03:57 +0900
    A: 藤森君、佐藤勝昭です。
     レポートのための質問は原則としてお答えしていません。
    電話線挿入口の部分の端子の材料の物性を調べることも課題を解くプロセスの1つだから です。ヒントだけお教えします。
     調べ方をお教えしましょう。
    電話挿入口は「モジュラージャック」といいます。Google 検索を英語でかけなさい。検索BOXに
      telephone modular jack contact metal
    といれて検索をかけてご覧なさい。たくさん出てきます。
    その中で、たとえば、http://www.singatron.com/eng_pdf/3001.pdfには、
    Contact: 0.35mm Thickness Phosphor Bronze(日本語では燐青銅)
    と書かれています。
    これは、バネ材として有名なものです。(もちろん、メッキが施してあります。)
    あとは、機械材料のハンドブックや金属のハンドブックで燐青銅を調べてご覧なさい。
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  • 370.

    光の屈折


    Date: Sun, 20 Jun 2004 16:22:08 +0900
    Q: 中学1年生なのですが、テスト前に勉強しようと思い、 やっていると、空気(入射角)から水中に光が進む場合、 水中に光が入ると、入射角より大きくなると習ったのですが、 今考えると、よくわかりません。
    大きくって言われても、右のほうが大きいとか左の方が大きいとか わからないのですが、入射角より大きいってどういうことですか? 
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    Date: Sun, 20 Jun 2004 18:11:12 +0900
    A: 山田君、佐藤勝昭です。
     添付の図(refraction.jpg)のように、入射角θ1は水の表面に垂直な直線(法 線)から測った角です。屈折角θ2も法線に対して測った角です。
    空気の屈折率を1,水の屈折率をn=1.33とすると、スネルの法則sinθ1/sinθ2=n が成り立つので、sinθ2=sinθ1/nとなるので、θ2はθ1より小さくなります。  おそらく、あなたが習った先生は入射角として水面から測った角度を使われた のではないでしょうか。光の分野での定義とは違っています。X線回折の分野で は入射角としてそのような定義が使われますので、混同されたのではないでしょ うか。






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  • 371.

    アルミ板の反り


    Date: Mon, 21 Jun 2004 20:32:56 +0900
    Q:佐藤研究室殿
    はじめてメールをさせて頂きます。
    HPをいつも拝見しており、何か回答のきっかけになればと思いメール をさせて頂きます。

    私は、O社の 和佐と申します。
    今、アルミのソリと言う部分の対応に非常に困っています。
    アルミの形状
    板厚み 1.5o × 18o × 103oのサイズのアルミです。
    基準のソリを、幅103oに対して両端が浮くソリは0.1o以下
    中央が浮く逆ソリはNGと言う規格です。
    順送金型で製作しています。

    前回、客先が工場監査にきて、サンプルを確認したところ、両端が 浮いているソリ(正)であったが、持ち帰ってみたら平行であった。
    その前に納入しているものは、逆ソリであったと言うことより、
    プレス後は、正しいソリ
    プレス時の応力で形状が変化する可能性はあるのでしょうか?
    またその後、苛性処理をするのですが、そのような温度をかける 液槽にいれると更に変化する可能性があるのでしょうか?

    質問がわかりにくいかも知れませんが、もし宜しければ教えて下さい。
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    Date: Tue, 22 Jun 2004 10:33:50 +0900
    A: 和佐様、佐藤勝昭です。
     軽金属のプレス加工については全くの専門外です。
     機械システム工学科で塑性加工を専門としておられる桑原教授にお伺いしましたところ、 下記のようなご返答を頂きましたので転送します。
    ========================================================================
     板のそりは板材内部に発生する曲げ応力で生じます.
     プレス成形の結果,なんらかの原因で曲げ応力が発生すれば,当然そりは発生するはずです.
     苛性処理の件ですが,温度上昇の程度にもよるかと思いますが,転位の運動を活性化させる
     程度の温度上昇があれば,応力も変化することが考えられ,その結果として,そりが変化する
     可能性はあると思います.
    ==========================================================================
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 22 Jun 2004 15:05:49 +0900
    AA: O社 和佐です。
    この度は、本当にご丁寧にありがとうございました。
    -------------------------------------------------------------------------------
  • 372.

    エチレンプロピレンゴムの誘電率


    Date: Tue, 22 Jun 2004 15:43:27 +0900
    Q: 佐藤 勝昭様
    豊橋技術科学大学 修士2年 田中 友之
    初めまして、こんにちは。
    私は、今「絶縁体に囲まれた微小空隙における部分放電開始電圧」の研究をしてます。
    絶縁体の材料については、ホウケイ酸硝子150μmを用い、また、半導電テープ、ステンレスを 用いテーマに沿って実験を行ってます。硝子の誘電率は、本など調べれば載っているのですが 半導電テープ、ステンレスについては、誘電率が載ってなくわかりません。
    半導電テープは、半導電性テープナンバー13というもので、エチレンプロピレンゴムをベースにしたものです。 値が小さすぎて測れないのではという意見も聞けば、すごく小さいけどあるとの意見もききました。
    もしわかるものなら教えて頂きたく、メールさせて頂きました。
    お忙しい中、本当に申し訳ありませんがよろしくお願いします。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 22 Jun 2004 16:48:39 +0900
    A: 田中君、佐藤勝昭です。
    エチレンプロピレンゴムですが、
    ethylene propylene dielectricを入れてGoogle検索したところ、
    http://www.goodfellow.com/csp/active/gfMaterialInfo.csp?text=*F&MATID=FP34& material=1
    には、
    Electrical Properties として
     Dielectric constant @1MHz 2.1
     Dielectric strength ( kV mm-1 ) 20 @ 3.2mm
     Dissipation factor @ 1MHz 0.0007
     Surface resistivity ( Ohm/sq ) 10^16
     Volume resistivity ( Ohmcm ) 10^18
    http://www.rehau.de/wys/de/de_container.nsf/files/AV%200130E.pdf/$FILE/AV% 200130E.pdf
    にEtylene-propylene-ter rubber
    として、Dielectric number (DIN 53483): 3.0
    と書かれています。
    おそらく誘電率はものによって異なり、2-3の値であると思います。
    ステンレスは金属ですから絶縁性はないでしょう。誘電率は−∞としてよいと思います。
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    Date: Tue, 22 Jun 2004 18:12:20 +0900
    AA: 佐藤 勝昭様
    お忙しい中、本当にすいませんでした。
    また、材料においてわからない事があれば質問を させてもらうことがあるかもしれませんが その時もよろしくお願いします。
    本当にありがとうございました。
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  • 373.

    ITOの特性改善


    Date: Tue, 22 Jun 2004 18:38:03 +0900
    東京農工大
    佐藤勝昭先生

    Q1: はじめまして。
    N社のIと申します。(匿名でお願いします)
    遠い昔に応物学会主催の「結晶工学スクール」で バンド理論に関する講義を拝聴させていただいたことがあります。
    とてもわかりやすい講義内容が印象的で、 半導体に関する理解をかなり深められた記憶があります。
    今では先生のHPで様々な分野の知識を吸収させていただいております。
    今回はITOについてご質問させていただきたいと思います。
    ご多忙のことと思いますが、よろしくお願いいたします。

    1.スパッタなどにおいて高い基板温度で成膜すると、 500℃程度の高温大気雰囲気に曝されても安定した 抵抗率を示すと聞いています。この成膜温度による 耐熱性の違いは、どこからくるものなのでしょうか?
    結晶構造が立方晶から変化しているということなのでしょうか?

    2.ITO(6%)の室温における抵抗率は1e-4 ohm-cm程度と 聞いておりますが、もっと抵抗率をさげることは可能でしょうか?
    Snがドナーとして機能していることから、Si中のドナーと同様に Snの濃度を高くすれば、抵抗率は下がるのでしょうか?
    ちなみに透明度は問いません。
    また、Sn以外のドーパントを入れることにより 抵抗率が下がる、などの報告はありますでしょうか?

    3.ITOに限らず、500℃程度で使用可能な良電体 材料を探しています。ふさわしい材料をご存知でしたら、 ご紹介いただけないでしょうか?

    以上、よろしくお願い申し上げます。

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    Date: Tue, 22 Jun 2004 19:26:25 +0900
    A1:I様、佐藤勝昭です。
     私は、ITOを実際に作製した経験はなく、きちんとしたお答えができるかどうか心配 です。特に高温スパッタ時にどうなるかよくわかりません。
    1.英文による検索で、
    CERAC社のHP が引っかかって来ました。このHP によれば、添付のファイル(ito.gif)のように基板温度が高くなるに従って抵抗率が低下 し、かつキャリア濃度が上がるということです。図の説明は間違っていますね。実線がア ニール後の抵抗率でかなり低くできるようです。
    HPの説明では、透明度を犠牲にすれば、抵抗が減少できる。これは酸化の程度のちがい によると書かれています。
    詳細は、引用してある文献
    Ray Swati, R. Banerjee, N. Basu, A. K. Batabyal, and A. K. Barua, J. Appl. Phys. 54(6), 3497 (1983).
    をお読み下さい。
    2.添加物によってキャリアを増加出来るかはよくわかりません。そもそも、ITO自身が Sn添加のIn2O3なのですから・・。
    3.ZnOはMOCVDなどで作製すると大変よい特性を示すと言われています。
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    Date: Tue, 22 Jun 2004 19:32:06 +0900
    Q2: 東京農工大
    佐藤勝昭先生
    さっそくのご回答、誠にありがとうございます。
    「透明度を犠牲にすれば・・・」ということは、 なんらかの欠陥準位が形成されるということでしょうか。
    さっそくご教示いただいた論文を読んでみたいと思います。
    ご多忙中のところ、ご丁寧にご回答いただきまして ありがとうございました。
    今後とも、よろしくお願いいたします。
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    Date: Tue, 22 Jun 2004 19:46:04 +0900
    A2: I様、佐藤勝昭です。
     十分ご理解だと思って、説明をしなかったのですが、
    キャリア数が増加しますと、free carrier absorptionが増加して透明度が悪くなるので す。自由キャリア吸収については山田・佐藤他共著「機能材料のための量子工学」第4章 p.160をご覧下さい。
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    Date: Tue, 22 Jun 2004 19:53:58 +0900
    AA: M東京農工大
    佐藤勝昭先生

    度重なるご指導を賜りまして、誠にありがとうございます。
    教科書までご紹介いただき、大変恐縮しております。
    しっかり勉強したいと思います。
    お手数をおかけして申し訳ありませんでした。
    今後ともよろしくお願いいたします。
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  • 374.

    間接遷移がわからない


    Date: Thu, 24 Jun 2004 03:14:19 +0900
    Q: 佐藤先生
     HP大変興味深く拝見しております。
     私,化学系卒のO(匿名でお願い致します)と申します。
    卒業後,必要にせまられ,固体物理を勉強することになりましたが, 化学と物理の考え方や言葉の定義の違いに戸惑っております。例えば, 化学では光学遷移において,電子とエネルギー準位だけを考え,ホー ルという考えはありません。よって,励起子という考えも一部を除き 用いません。
     そういう背景のもと,間接遷移をどうしても理解できません。学生 時には,例えばSiは間接遷移だという(本質の理解のない)知識(う る覚え)はありましたが,いざ勉強しだすと不思議でなりません。ま た,フォノンサイドバンドというものもありますが,光学遷移にフォ ノンがカップリングすること(ポラリトン)も理解できません。とい うのも,化学(分子)では,断熱近似(ボルン-オッペンハイマー近似 )により,基底状態の電子は励起状態へ直接的に遷移すると習いました ので,基底状態と励起状態のエネルギー差を考えれば,どのエネルギー の光を吸収するかは歪みの座標Qで一義的に決まると考えてしまいます。  おそらく,この誤解には,
    1)(分子で用いる)断熱ポテンシャルと(結晶で用いる)E-k曲線を 混同している。
    2)化学(溶液化学)では,分子振動は扱うが,格子振動は扱わないた めの理解不足。
    などが関わっているのかなと思いますが,いずれにせよ,現状では何が 理解できていないのかすらよく分かりません。
     間接遷移が上記の断熱近似に矛盾しないのかについても,御教授いた だけませんでしょうか?
     よろしくお願い致します。
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    Date: Thu, 24 Jun 2004 11:27:40 +0900
    A: O様、佐藤勝昭です。
     今は物理と化学の境界がなくなっているので、互いのことばが通じ合うように努力する 必要がありますね。共通のことばは量子力学です。量子力学では電子は波で表されます。
     間接遷移がわからないということですが、あなたの理解に欠けているのは、価電子帯の 状態も、伝導帯の状態もどちらもその固有関数はブロッホの波動関数で表される波の状態 だと言うことです。ブロッホ関数というのはu(r)exp(-ikr)のように平面波が結晶格子の 周期をもつ関数u(r)で振幅変調された波動関数です。この波動関数は結晶全体に広がって いますから、化学における分子の励起のように局在した波動関数を扱っているわけではな いのです。
     exp(-ikr)で表現される平面波は、波数k=2π/λで表現される空間周波数を持ちますが、 この平面波のもつ運動量pは(h/2π)kという値を持ちます。
    シリコンにおいては、価電子帯(化学の言葉で言うとHOMOに相当するのですが)の頂にあ る電子の波数は0です。これは波長λが∞であることを意味し、結晶全体全体に一様に存 在する状態なので、運動量pがゼロなのです。一方、伝導帯(LUMO)の底の電子状態はk〜π /a (aは格子定数)という波数をもっているのでp=(h/2π)(π/a)=h/2aという大きさの運動 量を持ち、ある特定の方向に進行する波です。
     従って、電子が価電子帯から、伝導帯に遷移するためには、Δp=h/2aだけの運動量のち がいを何らかの方法で埋め合わせしなければなりません。この運動量を格子振動(フォノ ン)からもらうのが間接遷移なのです。
     化学のHOMO→LUMO遷移の考えでは、格子の周期関数を考えるような広がった波動関数を 扱いませんから、運動量保存を考える必要がないのです。(その代わり、局在遷移におい ては原子の軌道角運動量についての選択則が有効になります。一方、シリコンの遷移を考 えるときには、価電子帯も伝導帯も原子の軌道の角運動量はよい量子数ではなくなってい て、空間群の既約表現で表されるような選択則が有効になります。)
     断熱近似と矛盾しないかということですが、配位座標モデルが成立するのは、あくまで 励起が局所的に起きる場合であって、結晶全体に広がった価電子帯の電子状態から、やは り結晶全体に広がった伝導帯の電子状態への遷移に、その考えを適用するのはむずかしい かと存じます。それらの波動関数は局所的な格子の変位Qを平均的に感じるだけだからで す。
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    Date: Thu, 24 Jun 2004 23:29:44 +0900
    佐藤先生
     早速の御返信ありがとうございます。
     自分の理解に欠けている点が分かってまいりました。
    化学と物理の定義や言葉の違いに戸惑いながらも,ひとつひとつ解消していくことは, 非常に爽快であります。歩みは遅くとも,疑問をひとつひとつ解消できたらと思いま す。
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  • 375.

    モース硬度をショアー硬度に換算出来るか


    Date: Thu, 24 Jun 2004 11:05:31 +0900
    Q: HPを拝見させていただいた会社員の山口と申します。モース硬度と ショアー硬度についてお聞きしたくメールをさせていただきました。

    モース硬度をショアー硬度に置き換えるとしたら、1モース何ショアーになるので しょうか?ぜひ教えて下さい。もし置き換えられないとしたら、その理由も教えて下 さい。

    お願いいたします。
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    Date: Thu, 24 Jun 2004 11:53:43 +0900
    山口様、佐藤勝昭です。
     Rockwell硬度とVickers硬度等の換算表は
    http://www.corrosionsource.com/handbook/mat_hard.htm

    http://www.admiralsteel.com/reference/hardness.html
    に載っていますが、
    Morse hardnessを他の硬度と比較した表は見られません。
    Morse硬度は、基準となる鉱物とこすり合わせて傷が付くかどうかで決めた硬度なので、 数値自身に物理的意味がありません。これに対して、Shore硬度は落下物の跳ね返り、 Vickers硬度はダイヤモンドの「めりこみ」などの物理量として計測されるものです。 従って、単純な換算をすることができません。
    > 基準になっている(1)滑石、(2)石膏,(3)方解石・・・(10)ダイヤモンド についてそれぞれShore硬度をしらべ、それを目安にするしかないでしょう。
    硬さについては、寺沢正男 著 「硬さのお話」(日本規格協会) が参考になるのではないかと存じます。
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  • 376.

    超格子のサテライト回折線


    Date: Fri, 25 Jun 2004 13:36:43 +0900
    Q1: 東京農工大学佐藤先生

    O大学M2のOと申します。(大学名と名前は匿名でお願いします)
    HPを見てのご質問です。
    一度ご質問させていただいたことがあるのですが、 今回も質問させていただきたくメールいたしました。

    さて、超格子構造のX線回折(θ-2θ)測定では サテライトピークが見られるとのことですが、 これはなぜでしょうか?
    その逆もいえるようでサテライトピークを示しているならば 超格子構造を有するということになるようです。
    お手数をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。
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    Date: Fri, 25 Jun 2004 14:54:02 +0900
    A1:O君、佐藤勝昭です。
     超格子というのは、新しい結晶が、元の結晶の周期の2倍とか4倍とか整数倍の周期で 繰り返される原子配列を持つと言うことです。仮に2倍としましょう。もとの格子定数を aとすると、超格子の格子定数は2aです。
    Braggの回折条件は、2d sinθ=nλです。
    回折を考えますと、元の格子d=aではsinθ=nλ/2aが成り立つθ0で回折ピークがあるのに 対し、超格子ではsinθ1=nλ/4aに回折ピークが現れます。同じ回折次数nで見るとθ0よ りθ1は小さいので、普通現れない位置にピークがでるのです。これをサテライトピークと いうのです。
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    Date: Mon, 28 Jun 2004 17:06:17 +0900
    Q2:佐藤勝昭先生

    早速のお返事ありがとうございました。
    まだ少しお聞きしたいことがあるのですが、 2倍や4倍周期で繰り返されると回折が新たに生じることがピンときません。

    また、超格子の論文を見ているとメインピークの両側にサテライトピークが 生じるようなのですが、これについてもわかりません。
    サテライトピークの間隔が超格子の周期と関係があるようなのですが・・・。

    お忙しいところ誠に恐縮ですがご教授願いますでしょうか。
    よろしくお願いいたします。
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    Date: Mon, 28 Jun 2004 18:09:55 +0900 A2:O君、佐藤勝昭です。  2倍や4倍周期で繰り返されると回折が新たに生じるのがわからないと言うことですが、 超格子になったとたんに、原子の配列の仕方が元の周期では繰り返されなくて、2倍の周 期で繰り返されるようになるのです。
     たとえば、ジンクブレンド構造のZnSの周期とカルコパイライト構造の周期を比べてみ ましょう。CuAlS2はZnS(a=5.41Å)を2つc軸方向に積み重ねた結晶構造(a=5.31Å、c=10. 42Å)ですが、ZnサイトのCuとAlが規則的に並ぶのでカルコパイライト構造のc軸方向の 原子配列の繰り返し周期は2倍になります。従って、2d sinθ=nλにおいて、ZnSよりか なり低角にc軸の周期に対応するピークがでます。その偶数倍の回折もでますが、それら は、元のジンクブレンドの位置になります。一方奇数倍はジンクブレンドの回折線の間に 来ることとなります。 原子の配列の周期が長周期になったのですから、小さな回折角の ピークがでて当たり前と思いますが、どこがわからないのでしょうか。

     人工超格子による回折については、藤森、新庄、山本、前川、松井編:新素材を拓く金 属人工格子(アグネ技術センター1995)の第3章(p.77)に詳しく記述されていますから、 図書館で調べて下さい。(この本は、主な大学の図書館にはあるはずです)隣り合う2つ のサテライトピークの位置2θn、2θn+1から、配向原子面の面間隔Λは
      1/Λ=2sinθn+1/λー2sinθn
    から求めることができます。
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 5 Jul 2004 12:06:52 +0900
    Q3:佐藤勝昭先生
    丁寧にご指導いただき、自分でも勉強したのですが、 まだわからないことがあるのでご教授願いますでしょうか。
    超格子で周期が変わることによってX線回折測定での回折位置が 新たに現れることはわかりました。
    わからないことは、例えばペロブスカイトの超格子(BaTiO3/SrTiO3など)を 作製したときのX線回折パターンはメインピークをはさんで両側に 1st, 2nd, 3rd・・・といった風にサテライトピークが見られるのですが、 なぜそのピーク位置になるのかがわかりません。
    例えば002面のメインピークが2θ=44.5°で-1stが42.2°、+1stが45.9°付近に あるとします。1stピークの位置は何に起因しているものなのでしょうか。

    また、各ピーク位置から算出できる1/Λ=2sinθn+1/λー2sinθn/λはどのように 算出されるのでしょうか。よろしくお願いします。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 5 Jul 2004 15:20:00 +0900
    A3:O様、佐藤勝昭です。
    メインピークとサテライトピークの関係は、前に紹介した藤森、新庄、山本、前川、松井 編:新素材を拓く「金属人工格子」(アグネ技術センター1995)の第3章のp.86付近に出 ています。
    人工格子を界面拡散を無視した「ステップモデル」で扱ったとき、人工格子からの散乱振 幅は
    A(Q)=√IeΣ[Fa(Q)+Fb(Q)exp(iQDa)]exp(iQ kΛ)
    Fa(Q),Fb(Q)は、a層、b層の層構造因子である。
    散乱強度は
     I(Q)=|A(Q)|2=Ie|Fa(Q)+Fb(Q)exp(iQDa)|2・|Σk exp(iQ kΛ)|2
    となる。kに関する和Σkを含む項は、ラウエ関数
     L(Q)=|Σk exp(iQ kΛ)|2=sin2(NQΛ/2)/sin2(QΛ/2)
    となり、ラウエの回折条件QΛ=2mπを与える。また回折条件を満たすQに対してL(Q)=N^2 となる。
    Fa(Q)+Fb(Q)exp(iQDa)は人工格子の構造因子F(Q)である。
    回折ピーク強度は|F(Q)|2に比例し
    |F(Q)|2=|Fa(Q)|2+|Fb(Q)|2+Fa(Q)Fb*(Q)exp(-iQDa)+Fa*(Q)Fb(Q)wxp(iQDa)
    となる。
    第1項、第2項はそれぞれa層、b層からの寄与であり、第3項、第4項はA,b層により散 乱されたX線の干渉項である。
     以上の式は、a層、b層の構造がいかなる場合にも成り立つ。つまり、アモルファスでも 単結晶でもよい。

    ラウエ関数は、Q=2π/Λの間隔でピークが並ぶ櫛の波状の関数なので、回折ピーク強度の Q依存性は、L(Q)が、構造因子の絶対値の2乗|F(Q)|2で変調を受けた形になっている。

    理想的な人工格子のX線回折パターンには、小角域から高角域までQ=2mπ/Λに回折ピーク だ現れる。X線強度は、小角付近とa,b層の配向原子面に対応したQ値(Qa=2π/da, Qb=2π/ db)の近傍が強い。

    たとえば、a層がAuで4原子層、b層がNiで5原子層からなり、どちらの層も[111]配向し ており、これが10層積層されていたとすると、試料中の平均面間隔dav=(na・da+nb・db)/ (na+nb)に対応する回折ピークが、Q=2.885Å-1および1.443Å-1に現れる。これらは対 応する格子面の面指数を用いて、(111)0 および (222)0 基本反射と標記される。このピ ークはL(Q)のラウエ関数でいえば、9次と18次のピークに相当する。ラウエ関数で8次 のピークを(111)-1、10次のピークを(111)+1と記する。つまり、たくさんの超格子回折 のうち強く出るのは、層の平均面間隔からくるラウエピーク付近なので、それを基本反射、 その隣のピークを±1次の衛星反射というのである。
    --------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 5 Jul 2004 15:42:31 +0900
    A4:O様、佐藤勝昭です。
     各ピーク位置から算出できる1/Λ=2sinθn+1/λー2sinθn/λはどのように 算出されるのでしょうか。
    にお答えしていませんでした。
     2Λ sinθn=nλ (1)
     2Λ sinθn+1=(n+1)λ (2)
    (1)-(2)より、
    2Λ(sinθn+1-sinθn)=λ
    両辺をλΛで割ると、
    2sinθn+1/λ-2sinθn/λ=1/Λ
    となります。
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    Date: Mon, 5 Jul 2004 16:31:59 +0900
    AA: 佐藤勝昭先生

    大変丁寧なご説明ありがとうございました。
    ようやく理解できそうです。
    参考図書は以前から借りていましたが、 後ろの方を読んでいませんでした。
    そのために先生にお手数をおかけしたことをお詫び致します。

    後は教科書を参考に理解を深めたいと思います。
    この度は本当にありがとうございました。
    また機会がありましたらよろしくおねがいいたします。
    -------------------------------------------------------------------------------
  • 377.

    金属材料の線膨張係数


    Date: Thu, 24 Jun 2004 20:29:21 +0900
    HPを見ました。御回答宜しくお願いします。
    N社技術者K(匿名でねがいます)です。
    質問:次の5金属材料の線膨張係数を教えてください。
       SUJ2,S50C,S55C,SCM445,SK5
    宜しくお願いします。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 24 Jun 2004 20:50:23 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
     下記の金属材料は日新製鋼の鋼材で、
    熱間圧延特殊鋼 のpdfに記載されています。
    そのp22に焼き戻しの際の伸びの温度変化が出ていますが、それ以上のデータは持ち合わせていませんし、一般性がない特定の会社の製品の線膨張係数についてお答えするのは本HPのミッションからはずれますので、会社に直接尋ねて頂くしか仕方がないと思われます。
    ------------------------------------------------------------------------------
  • 378.

    偏光板の金属微粒子


    Date: Fri, 25 Jun 2004 04:30:47 +0900

    Q1:はじめまして。私はK大学工学部4回生のMと申します。

    物性について色々調べているうちにここにたどり着きました。

    今、自主ゼミで偏光フィルムを使用しているのですが、どういう原理なのかを 調べていて、この偏光フィルムは透明な物質の中に細長い金属の微粒子を埋め 込んだ構造になっていて「微粒子の長軸方向と短軸方向の自由電子の光への 応答が異なる」ために偏光特性が現れると知りました。
    ところで、金属の微粒子の場合なぜ、方向によって電子の応答に異方性が出るの でしょうか?
    (匿名を希望いたします)
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 25 Jun 2004 13:00:49 +0900
    A1:M様、佐藤勝昭です。
    「ロッド形微粒子分散系のプラズモン共鳴」と同趣旨の質問だと思います。
    下記論文には、金属の回転楕円体が強い異方的光学特性を示すことが計算されているとい うことです。(Ann.Phys.=Annalen der Physikドイツ起源の雑誌です。現在は英語で出版 されていますが、昔の論文はドイツ語でしたから、たぶん下記論文もドイツ語ではないで しょうか。)
    R. Gans, Ann. Phys. vol.37, p.881 (1911)
    R. Gans, Ann. Phys. vol.47, p.270 (1915)
    私の手元にはこの論文がないのですが、K大であれば古い文献も入手可能でしょうから、 上記論文をコピーしてFAXまたはpdfメール添付で送ってくれませんか。論文の骨子を解説 して差し上げます。
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    Date: Wed, 30 Jun 2004 00:02:19 +0900
    Q2:佐藤さま
    物性なんでもQ&Aで質問したMです。
    お返事が遅れてもうしわけありません。

    ご紹介いただいた文献の方が手に入らなかったのですが、 自分で色々調べているうちに 金のコロイドがバルクの状態とは違う色になるという話を聞きました。
    ソースは
    http://www.grn.mmtr.or.jp/~noriko/GoldColloid/explanation.html
    なのですが、ここの「超微粒子の場合」に書かれているように 基本的には反分極電場が長軸方向と短軸方向で異なるために 共鳴周波数が変わり、光の吸収に異方性がでるという認識で正しいのでしょうか?
    -------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 30 Jun 2004 19:19:22 +0900
    A2:M様、佐藤勝昭です。
     金属分散偏光子の原理はワイヤグリッド偏光子の原理と同じではないかと思います。 ワイヤグリッド偏光子は、基板上に無数の金属細線を蒸着した構造をもっています。もし、 光の波長λが細線の間隔dよりも長ければ、光の電界ベクトルのうち、細線の長手方向に 平行な成分は吸収され、垂直な成分のみが吸収されずに透過するので、偏光するのです。 通常の蒸着技術では1μm間隔くらいが作りやすいので、ワイヤグリッド偏光子はλ>1μm の赤外線用の偏光子として市販されています。
     細長い金属微粒子をプラスチックフィルムに分散し引き延ばすと、金属微粒子の長軸方 向が延伸方向に配向した構造を作ることができます。その平均間隔dも数百ナノメートル 程度に分散できるでしょうから、可視域においてワイヤグリッド偏光子として働くのでし ょう。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 01 Jul 2004 00:23:08 +0900
    Q3:佐藤様
    Mです。たびたびすみません。
    ワイヤグリッド偏光子や、細長い金属ナノ粒子において、 金属の長手方向に平行な成分のみが吸収され、垂直成分が 吸収されないのはどういう原理なのでしょうか?

