物理システム工学科3年次「物性工学概論」2006.4.18配付資料
佐藤勝昭教官(副学長) 火曜1限、0031教室
E-mail:
satokats@cc.tuat.ac.jpホームページ:http://www.tuat.ac.jp/~katsuaki/
第1回講義の感想・質問
金属とはなにか:
金属光沢を持ち、電気と熱をよく導き、固体状態では展性・延性に富む物質 (岩波・理化学辞典)
元素周期表(http://www.hk.airnet.ne.jp/shung/periodic_table_s.htm)


H 1s1
He
1s2 閉殻 [He]と記述
Li
[He] 2s1
Be
[He] 2s2
B [He]2s22p1
C [He]2s22p2
N [He]2s22p3
・・・
Ne [He]2s22p6 à
[Ne]
|
Na [Ne]3s1
Mg [Ne]3s13s2
・・・
Ar [Ne]3s23s6
à[Ar]
K [Ar]4s1
Ca [Ar]4s2
Sc [Ar]4s23d1
Ti [Ar]4s23d2
・・・
Cu [Ar] 4s23d1 |
さまざまな金属を図で説明
[WebElementsTM Periodic table
(http://www.webelements.com/)より]
Ia属(アルカリ金属): Li, Na, K, Rb
IIa属 (アルカリ土類): Be, Mg, Ca, Sr, Ba
3d遷移金属: Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu
貴金属: Cu, Ag, Au
IIb属(亜鉛属): Zn, Cd, Hg
IIIB属(アルミニウム属): Al, Ga, In, Tl
半金属: Sn, Sb, Bi
金属の機械的性質
金属は、弾性限界を超えた応力に対し永久歪みをともなって変形する。このような変形を塑性(plasticity)という。
・
弾性変形と塑性変形の境界点を降伏点という。
・
塑性には展性 (malleability) と延性(ductility)がある。
・
展性:弾性限界を超えた応力によって物体が破壊されず箔に広げられる性質。
・
延性:弾性限界を超えた応力によって物体が破壊されず引き延ばされる性質。硬度の高いものほど延性が小さい。
・
脆性破壊(brittle fracture):塑性変形を伴わず、割れの急速な進展によって破壊することである。劈開など。
・
疲労破壊(fatigue):繰り返し応力が加わって破壊がおきる現象。軟らかい(硬度の低い)金属は疲労破壊を生じない。
・
たとえば、1オンス(23.3 g)の金は、箔打ちによって、100平方フート(約9 m2)の箔に広げることができると、記述されています。(http://www.goldinstitute.org/facts/)
応力-歪み曲線
(http://www.nsbri.org/HumanPhysSpace/focus6/student2.html)

金属結合
(http://www.chemguide.co.uk/atoms/bonding/metallic.html)
金属においては、原子同士が接近していて、外殻のs電子は互いに重なり合い、各軌道は2個の電子しか収容できないので膨大な数の分子軌道を形成する。
電子は、それらの分子軌道を自由に行き来し、もとの電子軌道から離れて結晶全体に広がる。これを非局在化するという。
正の原子核と負の非局在電子の間には強い引力が働き、金属の凝集が起きる。
この状態を指して、電子の海に正の原子核が浮かんでいると表現される。
遷移金属はなぜ硬い
金属結合は、原子の外殻電子のうちs,p電子が結晶全体に広がることによって全エネルギーが低下することが原因ですが、このことが通常金属(Na, Mg, Alなど)や貴金属(Cu, Ag, Au)の柔らかさをもたらします。一方、 Fe, Tiなど遷移金属の結合にはd電子が寄与しています。遷移金属では、原子あたりの電子数が多く、電子の海に供給する電子数が多いことが結合の強さをもたらし、高い融点と硬さをもたらしています。
金属の高い電気伝導率
電気伝導率(導電率) の式s=nem を導こう
電流密度J= 単位時間に単位面積を流れる電荷の総量=nev
速度v = 移動度m × 電界E
従って 、J=nem Eº s E→これより
s=nem
金属の導電率の高さ→キャリア数nによる
高い熱伝導率
熱伝導=格子熱伝導+電子熱伝導
電子数が多い→電子熱伝導が大きい:Wiedeman-Franzの法則k/s=LT (k=熱伝導率、 s=電気伝導率、L=ローレンツ数、T=絶対温度)
・
[注]
逆は真ならず。熱伝導がよいからといって電気伝導率が高いとは限らない。例)ダイヤモンド