    反電場係数が関係しているのでしょうか?
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 1 Jul 2004 12:40:47 +0900
    A3:M様、佐藤勝昭です。
     一般的に受け入れられている説明は、細線の長手方向には電子の集団運動(プラズマ振 動)がおき、振動電流が流れます。電子が格子振動や不純物と衝突すると減衰するし、衝 突しないとこの電流によって逆向きの電子分極が起きて、後方に反射も起きるが、細線に 垂直な短軸方向では、電子が動いてもすぐに壁に当たってしまうために集団運動が起きな いので、その方向の電磁波に影響を与えないというものです。従って、前に前田さんが指 摘したようにプラズマ共鳴周波数が縦と横とで非常に異なるためと解釈出来るかもしれま せん。
    (これを誘電率で説明するとどのように解釈出来るのでしょうか。電磁気学の反電界の概 念は絶縁性の誘電体には適用出来ますが、少なくともDC(ω=0)においては導体に適用 出来ません。なぜならDCでは導体中に電界は存在しないのですから。光の周波数なら電 界は入りますから、電子分極による反電界の概念が適用出来るのでしょうが、Drudeの式 の議論の際に誘電体で使うEeff=Eext-NP/εo(Nは反電界係数)と記述される有効電界を 使って説明することは行われていません。D=εoE+PのEはEextを使いEeffは使っていませ ん。しかし、反電界係数Nは純粋に電荷が回転楕円体の面上に分布するときの形状による 反電界を計算しただけの式なので、上に述べたような、電子の集団運動が起きるかどうか は問うていません。従って、反電界係数の考えでは誘電率の異方性は説明出来ないと思い ます。)
    参考までに、海外のサイトで、wire grid polarizerのprincipleをどう扱っているか調べ てみました。
    AustineのHPによれば、
     細線の中の電子に働く力は、細線に平行(縦方向)に振動する力と細線に直角に横方向 に振動する力とに分解できる。縦方向の成分は細線内で電子を上下に移動させることがで き、このために、この方向の偏光成分の一部は反射され一部は細線内で熱に変わる。光の もう一つの偏光成分は電子に横方向の力を与えるが電子は細線内に閉じこめられているの で横方向に動くことができない。その結果横方向の成分はワイヤグリッドを通り抜け、偏 光子をでた光は(グリッドと垂直な)横方向に偏光している。これがワイヤグリッド偏光 子の原理である。
     と書かれています。
     一方、 Rochester Institute of TechnologyのマイクロエレクトロニクスのHP(pdf)では、
     ワイヤグリッド偏光子の原理は次の通りである。TE偏光の電界(注:電気工学では、垂 直方向に電界がある電磁波をTE=transverse electricと呼んでいます)は、細線に平行な 電流を誘起する。前方に進む光波の位相は入射TE波とは out of phase(位相が90°ずれている)ので強度が非常に減衰し、後方に進む波は反射光 として測られる。一方、TM偏光(垂直方向に磁界成分がある波transverse magnetic)の 電界は細線に垂直である。細線はこの方向に非常に狭いので、電子は非常にわずかな空間 しか動けない。従って、TM波のほとんどは影響を受けない。
     と書かれています。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 04 Jul 2004 20:55:56 +0900
    A4:前田様、佐藤勝昭です。
     前回のお答えで反電場係数では説明できないと書いたのですが、そののち、 Stephan Link and Mostafa A. El-Sayed: Spectral properties and relaxation dynamics of surface plasmon electronic oscillations in gold and silver nanodots and nanorods; J. Phys. Chem. B 103 (1999) 8410-8426.
    を入手して読みました。この2.3節を引用しておきます。
    「ナノ粒子の形状は表面プラズモンに非常に大きな影響を与える。金のナノロッ ドではプラズモン吸収が2つの吸収帯に分裂する。この2つの吸収帯は、粒子の 自由電子の長軸方向に平行および垂直の運動に対応する。横方向の振動の共鳴は 520nmに現れるが、これは球状粒子のプラズモン周波数に相当する。一方、縦方 向のモードは赤色移行して、その位置はナノロッドのアスペクト比に依存する。 (中略)ランダム配向したアスペクト比Rをもつナノロッドの集合の光吸収スペ クトルはMieの理論の拡張によってモデル化される。Gansによれば、体積VのN個 の粒子の消光係数κは双極子近似の範囲で次式で当てられる。
    κ={(2πNVεm3/2)/3λ}Σ(1/Pj22/{(ε1+(1-Pjm/Pj)222} (5)
    ここにPjの値は、ナノロッドの3つの軸に対する反電場係数(depolarization coefficient)で、A>B=Cとしている。
     PA={(1-e2)/e2}[(1/2e)ln((1+e)/(1-e))2] (6)
     PB=PC=(1-PA)/2                (7)
     e=√{1-(B/A)2}=√(1-1/R2)          (8)
    ・・・・・」
    と書かれています。さらに
    「長軸方向のプラズモンバンドの極大値λmaxは λmax=33.34εmR-46.31+472.31          (9)」
    のようにλmaxはRに比例すると書かれています。
    -----------------------------------------------------------------
    R=4としますと、e=(√15)/4=0.968
    PA=0.143, PB=PC=0.428
    ε1とε2にDrudeの式の実数部と虚数部を入れます。これによってκは2つのピーク を示すことになります。従って、ピークのシフトに反電場係数が重要な働きをし ていることになります。
     なお、前回、述べたように長軸方向に比べ短軸方向ではキャリアの移動距離が 短いということも、重要です。これはDrudeの式εD(ω)=1-ωp2/(ω2+iγω)におい てダンピング定数γがサイズ依存性をもつことにより説明されます。
    -------------------------------------------------------------------
  • 379.

    FeとAlの沈降速度の計算


    Date: Sat, 26 Jun 2004 18:44:19 +0900
    Q: 粒子の落下速度を教えて下さい。
    ・粒子径は1μm、10、20、50、100、200、500
    ・材質はFe、Alの金属

    ※出来ればグラフが有れば分かり易いのですが・・・。
    以上宜しくお願い致します。

    匿名 M社の会社員Yより
    ---------------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 26 Jun 2004 20:30:01 +0900
    A: Y様、佐藤勝昭です。
    新潟大学の化学工学科のHPに終末速度の簡単な求め方が出ていますから、ご利用されては如何でしょうか。粒径と密度を入れるだけで計算出来ます。 Feの密度は7860kg/m3, Alの密度は2690kg/m3を使って下さい。
    ---------------------------------------------------------------------------------------
  • 380.

    実験誤差の考察


    Date: Sun, 27 Jun 2004 00:25:03 +0900
    Q: はじめまして。
    M高校普通科二年生のKと申します(匿名希望です。)
    ネットで探し物しててたどり着きました。
    探し物とはmol質量の実験の授業で「ブタンの分子量」というブタンガスの実験を 行っていまして、その考察が解らなくて書き込みをしてみました。
    実は教授のサイトを見ていません(というか見れませんでした) なんでどういう方針でサイト運営をしているのか自分はぜんぜんしらないので、 多分こんな高校レベルの質問に応対してくれるのか、と少し不安です。
    でも、別に無理にじゃないのでよかったら返事を下さい。

    解らなくて詰まっているところは、
    ブタンの分子量が(理想値)が58g
    実験値との比較、誤差は実験値60,7gで誤差は約1.05%でした。
    そこで理想値と実験値が上記の場合その原因について述べなくてはいけないのです が、
    @分子量(実験値<理想値)のときの誤差の原因で考えられること
    A分子量(実験値>理想値)     〃

    の答え方に困っています・詳細を述べよって言われてて、でも参考書やネットで調べ ても解りません。
    まだ沢山わからない問題があるのですが、まずはこの問題を聞いて教授が助けてくれ るのならもっと聞きたいんです!
    実験の内容等は気体ボンベを使用しています。
    ------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 27 Jun 2004 01:28:34 +0900
    A: K君、佐藤勝昭です。
     サイトの運営方針は、http://www.tuat.ac.jp/~katsuaki/nandemoQ&A.html に出ています。
     ------------------------------------------------------------------
     高校の化学の実験の考察は自分で考えなければ意味がありません。
    ヒントだけ上げましょう。
    どんな実験でも誤差を伴います。誤差には系統誤差といって実験のシステムや実 験方法そのものに起因する誤差と、偶然誤差といって目盛りの読みとりのばらつ きやノイズによる誤差があります。偶然誤差は何回も実験をして平均すれば小さ くなりますが、系統誤差は実験方法によるので何回やっても同じ結果が出ます。  具体的な実験方法が記述されてないのであなたの実験結果の誤差約1%が、読 みとりのばらつきによる偶然誤差の範囲内かどうかわかりません。
     系統誤差としては、化学実験にありがちですが、測定対象が実験中に失われる 場合です。液体の場合は容器についてしまったり、気体の場合は逃がしてしまっ たりです。また、容器の体積を測定する(あるいは、推定する)のが正確でな かった場合などです。
     まずは、あなたの実験誤差が偶然誤差かどうかを推定して下さい。(目盛りの 読みとり誤差はどの程度かなど)偶然誤差なら何度も測定すれば、真の値に近づ きます。
     次に実験誤差が偶然誤差の範囲を超えている場合には、実験を振り返って、ど の部分で、実験値が理想値より大きくなるような誤差を生じる過程が入り込んだ かを振り返ってみましょう。
    -----------------------------------------------------------------------
  • 381.

    回折限界の式の係数は0.5か0.82か


    Date: Tue, 29 Jun 2004 00:05:04 +0900
    Q: はじめまして。
    私は東北大OBの会社員Kです。
    公開講座
    「次世代フォトニクスの新展開」の論文について質問させてください。
    「3.光ディスクの高密度化」の項にて、d=0.5λ/NAと記載されています。
    参考書(コンパクトディスク読本)によっては、d=0.82λ/NAと記載されています。
    λ/NAに掛けてある係数(0.5or0.82)は、どのように求まるのでしょうか?
    実際の系(DVD)では、どちらが近いのでしょうか?
    お答え頂けると幸いです。
    宜しくお願い致します。
    (申し訳ありませんが、Web記載の際は匿名でお願い致します。)
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 29 Jun 2004 13:43:46 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
     ご質問有り難うございます。回折限界の決め方にはかなりの任意性があります。そのこ とは、Born-Wolfの有名な教科書Principles of Opticsでも8.6.2節で、
    The limit down to which the eye can detect the two objects is, of course, to some extent a matter of practical experience. With a photographic plate contrast may be enhanced and so the limit of resolution decreased by suitable development.
    (2つの物体を目で識別できる限界はある程度実際の経験による。写真乾板のコントラス トは強調出来るので解像限界は適当な現像の仕方によって減少させることができる)と書か れています。
     Born-Wolfの教科書では、先の文に続いて、次のように書かれています。
    Nevertheless it is desirable to have some simple criterion which permits a rough comparison of the relative efficiency of different systems, and for this purpose Rayleigh's criterion may again be employed.
    (そうはいっても、様々なシステムの効率を大まかに比較することのできる単純な判定基 準があると望ましい。このために(前に述べた)レイリーの判定基準が適用出来る。)
    レイリーの基準というのは、7.6.3節によれば、次のように記述されてます。
    Two components of equal intensity should be considered to be just resolved when the principal intensity maximum of one coincides with the first intensity minimum of the other; in the combined distribution, the ratio of the intensity at the mid-point to that at the maxima is then 8/π2=0.811.
    (同じ光強度の2つの成分が丁度分解されるには、一方の0次回折光強度の最大の位置が、 他方の回折パターンの最初の極小の位置と一致する場合である。この場合、2つのスポッ トの中点での強度は最大値の81%になる)つまり、回折パターンの最初の極小値をとる位 置をスポットサイズとしているのです。
     8.6.3節では、顕微鏡の結像について述べており、
    (a) インコヒーレント照明の場合
     として、|Y|〜0.61λ0/n sinθ (32式)
    (b) コヒーレント照明の場合(Abbeの式)
     として、|Y|=0.82λ0/n sinθ (55式)
    を与えています。
     光ディスクはレーザ(コヒーレント光)を使うので0.82を使うのが正しいのです。
    しかし、最初に述べたように、写真の現像の仕方[現在の場合電子的な信号処理]で解像出 来るスポットをかなり小さくできるということですので、実用的に0.6あるいは0.5が使わ れることが多いのです。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 11 Jul 2004 22:40:52 +0900 (JST)
    AA: 早急にご回答頂き、ありがとうございました。
    とても分かり易く、理解の助けとなりました。
    現在、光ディスクについて勉強しており、 また質問させて頂く事もあるかと思いますが、 宜しくお願い致します。

    ありがとうございました。
    -------------------------------------------------------
  • 382.

    冷却したときのセラミクス箱の内部圧力


    Date: Tue, 29 Jun 2004 18:45:08 +0900
    Q:佐藤研究室 殿
    R社 F と申します。
    350℃で完全密封したセラミック(壁厚1mm)の箱を、-70℃に冷却した時の、内部圧 (気圧)を知りたく 質問させてもらいました。完全密封のため体積変化はありません。
    内部の気体の体積は35.4mm3(10.5×7.5×0.45mmt)となっています。
    よろしくお願いします。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 29 Jun 2004 19:18:56 +0900
    A:F様、佐藤勝昭です。
    ご質問の件ですが、単にBoyleの法則を当てはめるだけでよいのではないでしょうか。
    圧力p、体積Vとしますと、pV=RTです。
    350℃で密封するときの圧力は1気圧であるとします。すると
     V=R(350+273)・・・(1)
    となります。
    一方、-70℃における圧力pは, 体積変化がないと仮定しているので、同じVを使って
     pV=R(-70+273)・・・(2)
    で与えられるので、両式から
     p=(-70+273)/(350+273)=203/623=0.326気圧
    ということになります。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 383.

    空気/金/ガラスの反射


    Date: Fri, 02 Jul 2004 11:08:30 +0900
    Q1: 佐藤教授殿
    M社のOと申します。(匿名でお願いします)
    貴HPを拝見して初めてメールいたします。

    現在100nm程度の段差形状を持った材料(例えばガラス)に アルミか金の反射膜を蒸着しようと思っております。
    対象が100nm程度の段差ですので、あまり厚く蒸着するわけに はいかず、薄く蒸着しようと考えております。

    そこで質問ですが、波長850nmの光を垂直に入射させる場合、アルミや金の反射率を80%以上確保しようとすると 最低何nmの薄膜を蒸着すればよいでしょうか?(ガラスは鏡面) 御存知でしたら是非御教示いただきたく存じます。
    30nm程度あれば良いでしょうか?

    以上、宜しくお願いいたします。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 2 Jul 2004 20:53:04 +0900
    A1:O様、佐藤勝昭です。
     空気/Au/ガラスの構造における
    反射率のスペクトルの計算法を添付します。
    ExcelなのでAuの膜厚をnm単位で入力すると反射率がわかります。
    (複素数の計算なのでExcelのオプションで分析ツールをonにして下さい。)
    ガラスのkは波長350 nm以下で0ではありませんが、データがないので0としてあります。
    これでみると、λ=700nmにおいて、膜厚1000nm(十分厚い)場合と比較して100nmではほと んどちがいがなくR=96%ですが、70nmでは95%、50nmでは92%、30nmでは79%です。
    従って、80%でよければ、30nmでよいことになります。
     Alもほぼ同様と考えてよいでしょう。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 05 Jul 2004 09:47:59 +0900
    Q2:佐藤教授殿
    M社のOです。
    ご親切な御回答有難うございました。 もう一点だけ教えてください。
    この金属反射率に関る光学パラメータの データベースはどこ(どの文献)で知ることが出来ますか。
    適切なものがございましたら御教示いただきたくぞんじます。
    以上、よろしくお願いします。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 5 Jul 2004 10:34:42 +0900
    A2:O様、佐藤勝昭です。
     なんでもQ&Aの質問回答に何度(No.5, No.23, No.38, No.49, No.165, No.176, No.178, No.204, No.269, No. 295, No.335, No.354)も出てきていますように、金属など固体の 反射率のデータは、Palik:Handbook of Optical Constants of Solids (Academic) I, II にあります。
    金属だけですが、Landolt-Boernstein のNew Series III-15bにもあります。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 05 Jul 2004 11:09:24 +0900
    AA: 佐藤教授殿
    M社のOです。
    御回答有難うございました。
    以前に同様の質問があったのは見落としておりました。
    参考にさせていただきます。
    有難うございました。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 384

    MOSFETのフラットバンド電圧の評価法


    Date: Wed, 30 Jun 2004 16:47:08 +0900
    Q: 法政大学のTです。
    HPを見て質問させていただきました。
    現在ゼミでMOSFETについて研究しているんですが、 フラットバンド電圧の測定方法は具体的にどのようなものがありますか?
    金属と半導体の仕事関数差等の式の計算からではなく、 実用的な測定方法について知りたいです。
    よろしくお願いします。
    Webにアップする場合に匿名を希望します。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 5 Jul 2004 11:36:57 +0900
    A: T君、佐藤勝昭です。
     返事が遅くなりました。電気電子工学専攻の須田良幸教授がご専門ですので、お伺いし ましたとこと、下記のお返事を頂きました。
     「基本的にはC−V特性を測れば、C−Vg(ゲート電圧)曲線のシフト量から、 フラットバンド電圧を評価できます。例えば、Vg=0Vで半導体のバンドがフラッ トな理想的なnチャネルMOSの場合、Vgの電圧を+側に増加していくと空乏層が 発生し、Cが減少始めます。Vg=0Vで既にバンドが曲がっている場合は、フラッ トバンドを与えるVg近傍からCが減少始めます。即ち、バンドが曲がっていた分、 このC−Vg曲線がシフトしますので、このシフト量からフラットバンド電圧を評価 できます。」
    ---------------------------------------
    なお、Sze: Semiconductor Devices(和訳 ジー:半導体デバイス(南日、川辺、長谷川 訳))の第5章 5.4節(和訳p.206)に詳しく載っていますのでご参照下さい。
    ----------------------------------------------------------------------------
  • 385.

    シリコンの曲げ応力


    Date: Fri, 2 Jul 2004 13:03:27 +0900
    Q: 佐藤研究室 殿
    R社 F と申します。
    先日はありごとうございました。
    半導体のチップに使用されている、シリコン材(Si、ケイ素)ですが、 これの、曲げ応力(破壊応力)について教えてもらえないでしょうか?
    よろしくお願いします。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 3 Jul 2004 00:57:30 +0900
    A: F様、佐藤勝昭です。
     シリコンの力学的性質はMEMS(マイクロマシン)関係の論文で調べることができ ます。Bending stress(曲げ応力)に関しては、
    JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, VOL. 12, NO. 6, DECEMBER 2003 779 を勉強して下さい。http://ultra.bu.edu/papers/srikarJMEMS.pdfをクリックしてダウ ンロードして下さい。
    Siの降伏応力については、
    J. Vac. Sci. Technol. B 19(5O), 1870, (2001)
    Notch formation by stress enhanced spontaneous etching of polysilicon
    に45MPaとでています。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 5 Jul 2004 10:07:28 +0900
    AA: 佐藤勝昭殿
    対応ありがとうございます。
    上記の論文を参考させていただき勉強します。
    ------------------------------------------------------------------------------
  • 386.

    トムスン四面体


    Date: Fri, 02 Jul 2004 07:40:27 +0000
    Q: K大学四年物資科学工学科Oです。
    匿名でお願いします。
    すべり面と、トムソンの四面体について教えてください。
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    Date: Fri, 2 Jul 2004 21:45:15 +0900
    A:O君、佐藤勝昭です。
     私は、Thomson tetrahedronという用語を知りませんでした。
    英文のWeb検索の結果、次のことがわかりました。
     CuをRu(0001)の上にデポしたときや、GaAsの(111)面とエピ層の格子不整合があるとピ ラミッド状の欠陥ができますが、そのような正四面体(tetrahedron)状にできる積層欠陥 (stacking fault)のことをいうようです。結晶成長ハンドブックなどを見たのですが、四 面体状の積層欠陥のことは出ているのですが、Thomson tetrahedronという用語は出てい ませんでした。また転位との関係などは、詳しくは下記の書物を勉強して下さい。
    J. P. Hirth and J. Lothe, Theory of Dislocations (1992).
    私は、手元にないのですが、九大なら図書館にあるでしょう。
    あなたの所属する物質科学工学科のほうがこの分野に詳しい専門の先生がおられると思い ます。そちらにお尋ね下さい。
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  • 387.

    シンチレーションカウンタ用のオプティカルセメント


    Date: Tue, 06 Jul 2004 10:51:23 +0900
    Q: こんにちは、突然のメールで失礼いたします。
    私、岐阜大学教育学部の学部学生で杉原と申します。
    インターネットホームページの「物性なんでもQアンドA」を拝見いたしました。

    ぜひともご教授いただきたいことがございまして、ご連絡させていただいた次第です。 この度、光電子増倍管およびシンチレーターを用いた宇宙線の検出という学生実験を 行うことになりまして、現在下調べをしているのですが、シンチレーターとライドガ イドを「オプティカルセメント」というもので接着する、ということがわかりました。 ところがどの専門書を見ても、シンチレーションの説明、ライトガイドを使用する理 由、光電子増倍管の原理等は載っているのですが、それらの接合面に使用する真空グ リース、オプティカルセメント等に関する詳しい記述が見つかりませんでした。
    そこでインターネット上で情報を得るべく検索しておりましたところ、「物性なんで もQアンドA」を見つけまして、ご助言をいただけないかと存じまして今回メールをお 送りさせていただきました。
    ぶしつけとは存じますが、どういうものを使用すればよいのかご教授いただけません でしょうか。
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    Date: Tue, 6 Jul 2004 11:19:39 +0900
    A1: 杉原様、佐藤勝昭です。
     Googleでoptical cementと入れますと、127,000も引っかかってきます。Summers Optical、Saint Gobainなどで販売しているようです。
     一般にoptical cementというのは光学素子用の接着剤で、光学的に透明で光学素子と屈 折率が近いものが使われます。たとえば、プリズム偏光子では、結晶方位の異なる2つの 方解石プリズムをoptical cementで接着しているようです。
     シンチレーションカウンタの場合、波長の短い青、紫、紫外線に対して透過率の高いも のが必要です。
     Googleでoptical cement scintillationと入れたら、 Saint GobainのBC-600のことがトップで引っかかってきました。
    シンチレータ用に開発されたもののようです。
    いま入手方法を、高エネルギー粒子計測の専門家に伺っていますので、返 事があればお答えします。
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    Date: Tue, 6 Jul 2004 13:08:46 +0900
    A2: 杉原様、佐藤勝昭です。
     高エネルギー物理学を専攻しておられる本学の仁藤助教授にお伺いしました。
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    「仁藤です。シンチレーターとライトガイド、光電子増倍管の接着ですが、 以前は自分たちでやっていましたが、最近は業者に発注した方が確実と言う ことで埼玉の以下の業者に頼んでいます。そこに聞いてみるのが一番早くて 間違いないと思います。
    ■社名   株式会社 シーアイ工業
    ■代表者  山品 恒夫
    ■所在地  〒359-1164 埼玉県所沢市三ヶ島2ー674ー2
    ■電話番号 (042)948ー1811
    ■FAX    (042)949ー1395
    http://www2.dango.ne.jp/cikogyo/」
    というお返事でした。
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    Date: Wed, 07 Jul 2004 18:09:50 +0900
    AA: 先日オプティカルセメントの件でお尋ねさせていただきました、岐阜大学教育学部の 杉原です。
    佐藤先生、親切にご案内いただきましてありがとうございました。
    突然の失礼極まりないメールにも関わらず、ご親切に回答をしかも早々といただけま して大変助かりました。
    ご教授いただいた内容を踏まえまして、今後の活動を検討したいと存じます。
    仁藤先生にもお礼を申し上げたいのですが、残念ながら適いませんので、よろしくお 伝え願えますでしょうか。
    どうもありがとうございました。
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  • 388.

    半導体素子の温度依存性


    Date: Wed, 7 Jul 2004 00:53:36 +0900
    Q: 佐藤教授殿
    メーカーM社 山田と申します。
    貴HPを拝見し、是非お教え願いたいことがあり、初めてメールさせていただきまし た。
    この春からLSI設計にたずさわっておるのですが、半導体素子の温度依存性が本を読 んでもどうもぴんとこないのです。

  • pn接合容量
    逆バイアスに振ると空乏層がのびて容量はちいさくなりますが、温度を低温にして いっても小さくなっていきます。
    温度依存についてはキャリア密度が低温で小さくなるからという理解で良いのでしょ うか?
  • MOSキャパシタ(ポリシリゲート)容量の温度依存性
    これも温度を低温にすると容量がわずかに小さくなります。これもキャリア密度のせ いでしょうか?
  • 抵抗素子の温度依存性
    金属は温度を上げると格子振動散乱をうけるので、抵抗は大きくなる(温度係数 正)。
    真性半導体は温度を上げるとキャリア密度が大きくなって抵抗が下がる(温度係数 負)。
  • と、たぶん本に良く書いてありますが、

    p型、n型ドープシリコンについては温度係数が実際正だったり負だったりします。
    ドープ量と関連しているようなのですが、ここらへんがなんかすっきりしません。

    お忙しいところ申し訳ありませんが、何卒御教授のほど宜しくお願いいたします。
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    Date: Wed, 7 Jul 2004 22:06:34 +0900
    A:山田様、佐藤勝昭です。
    メール有り難うございます。
    (1)空乏層の逆バイアスにするのと低温にするのとはどちらも電荷量が少なくなるという 点では同じと考えられます。あなたのお考えの通りでしょう。
    (2)低温ではチャネルの電荷が減少するのでゲート容量も減少すると思います。あなたの 推論でよいと思います。
    (3)高ドープの半導体の場合、縮退しているなら金属と同じですから高温では格子散乱の 効果が効いて温度係数は正になります。縮退する前であれば、温度とともにキャリア数が 増加するので負の温度係数になります。
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    Date: Thu, 8 Jul 2004 00:35:22 +0900
    AA: 佐藤先生

    早速の御返事有難うございました。

    私は設計側の人間ですが、半導体物性についても常に意識しながら仕事ができるよう がんばりたいです。
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  • 389.

    ハイブリッドICの熱設計


    Date: Sat, 10 Jul 2004 Q: 佐藤研究所 様
    HPを観ました。M社のKです。
    お手数ですが 標記の件 教えて頂きたく宜しくお願いします。
    (WEBアップ時は 匿名でお願いします。)

    背景
    ハイブリッドICでは 例えば ウェファより切り離したベアトランジスタ(例えば 1mm角)をパッド(例えば1.5mm角)に接着し 更にこのパッドをセラミック基板(例えば10mmX20mmX0.5mm)上の金属パターン(金 等から成る)に接着しています。
    このトランジスタから発生した熱(例えば1Wの熱量)を速やかに放熱しないと熱破 壊に至ります。
    例えば 雰囲気温度50℃にて ジャンクション温度を 180℃に制限したい) セラミック基板は放熱板(アルミニウムで 自然空冷で且つ極力小型化したい)に接 着します。

    教えて頂きたいのは
      1) 共晶半田 並びに 高融点半田 の 熱伝導性、熱抵抗
    2) 上記条件下にて ジャンクション温度を求める計算式
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    Date: Sun, 11 Jul 2004 01:37:34 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
     トランジスタの実装における熱設計は半導体デバイス設計の基本なので、企業 の現場にノウハウが蓄積されていると考えられます。私に聞かれるより御社の社 内のしかるべき設計技術者に聞かれた方がよいと思います。
     (1) 半田の熱抵抗率ですが、シリコンの3倍程度です。
     (2) 一般論ですが、半導体接合から1secに放出される熱量をQ[W}とし、半導体 の熱抵抗θjc[K/W]、リードフレームの熱抵抗θcs[K/W]、放熱器の熱抵抗θsa[K/W] とする。接合部の温度をTj[K]、空気の温度Ta[K]とすると、
      Tj-Ta=Q(θjc + θcs + θsa)
    となります。パッド、半田などの熱抵抗はリードフレームの熱抵抗θcsに押し込 んであります。
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    Date: Sun, 11 Jul 2004 06:53:32 +0900
    AA:有り難うございます。
    社内の人に 確認してみます
    M社K
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    Date: Sun, 11 Jul 2004 10:36:05 +0900
    A2:K様、佐藤勝昭です。
     参考になる文献を添付します。(注:著作権の問題有り、ネットにはアップ出来ません)
    なお、素人向けの放熱器の設計のためのサイトを見つけました。
    http://www.car-e.net/~dai/emv/hounetu.htm
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    Date: Sun, 11 Jul 2004 17:10:53 +0900
    AA2:佐藤 勝昭 様
    重ね重ね有り難うございます。
    教えて頂きました文献類を元に計算してみます
    (明日にでも 会社の関係部署に相談も行ってみます)
    実は1mm角程度のベアチップトランジスタに1w強程度消費させ 且つ前述のセラミック基板上に合計8個を搭載する(つまり合計約10w) 事が本当に正しいのか(量産で実用になるのか?)を検証したく 相談申し上げした次第です。
    「熱が逃げるパイプの太さ(熱抵抗)が大元で1mm角程度」がどれだけ 影響するのかを一番懸念しますが 計算方法が判らず相談申し上げした次第です
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  • 390.

    真性半導体の活性化エネルギー


    Date: Mon, 12 Jul 2004 00:30:10 +0900
    Q:初めて質問させていただきます。群馬高専専攻科2年 亀谷潤と申します。
    半導体の性質について疑問をもちまして、検索していたところ先生のHPにたどり着き ました。全部ではありませんがHPを拝見させていただきまして、質問をさせていただ いております。
     直接遷移型の真性半導体において熱励起による電気伝導性の活性化エネルギーは、 光吸収によって伝導電子を生成するのに必要な最小エネルギーの半分になるというの ですが、その理由がわかりません。どうぞよろしくお願いいたします。
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    Date: Mon, 12 Jul 2004 01:30:39 +0900
    A: 亀谷潤君、佐藤勝昭です。
     ご質問については、例えば、佐藤勝昭編著「応用物性」第2章、2-1節p.29-33に載っています。
     伝導帯の電子密度nはn=Nc exp{-(Ec-Ef)/kT}で表されます。Ecは伝導帯の底のエネルギー、Ncは伝導帯の電子に対す る実効状態密度でNc=2(me*kT/2πh'2)3/2と表されます。Efはフェルミ準位で す。me*は電子の有効質量、h'はh/2πです。
     一方、価電子帯のホール密度pはp=Nv exp{(Ev-Ef)/kT}で表されます。Evは価電子帯の頂のエネルギー、Nvは価電子帯のホールに対する実効状態密度でNv=2(mh*kT/2πh'2)3/2と表されます。mh*はホールの有効質量です。
     真性半導体の電子密度とホール密度が等しいのでこれをniとすると、n=p=niですか ら、np=ni2
      ni2=Nc exp{-(Ec-Ef)/kT}xNv exp{(Ev-Ef)/kT}=NcNv exp{-(Ec-Ev)/kT}
    両辺の平方根をとって、
      ni=(NcNv)1/2 exp{-(Ec-Ev)/2kT}
    ここでEc-Ev=Egなので
      ni=(NcNv)1/2 exp(-Eg/2kT)
    となり、活性化エネルギーがEg/2となるのです。
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    Date: Mon, 12 Jul 2004 04:55:39 +0900
    AA: 佐藤勝沼先生
     早速のお返事ありがとうございます。お忙しい中ご丁寧な説明をしていただきまし て、どうもありがとうございました。
     自分は現在物質化学を専攻しているのですが、最近半導体やキャパシタなど電気関 係の知識が必要になり理解するのに四苦八苦しております。先生のお書きになった 「応用物性」などを含め、化学系の学生が電気を学ぶにあたって良い教科書があれ ば、いくつかお教えいただけませんでしょうか、よろしくお願いいたします。
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    Date: Mon, 12 Jul 2004 14:11:51 +0900
    A2:亀谷君、佐藤勝昭です。
     私の教科書では、佐藤・越田「応用電子物性工学」(コロナ社)がわかりやすいと思い ます。化学の学生にわかりやすいということで、応用分子化学科の教授に伺ったところ、 固体物性関係なら
    坂田:理工学基礎シリーズ「物性科学」(培風館)
    玉井:「固体化学I,II」(朝倉書店)
    がよいだろうと言うことでした。
     電気のことを学ぶ教科書は、やさしいのからむずかしいのまでいろいろ出ているので、 本屋さんで自分でご覧になった方がよいでしょう。
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    Date: Mon, 12 Jul 2004 17:23:43 +0900
    AA2:佐藤勝昭先生
     重ね重ねご丁寧にありがとうございます。ご紹介いただいた本を見て勉強します。 またお手数をかけることもあると思いますが、その時はまたどうぞ宜しくお願いいた します。どうもありがとうございました。
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  • 391.

    アナログ電子回路の現状と課題


    Date: Mon, 12 Jul 2004 20:53:50 +0900
    Q: HPを拝見しました。
    広島工業大学電子工学専攻1年のTです。
    匿名でお願いします。

    アナログ電子回路を今習っているのですが、アナログ電子回路の現状をしりたいで す。
    また、将来に向けてどのような課題があるのですか。

    宜しくお願いします。
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    Date: Tue, 13 Jul 2004 11:32:27 +0900
    A: T君、佐藤勝昭です。
     世の中がディジタルブームで、ディジタル回路さえわかれば、すべてOKのような風潮が あるのは困ったことです。
    アナログの技術はヒューマンインターフェースを考える場合に は重要です。たとえば、イメージなり音なり触覚なり温度なりセンサで検出する量は(最 終的にコンピュータに入力するときはディジタル化されるとはいえ)本質的にアナログ量 です。出力も音であれ、画像であれ、動きであれアナログ量となります。
     ほとんどのアナログ電子回路の基礎は70−80年代に完成したといってもよいでしょう。
     その後、半導体材料の改良、半導体デバイスの技術革新によって、大電力、高速、高感 度など高機能化が進みました。また、オペアンプ、アナログIC等の形で微細化も進み、た とえばTV受像機では、数千あった部品が集積回路化によって数十個の部品ですむようにな るなど、70−80年代には考えられなかったような発展をしました。部品数の減少は、 製造工程での省力化、省資源化を進めただけでなく、製品の低コスト化、省電力化、小型 化、信頼性の向上を実現しました。
     大型薄型ディスプレーにも多くのアナログ技術が使われていますが、大面積化と省電力 化をどのように実現するのかは大きな課題です。
     また、80年当時は、ほとんど一般ユーザに縁のなかったGHz以上の超高周波が、TV, 携帯電話、LANなどに使われるようになり、超高周波のアナログ技術の重要さが認識され ています。また、通信のみならずストレージにおいても微小な高周波信号を扱うことが多 くなったので、如何に低ノイズの初段増幅器を作るかも大きな課題になっています。  日経エレクトロニクスという雑誌にも折に触れてアナログ電子回路の記事がでています。 トランジスタ技術という雑誌ではフレッシュマン向きのアナログ回路講座も出ているよう なので、それらを図書館で調べるとよいでしょう。ネットでは、個別の情報は得られるけ れど、総合的なものは得られないので、できるだけ図書館などで本を調べるようにして下 さい。
     なお、ここに私が書いたことは、私に著作権があります。レポートに書かれるときは、その旨、 引用して下さい。
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  • 392.

    透明電磁波シールドフィルムの電気抵抗


    Date: Wed, 14 Jul 2004 17:22:20 +0900
    Q: 東京農工大工学部
    物理システム工学科教授 佐藤勝昭 様

    A社のKです。
    お世話になっております。

    本日は先生にお尋ねしたいことがあり、御連絡を差し上げた次第です。

    世間一般に用いられている透明電磁波シールドフィルムとして、金属多層スパッタというものがあります。これは、PETフィルム上に銀とITOを交互にスパッタし、積層膜としたものです。例えばPDPでは、銀を4層、ITOを5層、交互に積層した9層膜が使われております。
    家庭用のPDPで必要とされるシールド性能発現には、1.5Ωが必要とされています。銀の単層スパッタでこの値を得ようとすると全く透過率がなくなってしまうため、ITOと積層膜にすることによって反射率を制御、透過率を高めています。
    前置きが長くなり、申し訳ありません。

    ここで1点、よくわからないことがあります。
    それは、銀の積層枚数を増やしていくと、なぜ表面抵抗が下がるのかと言うことです。
    話によると、1.5Ωを実現するには銀が3層では不十分で、4層以上が必要になるそうです。
    銀のスパッタ層はそれぞれが完全に独立しているわけではなく、ITO層を介して導通がとれていると考えればよいのでしょうか。
    ITOスパッタ膜は1.5Ωもの低抵抗値は持ち得ません。
    しかし、あまりに薄膜であるが故に、上下の銀層間の導通を妨げない、つまり、積層膜でありながら銀の厚膜と見なせる状態にあるということでしょうか。

    非常に基本的な質問かもしれませんが、先生の御意見をお聞かせ願えないでしょうか。
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    Date: Wed, 14 Jul 2004 18:37:42 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
     ガラス上のITOの比抵抗はρ=5×10-4Ωcm程度ありますが、
    株式会社トービのHPによると PET上のITOの比抵抗は膜厚1000Å以上ではρ=40mΩcm程度と言うことです。
     ITOの厚みを仮に1μm=10-4cmとしましょう。このときシート抵抗は確かに高く 400Ω/□程度です。しかし、1cmx1cmのITOの膜厚方向の抵抗値は比抵抗ρ=4×10-2Ωcmとして、
     R=ρd/S=4×10-2×10-4/1×1=5×10-6Ω
    に過ぎません。膜厚方向にはショートしているのと同じなのです。
     従って、AgをITOをはさんで何枚も重ねても面内を電流が流れるときはその並列抵抗にな ると考えてよいのです。
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    Date: Thu, 15 Jul 2004 09:12:11 +0900
    Q:東京農工大工学部
    物理システム工学科教授
    佐藤勝昭 様
    A社のKです。
    お世話になっております。

    大変お忙しい中、早速のお返事ありがとうございました。

    わかりやすい御説明、ありがとうございました。
    膜厚方向の抵抗値を基本式に従って計算すれば、理解で きる内容でした。非常に基本的な事項を先生に御説明させ てしまい、大変恐縮です。
    しかし恥ずかしながら、ITO薄膜の厚み方向の抵抗値がそ のように低い値だったとは、想像できませんでした。
    非常に勉強になりました。ありがとうございました。
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  • 393.

    Pd/Geはショットキーダイオードになるか


    Date: Thu, 15 Jul 2004 11:58:27 +0900
    私はY大学電気電子工学科4年Mと申します。
    匿名希望です。
    質問なのですが、 ゲルマニウムとパラジウムでショットキーダイオードになるのでしょうか。
    これは講義で出た課題ではなく、 あくまで自分の疑問による質問です。
    どうかよろしくお願いします。
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    Date: Thu, 15 Jul 2004 20:43:15 +0900
    A: M君、佐藤勝昭です。
     文献によると、Pdの仕事関数φmはφm=5.12eV , Geの電子親和力χsはχs=4.13です。 GeのバンドギャップはEg=0.66です。n形の場合, 半導体側の仕事関数φsはほぼχsと等 しいですから、φm>φsが成り立ちショットキー接触になります。
     一方、p形の場合、φs〜χs+Eg=5.79ですからφm>φsになります。p形の判定基準は n形と逆になりますから、オーム性接触になります。
     判定基準のことは、佐藤勝昭編著「応用物性」第2章2.2節[1]をご参照下さい。(なお、 第2章は名古屋大学竹田先生の執筆です)
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  • 394.

    金属による光吸収


    Date: Thu, 15 Jul 2004 15:04:18 +0900
    Q: 佐藤勝昭 先生
    初めてメールさせていただきます。
    私は、M社のWと申します。
    (すいませんが、匿名で、M社のWでお願いします)
    現在、半導体レーザを用いた金属加工システムの 開発に従事しているものです。
    加工用半導体レーザとして、800nm〜970nm近くの レーザを扱っているのですが、レーザ波長と金属 あるいは、物質の吸収率との関係を調べようと思い 先生のHPにたどり着くことができました。
    また、先生の Q&Aでは、学生から社会人まで幅広い年齢層の、 非常に多岐に渡る質問分野に対応されており、今回 身勝手なお願いですが、私もご質問させていただこうと 思った次第です。どうぞ、宜しくお願いいたします。
    1.なぜ、物質に光があたると発熱するか?ということに関し、
      
    北大理物のサイト   によると、
      「物質に光をあてると、最初に電子系が励起された後、電子格子相互作用を
       通じて、物質の格子配列に変位が生じる。」
      ここで、電子格子相互作用とは、
      姫路工大のサイト   によると、
      「電子と格子振動(格子歪み)とが相互に影響を及ぼしあうことを電子−格子相互
       作用という。電子−格子相互作用の強い系では電子と格子は独立ではなく、光な
       どにより電子が励起されると格子が移動するここにより系のエネルギーを下げ
       安定化する。」
      つまり、光が当たると、電子が励起される。電子の動きが活性化されると、系の
      エネルギーを下げる為に、格子配列が移動(変位)することになる。光が当た
      り続けるとこの格子の移動も連続的になる。この連続的な格子配列の移動によって
      一種の摩擦熱のようなものが発生し、それが発熱となる。
      と考えました。→考え方としてあっているでしょうか?
    2.レーザ光の波長により、物質の反射率がかわると思いますが、例えば、金属なら
      光が透過することは起こらないと考えていいなら(少し自信がありません。
      金属も原子格子から成り立っているのであれば、極々わずかでも隙間があるように
      思います。この隙間を通じて透過するということも起きるのかな?と疑念が
      あります)反射率(%)を100%から引くと、吸収率(%)が求まる
      思われます。つまり、金属の反射率が分かれば、吸収率が求まり、吸収率が高い
      波長を選択することで、より、金属を発熱させやすいと考えられる。
      →考え方としてあっているでしょうか?
    3.先生のQ&Aを読ませていただき、その中で、各種金属の反射率は、
      ・PalikのHandbook of Optical Constants in Solids
      ・Landolt BoernsteinのニューシリーズのIII-15b
      で調べることができる、ということがわかりました。
      また、反射率RはR={(n-1)^2+κ^2}/{(n+1)^2+κ^2}の式で計算でき
      (n:屈折率、κ:消光係数)
      LB(Landolt Boernstein) のNew Series III 15 b Optical constants of pure metal
      金属の広い波長域の誘電率の実数部、虚数部、屈折率、消光係数、反射率が収録され
      ている。とありましたが、ここで、反射率も収録されていると書かれているのですが、
      なぜ、屈折率、消光係数から反射率を計算で求める必要があるのでしょうか?
      実際にまだこの本をみていないもので、分からないのですが、一部反射率の記載が
      ない部分があるということなんでしょうか?
    4.上記3の2冊の本と計算力があれば、全ての金属に関して、各波長毎の反射率を
      求めることができると考えてよいのでしょうか?
    5.金属として、はんだのような合金の場合、よく使われる、
      共晶はんだ(63%Sn,37%Pb)の成分比で波長ごとの吸収率を考えても
      いいものでしょうか?もちろん、はんだは温度上昇によって、固体→液体に
      変化し、表面状態も鏡面状態のようなものになるため、そうした状態変化
      によって反射率が変わらない前の状態としてですが。
      逆に、このように、温度上昇とともに、状態が変化するような金属合金の場合の
      吸収率はどのように測定したらよいものなんでしょうか? 
      素人的に考えると、積分球にいれて、反射率を時間変化とともに、測定し、
      吸収率を算出する、というような方法ですが、はたして正確にとれるものなのか
      という不安があります。先生の見解をいただけないでしょうか?
    6.金属のような透過成分がない(かどうかは不明ですが)ものではなく、
      一般的な物質、例えば、多層のプリント基板のレジスト部などの、
      波長毎の光吸収率を考えるには、実測する以外には手はないでしょうか?
      なにか、金属の場合のような、データシートや計算式というのは
      ないものでしょうか?
    以上雑多な質問ばかりで恐縮ですが、どうぞ宜しくお願いいたします。
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    Date: Thu, 15 Jul 2004 20:21:04 +0900
    A: W様、佐藤勝昭です。
     ご質問は多岐にわたっており、ご質問の趣旨に全部正確にお答え出来るか不安ですが、 一通りお答えします。
    > 1.なぜ、物質に光があたると発熱するか?ということ、
    金属の場合、ω<ωp'(hybrid plasma frequency)においては、自由電子の集団運動(プ ラズマ振動)が励起されますが、この運動は摩擦項(結晶格子との相互作用)によりダン ピングします。そのとき失われたエネルギーは格子振動となります。一方、ω>ωp'にお いては、バンド間遷移が起き、電子は励起状態になります。これが、基底状態に緩和する とき、金属は発光しないので、励起エネルギーは格子に伝わり最終的に格子振動となりま す。どちらの場合も格子振動になるわけですが、外からの熱で格子が振動することと区別 は付きませんから、格子振動=熱と考えてよいでしょう。

    > 2. →考え方としてあっているでしょうか?
     光は金属の中に入ります。加工用半導体レーザとして800nmの波長のものをお使いであ ったとしましょう。金属としてAlを例にとりますと、Alの消光係数κはλ=800nmにおいて κ=2.8くらいですから、吸収係数α=4πκ/λ=4π2.8/800×10-7cm=4.4×105[cm-1]で す。従って、1/α=2.3×10-6[cm]=230Åくらいは侵入しています。(これは原子の隙間 を透過するのではありません。)ここで発熱し、その熱が全体に伝わって金属が融解した りするのです。
     100%から反射率を引いて吸収率を求めるというのはやや荒っぽい気もしますが、目安に はなると存じます。Alの800nmにおける反射率は約R=85%です。970nmではR=95%ですから 800nmのほうが吸収が大きいといえるでしょう。

    > 3.なぜ、屈折率、消光係数から反射率を計算で求める必要があるのでしょうか?
    質問の意味が不明です。ご質問は「なぜ、屈折率、消光係数から反射率を計算で求めるこ とができるのになぜ反射率まで載っているのでしょうか」と書こうとされたのでしょうか。
    それは、データベースですから親切に記載されているとしかいえないでしょう。
    >   実際にまだこの本をみていないもので、分からないのですが、一部反射率の
    > 記載がない部分があるということなんでしょうか?
    LBの方は、全部反射率が出ています。Palikの方はn, κのみです。

    > 4.上記3の2冊の本と計算力があれば、全ての金属に関して、各波長毎の反射
    > 率を求めることができると考えてよいのでしょうか?
    その通りです。

    > 5.素人的に考えると、積分球にいれて、反射率を時間変化とともに、測定し、
    > 吸収率を算出する、というような方法ですが、はたして正確にとれるものなのか
    > という不安があります。先生の見解をいただけないでしょうか?
    当然合金についても吸収係数のスペクトルを考えることができます。組成比によって異な ることは十分考えられます。
    融解した場合の反射率は当然ながら固体とは異なります。積分球に入れて測定するのも、
    目安を得るにはよいと思いますが、加熱出来る積分球ってあるのでしょうか。

    > 6.多層のプリント基板のレジスト部などの、
    >   波長毎の光吸収率を考えるには、実測する以外には手はないでしょうか?
    >   なにか、金属の場合のような、データシートや計算式というのは
    >   ないものでしょうか?
    レジストなどの吸収スペクトルは、ものによっては、メーカで測定しているのではないか と存じますが、手元にはデータベースは持っておりません。
    ----------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 17 Jul 2004 08:50:51 +0900
    AA:佐藤先生
    お忙しい中、雑多でまとまりのない質問に答えて下さり、本当にありがとうござ いました。質問の中で意味不明とコメントいただいた箇所については、先生のご 指摘どおりでございます。また、再度質問させていただくことがあろうかとござ いますが、その際はどうぞ宜しくお願いいたします。
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  • 395.

    石英ガラスの低温特性


    Date: Fri, 16 Jul 2004 15:07:03 +0900
    Q: 佐藤様、N社Sです。
    標記の件について質問を下記致します。
    石英ガラス製品を-65℃の環境下で使用したいと考えております。
    当然ですが高温側の熱的特性、機械的・電気的特性については文献があります。
    しかし、低温側の文献がなかなかありません。
    低温側の特性についてご教示願えれば幸いです。
    宜しくお願い致します。

    匿名でお願い致します。
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    Date: Fri, 16 Jul 2004 19:49:34 +0900
    桜井 誠様、佐藤勝昭です。
     申し訳ありませんが、私も手元に資料がありません。
    以前、クライオスタットの窓材に石英ガラスを使用していましたが、設計の際、室温の熱 膨張係数値を使っていました。
    200K程度の低温での熱膨張係数は室温の値(0.35〜0.55×10^-6)と同程度かやや小さい値 であると思います。熱伝導率は室温の値(0.014W/cm・K)の1/2程度と思います。
    お役に立てず申し訳ありません。
     もっと低温になって、1K以下の極低温における様々な材料の物性値は、
    D.V.Lounasmaa:Experimental Principles and Methods below 1K (academic Press 1974) に載っているそうです。
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    Date: Tue, 20 Jul 2004 08:17:49 +0900
    AA: 佐藤様
    お世話様です。N社Sです。
    標記に件についてご教示ありがとうございました。
    今後とも宜しくお願い致します。
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  • 396.

    逆バイアスでのトランジスタの破壊


    Date: Sat, 17 Jul 2004 17:08:12 +0900
    Q:はじめまして
    立命館大学、2回生、物理科学科の岡本美里と申します。
    ホームページを拝見しました。
    そこでトランジスタについて質問があります。
    実験でエミッタとコレクタを逆に設置し、ベースとコレクタに1.5(v)、ベースとエミッタ間の電圧を 0から変化させたところ、6(v)付近で電流が著しく増加し、12(v)でトランジスタが割れてしまいました。これはエミッタの幅が薄く、6(v)付近でベースとエミッタ間にできる空乏層がエミッタの幅をこえたからと考えてよろしいんですか?この現象を空乏層の破壊と言うんでしょうか?教えて下さい。使用したのはnpn型です。
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    Date: Sun, 18 Jul 2004 00:59:50 +0900
    A:岡本君、佐藤勝昭です。
    「逆に設置」の意味は、本来なら添付図(a)のようにつなぐところを、(b)のようにつ ないだということでしょうか。もしそうしたならば、B-E間は逆バイアスになり ます。普通はカットオフされていますが、VBEが降伏電圧(ツェナー電圧)を超え て逆バイアスされると、EからBにむかって(逆方向の)電流が流れ始めます。これ は、エミッタ側のn層の伝導帯の底のエネルギーが逆バイアスによって下がり、 ベースのp層の価電子帯の頂より低くなったため、空乏層のポテンシャル障壁が 薄くなって、電子がトンネル効果で通り抜けることによって起きます。さらに電 界が強くなると、加速された電子が原子との衝突することによって新たな電子が 放出され、雪崩破壊現象がすすみます。最終的には、発熱により接合が破壊され てしまいます。ツェナー効果と雪崩破壊については、佐藤勝昭編著「応用物性」 2.2節を参照してください。



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  • 397.

    Siにショットキー障壁を作る金属


    Date: Tue, 20 Jul 2004 16:31:17 +0900
    Q1: 佐藤先生
    G社上山と申します。お世話になります。
    物性なんでもQ&Aには色々役立つ情報があり、よく活用させて頂いております。
    さて、当方ではショットキーダイオードを用いた特異なセンサ開発を検討しておりま す。
    センサ構成と薄膜プロセス装置の条件等を考慮して、いくつかの材料の組合せを検討 したいと考えております。
    そこで、n型またはp型シリコンとショットキーダイオードを形成可能な金属(また は化合物)の組合せを教えて頂けますでしょか?
    特に、一般的ではない組合せの方が当方の目的に合致する可能性がありますので、 先生のご存知の範囲で結構ですので教えて頂けましたら幸いに存じます。
    以上、宜しくお願い申し上げます。
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 20 Jul 2004 21:03:18 +0900
    A1: 上山様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。
    一般論ですが、n形シリコンの場合、
    金属の仕事関数がシリコンの仕事関数より大きければショットキー接触できます。
    シリコンの仕事関数φsはχ+ΔEで表され、ΔE=(Ec-Ef)です。χは電子親和力でSiでは4.01eVです。
    接触電位差から測定した金属の仕事関数は(eV単位)[新版物理定数表(朝倉書店)による]
     Ag 4.21, Al 4.25, Au 4.46, Cd 4.49, Cu 4.46, Fe 4.40, Hg 4.50, Mo 4.08, Ni 4. 96, Pt 5.36, Sb 4.14, Sn 4.64, W 4.38
    これらはいずれもショットキー接合ができると思われます。
    p形シリコンの場合仕事関数φsはほぼχ+Egで表され、5.1eV程度です。
    p形の場合は、φm<φsでショットキー障壁ができるので、上の金属のうち、Pt以外はOKです。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 20 Jul 2004 21:20:40 +0900
    Q2:佐藤先生
    ご回答有難うございます。
    ひとつ気になる事があります。
    たとえば、Alの場合は、n型シリコンとオーム性接触を得やすい材料として使われ ています。実際には、この場合はシンタリング処理が必要になるのだと思いますが。 素子形成後に若干の熱処理工程が入ってもショットキーダイオードを確実に形成する ためには、n型またはp型シリコンとの組合せはどれがよいのかが判りません。
    この点を教えて頂けましたら幸いです。
    以上、宜しくお願い申し上げます。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 21 Jul 2004 00:50:42 +0900
    A2:上山様、佐藤勝昭です。
     私が書いたのは一般論です。
    さまざまな半導体と金属のショットキー障壁の高さは、
    コロラド大学のHPに、添付の表にまとめられています。表に示すように、Alはn形Siともp形Siともショットキー障壁を作ります。
     しかし、金属の仕事関数が4.2eV前後の場合、シリコンのフェルミ準位の位置によって は、φm>φsが成り立たなくなります。
     また、金属とシリコンが合金化する場合もショットキー接触になりません。 合金化 しないかどうかは、Si-Mの2元平衡状態図を見て判断します。Si-Alの状態図は
    マンチェスター科学技術大学材料学科のHPに載っています。これによると、Si-Al系は非固溶系で、SiとAlは合金を作らず相分離します。従っ て、AlはSiと急峻なショットキー接合を作りやすいと考えられます。
     オーミックになるのは、Siが大量の不純物を添加され、n+とかp+になった場合で す。10^18cm^-3位の高濃度ドープされますと、金属的な状態になりますから、オーミッ ク接合になるのです。Alが高濃度添加されるとp+層ができます。
     ほかの金属とSiが合金を作るかどうかはHansenの状態図の書物を参照してください。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 21 Jul 2004 10:46:10 +0900
    AA:佐藤先生
    ご回答有難うございます。
    大変参考になりました。
    今後とも宜しくお願い申し上げます。
    上山。
    ---------------------------------------------------------------------------
  • 398.

    空気は積もらないか


    Date: Wed, 21 Jul 2004 04:05:51 +0900
    Q:初めまして。金沢大学、薬学部、1回生の持田麻里亜と申します。
    ホームページを拝見しました。
    質問なのですが、空気には重さがあるのになぜ積もらないのですか?
    教えてください。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 21 Jul 2004 09:57:17 +0900
    A:持田君、佐藤勝昭です。
     空気は重さがあるので、地上付近にのみ存在し、成層圏にいくとかなり薄くなり、さら に遠く、静止衛星の軌道付近(地上3万5千km)では宇宙空間と同じくらい真空になってい ます。従って、空気は重さがあるので地上付近に積もっているのです。
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 22 Jul 2004 00:44:44 +0900
    AA:納得いきました。ありがとうございます。
     金沢大学 持田麻里亜
    ------------------------------------------------------------------------------
  • 399.

    誘電損失と結晶性


    Date: Thu, 22 Jul 2004 17:03:49 +0900
    Q: 私、K大学MのYと申します。(できましたら匿名でお願いします。)
    いきなりのメールで失礼致します。
    誘電損失についていくつか質問にお答えいただけると幸いです。
    以前、
    ミリ波帯の誘電損失のところで

    (1)『結晶構造から理論的に予測できるのは、どのような波長に吸収帯が生じるか ということと、その吸収帯が赤外活性かラマン活性かというようなこと』とありますが、ど のようにして結晶構造から吸収帯の波長を予測できるのでしょうか。

    (2)『結晶の品質』という記述がありますが、具体的にはどういったものなので しょうか。

    (3)FTIRを用いれば、吸収が起こっているか、いないかはわかると思いますが、そ こからどのようにして、誘電損失がわかるのでしょうか。

    (4)FTIRを用いれば400cm-1までの吸収はわかると思いますが、GHz帯の誘電損失は どのようにすれば見積もることができるのでしょうか。

    不躾な質問で申し訳ございませんが、御教授お願い申し上げます。
    貴重なお時間を頂くことに恐縮いたします。
    よろしくお願い申し上げます
    -------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 22 Jul 2004 23:56:26 +0900
    A: Y様、佐藤勝昭です。
    (1)結晶構造がわかると、対称性(点群)からどのようなモードの格子振動があり得るか がわかります。さらに、対応する格子振動に関わっている原子の質量や、有効電荷など を用いて固有振動数が計算で推定出来ます。

    (2)結晶の品質といったのは、結晶の乱れ、結晶欠陥などがどの程度あるかという意味で す。格子振動のスペクトルがブロードになるのは、そのような欠陥との衝突によるから です。

    (3)FTIRを用いて反射スペクトルRを測定し、Kramers-Kronig解析によって、屈折率nと消 光係数κを求めます。κとnからε'=n22, ε"=2nκ が得られます。誘電損失を表 すtanδは、tanδ=ε"/ε'によって表されます。

    (4)FTIRで測定した誘電率のスペクトルをLorentz型の分散曲線で近似します。裾がGHz帯ま で伸びているはずだと思います。
    -----------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 23 Jul 2004 17:19:36 +0900
    AA: 佐藤先生
    この度はお忙しい中ご教授頂きありがとうございました。
    Yです。とても頭の中がすっきりと致しました。
    まだまだ暑い日が続きますがお体にお気をつけくださいませ。
    これからも先生のご意見を基に勉強します。
    本当にありがとうございました。
    --------------------------------------------------------------------------------
  • 400.

    酒石酸単結晶


    Date: Fri, 23 Jul 2004 00:29:14 +0900
    Q: はじめまして東京都立大学のIと申します。
    物性なんでもQ&Aのサイトを拝見して私の疑問も解消していただこうと思いメールい たしました。
    酒石酸の単結晶を作りたいのですがいつも多結晶になってしまいます。どうすればき れいな単結晶が得られるのでしょうか、教えてください。
    HPにアップするときは匿名にしてください
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 23 Jul 2004 21:21:15 +0900
    A1: I様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。私は酒石酸の結晶成長を行ったことがありませんので、 結晶成長の一般論でお答えします。
     多結晶が生じるのは、成長初期に多数の核が発生しそれらが別々に成長するからなので、 1つの核のみが成長するように工夫してやればよいのです。
     たとえば、溶液を冷却していき多数の核が発生したところで一度温度を上げると小さな 核は再溶解して、大きな核のみが残ります。再び冷却してその核を育成します。このプロ セスを繰り返せば、少数の核のみが成長し、大きな単結晶を得ることができます。
     もう一つの方法は、種結晶を用いることです。溶液に種結晶を入れるといったんは表面 が溶解しますが、冷却するとともに、種結晶の表面に溶質が固化堆積し種結晶と方位をそ ろえて成長します。
    -------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 24 Jul 2004 15:04:26 +0900
    A2: I様、佐藤勝昭です。
     結晶成長ハンドブック(共立出版1995)p1056には、酒石酸そのものではないのですが、 酒石酸ナトリウムカリウム(ロッセル塩)NaKC4H46・4H2Oの結晶成長速度の測定法が載っ ています。
    引用しておきますと「種子結晶をセルのガラス板の間に置き、雑晶の発生を防止するため、 測定温度より約10℃高い溶液を注入した。このようにすると、種子結晶は初め少し溶ける が、しばらくすると外形が整い成長が始まる。・・・」
    前回、お答えした2つの方法が組み合わされていることがわかります。
     なお、同書のp.296には、酒石酸カルシウムのゲル成長のことが記載されています。
    ここではシリカゲルを詰めたU字管を用い、一方の口から酒石酸溶液を、他方の口から塩 化カルシウム溶液を加えることによって、中間点付近に単結晶を作成する方法が記載され ています。「濃度勾配が緩やかなほど過飽和度が緩やかに変わるので大きな結晶が成長す る」と書かれています。参考になれば幸いです。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 25 Jul 2004 13:16:09 +0900
    AA: 東京都立大学のIです。
    大変参考になりました。早速この方法で結晶を作ってみることにします。
    お忙しい中こんなにも早くにお返事を書いていただき本当にありがとうございます
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 401.

    金属の反射(ZnとAl)


    Date: Mon, 26 Jul 2004 18:00:50 +0900
    Q:佐藤勝昭 先生
    M社のWです。
    (すいませんが、匿名で、M社のWでお願いします)
    あつかましくも、2度目の質問をさせていただきます。
    前回のメールにて、先生より、
    「PalikのHandbook of Optical Constants in Solids」、
    「Landolt BoernsteinのニューシリーズのIII-15b」
    の2冊と、計算力があれば、反射率RはR={(n-1)^2+κ^2}/{(n+1)^2+κ^2}の 式で全ての金属に関して、各波長毎の反射率を求めることができると考えて よいとの回答をいただきました。
    実は、漸く「PalikのHandbook of Optical Constants in Solids」、を I〜Vまで借りることができ、中身を確認しているのですが、 3点ほど教えていただけないでしょうか?
    1)探し方が悪いのかZnのデータがないようなんですが、この本では   掲載されていないのでしょうか?
    2)アルミのデータとして、1冊目の395〜403頁に掲載があるのですが、
      この表では、nが2つ(以降左側からn1、n2)、κが2つ(以降左側か らκ1、κ2)   そしてRが3つ(以降左側からR1、R2、R3)とRhvが掲載されてい ます。
      上記の式にて、算出すると、n1とκ1からはR1が算出され、n2とκ2 からはR3 が算出されることが分かりました。これら、n1、n2、κ1、κ2、R1、R 2、R3、 Rhvの意味を教えていただけないでしょうか?
    また、一般的に反射率というのは、どれを用いればいいのでしょうか?
    3)別のQ&Aの項目で、先生のご回答で、「お望みの波長範囲のデータがない ときは、ローレンツモデルで外挿するとよいでしょう。」との記載が あったのですが、このローレンツモデルでの外挿というのは、 具体的にはどのように行うのでしょうか?
    以上大変基本的な質問ばかりで恐縮ですが、宜しくお願いいたします。
    -------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 26 Jul 2004 20:15:37 +0900
    W様、佐藤勝昭です。
    1)亜鉛は酸化しやすいので、信頼性のあるデータが得にくいのでしょう。
    可視データは、W.Meier:Ann.Phys.31, 1017 (1910)にのっているそうです。
    工藤恵栄:分光学的性質を主とした基礎物性図表(共立、昭和47)p.10に 再掲されています。
    波長(nm) n κ
    257.30.5540.612
    247.40.4561.167
    298.10.4691.598
    325.50.5992.229
    361.10.7202.610
    398.20.8642.917
    441.30.9343.178
    467.81.0493.485
    508.01.4064.101
    589.31.9324.661
    668.02.6185.083
    ---------------------------
    近赤外データは、R.H.Graves and A.P. Lenham: J.Opt.Soc.Am. 58, 126 (1968) に載っているそうで、前掲書に次のように引用されています。(Meierのデータとつながっ ていません)
    >
    波長(nm) n κ
    7292.445.08
    7742.725.33
    8262.975.45
    8853.135.72
    9532.956.06
    10332.906.66
    11262.917.24
    12403.357.96
    13773.638.79
    15492.929.83
    16522.9010.97
    --------------------------------
    2)n1,k1は文献[7]、n2,k2は文献[55]、Rhvは文献[142]によるものです。
    文献7はp383にありますようにE.Shiles et al., Phys Rev. B22, 1612 (1980)
    文献55はR.W. Ditchburn et al., Proc. R. Soc. London Sec A 294, 20 (1966)
    文献142はD.Y. Smith at al. Argonne National Lab. Report 1983
    です。Rhvはp.379の説明にありますように10-5〜10-6Torr の高真空中で蒸着法で作製さ れ、その後空気にさらされたAl薄膜のデータです。
     詳細は引用してある文献を読んで信頼性を判断してください。
    物質定数としては空気にさらさずin-situで測定した値がよいのですが、実際に使う膜の 場合の実測値は空気にさらした値の方が近いでしょう。
    --------------------------------
    - 3)Lorentz modelというのは、古典的な運動方程式に従って誘電率を求めたものです。
    手続は固体物理のどんな本にも書いてあります。
    拙著「光と磁気」(改訂版第2刷)[朝倉2003]p62-66,文章部分は下記のpdfをご覧下さい。
    http://www.tuat.ac.jp/~katsuaki/HikaritoJikiChap4rev.pdf
    あるいは、山田、佐藤ほか著「機能材料のための量子工学」[講談社1995]第4章p.160 を参照下さい。
    Lorentzの式においては、比誘電率の実数部、虚数部がそれぞれ下記の式で書けます。
    ε'=1-(Nq2/mε0)(ω2-ω02)/{(ω202)2+(ω/τ)2}
    ε"=(Nq2/mε0)(ω/τ)/{(ω202)2+(ω/τ)2}
    -------------------------------
    W様にお願いします。すべて、基礎から全部をネットでお教えする余裕がありません ので、基礎的な知識は書物をきちんと基礎から学ばれることをお薦めします。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 27 Jul 2004 09:24:49 +0900
    Q2: 佐藤先生
    早速のご回答本当にありがとうございました。
    ご指摘の通り、基礎的な知識もなく、質問してしまい 大変恐縮なんですが、恥のかきついでにもう2点コメント いただけないでしょうか?
    1)金属の反射率データから、真鍮などの合金の反射率を
      成分比率から予測することはナンセンスでしょうか?
      例えば、真鍮の成分比として銅65%:亜鉛35%を
      考えた時、ある波長での銅の反射率をRc,亜鉛の反射率を
      Rzとすると、この波長での、真鍮の反射率は
      近似的に(Rc×0.65+Rz×0.35)とおくことは
      できないでしょうか?
    2)合金として、はんだを考えた場合、よく使われる、
      共晶はんだ(63%Sn,37%Pb)では、温度上昇によって、
      固体→液体に変化し、表面状態も鏡面状態のようなものになりますが、
      そうした状態変化と反射率との関係はどのように考えるべきでしょうか?
      やはり、データからの算出というものでは、対応不可能で実測が必要と
      考えるべきでしょうか?
    以上宜しくお願いいたします。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 27 Jul 2004 13:55:06 +0900
    A: W様、佐藤勝昭です。
    1)反射率は物質固有の物理量ではなく、物質と光の相互作用の結果生じる光に対する影 響を表しているに過ぎません。物質を特徴づけるのは誘電率です。非固溶系(相分離をす る)合金では、全体の誘電率は構成元素の誘電率の平均と見ることができますから、合金 比率を求めることができるでしょう。固溶系の場合は、合金を作ることによって電子構造 (バンド構造)が変化するので、誘電率は決して平均にはなりません。真鍮の反射率を 近似的に(Rc×0.65+Rz×0.35)とおくことはできません。
     ただ経験的アプローチとして、比率のわかった合金を作っておき、それらのスペクトル を測定して、未知の合金のスペクトルをそれと比較することは可能でしょう。
    2)半田が溶けたときに鏡面状態になったのは、凹凸のあった固体表面が、液体表面にな ったためにフラットになったことによるもので、固体においても丁寧に研磨すると鏡面状 態が得られます。従って、形状による反射率の変化が関わっているので、定量化はむずか しいでしょう。しかし、経験則として、特定の系において、温度とともに目で見て反射に 変化があるのであれば、レーザを当てて反射率を測定し、それを温度に対してプロットし ておき、反射率から温度を推定することには使えると思います。ただ、物質や、条件が特 定された狭い範囲内での実用性はあると思います。
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    Date: Tue, 27 Jul 2004 18:01:01 +0900
    AA:佐藤先生
    大変お忙しい中、愚問にお答え下さり、本当にありがとうございました。
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  • 402.

    バイポーラトランジスタのhFE(=Ic/Ib)の温度依存性


    Date: Sun, 29 Aug 2004 00:07:43 +0900
    Q: 佐藤教授殿
    大手メーカーM社 山田と申します。
    (数週間前に
    半導体素子の温度依存性に関する質問をさせていただいたものです。)
    貴HPを拝見し、是非お教え願いたいことがあり、メールさせていただきました。
    この春からLSI設計にたずさわっておるのですが、バイポーラトランジスタの hFE(=Ic/Ib)の温度依存性が、半導体物性の教科書を読んでもどうもぴんときません。
    室温〜150℃程度で測定する限りバイポーラトランジスタのhFE(=Ic/Ib)が正の温度依 存性を持ちます。
    これはどう理解すればよいのでしょうか?
    お忙しいところ申し訳ありませんが、何卒御教授のほど宜しくお願いいたします。
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    Date: Thu, 29 Jul 2004 13:42:15 +0900
    A: M社山田様、佐藤勝昭です。
    メールありがとうございます。
    hFEの温度変化については半導体の教科書に載っていませんね。
    私なりに考えてみました。
    堀田厚生:半導体の基礎理論(技術評論社2000.11)p.110によると、
    hFE=Ic/Ib〜(Dn/Dp)(nP/pN)(Lp/WB)
    であたえられます。
    Dnはコレクタからベースに注入された電子の拡散係数、 Dpはベースからエミッタに注入されたホールの拡散係数、nPはベースに注入された電子の 密度、pNはベースに注入されたホールの密度、Lpはエミッタに注入されたホールの拡散長、 WBはベースの幅です。
    Dn/Dpはあまり大きな温度変化はしないでしょう。Lpは温度とともに散乱によって多少は減少するでしょうが、あまり大きくは変化しないでしょう。
    (nP/pN)において、nPもpNも、 nP=nP0 exp(-ΔEa/kT), pN=pN0 exp(-ΔEd/kT)  のように温度とともに指数関数で増大しますが、(nP/pN)の温度変化はexp{-(ΔEa-ΔEd)/kT}となり、アクセプタ準位の方がドナー準位より深 いため、温度とともに指数関数で増大することになります。
    ドナーがリン(P)で、アクセプタがアルミニウム(Al)ならば、活性化エネルギーはΔEa-ΔEd=67-45= 22meVの程度でしょう。
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  • 403.

    アッベの屈折計


    Date: Thu, 29 Jul 2004 22:04:23 +0900
    はじめましてフイルムメーカーのAです。

    物性なんでもQ&Aのサイトを拝見しました。光学に関する質問についても非常に 丁寧に回答されていますので、 私の疑問に答えていただけるのではと思いメールいたしました。

    (質問)アッベ屈折計ではサンプル中を伝播してきた光のうち、プリズム/サンプ ル界面からフィルム側のどれ位の深さまでの情報を測定していることになるのか?

    例えば100μmのフィルム中をフィルム/プリズム界面に平行に光が伝播している とすると、プリズム近傍を伝播している光はプリズム側へ屈折していくが、フィルム/プリズム界面とは逆側 の面近傍を伝播している光はプリズム側には屈折せずそのまま直進していくように思います。

    プリズム側からフィルム側に臨界屈折角を越えて入射した光は、プリズムからフィ ルム側へ波長のオーダー程度しみ込む(エヴァネッセント波)と、光学の本で読みましたが、逆にフィルムから プリズム側に臨界屈折角で入射できる光も波長オーダーの深さまでということになるのでしょうか?
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    Date: Fri, 30 Jul 2004 01:01:04 +0900
    クリックすると拡大します
    A様、佐藤勝昭です。
     アッベの屈折計として、添付の図(宇都宮大の物理化学実験室のHP)について
    説明します。図では液体ですが、ご質問はフィルムなので、フィルムとして説明
    します。
     プリズムの屈折率がフィルムの屈折率より大きければ、プリズム内に臨界角が
    生じ、プリズム側からフィルム側に臨界屈折角を越えて入射した光は、エヴァ
    ネッセント波としてプリズムからフィルム側へ波長のオーダー程度しみ込みます
    が、これは伝搬光ではありません。(ここに微小な散乱体があると再び伝搬光に
    なりますが・・。)
     アッベ屈折計では、フィルムの屈折率nはプリズムの屈折率Nより大きい場合し
    か測定できないので、臨界角はフィルム側にあります。このため、プリズムにか
    なり平行に近い光までプリズムに入射できます。フィルム側の臨界角を超えた光
    は当然ながらプリズムに入り込めず、このため明暗の境界ができます。





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    Date: Fri, 30 Jul 2004 12:21:39 +0900
    Q2: Aです。
    クリックすると拡大
    佐藤先生、早速のご回答ありがとうございます。

    弊社で使用しているアタゴ(株)製のアッベ屈折計ではフィルムの屈折率nはプリズ
    ムの屈折率Nよりも小さな範囲で測定可能となっているので、プリズム内に臨界角が
    生じると思うのですが、間違っているでしょうか?
    フィルム上に載せるテストピースの屈折率ntもフィルムの屈折率nよりも大きいもの
    を選択するようになっています。
    フィルム中のプリズム/フィルム界面をプリズム/フィルム界面に平行に伝播する
    光(上図の青矢印の光)はプリズム側に屈折するというのは理解できるのですが、
    フィルム中のプリズム/フィルム界面から離れたところをプリズム/フィルム界面
    に平行に伝播する光(上図の赤矢印の光)は、果たしてプリズム側に屈折するの
    か? というのが私の疑問です。
    実際にはフィルム中では様々な角度の光が伝播してますが、臨界角でプリズム側に
    屈折するのはプリズム/フィルム界面に平行に伝播する光のはずですよね。そうすると、
    フィルム中のプリズムから離れたところを伝播している光は、そのまま直進してフィル
    ムを通過してしまうのではないでしょうか。

    結局、入射角が限りなく90°に近い光は(フィルム、プリズムの長さが無限大であれ
    ば)全てプリズムに到達するので、プリズム側に屈折することができることになるので、
    フィルムの厚み方向全体の情報を見ていることになるのでしょうか?
    もし、フィルムの厚み方向で屈折率が異なっている場合には、最も高い屈折率を測
    定していることになるのでしょうか?

    自問自答するようなとりとめのないメールになりましたが、コメント頂ければ助か ります。
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    Date: Fri, 30 Jul 2004 17:10:16 +0900
    A2: A様、佐藤勝昭です。
     うかつにもアタゴの屈折率計のことは存じませんでした。フィルムの屈折率nはプリズム の屈折率Nよりも小さな範囲で測定可能となっているので、プリズム内に臨界角が生じる のは正しいと思います。
     頂いた添付図によれば、フィルムに沿って来た光が臨界角でプリズムに入ります。光源 からの光はいろいろの角度成分がありますから90度よりわずかでも小さな入射角の光は プリズムに入ります。またフィルムは散乱があるでしょうから、プリズムから離れたとこ ろを通過する光も一部は散乱を受け残りは透過する成分もあると思います。散乱された光 は90度より小さい入射角で入射しますから「明部」に寄与すると思います。
     赤で書かれたような屈折は起きないと思います。屈折率に厚さ依存性があると、光は湾 曲して入射します。しかし、あくまで、屈折は境界面で起きますから境界面での屈折率が 全反射を決めることになるのではないでしょうか。
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    Date: Fri, 30 Jul 2004 17:18:16 +0900
    AA: Aです。
    もやもやしていたことが、かなりすっきりしました。
    ありがとうございました。
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  • 404.

    表皮効果と金属の反射


    Date: Mon, 2 Aug 2004 18:37:28 +0900
    東京農工大工学部
    物理システム工学科教授
    佐藤勝昭 様
    Q1: A社のKです。
    お世話になっております。
    先日はお忙しい中、質問にお答え頂き、ありがとうございました。
    度々申し訳ない限りですが、本日も御教授を頂けないでしょうか。
    質問366において、 電界遮蔽の効果についての説明を拝見しまし た。ここで述べられていた「表皮効果」と「自由キャリアによる反射」 は、どのような関係にあるのでしょうか。
    金属がプラズマ周波数以下で負の誘電率をもち、それに起因して 大きな反射率を示すことを、教科書や先生のHPから勉強させて頂 きました。これが、自由キャリアによる反射だと認識しております。 表皮効果は、電磁波が金属内を進んで行くにつれ、自由キャリア による反射によってどのように減衰していくのかを表していると考 えればよいのでしょうか。
    一般に電磁波遮蔽効果は、表面抵抗率と関連づけられるかと思い ます。
    自由キャリアによる反射率は導電率ではなくキャリア濃度に依存す るため、一見するとややこの議論とずれている印象を受けます。 しかし、自由キャリアによる反射が最表面で100%起こることはなく、 遮蔽材トータルの遮蔽効果では厚みを考慮しなければならない。そ れが表皮効果であり、キャリア濃度だけでなくキャリア移動度も含め た導電率に依存することになる。
    このように考えればよいのでしょうか。
    それとも、表皮効果は自由キャリア反射だけでなく、摩擦項である自 由キャリア吸収、双極子分散なども含めた、トータルの電磁波の減衰 を表しているのでしょうか。
    あるいは、表皮効果はあくまで吸収に関しての指標であり、自由キャ リア反射とは関係がないのでしょうか。
    先回に続き非常に基本的な事項なのかもしれませんが、御教授を頂 ければ幸いです。
    大変御多忙とは存じますが、どうぞよろしくお願い致します。
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    Date: Wed, 4 Aug 2004 11:42:34 +0900
    A1: K様、佐藤勝昭です。
     表皮効果は、純粋に電磁気学的に導出することが出来ます。
    マクスウェル方程式より
     ▽×H=∂D/∂t+σE   (1)
     ▽×E=-μ0∂H/∂t   (2)
    ここで、表皮効果を導くときには、次の仮定をしています。すなわち、  「導体中には電束が存在しない」
    これによって、D=0となります。(D=εEですから、ε=0と考えるのです) すると(1)式は
     ▽×H=σE  (3)
    となります。式(2)のrotationをとると
     ▽×▽×E=-μ0(∂/∂t)▽×H
    右辺に式(3)を代入して
     ▽×▽×E=-μ0 σ∂E/∂t  (4)
    左辺は、▽E=0のもとでは、-▽2Eと書けますから、式(4)は  ▽2E-μ0 σ∂E/∂t=0  (5)
    となります。
    ここで、導体の中(z方向)に向かって進む波を考え
     E=E0exp(-iωt) exp(iKz)  (6)
    とおくと、
     -K2E+iωμ0σE=0  (7)
    となり、Kの固有値として
     K=(iωμ0σ)1/2    (8)
    を得ます。i1/2=(1+i)/21/2を入れると
     K=(ωμ0σ/2)^1/2 +i(ωμ0σ/2)1/2  (9) となるので、式(6)に代入すると、
     E=E0 exp(-iωt) exp{i(ωμ0σ/2)1/2z} exp{-(ωμ0σ/2)1/2z}  (10)
    が得られ、距離とともに振幅がexp{-(ωμ0σ/2)1/2z}で減衰することが
    導かれました。skin depthδは電界が1/eになる距離なので、
     δ=(2/ωμ0σ)1/2  (11)
    が導かれました。
    ==============================================
    それでは、光で考えるときはどうなるのでしょうか。
    導体の光学定数として屈折率をn、消光係数をκで表しますと、導体内部における 波動関数は
     E=E0 exp(-iωt) exp(iωnz/c) exp(-ωκz/c)  (12)
    と表されます。
    光学定数n,κと誘電率の実数部ε'、虚数部ε"の間には
     ε'=ε0(n22)  (13)
     ε"=ε0(2nκ)    (14)
    の関係が成立します。表皮効果を導いたのと同じように導体内で電束(の実数部)が0 としますと、ε'=0となりますから、(13)より、n=κです。すると式(14)は
     ε"=2ε0κ2     (15)
    と書けます。逆に解いて、
     κ=(ε"/2ε0)1/2   (16)
     導電率σとします。誘電率の虚数部ε"との間には、ε"=σ/ωの関係がありますから 式(16)は
     κ=(σ/2ωε0)^1/2   (17)。
    ε0μ0=c2の関係を使い、上に述べたようにn=κであることから、
     n=κ=(1/c)(σμ0/2ω)1/2  (18)
    このようにして求められた屈折率と消光係数を式(12)に代入すると
     E=E0 exp(-iωt) exp{i(σωμ0/2)1/2 z} exp{-(σωμ0/2)1/2 z}  (19)
    となり、式(10)と同じ形が導かれました。
     つまり、n=κの条件の下では、光の電界はz=δ=(2/σωμ0)1/2だけ進むと1/eに減衰します。
    ================================================
     従って、表皮効果は、電磁波がε'=0であるような導体に入ったときに電界が1/eになる距離と考えられます。
    この条件での反射率はどうなるのでしょうか。電界に対する振幅反射率rは
     r=(ε0-ε^1/2)/(ε01/2)  (20)
    ここでε=ε'+iε"=iε"を代入すると、
     r=(ε0-i1/2 ε"1/2)(ε0+i1/2 ε"1/2)={ε0-(1+i)(ε"/2)1/2}/{ε0+(1+i)(ε"/2)1/2}
    光強度反射率はR=|r|2=r* rで与えられるので
     R=[{(ε0-(ε"/2)1/2}2+ε"/2]/[{(ε0+(ε"/2)1/2}2+ε"/2]  (21)
    もし、ε"=0ならR=1 (100%)となります。ε"=σ/ωなので反射率そのものは
    導電率に関係します。
     ここまでの話では、誘電率とか導電率しか出てきません。
    これをキャリア数や移動度に結びつけるのはミクロな考察によるものです。
    Drudeの式においては、
     ε'=ε0{1-ωp2/(ω2+1/τ2)}    (22)
     ε"=ε0 ωp2/ωτ(ω2+1/τ2)    (23)
    ε'=0の条件は、ミクロに(古典電子論的に)見れば、ω=ωp(プラズマ振動数)において成立します。従って、自由電子反射のonsetにはキャリア密度のみが関係します。
    自由キャリア反射の起き始める位置はこのωpですが、
     ωp=(Ne2/mε0)1/2      (24)
    となり、τに関係しません。直流導電率σ0
     σ0=Neμ=Ne×eτ/m=Ne2τ/m  (25)
    なのでωpを使って書くと、
     σ00τωp2 (26) となります。
     従って反射率の値そのものには、導電率が関係し、プラズマ周波数にはキャリア数が関係するとご理解下さい。
    ----------------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 11 Aug 2004 11:54:59 +0900
    佐藤勝昭 様
    Q2: A工業のKです。
    お世話になっております。
    先日は質問に御回答頂き、ありがとうございました。
    お礼が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。
    恥ずかしながら、数式と概念の理解に非常に苦しんでおりました。
    また何点か、お尋ねさせてください。
    (1) 表皮効果を導くときには「導体中には電束が存在しない(ε=0)」との仮定 をするとのことですが、これには妥当性があるのでしょうか。
     論理的には式(1)〜(11)の議論の中でこの仮定を用いているのは(1)→ (3)の変形のみであり、「導体については式(1)の第1項の寄与は第2項に比 較して小さい」と考えればよいことはわかります。
     これは、導体に電界が到達した際、そのほとんどは表面で反射され内部に 入り込めない。そのため導体内部の電束は0とみなせるということでしょうか。 だとすれば、導体の場合、表皮深さは反射率が高いことを前提として導か れているのでしょうか。

    (2)式(21)について、導電率が反射率に関係していることはわかります。 この式によれば、導電率が高くなれば(σ→∞)反射率が1に近づきますが、 逆に導電率が0に近づいても反射率は1になってしまいます。「ε"=0ならR=1 (100%)」とはまさにこの状況だと思いますが、これはどう理解すればよいの でしょうか。

    (3) 回答中で用いられていた「ε"=σ/ωの関係」は、一般に成立するのでしょ うか。
    ε'=n^2-κ^2、ε"=2nκ、あるいはα=1/δといった関係式から導かれる のでしょうか。

    非常に基礎的なことばかりお尋ねしてしまい、心苦しい限りです。 理解の進まぬ我が身が情けない限りですが、よろしくお願い致します。

    では、失礼致します。
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    Date: Wed, 11 Aug 2004 14:21:41 +0900
    A2: K様、佐藤勝昭(ICCG14参加のためGrenoble滞在中)です。
     手元に資料がないので。お答えできる範囲でお答えします。
    (1) 電磁気学で表皮効果を考えているのは、光に比べ周波数の低い範囲で扱っ ています。また、Drudeの式のような電子論に基づいているのではなく、概念 的なものです。電束密度Dが導体中では存在しないとa prioriに仮定している のです。電子論的には、ε'=0は厳密にはω=ωpでしか成り立たないので、ω <ωpではEとは逆符号のDが存在するのですが、「表皮効果」を議論した「高周 波工学」の人々の間では、負の誘電率の概念はなかったのではないかと思いま す。従って、skin depthを吸収係数αの逆数と定義し直せば 正確かもしれま せんが、どのみち、どの程度電磁波が入り込むかの目安なのですから、昔なが らのskin depthの定義でもよいのではないかと思います。
     これ以上つっこまれても、高周波工学と波動光学という別々のアプローチで 進められたものですから、お答えのしようがありません。定義の仕方の問題で あると、思ってください。

    (2)σが大きくても小さくても反射率が100%というのは、インピーダンス マッチングという見方をすれば理解できます。線路インピーダンスZ0の 分布定数回路において、終端を開放しても、短絡しても反射が最大になるのと 同じことです。

    (3) σとεの関係は、Maxwell方程式において、
    ▽×H=∂D/∂t+Jにおいて
    J=0として、伝導電流によるσを誘電率のなかに押し込めたことによるもので す。
    exp(-iωt)の型の電界を考えますと
    上式の右辺を書き直すと、
    ∂D/∂t+J=-iωεE+σE=-iω(ε+iσ/ω)
    と書けますね。ε+iσ/ω=ε'+iε"と書き直し改めてこれをεとおけば、 Maxwell方程式は、▽×H=ε∂E/∂tとなり、簡単になります。
    この概念を拡張し、導電率も複素数にすれば、一般に、複素誘電率との間に ε=ε0+iσ/ω
    が成立します。
    詳しくは、拙著「光と磁気」をご覧ください。
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    Date: Wed, 11 Aug 2004 18:26:00 +0900
    AA: A社Kです。
    お世話になっております。
    外出先より御丁寧なお返事、ありがとうございます。
    これより外出のため、まだ御返答を熟読しておりませんが、 じっくりと勉強させて頂きます。

    取り急ぎ、お礼申し上げます。
    ありがとうございました。
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  • 405.

    42合金への銀メッキ

    Date: Thu, 05 Aug 2004 13:34:30 +0900
    Q: はじめまして。R社のKと申します。
    下記質問内容に関するヒントをインターネット上で探していて、 “物性なんでもQ&A”のサイトを拝見しました。
    もしかすると弊方の疑問に答えていただけるのではと思いメール いたしました。
    (質問)
     ・約0.2mmの42Alloy材の金属板に銀めっき(めっき厚み約5μm)された
      ものを280℃程度に加熱しながら、SUS304の金属板で両側から挟みこん
      で20秒程度加圧し、挟み込みを開放しようとすると、どちらかのSUS板
      に上記42Alloy板がくっついてしまいある程度の力をかけないと剥がれ
      ない状況があるのですが、その際の密着のメカニズムが知りたいのです
      が?
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    Date: Thu, 5 Aug 2004 17:42:57 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
     金属工学は専門分野ではありません。一般論でお答えします。
    42Alloyは42Ni-58Fe合金、SUS304は(100-x-y)Fe-(x)Cr-(y)Ni(x=18-20,y=8-10)合金です。
    AgはFe, Ni, Cr等とは非固溶ですから、Ag-42Alloy, Ag-SUS304の間には固溶体は作らな いのではないかと思います。Agは軟らかい金属なので、加熱加圧したことにより塑性変形 し、42AlloyやSUSの表面の凹凸にぴったりと入り込んで、機械的に圧着したのではないで しょうか。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 406.

    ITOの密着度


    Date: Fri, 6 Aug 2004 15:14:00 +0900
    Q: 東京農工大:佐藤先生
    G社・電子部品事業部Aと申します。(匿名にてお願いします)
    突然で申し訳ございませんが、先生のHPを見て、是非質問させていただきたい事があり 、メールさせていただいております。
    よろしければ、お時間のございますときに私の愚問にご回答いただければ、と思います。 弊社はITOフィルムを自社でスパッタリングし、タッチパネルおよびその応用製品を製 造販売しているのですが、 先日、保管しているスパッタフィルム(ロール上)のうち密着度が弱くなっていると思わ れるフィルムが発見されました。
    そのフィルムは訳あって長期間保管されていたものではあったのですが、種々実験をして いますと、どうも保管位置(蛍光灯に 近いか否か)で優位差があるような感じがしています。

    蛍光灯からも紫外線が出ていること(太陽光の1/100?)をどこかのHPに書かれており ましたし、先生のこのHPにも透明電極 は紫外線領域に光の吸収帯があると説明いただいている箇所もあったと記憶しています。

    ITO膜が紫外線を吸収すると密着度がおちるものなのでしょうか? また、蛍光灯レベ ルの紫外線でも影響を受けるものなので しょうか?さらには、ITO膜に紫外線を長期にわたってあてた(例えば屋外で使用する 等)場合、どのような不都合が発生する ものなのでしょうか?

    お手数をおかけいたしますが、何卒ご見解をお知らせください。よろしくお願いします。
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    Date: Fri, 6 Aug 2004 16:40:53 +0900
    A: A様、佐藤勝昭です。
     興味深い結果ですね。専門外なので、正確かどうかわかりませんが、思いついたことを 書きます。ITOがどのようなベースに付着しているかわからないのですが、仮にプラスチ ックのフィルムとしておきましょう。そもそも無機材料であるITOと有機材料であるプラ スチックベースとの密着度というのが大変むずかしい概念です。たぶん、系統的な研究は 行われていないと存じます。
     一般的に、真空蒸着よりスパッタ法で作製した膜の方が、下地との密着性がよいと言わ れていますが、これは、スパッタ法がイオン化した粒子の衝突を伴うために下地に何らか の影響を与え結合が強まっているのではないかと推察します。イオン衝撃でプラスチック の最表面の結合が活性化してITOと強いボンドを作っているというイメージです。
     光の吸収はITO側でも、プラスチックベース側でもおきると思います。光硬化樹脂など もあるくらいですから、プラスチック側の方が光の影響を受けやすいのではないでしょう か。もし、スパッタ時のイオン衝撃で活性化していたプラスチック表面が、光を吸って不 活性になったとしたら、当然付着性に影響があると思います。(ITO自身の光耐性は太陽 電池に使われているくらいですからかなり強いと思います。)
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    Date: Fri, 6 Aug 2004 19:01:34 +0900
    AA: 佐藤先生。早速のご回答誠に有難うございます。今後の膜の改善に生かして行きたいと思 います。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。
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    Date: Mon, 9 Aug 2004 02:46:22 +0900
  • 407.

    金属はなぜさびる


    Q: はじめまして!私は、福岡にある美容系の専門学校に通っている山田と申し ます。19才です。
    先生のHPを開いたところきっと素晴らしい回答が聞けるのではないかと思い メール致しました!!
    内容というのは・・・学校も夏休みに入ったのですが、宿題が出されたので す。『身近な問題を考えよう!』というテーマで〜金属はなぜさびるのか?〜と いうのを考えなければならないのです。。。
    物理的な知識など全くない私にはさっぱりわかりません。お忙しいでしょうが、 《金属はなぜさびるのか》是非教えてください!!お願いいたします。
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    Date: Mon, 9 Aug 2004 13:25:29
    A: 山田さん、佐藤勝昭です。
     なんでもQ&Aは、宿題には直接お答えしないことになっていますが、あなた は、全く勉強してこなかったようなので調べるためのヒントを差し上げましょ う。これは、「物理」の問題ではなく「化学」の問題です。高校の化学の教科 書をお持ちですか。もっていなければ、友達に貸してもらいましょう。
    (1)まず、問題に出た「金属」とはどんな物質でしょう。
     固体の物質を「金属」、「セラミクス」、「有機物」に分けたとしますと、 セラミクス(陶器、石膏、大理石など)や有機物(プラスチックなど)は、さび ないですよね。セラミクスは、主として酸化物(酸素との化合物)です。有機 物は炭素と水素などからなる化合物です。これに対し、金属は、鉄も銅も単体 の元素です。単体の元素の中には炭素のように「非金属元素」がありますが、 酸化すると2酸化炭素ガスになり「さび」になりません。
     鉄や銅のほかに金属に分類されるものがたくさんあります。高校の教科書に 「元素の周期表」が乗っていますから、元素のなかで金属に分類されているも のを調べておきましょう。(なお、周期表はネットでも見ることができま す。Yahooで検索してご覧なさい。)
    (2)次に、「さびる」とはどんなことを指すのでしょう。
     鉄でできた包丁や鉄板がさびると、赤や黒の物質(鉄さび)ができます。こ の物質の正体は、酸化鉄や水酸化鉄です。酸化鉄とは、鉄と酸素が結びついた 化合物です。水酸化鉄は鉄と水酸化物イオン(OH-)が結びついたもので す。OH-は水H2Oに含まれます。単体元素である鉄が、酸素や水と反応してでき たのが鉄さびなのです。
     酸素や水はどこからきたのかは、おわかりですね。
    (3)金属でもさびにくいものがあります。
     金属がすべてさびやすいわけではありません。金や、プラチナはさびないで すね。これらの物質は、酸素とむすびつくのに大きなエネルギーが必要だから です。逆に鉄はさびるときにエネルギーを出します。(ホカロンには鉄粉が含 まれていて、さびるときに熱を出すのです)参考まで。
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    Date: Wed, 11 Aug 2004 02:46:17 +0900
    AA: 佐藤先生こんばんは
    質問に対しての先生からの大ヒントを何度も読み返していくうちに少しずつですが、 答えが出てきそうな気がしています!!!今からヒントを元に調べていきたいと思っ ています。本当にありがとうございました。
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  • 408.

    拡散反射を用いたバンドギャップ算出


    Date: Wed, 11 Aug 2004 02:41:05 +0900
    Q: 佐藤先生
    K大学M2のKSと申します(専攻は材料系です)。
    先生のHPを拝見し、今回質問させていただきました。
    現在、粉末試料の拡散反射スペクトルから、バンドギャップの算出を試みています。反射スペクトルは積分球を 用いた分光光度計で測定しています。

    測定した反射率Rdから、Kubelka-Munkの式 K/S = (1-Rd)^2/2Rd(K:吸収係数、S:散乱係数)を用いてバンドギャップを算出しよう と思っているのですが、この際の計算法の詳細がわかりません。教科書では、線吸収係数αを用い、直接遷移ならば(αhν)^2 を、 間接遷移ならばα^1/2をhνに対してプロットする、と書かれています。しかし、Kubelka-Munkの式で算出したKは、線吸収係数とは 異なり、長さの情報を含んでいません。αの代わりにK/Sの値を用いて、(K/S・hν)^2、あるいは(K/S)^1/2をhνに対してプロット する方法は原理的に正しいのでしょうか?

    この質問は先生のHPの「積分球を用いた拡散反射」に出ていたものと同じなのですが、ここでの先生の回答は、「積分球を用いて 吸光度を測るのは、粉末試料のときは有効ですが、薄膜についてはお薦めできません。(hνα)^2 vs hνなどのプロットでバンド端 をきめる場合には、吸収係数測定のlinearity が保証されていなければなりませんが、一般には、拡散反射から測定された吸光度 のlinearityは余りよいとは言えないのです。」となっています。これは、「linearityが保証されていて、かつ粉末試料であれば、 αの代わりにK/Sを用いたプロットをしても、原理的にはOK」という解釈でよろしいのでしょうか?
    仮に正しいのであれば、これについて述べられている教科書、あるいは文献をご存知ないでしょうか(私も現在色々と調べているのですが、 手がかりが見つかりません)。
    間違っているのあれば、拡散反射法による粉末試料のバンドギャップ算出について、正しい方法を教えて頂けないでしょうか?
    お忙しいところお手数ですが、なにとぞよろしくお願い致します。
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    Date: Thu, 12 Aug 2004 04:21:41 +0900
    Q: KS様、佐藤勝昭(ICCG14のためGrenoble滞在中)です。
     光散乱の扱いについてのKubelka-Munkの式は1931年に最初に論文にされたも のです。旅先なので資料がないのですが、もっと厳密にはDORT2002という解析法を使う とよいのです。Kubelka-Munkの式の導出法および、DORT2002の説明と、K-M式の適用範囲 については、Per Edstrom(Mid Sweden University)のWeb siteをご覧になってご自身 でよく考えてください。
    http://home.tnv.mh.se/per-edstrom/research/publications/r_03_46.pdf
     拡散反射のKubelka-Munkの式については、
    http://147.46.41.146/~lii/DRIFT.htm
    を参照してください。適用限界が書いてあり、R<30%では直線性が保証できないと書かれ ています。
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    Date: Fri, 13 Aug 2004 01:16:29 +0900
    AA: 佐藤先生
     出張先からわざわざ回答いただきまして、どうもありがとうございました。
     ご提示いただいたWebsiteを見て、これから検討しようと思います。

     また、質問させていただくかもしれませんが、そのときはよろしくお願い致します。
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  • 409.

    鉄、アルミ、ステンレスの熱膨張


    Date: Fri, 13 Aug 2004 08:39:29 +0900
    私は、建築金物の設計、取付作業に従事している者です。
    特にここ最近は手摺に関わることが多くなりました。
    手摺といえども材料は雑多で、取付ける時に、熱膨張によるギャップ をいくらにするかでいつも頭を悩ませています。
    なにか簡単な計算方法等あれば、ご紹介ください。
     私は、以前先輩に聞いた「鉄は気温32度で10mで4mm伸びる」 というのそのまま使用しています。
    鋼材は6m、ステンレスは4mが定尺なのでギャップを2mmにすることが 多いのが現状です。
    寺西 良文
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    Date: Fri, 13 Aug 2004 14:56:29 +0900
    A: 寺西様、佐藤勝昭(フランス滞在中)です。
    メールありがとうございました。
    熱膨張係数の定義は、1℃あたりの伸びを0℃における長さで割った比率で す。データは、出典によって幅がありますが、次の値が標準的なものです。
    金属名熱膨張係数(E)
    鉄(Fe)11.8×10^-6
    アルミ(AL)23.1×10^-6
    ステンレス12×10^-6
    従って、L[m]の金属(熱膨張係数E)が0℃からT[℃]になったときの伸びは
     E×L×T [m]
    で与えられます。
    10mの鉄やステンレスが0℃から32℃になったときは、
      12×10^-6×10×32=3.8×10^-3[m]=3.8[mm]
    となり、先輩に教わったとおりです。
    アルミであれば、その2倍程度であることがわかります。
    ご理解頂けたでしょうか。
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    Date: Sun, 5 Sep 2004 22:16:08 +0900
    AA: 先日は御親切なメールありがとうございまいした。
    おかげさまで、手摺の施工要領書を完成させることができました。
    千葉市に来秋完成予定の、サッカースタジアムがあります。
    私はその現場で手摺の施工管理をしております。
    本当に、ありがとうございました。
    寺西
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  • 410.

    フロロシリコン


    Date: Sat, 14 Aug 2004 10:27:28 +0900
    Q: 佐藤 先生
    初めてメールさせて頂いています。HPを見ての質問です。
    弊社は「液体中の微量金属を測定するモニター」を開発しているベンチャー企業で す。
    質問は「フロロシリコン」についてで(<フロロシリコン>と言うキー ワードではInternet検索が出来ませんでした)
    特に、組成、作り方、物性、メーカー等が判れば有難いのですが・・・
    宜しくお願い申し上げます。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 14 Aug 2004 14:24:33 +0900
    A: A社N様、佐藤勝昭@Grenobleです。
     旅先で資料がないのですが、ご質問のフロロシリコンは、フッ化珪素のこと で、英文ではfluorosiliconと綴る化学物質です。
     特に4フッ化珪素(tetrafluorosilicon)SiF4は、光ファイバーの製造、半導 体のプロセス、高圧用絶縁物などとして広く使われていると存じます。商品に ついては三井化学などにおたずねになってはいかがでしょうか。
     化学物質の検索には「化学便覧」を参照されることをおすすめします。特 に、「液体中の微量金属を測定するモニター」を開発しておられる御社なら、 当然手元に置いておかれるべき書物かと存じます。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 14 Aug 2004 23:02:17 +0900
    AA: 東京農工大学共生科学技術研究部ナノ未来科学拠点
    教授 佐藤勝昭 様
    A社のNです。
    旅先から早速ご返信頂きまして有難うございます。
    現在自宅におりますので、出社したら「化学便覧」を調べてみます。
    また「florosilicon」でも、ある商品がヒットしたので、「fluorosilicon」で あることを、ついウッカリしていました。
    なお、三井化学のHPから探し出せませんでしたが、シリコン関連メーカー、 例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン鞄凾ノは製品がありましたので 問い合わせました。
    アドバイスを有難うございました。今後とも宜しくお願い申し上げます。 先ずは御礼とご報告まで。
    -------------------------------------------------------------------
  • 411.

    シリコンウェハーの赤外線スペクトル


    Date: Tue, 17 Aug 2004 19:36:36 +0900
    Q1: 東京農工大学
    佐藤 勝昭 教授殿
    K大学工学部でポスドクをしているTと申します。(Webへのアッ プの際は、申し訳ないですが匿名にてお願いします。)
    現在、高分子の光反応による屈折率制御について研究しております。シリコンウェハー 上に材料のフィルムを形成し、光照射に伴う屈折率の変化を測定していますが、光反 応の進行を直接得る方法を模索していました。先日シリコンウェハーなら赤外線があ る程度透過するということを耳にしました。そこで、シリコンウェハー上にフィルム を形成してIRスペクトルを測定してみると材料に帰属できるスペクトルを得ることが でき、光反応の進行と共に変化が見られました。ただし、s/nがあまり良くありませ ん。
    さて、シリコンウェハーにはいくつか種類があるようですが、p-type、n-typeの違い と(100) と(111)の違いによってもシリコンウェハー自体の赤外線の吸収スペクトル は異なるのでしょうか?1600cm-1付近での吸収がなるべく少ないウェハーが好ましい のです。もしご存じであれば教えていただけないでしょうか?もしくは、参考となる ような文献等を紹介頂けると大変助かります。
    かなり都合の良い質問で甚だ失礼ではありますが、よろしくお願いいたします。
    ------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 19 Aug 2004 01:42:50 +0900
    A1: T様、佐藤勝昭です。
     シリコンを選ぶ理由は赤外の透過性を考えてのことでしょうか。
    スペクトルのS/Nが悪いということですが、いくつかの原因が推定されます。
    ・薄膜は膜厚が薄いので吸収係数が大きくてもトータルの吸収量が小さいのに対 し、基板は厚いのでにわずかな吸収係数の要因があっても総吸収量は薄膜に比べて 大きくなってしまいます。
    (1)シリコンは屈折率が3程度と高いので、高分子膜との間での反射を考える必 要があります。高分子の膜の屈折率は1.5程度で、高屈折率のものでも1.9程度で す。今、シリコンの吸収を全く無視したとして、屈折率2の膜と屈折率3のシリコン の界面での反射率はR=(n1-n0)^2/(n1+n0)^2=(2-3)^2/(2+3)^2=1/25=4%に過ぎません が、膜と空気の間では、R=(1-2)^2/(1+2)^2=1/9=11.1%、シリコンと空気の間では、 R=(1-3)^2/(1+3)^2=1/4=25%だけの反射があります。反射でかなり光を損しているの です。
    (2)シリコンは両面研磨されていますか?通常のシリコンウェハーは片面研磨なので、裏面は凹凸があります。これにより光が散乱されます。両面研磨のシリコン 基板を使う必要があります。
    (3)フォノンによる吸収:純粋なシリコン結晶でも500-1200cm-1にかけて2フォ ノン吸収が見られます。不純物が入った場合、局在フォノンモードによる吸収が見 られます。これも 500-1200cm-1にかけて見られます。
    (4)自由キャリアによる吸収、高濃度のドナーを含むシリコンウェハーでは、自 由電子吸収による吸収が見られます。これは低波数に行くに従って増大します。 例えば 6×10^18cm^-3の濃度のn型シリコンの1900cm-1における吸収係数は2×10^ 2cm^-1もありますから、分厚いウェハーだと、膜の吸収に比べてかなり大きな吸収 量になります。なるべくキャリア数の少ないものが望まれます。
    ---------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 19 Aug 2004 09:48:34 +0900
    Q2: 佐藤先生
    ご丁寧な御回答本当にありがとうございます。

    >  シリコンを選ぶ理由は赤外の透過性を考えてのことでしょうか。

    いいえ。本来石英ガラスを使用したいところですが、屈折率測定をエリ プソメーターで測定するためシリコンを使っています。 界面での反射は致し方ありません。

    先生の御回答から判断すると、薄くて両面研磨されていてキャリア数の 少ないウェハーが好ましいということですね。
    キャリア数の少ないというのは具体的にはどのようなものなのでしょう か?現在、株式会社ニラコのウェハーをしようしています。そのカタロ グには下記のようなウェハーが記載されています。
    Wafer 99.999% (one-face polished)
    <Item No><Orientation>
    SI-500439p-type high (111)
    SI-500444p-type low (111)
    SI-500440p-type low (100)
    SI-500446p-type high (100)
    SI-500441n-type high (111)
    SI-500452n-type low (100)
    SI-500443n-type low (111)
    SI-500445n-type high (100)
    この中でどれが最も吸収が少ないと考えられますか?
    非常にお忙しいと存じますが、再びお答え頂けると幸いです。
    よろしくお願い致します。
    ------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 19 Aug 2004 10:34:37 +0900
    A2: 田中様、佐藤勝昭です。
     p-type high などのhighは高濃度を意味するのか高抵抗を意味するかで判断が異 なります。どちらを意味するかはNilacoにお問い合わせになっては如何でしょう か。ドーピング濃度ならば低濃度のもの、抵抗なら高抵抗のものをお求め下さい。  pとnのどちらがよいかですが、高抵抗のものではどちらでもよいと思います。 また、結晶方位はエッチング特性やエピタキシャル成長を考える場合は重要です が、光学的にはあまり大きな違いはないでしょう。
    ---------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 19 Aug 2004 21:08:19 +0900
    佐藤先生

    ご返答ありがとうございます。早速Nilacoに問い合わせてみます。
    このたびは大変お世話になりました。感謝致します。
    T
    --------------------------------------------------------------------
  • 412.

    アルゴンガスの飽和水蒸気量


    Date: Thu, 19 Aug 2004 21:18:10 +0900 Q: 佐藤先生

    はじめまして,私はC社に勤務しております
    Hと申します(匿名でお願いします)
    . HPを拝見しましてお知恵を拝借できればと思いメール致しました.

    現在,溶接時の酸化防止のためにアルゴンガスを用いているのですが, 配管内に水があって抜けない場合には,空気をアルゴンガスで置換して も水蒸気が溶接に悪さをします.そこでその影響を調べるために,常温 でのアルゴンガスの飽和蒸気量がいかほどかを調べておりますが,全く 分かりません.湿り空気線図のように湿りアルゴン線図?なるものはあ るのでしょうか?

    お忙しいところお手数ですが、なにとぞよろしくお願い致します。
    -----------------------------------------------------
    Date: Tue, 24 Aug 2004 22:37:56 +0900
    A: H様、佐藤勝昭です。
     お返事が大変遅くなり申し訳ありません。
    基本的には、ガスが空気であろうがアルゴンであろうが、混合気体においてはそれぞれの 分圧で考えればよく、水の蒸気圧は温度と圧力で決まるのですから、湿り空気線図と湿り アルゴン線図は変わらないのではないかと思います。
     細かいことを言うと、空気とアルゴンでは水に対する反応性が違うので全く同じではな いでしょうが、第1近似では同じと考えてよいでしょう。このことは、化学工学の専門家 に確かめました。
     http://www.mathtrek.com/contents/gvtut.html
    によりますと、
    空気以外の気体(N2,O2,H2,He,Ne,Ar,Kr,Xe,CO2,C2H4)と水の混合系については、 V.A.Rabinovich, V.G.Beketov: Moist Gases:Thermodynamic Properties (Begell House Inc)という本に載っているそうです。なお、この本は誤りがあるので、P.T.Eubank:J. Chem.Eng.Data 42 (1997) 412-413も参照するようにと書いてあります。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 26 Aug 2004 20:24:46 +0900
    佐藤先生
    C社のHです.突然のメールでの質問にお答え頂き本当に有り難うございます.

    湿り空気線図は知っていましたが,アルゴン中の蒸気量??で分からなくな っていました.気体中(空気でもアルゴンでも)の水蒸気量は水の蒸気圧で 決まると理解しました.基本に戻ってよく考えることが重要だと思いました.

    どうも有り難うございました.また質問させて頂くことがあると思います.
    その節にもよろしくお願い致します.
    ---------------------------------------------------------------------
  • 413.

    自然酸化膜につて


    Date: Wed, 25 Aug 2004 15:32:31 +0900
    Q: 佐藤先生
    G社上山と申します。お世話になります。
    物性なんでもQ&Aには色々役立つ情報があり、よく活用させて頂いております。
    アモルファスシリコンデバイスの不良解析において、自然酸化膜による導通不良について調べております。
    結晶シリコンの自然酸化膜については文献情報で解るのですがアモルファスや微結晶シリコンにおける 自然酸化膜については殆ど記載されておらず困っています。
    具体的には、大気中、純水中での自然酸化膜や、薬液中での化学酸化膜の形成においてアモルファスシリコンと微結晶シリコンでは、その酸化膜の構造や膜厚に差はあるのでしょうか?
    特に硫酸過水のような強い酸化力をもつ液中での酸化膜形成についての知見が得られましたら助かります。

    以上、ご回答の方、宜しくお願い申し上げます。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 26 Aug 2004 13:41:41 +0900
    上山様、佐藤勝昭です。
     ご質問の件については、私は専門外なので、本学越田教授に伺いましたとこ ろ、体系的な研究はないそうです。
     アモルファスシリコンは水素化されているので、自然酸化膜は非常にできに くいと考えられます。一方、微結晶シリコンでは、経験的に酸化は0.3nm程度 で自動停止し時間とともに酸化が進むことはないということです。
    ---------------------------------------------------------------------
  • 414.

    1次元の箱に閉じこめられた質量mの粒子の運動量


    Q: 私は社会人学生でインターネットで調べてものがあってこちらのアドレスを拝見してメールしました中島弘樹です。

    大変申し訳ないのですが。少し質問があるのですが、よろしいでしょうか?

    長さLの1次元の箱に閉じこめられた質量mの粒子の運動量の期待値はいくらになるのでしょうか?

    運動量2乗の期待値<p2>が運動量の期待値の2乗に一致しないのなら、その理由を考えよ!と言われたのですが、「一致する。」でいいのでしょうか?
    運動量のバラツキ(Δp)=(運動量二乗の期待値)の平方根の2倍により求めると、h/Lになり、位置のバラツキ(Δx)は、箱の長さに等しいことから、ΔxΔp=hになりました。これを不確定性原理の内容と比較検討せよ。と言われたのですが、どのように書いたらよいのかよく分かりません。
    以上、2つの質問なのですが、よろしくお願いします。
    すみませんがよろしくお願いします。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 27 Aug 2004 17:23:52 +0900
    A: 中島様、佐藤勝昭です。
    1次元の量子力学の演習問題ですね。
     x=0とx=Lにおいて境界条件ψ=0を適用すると、ψ=sin(πx/L)が固有関数になると考え られます。sin(πx/L)は、正の方向に進む波c exp(iπx/L)と負の方向に進む波c* exp(-iπx/L) の合成です。[なぜなら、sinθ=(exp(iθ)-exp(-iθ))/2iです。] 正の方向に進む波c exp(iπx/L)による運動量p=-i(h/2π)∂/∂xの期待値を計算します。 ここにcは規格化の定数で0L|Ψ|2dx=|c|2 L=1よりc=1/L1/2となります。 運動量pの期待値<p>を求めるには、運動量の演算子-i(h/2π)∂/∂xについて
    ψ*とψではさんで0からLまで積分すればよろしい。
    すなわち
    <p>=-i(h/2π)∫0L ψ*(∂/∂x)ψdx=-i(h/2π)|c|2 (iπ/L)∫dx=h/2L
    となります。
    一方、負の方向に進む波exp(-iπx/L)の運動量p=-i(h/2π)∂/∂xの期待値を求めると-h/2Lです。 従ってトータルの運動量はゼロになります。[波動関数としてψ=sin(nπx/L)を使って期待値を計算しても、pの期待値はゼ ロになります。]
     Δpの期待値はp^2の期待値からpの期待値の二乗を引いたものの平方根の2倍と定義し ますとΔp=h/Lとなります。従って、答は「一致しない」が正しいのです。理由は、いわ ゆるゼロ点振動を行っているので平均値は0でも運動量の不確定性は残るのです。
     ΔxΔp=hとなりますが、不確定性原理では、ΔxΔp≧hなので、いまのケースはその極 限の場合になっているのです。
    運動量pの期待値<p>を求めるには、運動量の演算子-i(h/2π)∂/∂xについて
    ψ*とψではさんで0からLまで積分すればよろしい。
    すなわち
    <p>=-i(h/2π)∫0L ψ*(∂/∂x)ψdx=-i(h/2π)(1/L1/2)2 (iπ/L)∫dx=h/2L
    となります。
    ---------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 27 Aug 2004 18:21:39 +0900 (JST) Q: 返信ありがとうございます。一度、先生の解説を見ながら計算して考えていきたいと思います。
    また、分からないところが出てきたときは、質問してしまうかもしれませんが、
    そのときはよろしくお願いします。ありがとうございました。
    -------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 29 Aug 2004 02:28:13 +0900 (JST) Q: 度々すみません。中島です。 <p>=0 <p2>=h2/(4L2)に無事になりました。 では、なぜ、運動量の期待値の2乗は、運動量2乗の期待値に一致しないのですか?その理由が知りたいのですが。
    ΔxΔp=hになりましたが。理由は、「ゼロ点振動を行っているので平均値は0になっても運動量の不確定性は残るためです。また、ΔxΔp=hとなるが、不確定性原理では、ΔxΔp≧hになる、今回の場合は、その極 限の場合になているため。」という結果と不確定性原理との比較検討でいいのでしょうか?
    よろしくお願いします。  中島 弘樹
    ---------------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 29 Aug 2004 14:03:32 +0900
    A: 中島弘樹様、佐藤勝昭です。
     運動量の期待値というのは観測される運動量です。粒子は箱の中に閉じ込められ ているので当然運動量の期待値はゼロです。しかし、量子的には、零点振動で右 (正方向)に左(負方向)に運動しています。運動量の2乗をとると、正であろう が負であろうが正になりますから、加えるとゼロにならないのです。
     不確定性原理との比較の答えは、あなたの先生がどこまで期待しておられるかに よります。
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 29 Aug 2004 15:15:22 +0900 (JST)
    中島です。
    「ΔxΔpがなぜ極限の値hをとり、hより大きくならないのか?」という理由はどうしてなのでしょうか?
    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Mon, 30 Aug 2004 13:17:17 +0900
    中島様、佐藤勝昭です。
     無限大の障壁をもった井戸型ポテンシャルに閉じこめられた場合がもっとも不確定性の 少ない極限になっており、たとえば障壁の高さが低く波動関数がしみ出しているような場 合には不確定積がhより大きくなります。ΔxΔp≧hは数学的に成り立つもので、式の意味 するところで重要なのは「hより小さくならないこと」です。
    --------------------------------------------------------------------------------
      
  • 415.

    合金の仕事関数


    Date: Tue, 24 Aug 2004 15:55:04 +0900
    Q: 東京農工大 佐藤勝昭先生
    N社のOと申します。
    いつもHPを拝見させて頂いております。
    小職、これまでQ&Aを拝読するばかりでしたが、質問させて下さい。
    合金の仕事関数の値について調べています。
    任意の組み合わせおよび組成の合金の仕事関数を計算で見積もることは 可能なのでしょうか。
    例えば、仕事関数が5 eVと4 eVの金属が原子比1:1の組成の2元系合金の 仕事関数が4.5 eVになるといったような加成性が成り立つということは あるのでしょうか。
    お忙しいところ申し訳ありませんが、何卒ご教示の程宜しくお願い致します。

    なお、Webにアップする際は会社名・名前とも匿名でお願い致します。
    ----------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 26 Aug 2004 20:35:52 +0900
    A: O様、佐藤勝昭です。
     結論から先にいえば、合金の仕事関数を両端の金属から見積もることは簡単ではありま せん。仕事関数が5 eVと4 eVの金属が原子比1:1の組成の2元系合金の仕事関数が4.5 eVになるといったような加成性が成り立つ系もあるかも知れませんが、一般にはバンド構 造においてフェルミ面がどこに来るかという問題なので、たとえば、LDA-CPAのバンド計 算で合金のバンド構造をきちんと出してそれから見積もるしかありません。また、Fe(bcc) とCo(hcp)の合金では結晶構造が変わりますから簡単ではありません。Fe-Co合金の磁気モ ーメントでも組成に対する線形性はなく、途中にピークを示します。途中組成で、金属間 化合物がができる場合もあります。おそらくcase by caseではないでしょうか。
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    Date: Fri, 27 Aug 2004 15:04:18 +0900
    AA: 東京農工大 佐藤勝昭 先生

    早速のご回答ありがとうございました。

    素人ながらに一見、大まかには加成性が成り立ちそうな勝手なイメージを想定していました。
    私もそれからいろいろと調べてみましたが、確かに加成性が成り立ってそうなものもあれば、そうでないものもあり、 それぞれの純金属のFermi準位上の状態密度の比によって加成性から外れると記している文献も見ました。
    先生のご回答からも、このことはなかなか一筋縄ではいかなさそうな実感が持てました。
    丁寧なご回答ありがとうございました。
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  • 416.

    IH加熱に適した鍋材


    Date: Wed, 18 Aug 2004 15:23:58 +0900
    Q: いつも佐藤研究室のHPを楽しく拝見させて頂いております。
    私は、某金属会社に勤める鈴木と申します。
    誰にも聞けなく、普段より疑問に思っている誘導加熱について質問させてい頂きます。

    最近IH調理器と称して、誘導加熱を応用した調理器が発売されておりますが、メーカによれば、これに使用 される鍋の材質は、固有抵抗値の高いステンレスが良いとのことです。銅やアルミでは抵抗値が低く適さな いとのことです。
    私の浅い電磁気学的な知識ですと、ステンレスでは、抵抗値が高いため、渦電流が小さくなり、温度上昇が 低く抑えられてしまい、加熱には向かないような気がします。むしろ、銅やアルミの方が適するのではないか と考えておりますが、構造上の違いの認識違いなのかご意見頂ければ幸甚に存じます。
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    Date: Thu, 19 Aug 2004 00:24:12 +0900
    鈴木様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。
    ご指摘のとおり、高周波の交流磁界を金属板に垂直に印加したときに導体に流れる 渦電流の電流密度は、誘導起電力を比抵抗で割ったものとなっています。従って、 低抵抗の導体においては、大きな渦電流密度が得られます。従って、トランスにお いて高抵抗のフェライトのコアは抵抗の低い鋼板のコアに比べて渦電流損が少ない といわれています。
     それでは、極端に考えて、抵抗ゼロの金属を考えますと、渦電流が永久に回り続け 減衰しませんが、それでは、発熱がありません。  IH鍋における高周波の渦電流損失を考える場合には、表皮効果による表皮抵抗での発熱を考える 必要があります。高周波が浸入できる表皮厚さ(skin depth)δは
      δ=(2ρ/ωμ)1/2 
    で表されます。ここでωは各振動数、ρは比抵抗です。
    なんでもQ&ANo.247にありますように、渦損失kμωに表皮厚さδをかけたものが表 皮抵抗RsですからRsはk(2ρωμ)1/2に比例します。
    通常、渦電流が定電流源から供給されると仮定し、電力損失は表皮抵抗Rsに比例するので、 比抵抗の平方根に比例するとして解析され、比抵抗の高い材料がIH鍋に適しているとされています。
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  • 417.

    炭素繊維の透磁率


    Date: Fri, 27 Aug 2004 13:03:05 +0900
    国立大学法人東京農工大学
    佐藤勝昭先生

    Q: 拝啓、残暑の候益々ご清祥の事とお慶び申し上げます。
    日本応用磁気学会事務局様よりご紹介賜り失礼ながらメールにてご教示をお願い申し 上げます。
    弊社は、東レの炭素繊維複合材料などを取り扱っております。
    今般、電波利用民生機器メーカー様より炭素繊維複合材料(マッチ棒大)をアンテナ として用いたいが炭素繊維の透磁率を知りたいとのご質問がございました。
    東レでも炭素繊維の透磁率のデータを有しておりませんので誠に失礼ながらご教示を お願い致しました次第でございます。
    尚、本アンテナでは長波帯の受信を想定しております。
    ご多忙とは存じますが、関係書籍、論文等ご教示賜りますようお願い申し上げます。
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    Date: Fri, 27 Aug 2004 13:38:41 +0900
    A: A様、佐藤勝昭です。
     炭素は反磁性で磁化率χは非常に小さい負の値(10-5の程度)をとるので、比透磁率 μr=1+χは1としてよいと思います。
    ただし、複合材料とのことで、もし、強磁性の金属が複合されているようでしたら、大きな値を もつ可能性があります。何が複合されているのでしょうか。
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    Date: Fri, 27 Aug 2004 15:08:53 +0900
    Q2: 拝啓、いつもお世話になりまして厚く御礼申し上げます。早速ご教示賜りましてありがとうございます。

    炭素繊維複合材料は炭素繊維とエポキシ樹脂が複合された材料でございます。
    身近な商品としましてはゴルフブラックシャフトが炭素繊維とエポキシの複合品でございます。
    樹脂はエポキシだけではなく耐熱温度の高いポリイミド等も特殊品には用いられております。
    高剛性、軽量化、振動減衰性等がこれまで利用されてきましたが、これから電磁気的な特性も是非生かして 行きたいと存じます。今後とも何卒ご指導賜りますようお願い申し上げます。
    先ずは取り急ぎ御礼まで
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    Date: Mon, 06 Sep 2004 00:26:06 +0900
    A: A様、佐藤勝昭です。
    応用物理学会のため、お返事が遅くなり申しわけありません。
    炭素繊維もエポキシ樹脂も比透磁率は1として扱ってよいと思います。
    カーボンのモル磁化率は 反磁性で-6.00×10-6(emu/mol)
    エポキシにはベンゼン環にCの2重結合があるので常磁性で+5.5×10-6(emu/mol)
    磁化率χは上の値にモル数をかけたものです。
    磁化率χと比透磁率μrのあいだには、μr=1+χの関係があります。
    従って比透磁率はほとんど1と考えられます。
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  • 418.

    プラズモン振動数について


    Date: Sat, 28 Aug 2004 17:36:10 +0900
    Q: R大で助手をしておりますTと申します。
    最近、先生のホームページを拝見して、メールを差し上げる次第です。
    実は、金属のナノ粒子の光学スペクトルに関して以前から疑問になっていることがございます。
    1)金属ナノ粒子の表面プラズモンは粗密波であるのに、どうして横波である電磁波と共鳴を 起こすことができるのでしょうか。
    2)これは、数値に関するものです。Auのプラズマ振動数を求めるのに、自由電子密度 n = 5.90 x 1028 [m-3]
    (Ashcroft & Mermin) を使うと
    ωp = (ne2/mε0)1/2
    = [ 5.90 x 1028 [m-3] x (1.65 x 10-19)2 [C2] / ( 9.1 x 10-31 [kg] * 8.85 x 10-12 [F m-1]) ] 1/2
    = 1.41 x 1016[rad s-1]

    hωp / 2π = 6.63 x 10-34 [J s] x 1.41 x 1016 [rad s-1] / 2π [rad]
    = 1.49 x 1018 [J]
    = 9.31 [eV]
    となリます。

    一方、微粒子の表面プラズモンωspとバルクプラズモンwpの関係 ωsp = ωp / 31/2から
     hωsp / 2 π= 9.31 / 31/2
    = 5.38 [eV]
    と計算されますが、これは実測の2.5eV とは全く合いません。また、hωp / 2π = 9.31 [eV] は 反射スペクトルの立ち上がり (2.4 eV) ともかけ離れています。

    これは、なぜでしょうか。単純な計算間違いだと気恥ずかしのですが、原因をお教え頂けると幸いです。
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    Date: Sat, 28 Aug 2004 21:41:54 +0900
    A: T様、佐藤勝昭です。
    1)なんでもQ&A No.325 「表面プラズモンとエバネッセント波の結合」にあり ますように、表面プラズモン共鳴は、光の波動ベクトルの面内成分が表面プラズモ ン(電荷の粗密波)の波動ベクトルと整合する場合に起きます。
    たしかにプラズモンは縦波なので、そのままでは光とはカップルしません。共鳴す るのは、光が表面に対して斜め入射したときに表面に平行な電界成分があるため、 それと結合するのです。金属ナノ粒子に対して光が入射したとき、表面に対して斜 めに入射する状況が必ず生じます。
    2)Au, Ag, Cuのプラズマ周波数は、キャリア数からのみ計算すると9eV位の高いエ ネルギーに来ます。観測されるプラズマ周波数は、ハイブリッドプラズマによるも のです。「ハイブリッドプラズマ」はなんでもQ&AのNo.367にありますが、よく知ら れたようにバルクのプラズマ周波数ωpは ωp=(Nq2/mε0)1/2で与えられますが、 実際に誘電率がゼロを横切る周波数ωp'(これはハイブリッドプラズマと呼ばれ る)は高い周波数における誘電率をεとして ε-ωp2/ωp'2=0より、
    ωp'=(Nq2/mε∞ε0)1/2となり、低いエネルギーに移行しているのです。
    もっと正確には、プラズマ振動にともなうドルーデ則による誘電率のスペクトルに 加え、Auでは2.5eV付近にバンド間遷移が始まるため誘電率の実数部の分散構造が重 畳するため、εr=0を横切る振動数が低エネルギー側に移行するのです。
    もっと詳しく勉強されるには、(なんでもQ&A No.212の回答にありますよう に)D.PinesのElementary Excitation in Solids (Perseus Books, 1966), p.207- 228、あるいは、花村栄一「固体物理学」(裳華房1986)のp.149に記述されていま す。
    [同様のことは、No.31, No.194, No.212, No.303, No.346の回答にもあります。]
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    Date: Mon, 30 Aug 2004 09:34:31 +0900
    東京農工大学 佐藤 勝昭 様

    御丁寧な回答を早速お送り下さり、有難うございます。
    長い間疑問に思っておりましたことが、先生のご説明で明確になり、大変感謝しております。
    今後とも、よろしくお願い申し上げます。
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  • 419.

    電子部品の硫化による断線


    Date:2004/08/06 22:35
    Q1: 電機メーカのHと申します。
    ホームページを見て質問をさせていただいております。
    Webにアップされる場合は、匿名でお願いします。

    質問内容は、電子部品の硫化による断線についてです。
    イオウ雰囲気の中使われている電機製品で、電子部品の硫化による断線が発生しております。
    この硫化による断線がなぜおこるのかが知りたいのです。

    実際には、チップ抵抗の銀パラジウム電極が断線しました。
    銀とイオウが反応して硫化銀ができ、硫化腐食が原因と聞いたりもするのですが。
    硫化腐食ってなんでしょうか。硫化銀のできる反応式はどのようなものでしょうか。
    その反応は起きやすいものなのでしょうか。
    硫化銀は絶縁物なのでしょうか。
    それとも硫化銀により腐食して、物理的に切れてしまうことで断線してしまうのでしょうか。

    分からないことだらけで申し訳ないのですが、お教え願えると幸いに存じます。
    よろしくお願いいたします。
    -------------------------------------------------------------
    Date:2004/08/07 1:49
    A1: H様、佐藤勝昭です。
     昔から、銀が硫化しやすいことはよく知られています。ボウディッカのWeb site (http://www.boudicca.gr.jp/shop/silver/)には銀の食器が空気や水に含まれる硫黄成 分によって黒化することについて次のように書いてあります。
    「銀が黒ずむのは、化学用語で言うと酸化(サビ)ではなく硫化だそうです。空気中の 硫化水素や水分中の二酸化硫黄と反応して、表面に硫化銀が生じるのです。特に日本は 火山国のためか、全く同じに作られた銀製品でも、ヨーロッパよりも早く黒ずんでしま います。ただ、銀の硫化の場合、鉄の酸化のように中までボロボロになってしまうこと はありませんから、たとえ何百年も放っておかれて、どんなに真っ黒に変色してしまっ た銀でも、正しく手入れすれば元の輝きを取り戻すことができる」のだそうです。
     従って、反応としては、2Ag+H2S=Ag2S+H2, 2Ag+SO2=Ag2S+O2,等が考えられます。
    また、
    LAPP USAのサイト(http://www.lappusa.com/catalog/TechData-GeneralApprovals.htm) によれば、電極材の表面コーティングについて次の記述があります。
    "Silver or gold are the normal choice for surface coating."
    Silver possesses the highest electrical conductivity of any metal and is the
    most cost-effective precious metal. With sulphur or sulphurous products in the
    ambient air, a brownish to black oxide coating made up of silver sulfide (Ag2S
    ) will rapidly be formed. However, this coating will break up in the process of
    mating and will be broken down by high currents, so that the necessary
    electrical conductivity is maintained. Passivation of the silver surface will
    delay the formation of the oxide coating and will reduce the mating and
    unmating forces.
    「.....空気中に含まれる硫黄あるいは硫黄化合物により茶ないし黒の硫化銀Ag2Sのコー ティングが急速に形成される。このコーティングはコネクタをはめるときに破壊される ので、必要な導電率は確保される。・・・」

    http://dcbwww.unibe.ch/groups/calzaferri/members/..%5Cpdf%5CIZC-2001-Ag2S.pdf によれば、「Ag2Sの低温相はacanthiteと呼ばれ、結晶構造は単斜晶系、電気的には半導 体で、バンドギャップはEg=1eV」と書かれています。
    ------------------------------------------------------------------
    以上を総合すると、硫黄雰囲気[といっても硫黄そのものでなく、硫化水素や2硫化硫黄 (いわゆる亜硫酸ガス)の存在する雰囲気]においては、銀は容易にAg2S(scanthite)とな り、表面を覆います。その被覆が薄い場合は問題ないけれど、進行すると全体が硫化銀 になり、硫化銀は半導体なので電気抵抗が高く、あたかも断線したようになる。
    というのが結論です。
    -------------------------------------------------------------------
    Date: 2004/08/07 8:41
    Q2: Hです。
    さっそくのご回答ありがとうございました。

    質問さえうまくできなかったのに、私が疑問に思っていたことにズバリ回答いただいて、 たいへん感動しております。

    さらにずうずうしいお願いですが、もう少し教えてください。

    硫化水素や亜硫酸ガスと聞くと人体に影響の有るガスのように思われるのですが。
    硫化による断線が発生した環境は、人が普通に働く環境です。
    人体に影響がでないような微量な状態でも容易に硫化銀に変化するのでしょうか。
    温度や湿度は影響がありますでしょうか。
    その場所は空調設備がなく、蒸し暑い場所であることは確かです。

    よろしくお願いいたします。
    -----------------------------------------------------------------------
    Date: 2004/08/07 9:30
    A2: H様、佐藤勝昭です。
     銀の硫化しやすさは有名で、輪ゴムで銀のスプーンを縛ると、輪ゴムに含まれ るわずかな硫黄のためその部分が黒くなります。(天然ゴムの主成分はポリイソ プレンですが、それを加硫法(主成分:硫黄)を用いて弾性を持たせています。 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=798086による)
     温泉地では何となく硫黄臭がしていますし、東京では南風が吹くと三宅島の噴 煙の硫黄臭がします。この時の2酸化硫黄の濃度は0.1-0.2ppmという値で、下記 の基準からいうと臭いを感じないはずです。おそらく、わずかに混じっている硫 化水素が硫黄臭のもとではないかと存じます。
    ●二酸化硫黄
          0.3〜1.0ppm:臭いを感じる
                5ppm:上気道に刺激感や気道抵抗の増加がみられる
    20ppm:眼の刺激
      (出典:「環境科学辞典」東京化学同人)
    ●硫化水素
    0.0005〜0.025ppm:においの閾値
    0.06 ppm:明瞭に感知
    1〜5    ppm:不快臭が強くなる
        (出典:「環境科学辞典」東京化学同人)
    -----------------------------------------------------------------------
     硫黄臭のしない温泉でも銀のブレスレットが黒くなるという話もあります。ま た、水分があると、空気中にわずかに含まれる2硫化硫黄が亜硫酸H2SO3とな り、硫化水素も水溶液になって、Agに長時間付着することになり、硫化を進める のではないかと思います。(これは推測ですが)
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  • 420.

    プラズモンとエバネセント波


    Date: Mon, 6 Sep 2004 23:50:11 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    私、「R社」の「Y」と申します。
    先生のHPで学生時代に解決・理解できなかった様々な疑問が解決されています。
    ありがとうございます。

    近接場光学や表面プラズモンポラリトンに興味があり、 何か面白いことが出来るのではないかと思い教科書など読んでいるのですが、 そのなかでどうしてもわからないことがありますので、ご教示いただけませんでしょうか。

    まず、プラズモンの電場増強効果についての質問です。
    「表面プラズモン共鳴により、電場が増強される。」と、どの本や文献にもありますが、
    入射光の電場が増強されるとはどのような原理に基づくのでしょうか。
    素人目にはエネルギー保存則に反してしまうのではと思ってしまうのですが。

    また、
    表面プラズモンポラリトンの共鳴条件に関して、分散関係を示す曲線がたびたび出てきますが、
    波数と振動数の関係とは、分散関係とはわかりやすくいうと何を意味しているのでしょうか。

    最後に先生のHPのなかで、以前
    15 Oct 2002 「表面プラズモン共鳴バイオセンサーについて」
    という質問についての記載がありましたが、
    そのなかに、
    「エバネセント波の電界は空間的には振動しない波」
    とあります。
    空間的に振動しないが時間的には振動するとはどのようなことなのでしょうか。
    伝搬しないということなのかと考えましたが、プラズモンは伝搬するものと解釈しております。 エバネッセント波とプラズモンでは違うと言うことなのでしょうか。

    もしかしたら非常にレベルの低い質問なのかもしれませんが、
    よろしくお願いいたします。
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    Date: Tue, 7 Sep 2004 13:08:14 +0900
    A: R社Y様、佐藤勝昭です。
     わたしのHPをご愛用頂きありがとうございます。
    ご質問にお答えします。
    > 入射光の電場が増強されるとはどのような原理に基づくのでしょうか。
    > 素人目にはエネルギー保存則に反してしまうのではと思ってしまうのですが。
    物質に入射した光は、もはや純粋な光ではなく、物質の中の電気分極と相互作用しながら 伝搬することはよくご存じですね。従って、物質の中で励起を(vertualに)ともなったり、 物質中の励起からからエネルギーをもらったりするのです。決してエネルギー保存則に反 することはありません。

    >分散関係とはわかりやすくいうと何を意味しているのでしょうか。
    純粋の光の波では波数とエネルギーは比例関係にあってその係数が光速です。一方、物質 中の素励起は進行する波と後退する波の干渉のため、エネルギーは波数に対して非線形の 関係になります。また、Optical Phononのようにエネルギーが波数にほとんど依存しない 場合もあります。
    ポラリトンは光の波と物質中の励起の波が混成した状態なので、両者の分散曲線が互いに 反発して複雑な形状になっています。波数が固有状態のラベルに対応し、その固有エネル ギーが分散曲線から与えられます。これの物理的な意味をやさしく説明するのは大変むず かしいです。

    > 空間的に振動しないが時間的には振動するとはどのようなことなのでしょうか。
    > 伝搬しないということなのかと考えましたが、プラズモンは伝搬するものと解釈して おります。
    > エバネッセント波とプラズモンでは違うと言うことなのでしょうか。
    プラズモンは、物質中にできた電荷の疎密の波で、これは伝搬する波です。
    一方、エバネッセント波は、光の場です。全反射する系では、普通の意味での透過光はあ りませんが、それでも境界を越えてしみ出している電界があります。この波の電界は境界 面から先は単に電界振幅が減衰するだけで、波としては伝わらないのです。
    式で書くと、通常の伝搬光の電界は exp(-ωκz/c)sin(ωt-ωnz/c)のように表せますが、 エバネセント光の電界はexp(-ωκz/c)sin(ωt)となると考えてよいでしょう。
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    Date: Tue, 7 Sep 2004 18:50:20 +0900
    AA: 佐藤勝昭様

    R社のYです。

    早速のご教示、ありがとうございました。
    先生の丁寧なご回答により疑問の大部分が解決しました。
    先生のご回答から疑問解決の糸口を得ましたので、 残りの部分はなんとか自分で勉強してみます。

    また“Oさん”とのやりとりも大変参考になりました。
    ありがとうございました。
    -------------------------------------------------------------------------
  • 421.

    プラズモン増強とエネルギー保存則


    Date: Tue, 07 Sep 2004 15:51:45 +0900
    Q: 東京農工大学教授 佐藤勝昭様

    はじめまして、私、M社のOと申します。
    いつも楽しくホームページを拝見しております。

    当方、半導体の光デバイスを研究・開発していまして、プラズモンにも興味をもって調査しております。

    今回、「プラズモンの電場増強」について質問させて頂きたく、メールを致しました。

    プラズモンの電場増強については、9/6のR社のYさんのご質問に先生がお答えされていましたが、 私もYさんと同様の「エネルギー保存則」の問題が気になります。

    電場増強については、以下のように理解しています。
    (正しいでしょうか) 1.表面プラズモン(surface plasmon polariton)の場合
     界面と平行方向には伝搬しているが、
     界面と垂直方向に関しては局在しているので、
     局在している分だけ、エネルギー密度が増加し、
     電場も増強する。
    2.局在プラズモン(localized plasmon)の場合
     3次元全方向に局在しているのでエネルギー密度が増加し、
     しかも共鳴効果によりプラズモン状態の寿命分だけさらにエネルギー密度が増加する。

    上記の理解が正しいかもお教え頂きたいところですが、本当に伺いたいのは、この先です。

    「プラズモンにより電場増強の結果、
    周囲の分子からのラマン光(などの非測定物からの光信号)が増加する」
    と言われていますが、
    この場合にエネルギー保存則はどのように満たされているのでしょうか
    というのが恐らくYさんの質問で、私も少し不安になる部分です。

    つまり、増加する被測定物からの発光のエネルギーはどこから調達されるのか、 ということが疑問です。
    非線形現象の場合、電場増強により発生効率が向上することは理解できますが、 線形現象の場合は、理由がよく分かりません。

    私の理解は、
    ・電場が増強されない場合には発光に寄与していない入射光のエネルギーが
     電場増強により被測定物の発光効率が向上するため、
     発光のエネルギーになる。
    ・発光効率が向上する機構は、プラズモンによって電界の方向が
     非測定物の発光過程が速くなる向きに変わるため。
    というものです。

    上記の私の理解が正しいかどうかは別にして、
    「プラズモンの電場増強とエネルギー保存則」の問題に関して、お答え頂けないでしょうか。

    お忙しいところ申し訳ありませんが、ご教授頂ければ幸いです。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 7 Sep 2004 17:43:40 +0900
    A: O様、佐藤勝昭です。
     なんでもQ&Aにアップして間もないレスポンスに驚きました。
    ご質問の1つ1つについてお答えするだけの知識を持っていないので、
    米国NEC研究所のグループのホームページに出ているプラズモンエンハンスメントの物理的説明をご紹介しておきましょう。それによりますと、

    「表面プラズモンは、プラズモンのうち、電荷が金属表面にコンファインされた特別の場 合で、電荷の疎密が表面に生じ、電界は金属表面内で最も強くなっていますが、そのまま では光を輻射しません。しかし、局所的な平面性が乱されると、プラズモンは光を輻射し ます。金属の表面に小さな欠陥による表面プラズモン媒介の発光が観測されており、プラ ズモンフラッシュライト(懐中電灯)と呼ばれています。これは、普通なら非輻射の表面電 荷密度の集団振動が起きている領域で光子輻射の局在化が起きたことを表しています。 従って、表面プラズモン輻射を利用出来るような(人工的な)構造を設計することができま す。表面プラズモンを使うと、輻射過程をエンハンスすることが可能で、発光の波長より 小さな寸法の明るい点光源を作ることができます。このエンハンス効果は高効率の光集光 器としても使うことができます。これらのいわゆるナノスコピック発光素子(あるいは集 光器)は、ナノスケールのアセンブリに集積すると有用です。」と書かれています。
    -------------------
     要するに、金属板に波長より小さな穴をあけ通常の光を照射すると、光は金属板全体に 当たっていて表面プラズモンが励起され、穴のあるところで振幅が高くなって、穴の面積 に相当する入射光の電界より大きな電界が穴の部分から輻射されるということで、「集光 器」に過ぎないのです。
     避雷針の針の部分に電界が集中し、針のない場合に比べて電界が エンハンスされていますが、これがエネルギー保存則を破らないのと同じことです。
    ラマン光の場合は、非線形プロセスなので何乗かで効いてくるので大きな効果が出ている と解釈出来るでしょう。
    ---------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 08 Sep 2004 09:49:06 +0900
    AA: 東京農工大学教授 佐藤様

    お世話になっております。
    M社のOです。

    アップしてすぐの反応は、定期的に先生の「物性なんでもQ&A」を見て、勉強させて頂いているからです。

    当方の質問へのご回答、ありがとうございました。
    線形な発光過程の場合も発光が増強されるという話を聞いたことがあるので ご回答には納得できない部分もありますが、 ご専門ではない領域に関しても丁寧なご指導を下さり、 うれしく存じます。

    今後も「物性なんでもQ&A」を楽しく拝見し 勉強させて頂きます。
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  • 422.

    変圧器の等価回路


    Date: Thu, 9 Sep 2004 16:47:39 +0900
    Q: 神戸大学工学部電気電子工学科2回生の鈴木と申します。
    変圧器の等価回路はなぜ必要なのですか?
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    Date: Thu, 9 Sep 2004 19:28:24 +0900
    A: 鈴木君、佐藤勝昭です。
     変圧器は単なる電圧の変換器だけではなく、インダクタンスとしての働きがあります。 変圧器の1次側を見ますと、磁性体にコイルを巻いてあるのでそれ自身インダクタンスと して働きます。これを自己インダクタンスといいます。変圧器には、2次側にもコイルが あり、そこに交流電流が流れます。すると磁心に生じた交流の磁束変化が1次側のコイル に影響を与えます。この効果を相互インダクタンスといいます。逆に2次側から見ても自 己インダクタンスと、相互インダクタンスがあります。これらの働きを記述するのが変圧 器の等価回路なのです。
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  • 423.

    吸収端決定のための吸収スペクトルの式


    Date: Fri, 10 Sep 2004 09:54:30 +0900
    Q: はじめまして、私はB社のHと申します。(匿名を希望します)
    このたび、先生のホームページを拝見しまして、是非質問したいことがあり、メール しました。

    現在、有機材料のEg測定を行なっています。方法としては、吸収スペクトルの吸収端 から求めた値をλ=1.24/Egの式に代入して 算出しているのですが、正確な吸収端がわからない為、データに信頼性がもてませ ん。
    そこで、半導体のEgを求める際に一般的に使われているという、α(吸収端付近の吸 収係数)=(hν-Eg)^1/2/hνの式を用いて、 算出しようと考えています。しかし、この式がどのようにして得られるのか、その過 程が分からない為、困っています。
    よろしければ、この式の誘導式を教えていただけないでしょうか?

    お忙しい中すみませんが、どうぞよろしくお願い致します。
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    Date: Sat, 11 Sep 2004 00:27:33 +0900
    A: H様、佐藤勝昭です。
     光吸収係数の導出は、多くの固体物理関係の教科書に載っています。 手前みそですが、例えば、佐藤勝昭編著「応用物性」(オーム社、平成3)の p.110-113をご覧下さい。
    簡単にいうと、量子力学により、吸収係数はバンド間遷移の運動量行列要素Mcvの絶対値の2 乗と、結合状態密度Jcv(hν)の積に比例し、νに反比例することが導かれます。す なわち、
     α(hν)=(q2/2ε0 cnm2ν)|Mcv|2 Jcv(hν)
    Jcv(hν)は、価電子帯の状態密度と伝導帯の状態密度のコンボリューション(たた み込み積分)で計算できます。この際、kを保存する遷移のみを考えます。結果は
     J(hν)d(hν)={4π(2m)3/2/h3}(hν-Eg)1/2 d(hν)
    が導かれます。従って、αは(hν-Eg)1/2に比例し、νに反比例します。
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    Date: Mon, 13 Sep 2004 09:31:58 +0900
    AA: 佐藤勝昭 様
    こんにちは。B社のHです。
    光吸収係数の導出についての回答、大変ありがとうございました。
    さっそく教科書を参考に勉強させていただきます。
    私は化学専門の為、どの本に載っているかの見当もつかなかった為、大変助かりまし た。
    このような素朴な疑問にまで答えていただき、本当にありがとうございました。
    今後ともどうぞよろしくお願い致します。
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  • 424.

    MOSキャパシター


    Date: Fri, 10 Sep 2004 13:38:54 +0900
    Q: 佐藤様, 東北大金研岩佐研助手の小林です。
    私は今現在有機TFTの研究をしています。しかしながら、元々は磁性の研究を行っていたので有機・半導体。デバイスに関してはまったくの素人です。そこで、最近行っている有機MIS構造のキャパシター-電圧依存が理解できません。
    そこで、以下に質問を記述します。回答よろしくお願いします。

    Question
    MOSのC-Vのとき、蓄積の方向に電圧をかけていくとC->Cox(Coxは絶縁体のC)になるとジーなどあらゆる本に書かれていると思います。
    これはもともとCox+Csemi(Csemiは半導体のC)の直列の合成Cと空乏層の厚みl->0になることか理解できることですが、半導体そのもののC(つまりMIS構造では絶縁体の上に半導体が載っているわけで、半導体のCも直列に入っていそうな気がしますが)は測定にはかからないのでしょうか?また、この効果は何らかの理由で無視できるのでしょうか?無視できるとしたら、キャリアが十分で金属とみなせる場合なのでしょうが、実際、文献など調べると金属とはほど遠いキャリア数でもCox+Csemiで扱っていると思います。何故でしょうか?
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    Date: Fri, 10 Sep 2004 23:51:37 +0900
    A: 小林様、佐藤勝昭です。
     絶縁体のCは誘電率εと面積Sに比例し膜厚dに反比例します。比誘電率は、絶縁体 のSiO2が4.5程度なのに、半導体のSiは11-12もあります。しかし、絶縁体はμm以下 のオーダーで薄いので、かなり大きなCになります。一方、半導体側は、厚みが数百 μmあるので、Cとしては大きくならないのではないでしょうか。
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    Date: Sat, 11 Sep 2004 13:07:19 +0900
    Q2: 佐藤勝昭様、東北大金研岩佐研小林です。
    > 絶縁体のCは誘電率εと面積Sに比例し膜厚dに反比例します。比誘電率は、絶縁体
    >のSiO2が4.5程度なのに、半導体のSiは11-12もあります。しかし、絶縁体はμm以下
    >のオーダーで薄いので、かなり大きなCになります。一方、半導体側は、厚みが数百
    >μmあるので、Cとしては大きくならないのではないでしょうか。

    丁寧な回答ありがとうございます。

    通常、Si半導体などでMIS(MOS)構造を作る場合は半導体(Si)の部分はOxsideの厚みの数千倍にしているので半導体のCは無視していいということでしょうか?
    そうなると、有機物の場合はそんなに厚く蒸着はしない(この業界では通常は数百nm程度)のでこの効果(半導体のCを合成容量に加える)を考慮しないといけないということですね。

    そうなると新たな疑問がわいてきます。
    空乏層のCkは
    Ck=ε0εsemi/lk(lkは空乏層の厚み)(1)
    ですが、半導体自身のCはCs=ε0εsemi/(t-lk)(tは半導体の厚み)(2)
    になると思います。そうすると直列の合成容量を計算すると逆数の和なので空乏層のCがキャンセルしてしまいます。(すなわち
    (t-lk)/(ε0εsemi)+lk/(ε0εsemi)=t/(ε0εsemi))
    この考え方だと空乏層のCは測定できないことなになります。

    どこが、間違っているのでしょうか?
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    Date: Tue, 14 Sep 2004 12:09:16 +0900
    A2: 小林様、佐藤勝昭です。
    >空乏層のCkはCk=ε0εsemi/lk(lkは空乏層の厚み)(1)ですが、
    >半導体自身のCはCs=ε0εsemi/(t-lk)(tは半導体の厚み)(2)
    >になると思います。そうすると直列の合成容量を計算すると逆数の和なので
    >空乏層のCがキャンセルしてしまいます。
    >(すなわち(t-lk)/(ε0 εsemi)+lk/(ε0 εsemi)=t/(ε0 εsemi))
    > この考え方だと空乏層のCは測定できないことなになります。
    私は、半導体デバイスについて詳しくないので間違っているかも知れませんが、 式(1)はフラットバンドのとき(Ψs=0)のCkですから半導体そのものの容量です。 従って、(2)と区別しても意味がなく、全体の容量が(ε0 εsemi)/tとなるのは 極めてreasonableです。
    測定の際は、depletionの状態でC-Vを測定し、それから各Vに対する空乏層のCdを 見積もるので問題はないと思うのですが。
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  • 425.

    注射器の中の空気の膨張


    Date: Tue, 14 Sep 2004 21:40:57 +0900
    佐藤先生へ
     S電機のKです。
     以前にも、いろいろとお教えいただきありがとうございました。
     また、わからないことが出てきて悩んでおります。
     ご指導頂けると幸いです。
     今回も匿名でお願い致します。

      空気の膨張の件で問題を抱えております。
     実験結果は、20℃で3ccの空気を注射器に密閉し、これを注射器ごと80℃のお湯の中に浸けます。
     するとゆっくりとシリンジが動き約6ccまで空気が膨張しました。
      ボイルシャルルの法則によれば、気体の体積は絶対温度に比例するので、20℃から80℃の場合
     353/293=1.205、約20%体積が増えるだけと思います。
      室温に戻した注射器をみると、内部に水が結露しており、隙間から水が浸入したと思います。そこで考えたのは
    、  空気の膨張以外に水の水蒸気圧が内部の体積膨張に寄与しているのではないか、ということでした。
      ここまでは推測をしたのですが、本当に水蒸気圧で体積2倍が説明できるのでしょうか?また、もし推測が正しい場合、  水の存在が寄与するのか、それとも空気中の水蒸気だけでも同じ寄与をするのか、という点が明確になりません。

    お忙しいところ、恐縮に存じますが、ご教授賜りますよう、 お願い申し上げます。
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    Date: Wed, 15 Sep 2004 01:00:22 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
    水が侵入したとすると
     pv=nRT
    の式で、もはやモル数nを一定とすることができなくなります。
    もし80℃の状態ですでにシリンジが移動して体積が1.205倍になった(このと き注射器内部の圧力は1atm=760mmHgになっています。また, 体積をv1としま す)あとに水が侵入したとすると、80℃における飽和水蒸気圧は356mmHgもあり ますから、全気圧は760+356=1116mmHgになります。これが1atmになるまでシリ ンジが移動しますから、
     1116V1=760v2
    となり、v2=1.468v1が得られます。
    従って、もとの体積からみると、1.205×1.468=1.768
    3cmだったものが5.3cmに増加します。
    観測された6cmには届きませんが、測定誤差もありますから、およそのことは 説明できるでしょう。

    一方、室温になって初めて水滴が凝集したと考え、その程度しか水が入ってい なかったとしましょう。このときの水蒸気圧は20℃における飽和水蒸気圧と考 えられるので、17.56mmHgしか水蒸気を含んでいなかったことになります。こ れによる体積変化はほとんど無視できるでしょう。
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    Date: Wed, 15 Sep 2004 09:29:55 +0900
    Q2: 佐藤先生
     S電機 Kです。
     深夜のご回答に、驚いているとともに、大変感謝致しております。

     n数が一定でなくなったというご説明、非常に明快に理解致しました。
     確認なのですが、20℃では飽和状態でも17.56mmHgしか水蒸気を含んでいないということは、このまま80℃になってもn一定の場合とほとんど変わらない(誤差範囲)と考えてよろしいのでしょうか?
    逆に言うと、水が浸入するか、20℃の時に内部に多量の水滴が存在した場合には、気体のn数が変化して2倍近い体積増加を示す、と考えてよろしいのでしょうか?
    よろしくご指導、お願い致します。
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    Date: Wed, 15 Sep 2004 15:14:15 +0900
    K様、佐藤勝昭です。
     露点がどこにあるかが判断基準として重要です。露点が20℃なら、このまま80℃に なってもあまり体積が増加しませんが、空気の露点が高い(80℃でも水と水蒸気が共存) 飽和蒸気圧が高くなります。  20℃の時に内部に多量の水滴が存在した場合でも、80℃での飽和水蒸気圧以上には なりませんが、そのときの体積変化は前のメールでお答えしたように2倍近くになるわけ です。
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  • 426.

    水晶の転位点での熱膨張係数


    Date: Wed, 22 Sep 2004 10:56:54 +0900
    Q: 佐藤先生様
    初めてmailさせていただきます。
    宜しくお願いします。
    私はK社(匿名でお願いします)のSと申します。
    業務の中で、どうしても解らないことがありまして、お尋ねします。

    質問1
    α水晶の570℃付近(転移点前)の線膨張係数
    (軸方向:Z軸、X軸、Y軸)

    質問2
    β水晶の580℃付近(転移点後)の線膨張係数
    (軸方向:Z軸、X軸、Y軸)

    以上の点に付きまして、お教え願えませんか。
    宜しくお願いします。
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    Date: Wed, 22 Sep 2004 14:46:48 +0900
    A: K社S様、佐藤勝昭です。
     図書館に行っていろいろな本を見ましたが、高温の線膨張係数は見つかりませんでした。
    Webを探したところ、スイスETHのBerichtの論文が引っかかってきました。
    http://e-collection.ethbib.ethz.ch/ecol-pool/bericht/bericht_184.pdf
    この論文の
    図3(a)に合成水晶結晶のa軸とc軸の格子定数の変化率が出ています。
    転位点付近で大きな飛びがあり、飛ぶ前の値はa軸が1.5%, c軸が0.9%で、飛んだあとは、 aが1.75%, cが1.0%となっています。
    急に立ち上がっているので線膨張係数に直すのはむずかしそうです。あとは、ご自分でや ってみて下さい。
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      Date: Wed, 22 Sep 2004 18:52:23 +0900
    佐藤教授殿
    お世話になります。
    K社のSです。

    早速のご調査・ご連絡ありがとうございます。
    わざわざ図書館まで足を運んでいただきまして、 感謝いたします。

    図3(a)の内容確認させていただきました。
    線膨張係数に直せるか、やってみます。
    傾向が解り、大変参考になりました。 助かりました。

    ありがとうございました。
    今後とも宜しくお願いします。

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  • 427.

    回転磁界


    Date: Thu, 23 Sep 2004 04:02:35 +0900
    佐藤様
    私は、回路技術者で、汐崎と申します。
    佐藤先生の、「材料系物理工学(H15後期)」を見させて頂きました。
    講義の目次だけでなく、内容まで、きれいなスライドで表現されて、 かつ一般向けにも公開されておられるのは、大変すばらしく、敬服する次第です。
    「物性何でもQ&A」に触発されて、メールさせて頂きました。
    磁界について、以下の疑問にお答え頂けませんでしょうか。
    宜しくお願いします。(なお、急ぎではありません。)
    --
    用語表現に自信が無いので
    講談社(BLUE BACKS)「図説・電流とはなにか」
    (著者:後藤尚久:東工大教授)(1990年1月20日版)
    この本を参照して質問させて頂きます。
    --
    [磁界の性質についての疑問]
    (163頁図85の説明は、)水平に置いた「棒磁石」を、水平面内で 回転すると、水平方向の磁力線(従って、磁界も)は、 近くからだんだん遠方に(光速度で)伝わりながら回転する (近接作用の考え方)とあります。
    --
    疑問点は、
    棒磁石が、円筒形(断面を真円、高さ方向は十分長い)の場合であって、 棒磁石を鉛直方向に置いて、水平面内で回転した場合に、 鉛直方向の、磁界は、やはり回転するのでしょうか?(*1)
    仮定としては、回転の中心が真円の中心で理想的な回転です。
    少なくとも、この場合には、棒磁石から水平方向に離れている観測点では、 観点する前も、回転途中も、回転停止した状態も、 「磁界の強さ」に関しては、変化が無い様に思われるからです。
    --
    検出する方法で、磁界の性質を考えました。
    1)棒磁石に垂直に導線(この場合、水平)、を置いた場合は、   フレミングの右手の法則による、(棒磁石の遠端側が+極となる)   誘導電圧が発生する(と思われます)が、そうでしょうか?
    2)一方、棒磁石に平行(鉛直方向)に導線を置いた場合は、   (上記で磁界が回転する場合にも)、磁界の向きが、導線と    平行であるので、誘導電圧は発生しないのでしょうか?
      (こちらが、最初に考えたのですが、導線と磁界の相対移動    はあるように思えますが)
    (*1)が、もし回転しているとしたら、地磁気の成因の議論   は別儀としても、地磁気も回転しているように思われますが   どうでしょうか?
      この場合、同じ様に自転している地表上では、一般的に、   検出するのは困難な様に思えますが、いかがでしょうか?
      前記1)の方法では、上下方向の誘起電圧が、測定系全体で、   相殺して検出できない様に思えます。
    *各種文献では、磁力線の方向の議論や図は多くありますが、 この場合のように、磁力線間の性質や図は、あまり見かけません。
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    Date: Thu, 23 Sep 2004 09:22:40 +0900

    汐崎様、佐藤勝昭です。
     手元にその書物はもっていませんが、ご質問についてはお答えできます。
    鉛直に置いた棒磁石の磁極から出ている磁力線は完全に軸対称をもちますから、磁 界には全く変化がなく、回転しているかどうかは意味を持たなくなります。変化が ある場合にのみ回転していると判断できるのですから・・。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 23 Sep 2004 14:52:31 +0900
    佐藤様
    早速に、ご回答頂き、感謝申し上げます。
    私目の疑問(*1)が、で磁界が回転していないので、 その後の質問は、意味が無くなり、 簡潔なご回答を頂いたと理解しております。
    --
    ここで、理解をはっきりさせるために、追加の質問をさせて下さい。
    もし、円筒状の棒磁石の回転軸の中心位置を、真円の中心からずらした場合 を考えて見ますと、どうでしょうか?(*2)
    質問には書かなかったのですが、当初は、断面が、長方形の棒磁石で考え、 当然、磁力線は、回転するものと考えておりました。
    この場合にも、磁力線の回転はどうなるのでしょうか?(*3)
    #それで、逆に真円にした場合で、質問させてもらいました。
    もし、(*2)や、(*3)では、磁界が回転するというのであれば、 質問をした(*1)の場合も、回転するように思われるのですが?。
    だた、この場合には、磁界の変化が無い特異な条件とはなりますが。
    (もしかしたら、磁力線に対して、回転するという、概念で考えるのが 間違っているのかも知れません。)
    また、文献による、磁力線の性質(広い意味の物性?)として、 ゴムひものようなとか、閉じている、交差しないとか、 7つほどの性質をあげていることは、承知しているつもりですが、 この疑問に相当するものが無いように思われます。
    ---
    多くの文献では、発電機の原理で、一様磁界中で導線を移動した時に、 emfがフレミングの右手の法則の方向にて発生するとして説明しています。
    例えば下記の図。
    (図A)
    (図B)
    # (*A) の右端の図をクリックすると、(*B)が表示されます。
    (図B)の場合、導線を移動する変わりに、一様磁界の方を左方向に 移動させても、相対運動ですから、同様にemfは発生すると思えますが、 いかがでしょうか?
    先の、佐藤先生のご回答に従えば、磁界の変化が無いので(一様磁界ですから) emfは発生しないというようなことになるのでしょうか?
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    Date: Thu, 23 Sep 2004 18:05:21 +0900
    汐崎様、佐藤勝昭です。
    ●回転軸の中心位置がずれた場合や長方形の棒磁石を回転させたときは、回転に ともなって磁界が変化します。強度の角度分布が時間とともに変わるのを磁力線 の回転というならそう呼んでもよいでしょう。回転の中心位置が円筒の対称軸に ある場合は、変化がないので回転したかどうかはわからないのです。
    ●「導線を移動する変わりに、一様磁界の方を左方向に移動させても、相対運動 ですから、同様にemfは発生すると思えますが」とおっしゃっていますが、一様 磁界を動かすという発想が間違っています。「場」と「導線の移動」とは相対運 動の関係にはありません。導線を移動させずに、一様磁界中の導線の移動と同じ 効果を期待するなら、磁界が空間的時間的に変化しなくてはなりません。
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  • 428.

    コイルの磁界


    Date: Fri, 1 Oct 2004 11:35:27 +0900
    Q: はじめまして花田と申します。
    質問ですが、宜しく御願い致します。
    単1コイルの中心磁界と比較して、左コイルと右コイルを直列配線し左コイルと右コ イル間隔をあけて左コイルと右コイルの間の中心磁界が単1コイルに比べ非常に弱 く、間隔にも関係いたしますが単1コイルと同程度の磁界をえることができますで しょうか?
    電流値、巻数等は単1コイルと左コイル+右コイルは同一条件として考えております。 左右コイルの中にケイ素鋼鈑等の磁性体の挿入及び、ケイ素鋼鈑等での閉磁気回路は 考えず、コイルのみでの方法はございませんでしょうか? 以上
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    Date: Sun, 3 Oct 2004 22:37:56 +0900
    A: 花田様、佐藤勝昭です。
    海外出張のため、お返事が遅れましたことをお詫びします。3時間前に帰国しまし たので取り急ぎお答えします。
    電流値、巻数等は単1コイルと左コイル+右コイルは同一条件としますと、コイル間 の中心での磁界はどうしても、単一コイルの中心における値より小さくなります。
    それは、磁力線がコイルの端から広がってしまうからです。
    同一の磁界を得るには、電流値を増やすとか巻き数を増やすしかないでしょう。
    計算式を示しておきます。
    内径r1[m], 外径r2[m], 長さL[m]、巻き数nのソレノイドコイルにi[A]の電流を流し たとき、コイルの中心軸に沿ってa[m]だけ離れたところでの磁束密度B[T]は
    B={μ0in/2(r2-r1)}×
    [(L+a)ln{((r22+(L+a)2)1/2+r2)/((r12+(L+a)2)1/2+r1}
      -aln{((r22+a2)1/2+r2)/((r12+a2)1/2+r1)}]
    で与えられます。同じコイルを長さ2a[m]だけ離したときにaの地点でBを測定する と、磁束密度は上の値を2倍にしたものになります。
    1つのコイルの中心での磁束密度は、上の式において、a=-l/2とすれば求まりま す。
    http://www.netdenizen.com/emagnet/solenoids/solenoidonaxis.htm参照下さい。
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  • 429.

    フォトリフレクタンス


    Date: Sat, 02 Oct 2004 18:01:20 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
    日頃より、分からない事があれば氏のページを参考にし勉強を重ねております。
    容易に情報が探せ、また内容が深いサイトであると感じております。
    自分は、K大学工学部4回生のSと申すものです。
    自分はPRにつきまして第一に、工藤恵栄氏著「光物性基礎」において「電界光学効果」を学び、 @:電磁波であるレーザ照射で試料に電界をかけることで(ツェナー破壊前の状態)、禁制帯を傾け、見かけ上の禁制帯幅を縮めてスペクトルを見ることで、電界0の場合と比較し、その出力の差と加電界時の出力で割ったものををデータ化する。
    この際の質問です:【禁制帯は傾きますが、斜め方向の励起はあるのでしょうか?電子は電界によって斜め方向に励起されて伝導帯に至るのでしょうか?それとも、エネルギーは量子的ですから単に高エネルギー側に励起されたととらえればいいのでしょうか?】
    A:@より分かることは、電界0と加電界の場合の交点、つまり前述したグラフならば縦軸が0である場合がまさしく基礎吸収の起こっている場合であり、ここからバンドギャップが算出できる。この場合注意することは電界0の場合であれ、吸収が起これば全くの垂直に出力グラフが伸びているわけではなく誤差が生ずる。 この際の質問です。【この解釈は正しいでしょうか?】

    以上をPRの原理ととらえていますが、質問があります。【なぜPRに関する論文や文献が、PLに比べて圧倒的に少ないのでしょうか?】自分の推測によりますと、『PRは手法が簡単であり、誤差が生ずるため学術的に重視されない。』のではないでしょうか?

    最後の質問といたしまして、PRのメリットにつきまして。自分が現在理解しているところでは『@手法が簡単であり、専門家でなくとも容易に試料の特性評価が可能である。』『APLは試料付近をヘリウムなどで低温にせねばならないが、PRは常温で測定可能であり、これもまた手軽さとつながっている。』
    【この解釈は正しいでしょうか?他にあれば教えていただきたく存じます。】

    自分はPLを見たことがなく、月曜に見学しようと思っているのですが、そもそもの始まりが、誰もやっていないことをやってやろうというものであってPRについて学生ながら極めてみたいと思っております。

    多くの質問、無礼に思いますが、願わくば回答していただければ光栄に存じます。
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    Date: Mon, 4 Oct 2004 00:10:55 +0900
    S君、佐藤勝昭です。
     メールありがとう。PRとPLはそれぞれの特徴があり、どちらかだけでよいという ものではありません。
     PRは基本的には変調分光です。単なる反射スペクトルは一般的にはなだらかな曲 線で、特徴がよく見えませんが、さまざまな変調を行って分光をしますと、反射ス Nトルは一般的にはなだらかな曲 線で、特徴がよく見えませんが、さまざまな変調を行って分光をしますと、反射ス ペクトルの微分やさらに高次の微分が見られるので、遷移の起きる位置を明確にす ることができます。変調反射分光には、ER(電界変調反射)、MR(磁界変調分光)、TR (温度変調分光)、WR(波長変調分光)などがあります。変調分光については、Solid State Physicsのシリーズに下記の書物が詳しいので、図書館に行って調べてご覧な さい。
    M. Cardona, Modulation Spectroscopy, Suppl. No. 11 to Solid State Physics, edited by F. Seitz, D. Turnbull, and H. Ehrenreich (Academic, New York, 1969)
     PLはルミネセンスの1つです。ルミネセンスとは、励起状態にある物質が、基底 状態に戻るときに発光する現象です。励起の方法により、PL(フォトルミネセンス: 光励起)、EL(エレクトロルミネセンス:電界励起)、CL(カソードルミネセンス:電 子ビーム励起)等があります。PLは光吸収の逆過程です。半導体のPLスペクトルに は、FE(自由励起子)遷移、BE(束縛励起子)遷移、FB(バンド-束縛準位間)遷移、DAP (ドナーアクセプタ対間)遷移、さらには、そのフォノンレプリカなどの情報が見ら れます。しかし、その同定には、PLE(フォトルミネセンス励起)スペクトル、TRS(時 間分解発光)スペクトル、PLの励起強度依存性などを測定したり、試料のさまざまな 熱処理をしてPLを測ったりして初めて、どのような遷移によるかがわかるのです。
     自由励起子遷移は純粋な(=フォノンが関与しない)電子遷移なので、吸収にも発光 にも現れます。同一温度でPRとPLを測定して同じ波長位置に鋭い線スペクトルが現 れれば、その線スペクトルは自由励起子発光にアサインされることが多いようで す。吸収が測定できない場合にも、反射率Rのスペクトルを測定すればその情報が 乗っています。なぜなら、R={(n-1)^2+κ^2}/{(n+1)~2+κ^2}で表され、kは光の吸 収を表しているからです。吸収係数αと消光係数κの関係は、α=4πκ/λです。し かし、Rには屈折率nの情報が含まれるため、吸収の情報が明確ではありません。そ れで、上述の変調分光をするのです。
     PRはERの一種で、キミのいうようにレーザ照射によってできた電界を用いた電界 変調分光です。ERでは電界によってバンドを傾斜させ、伝導帯と価電子帯の波動関 数のシミだしを起こさせ、トンネル効果で遷移させます。従って、見かけ上斜めに 遷移するのです。先に言いましたように、関与する遷移は、バンド間遷移だけとは 限りません。低温では自由励起子遷移はバンド間遷移より遷移強度が高いので、PR は自由励起子遷移を検出することが多いようです。室温では、たいていの場合自由 励起子は解離しているので、バンド間遷移を捉えているでしょう。
     キミの質問ですが、
    (1)【禁制帯は傾きますが、斜め方向の励起はあるのでしょうか?電子は電界に よって斜め方向に励起されて伝導帯に至るのでしょうか?それとも、エネルギーは 量子的ですから単に高エネルギー側に励起されたととらえればいいのでしょう か?】
    →A:励起された状態の波動関数と基底状態の波動関数が電界の傾斜でしみ出 して、その間で遷移が起きるので、見かけ上斜めに遷移したように見えるのです。
    (2)電界0と加電界の場合の交点、つまり前述したグラフならば縦軸が0である 場合がまさしく基礎吸収の起こっている場合であり、ここからバンドギャップが算 出できる。この場合注意することは電界0の場合であれ、吸収が起これば全くの垂 直に出力グラフが伸びているわけではなく誤差が生ずる。この際の質問です。【こ の解釈は正しいでしょうか?】
    →A:質問の意味がよくわかりませんが、変調分光の 場合、真の遷移位置だけでなく、変調によって生じるいくつかの新たな構造が現れ ます。これは誤差というよりは、測定によって系を乱したことによる信号というべ きでしょう。
    (3)【なぜPRに関する論文や文献が、PLに比べて圧倒的に少ないのでしょう >か?】自分の推測によりますと、『PRは手法が簡単であり、誤差が生ずるため学術 的に重視されない。』のではないでしょうか?
    →A: PRは学術的に軽視されている わけではありません。PRが用いられるようになったのは、10年くらい前からで す。結果の解釈の仕方が確立したのも、最近のことです。一方、PLは100年以上 の歴史があります。解釈の仕方が比較的単純です。従って、文献が多いのです。
    (4)【PRのメリットにつきまして】 自分が現在理解しているところでは『@手法が 簡単であり、専門家でなくとも容易に試料の特性評価が可能である。』『APLは試 料付近をヘリウムなどで低温にせねばならないが、PRは常温で測定可能であり、こ れもまた手軽さとつながっている。』【この解釈は正しいでしょうか?他にあれば 教えていただきたく存じます。】
    →A: PRは決して簡単ではありません。変調励起 用のレーザーと、反射分光測定系が必要です。また、先に述べたように自由励起子 遷移の同定には、PLと同じ低温でのPR測定が必要です。単に、キミの研究室が低温 で測定する装置がないだけのことでしょう。
    (5)【自分はPLを見たことがなく、月曜に見学しようと思っているのですが、そも そもの始まりが、誰もやっていないことをやってやろうというものであってPRにつ いて学生ながら極めてみたいと思っております。】
    →A: チャレンジ精神は結構ですが、もう少し基礎的なことをきちんと勉強してから 挑戦されることをお勧めします。そうでないと、4年生の浅知恵で勝手な解釈をす ると、指導教員のご研究の方針と合致しない無駄な研究に突き進んでしまう場合が あるからです。また、卒業研究で与えられたテーマについて、自分の指導教員より 先に他人に聞くというのも、指導教員に失礼な話です。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 06 Oct 2004 15:48:36 +0900
    AA: 佐藤勝昭様
    PRについての質問に対しまして、懇切丁寧な解説を頂きまして、大変感謝しております。
    深く御礼申し上げます。佐藤先生の『応用物性』(オーム社、1991)は我がゼミの輪講でも教科書として使用されております。

    >さまざまな変調を行って分光をしますと、反射スペクトルの微分やさらに高次の微分
    >が見られるので、遷移の起きる位置を明確にすることができます。
    >変調分光については、Solid State Physicsのシリーズに下記の書物が詳しいので、
    >図書館に行って調べてご覧なさい。
    >M. Cardona, Modulation Spectroscopy, Suppl. No. 11 to Solid State Physics,
    >edited by F. Seitz, D. Turnbull, and H. Ehrenreich (Academic, New York, 1969)

    変調により遷移が明確になるという基礎的なことを知った途端イメージが広がりました。
    上記図書は本学図書館にはありませんでしたので、早速、取り寄せ手続きをしました。
    また担当教官であるK先生がPRの創始的な研究室出身であったことも今日のゼミで知りまして 『Handbook On Semiconductors:Completely Revised and Enlarged Edition V.2(SERIES EDITOR:T.S.MOSS VOLUME EDITOR M.BALKANSKI)(North-Holland)』のCHAPTER10にPRに関する詳 細な記述があることを教えていただきました。併せて読もうと思います。

    >PRはERの一種で、キミのいうようにレーザ照射によってできた電界を用いた電界
    >変調分光です。ERでは電界によってバンドを傾斜させ、伝導帯と価電子帯の波動関
    >数のシミだしを起こさせ、トンネル効果で遷移させます。従って、見かけ上斜めに
    >遷移するのです。

    エサキダイオードの存在を知りながら、トンネル効果が生ずる=ツェナー破壊と誤解していたのですが、先生のご回答により 量子力学において、トンネル効果とは、波動関数のしみ出す確率が0ではない場合を総じて指すものだと 理解いたしました。そしてPRでは電界変調によるトンネル効果を利用しているのだと言うことも併せて理解しました。 ありがとうございました。

    >【なぜPRに関する論文や文献が、PLに比べて圧倒的に少ないのでしょう
    >か?】自分の推測によりますと、『PRは手法が簡単であり、誤差が生ずるため学術
    >的に重視されない。』のではないでしょうか?→A: PRは学術的に軽視されている
    >わけではありません。PRが用いられるようになったのは、10年くらい前からで
    >す。結果の解釈の仕方が確立したのも、最近のことです。一方、PLは100年以上
    >の歴史があります。解釈の仕方が比較的単純です。従って、文献が多いのです。

    これを知ったことが非常に大きいもので、PRとは新しい学問なのですね。簡単な手法と軽率に誤解してしまっていたことを 恥ずかしく思います。ありがとうございました。

    >チャレンジ精神は結構ですが、もう少し基礎的なことをきちんと勉強してから
    >挑戦されることをお勧めします。
    >自分の指導教員より先に他人に聞くというのも、先生に失礼な話です。
    申し訳ございませんでした。その通りでありました。以後、気を付けます。
    ただ佐藤先生がこれほどまで丁寧に解説してくださったことに、くどいですが 深く感謝申し上げます。
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  • 430.

    半導体エピ層における圧電効果


    Date: Tue, 5 Oct 2004 13:53:11 +0900 (JST) Q1: 私、東京工科大学3年の大平真治ともうします。
    先輩から佐藤先生のHPを教えてもらい、先生にお尋ねすることにしました。

    質問は
    格子定数の異なった半導体を接合させると、その接合面で結晶構造にゆがみ(不整合)がおこり、 それが原因となってピエゾ電界が発生する、とある論文に出てきたのですが、その電界の 大きさや方向、格子面による違いなどについて教えてください。
    また格子面の分類(a-plane,r-planeなど)についても教えてください。
    お忙しいところ、よろしくお願いします。
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 5 Oct 2004 14:20:27 +0900
    A1: 大平君、佐藤勝昭です。
     ご質問は格子不整合歪みによる圧電効果のことですね。
    等極性の半導体(シリコンやゲルマニウム)ではこの現象は起きません。
    極性をもつ半導体では歪みによって分極が起きるでしょうが、接合する物質の格子定数の 差によって歪みの大きさが異なりますし、圧電定数は物質や結晶の格子面によって異なる ので、一概にいえません。お尋ねの半導体は何でしょうか?
    --------------------------------------------------------------------
    Date: Tue, 5 Oct 2004 15:03:54 +0900 (JST)
    返信ありがとうございます。
    問題の半導体はGaNにInGaNをはさみこんで量子井戸を形成している場合です。
    c-planeサファイアにGaNを積んで量子井戸を作製したものはピエゾによる電界が起こるのですが、r-planeの場合電界が発生しないとのことです。
    APLの84(18)/3663についてです。
    このc-planeやr-planeなどの違いや歪みによるピエゾ電界の発生する原因などについてよく分かりません。
    力添えよろしくお願いします。
    ---------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 6 Oct 2004 09:51:56 +0900
    大平君、佐藤勝昭です。
     格子不整合による歪みがあると、圧電効果によって1MV/cm程度の電界が発生すると考え られています。GaやInの窒化物はイオン性の強い化合物でかつ反転対称性がないので、歪 みによってイオン間の相対距離が変化すると電気分極が生じます。これが圧電効果です。
     GaN/InGaN/GaN量子井戸における圧電効果については、理論的には
    F. Bernardini et al.:Phys. Rev. B56 (1997) R10024
    によって予言され、実験的には、
    T. Takeuchi et al. APL 73 (1998) 1691
    らによって見出されました。
    詳しい解析や関連する文献などは
    C. Wetzel et al. Phys. Rev. B61 (2000) 2159
    S.F. Chichibu et al. APL 88 (2000) 5153
    などをご参照下さい。

     c面、r面というのは、サファイヤなど六方晶系の格子面に付けられた名称で、
    c: (0 0 0 1)
    r: (1 -1 0 2)
    a: (1 1 -2 0)
    面のことです。(添付図参照)面指数の付け方は、結晶学関係の書物を参照して下さい。 GaNはサファイアと同じ構造なので、サファイヤのR面にはGaNのR面が成長します。この面 は面内に極性がないので、圧電効果は生じません。
     詳細は、筑波大学の秩父先生がお詳しいので、そちらにお尋ねになってはいかがでしょ うか。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 6 Oct 2004 15:18:50 +0900 (JST)
    AA: 東京工科大学3年の大平です。
    ご回答ありがとうございます。
    紹介していただいた論文を読み、勉強させていただきます。
    ありがとうございました。
    -----------------------------------------------------------------------------
  • 431.

    水銀の光吸収係数


    Date: Wed, 6 Oct 2004 22:20:57 +0900
    Q1: 佐藤勝昭 先生
    はじめまして、私は民間で光関連の企業の研究所に従事するOと申します。
    匿名でもお答えいただけるようなので、誠に恐縮ですが当方の場合もそれでお願いい たします。
    現在、レーザー応用において、光と物質の相互作用についてある考察を進めておりま すが、水銀の吸収スペクトルを知りたくwebを見ておりましたところ、幸運にも先生 のQ&Aに遭遇し、その中にLandolt BoernsteinのTableに記載されていることがわかり ましたが、生憎所内の図書室や近隣の大学の図書館にはこの本がありません。
    そこで、質問と申しますか是非この本(もしくは他のものでもよいのですが)の水銀 の吸収スペクトル(もしくは吸収係数)が記載されている部分をお送りいただけない でしょうか。波長は200nmから1μくらいまであればなおありがたいのですが。
    突然の質問ならびに不躾なお願いで誠に恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げま す。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 06 Oct 2004 23:26:06 +0900
    A1: O様、佐藤勝昭です。
     水銀の吸収スペクトルを知りたいとのことですが、気体(水銀蒸気)の吸収ス ペクトルでしょうか、それとも、液体の状態の水銀の吸収でしょうか。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 6 Oct 2004 23:42:00 +0900
    Q2: 佐藤勝昭 先生
    早速ご回答いただきありがとうございます。また言葉足らずで大変失礼いたしまし た。必要なものは液体水銀の方になります。よろしくお願い申し上げます。
    ----------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 7 Oct 2004 11:06:29 +0900
    A2: O様、佐藤勝昭です。
     工藤恵栄:分光学的性質を主とした基礎物性図表(共立出版、昭和47)p263に 可視域におけるHgの光学定数n,kというのが載っていました。これより Excelで吸収係数αと反射率を計算しましたので、お届けします。

    λ(Å)nkα(cm-1)R(%)
    30220.552.259.356E+0570.52913597
    31300.442.531.016E+0679.23181309
    36500.642.971.023E+0677.75943704
    40470.793.401.056E+0678.59673126
    43580.883.471.001E+0677.40011428
    40000.733.019.456E+0575.77366631
    50001.043.709.299E+0576.69676668
    60001.394.329.048E+0577.18927568
    70001.764.838.671E+0577.25106232
    80002.145.338.372E+0577.63173367
    87002.405.638.132E+0577.80700882

    ------------------------------------------------------------------------------
    Date: Thu, 7 Oct 2004 11:58:40 +0900 (JST)
    佐藤勝昭 先生

    ただいま仕事場より、自宅に届きましたメールを読ませていただきました。
    当方が探しました図書(便覧が多いのですが)ではまったく見当たらなかったため、 このようなデータをいただけて大変うれしく思いますとともに、お骨折りいただきま して重ね重ね深く感謝いたす次第です。
    今後またご相談申し上げました際には何卒よろしくお願い申し上げます。

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  • 432.

    高分子と金属の物性比較


    Date: Wed, 6 Oct 2004 22:29:40 +0900 (JST)
    Q: はじめまして。HPを見て質問したいことがあります。 簡単な話かも知れませんが、高分子と金属の物性の違いについて教えてください。
    よろしくおねがいします。
    早稲田大学 理工学部 YT
    --------------------------------------------------------------------------
    Date: Wed, 06 Oct 2004 23:44:18 +0900
    A: YT君、佐藤勝昭です。
     ご質問ではどのような物性を知りたいのかわかりません。
    熱物性、電気物性、光物性、機械的性質について記述します。
    一般的に言って、高分子の融点は低く150℃付近のものが多く、高いものでもせい ぜい300℃でしょう。これに対し、金属の融点は、水銀やガリウムなどの例外をの ぞき、ほとんどが300℃以上です。高いものは2000℃に達するものもあります。熱 膨張係数は高分子のほうが金属より1桁程度大きいです。熱伝導率は、金属は高 分子の1000倍程度あります。電気伝導率は、一部の例外を除き、金属は高分子よ り5桁から10桁も大きいのです。高分子は一般には可視光線を透過しますが金属 はほとんど透過せず、よく反射します。硬度は金属の方が高分子よりはるかに高 いですが、延性は金属の方が大きいです。
     以上はあくまで一般論で、中には当てはまらないものもあります。丸善の理科 年表にさまざまな物質の物性の数字が出ていますから、図書館に行って比較して 下さい。理科年表は価格も手ごろなので、理科系の学生さんなら1冊備えておき たいものです。
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  • 433.

    ナノ粒子の光反射


    Date: Fri, 8 Oct 2004 10:20:22 +0900
    Q: 佐藤勝昭様
     F社Nです。ホームページ引き継き拝見させていただいております。
    前回、プラズモンの質問に答えていただきましてありがとうございます。
    今回は、反射率に関して、質問がございます。
    ナノ粒子(30nm程度)に関して、(例えば銀ナノ粒子)形状が平板やロッド化してプラズモン吸収領域及び吸収強度が長波に出現及び多種類の吸収に変化しますが、吸収強度が大きくなると、反射率はあがってしまうのでしょうか?
    もうひとつは、基本的に反射率R={(n*-n)^2+k^2}/{(n*+n)^2+k^2}とするとkに引っ張られる形をとるとすると、吸収係数が大きい金属素材は基本的に反射率が大きくなると考えてよろしいのでしょうか。
    吸収係数は粒子径で変化することは知っていますが、(この範囲(30nm)ではバルクと同じ値を使っています。)
    形状に関しては記載されておりません。
    1)ナノ粒子の形状と反射率に関する知見ないでしょうか?
    2)上記はナノ粒子にも適用できるのでしょうか
    教えてください。
    ----------------------------------------------------------------------
    Date: Fri, 8 Oct 2004 11:00:51 +0900
    N様、佐藤勝昭です。
     メールありがとうございます。
     さて、
    >吸収強度が大きくなると、反射率はあがってしまうのでしょうか?
    というご質問ですが、R={(n*-n)^2+k^2}/{(n*+n)^2+k^2}が成立しますから kがnやn+1に比べて十分大きいと、反射率が高くなります。基本的には、k→∞ではR→1で す。ε"=2nk、σ'=ωεo ε"ですから、k→∞はσ→∞を意味します。すなわち抵抗率ρ= 1/σが0です。同軸ケーブルのような分布定数回路において、ケーブルの終端を短絡する と電気信号が反射しますが、それと同じインピーダンス不整合によって反射するのです。

    (1)ナノ粒子の形状と反射率に関する知見ですが、 むずかしい質問です。粒子の形状が「金平糖」みたいな微細構造からできた特殊な構造になると、あたかも黒体のように光を全部吸ってしまいます。白金黒や現像銀がその例で、 この場合は反射がほとんどありません。
    本サイトの
     
    白金黒と銅粉のちがい
     現像銀はなぜ黒いか
    などをご参照下さい。このあたりを統一的に扱う理論があるのかないのか、私は存じませ ん。

    (2)R={(n*-n)^2+k^2}/{(n*+n)^2+k^2}は、散乱のない、平坦な界面に垂直に光が入射 した場合について純粋に電磁気学から導かれた反射の公式です。複雑な形状をとるとなる と斜め入射も関係しますし、散乱も多いでしょう。従って、面のでこぼこが物質内の光の 波長(λ/n)に比べ十分小さい場合は、平均的に上記の式が使えますが、そうでないと、適 用出来ないと思います。目安としてはλ=500nm、n=3として、150nmより1桁小さいRMS粗 さ(従って粗さ15nm以下)でないと上式は厳密には適用出来ないでしょう。
    --------------------------------------------------------------------------------
  • 434.

    カーボンの付着と剥離


    Date: Fri, 8 Oct 2004 11:45:08 +0900
    佐藤 勝昭様
     はじめまして。O大学工学部機械工学科のNと申します。先生のホーム ページはしばしば拝見させていただいております。
     ところで先生に質問させていただきたいことがあるのですが、黒鉛やカーボンなど の炭素系の物質が他の物質の表面に付着する時どのようなメカニズムによって付着するのでしょうか? たとえば、鉛筆では黒鉛がはがれて紙の繊維の間に入るのは分 かるのですが、その他に電気的な力などは働いていないのでしょうか?なぜ消しゴム では落ちるのに水で流すだけでは黒鉛が落ちてしまわないのでしょうか?
     お答えいただければ幸いです。またご面倒ですが匿名でお願いいたします。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Sat, 9 Oct 2004 00:46:56 +0900
    N様、佐藤勝昭です。
     黒鉛の面間の結合はファンデアワールス力によります。他の物質との付着につい てはどのような力が働いているのかわかりません。帯電すれば静電的に付着する可 能性があります。その場合は水で簡単に落ちるでしょう。ご指摘のように紙や布に 付着するのは繊維の間にはまりこむためです。消しゴムで字が消える原理は、次の サイトをご参照下さい。
    http://www.seedr.co.jp/keshigomu/hakubutu3.html
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  • 435.

    光の全反射について


    Date: Fri, 8 Oct 2004 18:02:59 +0900
    佐藤勝昭 先生
    以前、ダイヤモンドと黒鉛のことで大変お世話になりました、化学製品PL相談セ ンターの高橋と申します。先週の毎日新聞(10/2土曜)で、
    金属光沢のなぞの話 のなかに先生のお名前を見つけ、懐かしく拝見しました。

    さて、今回は光ファイバについて調べておりまして、光ファイバ(ガラス)の細い中 を、光がどのように伝わるのかを説明しようとしています。
    そこで全反射について、もしお分かりであればお教え頂きたく存じます。
    ガラスの中に入った光が外(空気中)へと出ていくとき、入射角が小さいと屈折して 出ていきますが(一部は反射するものもある)入射角がある角度以上になると、(ガラスと空気の境 目を通り抜けることができなくなり)全反射という現象が起こります。
    このとき、「光は全部反射して戻ってくる」という表現は適切なのでしょうか?
    光には、本来屈折する分と反射する分があって、たまたま屈折しきれなくなった分 が反射に回るのであって、本来反射していた分とは別に考えなくてはいけないということはあるの でしょうか?(その場合は上記の文で、反射という言葉は使えず、「光は全部戻ってくる」ということになります)。 細かいことで恐縮ですが、ご存知でしたら教えて頂きたいのですが・・・
    (社)日本化学工業協会
    化学製品PL相談センター
    高橋由佳
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    Date: Sat, 09 Oct 2004 01:45:54 +0900
    高橋様、佐藤勝昭です。
     お久しぶりです。毎日の「なぞなぞ科学」を読んで頂いたのですね。あれは、 毎日新聞で「理系白書」という欄を担当しておられる元村有希子さんという女性 記者がまとめられたものです。
    元村さんは、Webに理系白書BLOGを公開しておられるのでぜひクリックしてあげて下さい。
     さて、光ファイバにける全反射についてですが、臨界角においては界面に沿っ て進む光となり、それより大きな入射角においては、入射した光は本当に全部反 射します。
     臨界角以下では反射と透過がありますが、全反射では透過に回る光エネルギー はありません。
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  • 436.

    音響的に優れた金属の加工法


    Date: Sat, 9 Oct 2004 17:14:45 +0900
    Q: 私はK大学工学部4年のKと申します。金属と音について調べているのですが、 音響的に優れた金属の条件(一定の力で叩いてより大きな音が出る条件)として、
    1、内部減衰率の低さ
    2、E(縦弾性係数)/ρ(密度)の値の高さ
    3、音響インピーダンスが高いこと

    という3つの条件があることがわかりました。この3つの条件またはこの3つ以外の 条件でもよいのですが、既存の金属に何らかの加工を施して、より音響的に優れた金 属を作りたいのですが、いかなる方法があるかを聞きしたく思っています。例えば、
    1、弾性率係数を向上させる方法
    2、音響インピーダンスを向上させる方法
    3、より軽くて曲がりにくい金属を作る方法 etc

    大変恐縮ですが、ご返答の程宜しくお願い致します。
    -------------------------------------------------------------------------
    Date: Sun, 10 Oct 2004 16:05:21 +0900
    A1: K君、佐藤勝昭です。
     4年生ということですから、卒論のテーマでしょうか?もしそうなら、私に聞 く前にあなたの指導教員に聞くべきです。K大学は、学生と教員の間が密接で あることをうたい文句にして教育版COEをもらっている大学ですから、他大学の先生に聞くのはそれが 機能していないことを意味します。
     与えられたテーマをいきなり聞くのではなく、それぞれの問題について基礎に なる物理を把握することからスタートすべきでしょう。
     1.金属の内部減衰率とはなにか。
     2.縦弾性率は物質の何に由来するか。 
     3.音響インピーダンスとはなにか。
    1. まず、内部減衰率とはなんでしょうか。
       これは、物質を振動させたときに、外部要因なしに振動が減衰していく様子を 表しています。これは振動のエネルギーが熱に変って減衰していくからです。こ の熱エネルギーへの変換の原因を内部摩擦または内耗(internal friction)とい います。内部摩擦を生じさせる原因は、転位(dislocaion)、相変態(phase transition)、粒界(grain boundary)、合金化(alloy formation)などです。 転 位が原因であれば、焼鈍(anneal)などで取り除いたり、逆に昇温・急冷して転位 線を絡め合って転位が増殖しないようにすることもできます。その他のいろんな 欠陥はそれぞれの原因に応じて処理できるはずです。

       
    2. 次に、縦弾性率とは何でしょうか。
       縦弾性率とは、ものを引っ張ったときの応力とひずみの関係から求められる比 例定数です。体積弾性率(bulk modulus)とも関係します。体積弾性率は、物質の 結合の強さ(凝集エネルギー)と関係します。(詳しくは、キッテル固体物理学 第3章を読んで下さい。一般的には、遷移金属において体積弾性率が高くなって います。

    3. 最後に音響インピーダンスとはなんでしょうか。
       超音波が伝播するときに、原子や分子などの粒子が振動しますが、その時の音 圧に対する粒子速度の比を音響インピーダンスといいます。平面波の場合に、音 響インピーダンスは媒質の密度と音速の積により決定されます。

    以上を総合すると、結合が強く、密度が高く、欠陥の少ない金属材料を探せばよ いということになるでしょう。
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    Date: Sun, 10 Oct 2004 16:28:15 +0900
    A2: 追伸 K君、佐藤勝昭です。
     「より軽くて曲がりにくい金属を作る方法」に答えていませんでした。
    金属元素のうち、結合が強くて軽い金属は、チタンでしょう。しかし、「曲がり にくい」ことを要求すると話は違ってきます。
     1つの例ですが、純粋の鉄は軟らかく曲げやすいので、炭素を加えさらにさま ざまな加工をして、曲げにくいものを作ります。すると、欠陥密度が高くなるの で、多分、内部摩擦は増大しているはずです。
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    Date: Mon, 11 Oct 2004 15:55:21 +0900 AA: K大学工学部のKです。
    返信が送れて申し訳ございませんでした。仰る通り他大学の先生にこういった 質問をしてしまい軽率であったことをお詫び申し上げます。ご丁寧にこの様な 質問に答えてくださいましてありがとうございました。答えてくださいました事項 は大変参考になり、これから自分なりに突き詰めて調べていこうと思っており ます。本当にありがとうございました。
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  • 437.

    光のエネルギーの吸収・損失


    Date: Mon, 11 Oct 2004 17:57:51 +0900
    Q: 佐藤先生
    はじめまして、A社のKと申します。インターネットで検索を重ね、先生のホームペー ジに辿り着き、メールさせて頂く次第です。光の照射に伴うエネルギーの吸収や損失 に関する以下の質問について、ご教示いただけると幸いです。

    1.RはR={(n-1)^2+κ^2}/{(n+1)^2+κ^2}の式によると、κが大きくなると反射率が 高くなります。これは吸収が大きい物質はどんなものでも反射率が高いという理解で よろしいのでしょうか? 感覚的には、吸収が大きいということは、エネルギーの多 くが摩擦項によって失われて、格子振動のエネルギーに移行するということを意味す るため、反射する光が多くなるということと矛盾すると思うのですが、吸収が大きく かつ反射率が高いということは、どのようなことを意味するのでしょうか?

    2.誘電損失についてですが、
    101.誘電体中の光の伝搬では、位相の遅れはあるもの の、光のエネルギーは失われないと説明されています。また339.導体の誘電損失や、104.電子レンジによる炭素の加熱126.複素誘電率については、位相の遅れにより損失が起きると説明されています。

    このように、位相の遅れによって、エネルギーが失われる場合と失われない場合があ るのは、何の違いによるのでしょうか?

    なお、掲載は匿名でお願いいたします。
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    Date: Mon, 11 Oct 2004 19:58:21 +0900
    A: K様、佐藤勝昭です。
    1. κが大きくなると反射率が高くなることについて
      433の質問の答えに書きましたように
      「R={(n-1)^2+κ^2}/{(n+1)^2+κ^2}において、κがn-1やn+1に比べて十分大きい と、反射率が高くなります。基本的には、κ→∞ではR→1です。
      誘電損失はε"=2nκで表され、導電率は誘電損失を用いてσ'=ωεo ε"と表されます から、κ→∞はσ→∞を意味します。すなわち抵抗率ρ= 1/σが0です。 同軸ケーブル のような分布定数回路において、ケーブルの終端を短絡すると電気信号が反射し ますが、それと同じインピーダンス不整合によって反射するのです。
       もう少し、ミクロに見てみましょう。反射という現象は、入射光によって、表 面に電子分極が生じ、この電子分極がアンテナとなって光を放射する現象です。 κが非常に大きいことは、基底状態|g>から励起状態|e>への遷移確率Pgeが非常に 高いことを意味します。(この場合は、実の遷移を意味します。)これにより実 の電子分極が生じます。励起状態|e>から基底状態|g>への遷移確率Pegは、基底 状態|g>から励起状態|e>への遷移確率Pgeに等しいので、励起状態は、光を放射 してたちまち基底状態に落ちます。非常に発光効率の高い蛍光体のようなもので す。蛍光体からの放射と違うのは、蛍光体の場合は、各分極がランダムに緩和す るので全方位に光を放射するのに対し、鏡面反射の場合はそれぞれの分極が位相 をそろえて放射するので、反射の法則に則った特定の方向に反射するのです。  たしかに感覚的には、「吸収が大きいということは、エネルギーの多くが摩擦 項によって失われて、格子振動のエネルギーに移行するということを意味する」 と思いがちですが、励起状態からフォノンに移行する前に基底状態に遷移してし まうと考えるのです。自由励起子遷移も遷移強度が非常に強いので、反射スペク トルに強いピークが現れるのです。
       それでは、黒い場合はどの程度なのでしょうか。白金黒、現像銀に見られるよ うに、微細な形状をもつ微粒子、結晶粒から成立している場合、鏡面反射の公式 が成り立たず、物質中で光は減衰して反射光は帰ってこないのです。
       また、鏡面でも黒光りの場合があります。FeやGaAsなどがこれに相当します。 この場合はκが中途半端に大きい場合です。
    2. 101.誘電体中の光の伝搬では位相の遅れはあるのに光のエネルギーは失われ ないと説明されているのに、339.導体の誘電損失や、104.電子レンジによる炭 素の加熱、126.複素誘電率については、位相の遅れにより損失が起きると説明さ れていることの違い。
       前者は光の電磁波の位相、後者は物質中の電子の振動の位相です。この違いを 説明しましょう。
       光が物質中を透過する際に、入射した光の電界が物質内を進行するときの位相 速度は、真空中の光速cの屈折率分の1になっています。従って、物質を透過し た光の位相は、物質がなかった場合の位相に比べて遅れています。101の説明は このことを示しています。
       一方、339, 104, 126では電磁波の電界の振動と電気分極の位相関係を考えて います。電気分極Pと電界Eが同位相なら、電力損失Wが起きません。
       なぜなら、W=E*Jです。ここにJは電流密度ですが、誘電体では分極電流(変位 電流)を意味します。J=∂P/∂tですから、PとJは位相が90度ずれます。(Pがexp (jωt)で表されるならJはjωexp(jωt)=ωexp(j(ωt+π/2))となって、90度ずれていま す。)従って電界と電気分極が同相だと電界と電流密度が90度ずれるので電力 損失はありません。もし、誘電率の虚数部があると、このずれが90度ではなく なり、有限の電力損失をもつのです。
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    Date: Sun, 17 Oct 2004 23:49:21 +0900
    Q2: 佐藤先生
    A社のKです。お忙しい中、早速ご回答いただきまして、有難うございました。
    質問1「κが大きくなると反射率が高くなることについて」については、非常にわか りやすくご説明いただき、よく理解できました。
    また、質問2「101.誘電体中の光の伝搬では位相の遅れはあるのに光のエネルギーは 失われないと説明されているのに、339.導体の誘電損失や、104.電子レンジによる 炭素の加熱、126.複素誘電率については、位相の遅れにより損失が起きると説明され ていることの違い」につきましては、ご回答いただいてからよく考えて気づいたので すが、私自身が「誘電体を透過する光の位相の遅れは、光が引き起こす電子振動の位 相が摩擦などによってずれる場合に起きる」という誤った理解をしておりました。 現在はもう一度勉強しなおして、「誘電体を透過した光は、入射する光が引き起こす 電子振動によって輻射される光(入射光と位相が90度ずれている)と、誘電体が存在 しない場合の光(入射光と同位相)との重ね合わせであり、これによってさまざまな 位相のずれが発生する」、と理解しているのですが、あまり自信はありません。
    度重なる質問で恐縮ですが、誘電体における光の位相の遅れの原因について、ご教示 の程お願いいたします。
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    Date: Mon, 18 Oct 2004 16:13:18 +0900
    A2: K様、佐藤勝昭です。
    物質に光が入射したとき、もはや光は純粋の光ではなく、分極との混成波(ポラリトン)になっています。混成の程度は波長によって異なりますが、これは分極波と電磁波がエネルギーのキャッチボールをしているのです。媒質を通り抜けたあとは、普通の電磁波に戻ります。言い換えれば、媒質中を透過する光は、分極を引きずりながら進んでいるので、位相が遅れるのです。
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  • 438.

    常磁性極限から導いた磁気光学効果のスペクトルのちがい


    Date: Wed, 13 Oct 2004 20:06:39 +0900
    Q1: はじめまして。東京大学大学院工学系研究科M2の嶋田と申します。 物性なんでもQ&Aをみてメールを送らせて頂きました。

    今年の物性若手夏の学校にご参加いただきまことにありがとう ございました(僕は準備局員をやっていました) 磁気光学の サブゼミも然る事ながら、夜の懇親会での佐藤先生の絵の展覧 会も参加者から「良かった」との声を耳にしております。

    さて、本題の質問ですが、

    佐藤先生の「光と磁気[改訂版]」にはお世話になっていますが、 4章での議論から6章に移る途中で、よく理解ができません。
    他の教科書で勉強したところでは、磁気光学効果を導く 複素電気感受率テンソルの虚部

    χxy ∝ Im{<0|x|j><j|y|0>}

    を出発点に、外部印加磁場Bzによる摂動を1次まで取り込み、 摂動を受けた状態を|j>'で、そのエネルギーをW'jで表すと

    |j>' = |j> + Σz|j>|k> / Wjk
    W'j = Wj - z|j> Bz

    となり(Wjk = Wj - Wk)、これを用いてχxyへの摂動 の影響を求め、古典ボルツマン平均を課す事で、最終的には ファラデー回転角θが

    θ(ω) ∝ Σ{f(ω) A + g(ω) (B + C / kB T)} Bz

    という具合に、所謂ファラデーA項、B項、C項に分離して表すことが でき(ここでf(ω)とg(ω)はス