大限界
あ
- 青二才(あおにさい):「青」は未熟の意.「二才」も若いこと.魚や牛馬は,
生まれた頃を当歳,幼魚や幼馬を二才魚,二才馬という.
- 赤の他人(あかのたにん):「赤」はまったくのという意.
- 赤の広場(あかのひろば):ロシア語で赤には美しいの意味がある.1782年
に命名されているので,共産主義とは関係ない.
- 阿漕(あこぎ):悪事を重ねること.現在の三重県津市阿漕町の付近は禁漁区で
あったが,母親の病を治すために何度も魚をとっていた者がついには捕まったこ
とから.
- 虻蜂とらず(あぶはちとらず):同時に巣にかかった虻と蜂の両方を捕ろうと欲
を出して,結局どちらにも逃げられてしまった蜘蛛から,二つのことに手を出し
て,両方とも失敗することをいう.
- 油を売る(あぶらをうる):油は杓子ですくって,はかり売りしていたが,長く
尾を引き時間がかかることから,油売りは世間話などをして暇を潰していた.こ
の様から,怠けたり,無駄な時間を費やすことを言うようになった.
- 塩梅(あんばい):江戸時代の味付けは,塩と酢が基本だったので,按配のこと
を塩梅と書くようになった.
- 行き掛けの駄賃(いきがけのだちん):江戸時代,荷馬車を引く馬子が得意先を
まわるついでに,他の荷物も運んで稼いだことから,ことのついでに他のことも
して,稼ぐことを言う.
- いちゃ文(いちゃもん):「いちゃ」は狂言で若い女性,乳母,下女の意味に使
われ,転じてなれなれしいことを表す.なれなれしく文句をつけるの意.
- 引導を渡す(いんどうをわたす):仏教用語で迷っている人を導き,悟りの境地
に入らせること.転じて,殺すの意.
- インドりんご(いんどりんご):明治の初め,りんごの苗を持ってきた宣教師が,
インディアナ州の出身であったことから.
- 外郎(ういろう):米の粉で作る蒸し菓子.痰を切る薬「外郎薬」に色が似ている
ことから.「外郎薬」の口直しに食べたからという説もある.
- うだつがあがらない:「うだつ」は,うだちの転.商家の妻壁にせり出した防火
用の袖壁のこと.商売が不振だと,うだちを高くできないことから.
- 有頂天(うちょうてん):仏教用語で,欲望を超越した悟りの世界のこと.
- 独活の大木(うどのたいぼく):独活の若芽は食用になるが,長い茎は柔らかす
ぎて何の役にも立たないことから,体が大きくても役立たない人のことを指すよ
うになった.
- 裏付け(うらづけ):昔の手形であった割符の裏に支払期日を書き,このことを
裏付けと呼んだことから,証拠や保証の意となる.
- 上の空(うわのそら):空の上のこと.とらえようがないという意.
- 上米(うわまい):江戸時代,寺社が通行税として年貢米の一部を納めさせた分.
- 襟足(えりあし):着物の襟からのぞく,髪から背筋にかけての部分が,女性の
きれいな白い足を連想させるところから呼ばれる.
- 大向こう(おおむこう):芝居小屋の二階の立見席のこと.
- おくび:げっぷのこと.
- おさんどん:江戸時代の旗本屋敷は,主人のいる表,妻や妾のいる奥,さらにそ
の奥に女中のいるお三の間があった.このため女中のする掃除,洗濯,炊事など
の家事をおさんどんというようになる.
- おジャンになる:江戸時代,火事が鎮火した時にならされる半鐘の一点打から.
- お茶を濁す(おちゃをにごす):茶の湯の正式な作法を知らず,適当にかき混ぜ
て茶を点てることから.
- お茶を挽く(おちゃをひく):昔の芸者や遊女が,暇な時は石臼でお茶を挽いて
抹茶にするのが仕事だったことから,仕事がなく暇なことをいうようになった.
- 乙な{味,話,...}:(おつな{あじ,はなし,...}):邦楽における
音階の低音部をいう.乙で歌うのは,大人っぽい,色っぽい,粋である,渋い等
の表現となる.
- おやつ:江戸時代の八つ時(午後2時から4時)に食べた間食から.
か
- 鎌をかける(かまをかける):鎌を使って相手を引っかけることから.
- き帳面(きちょうめん):「き帳」は,カーテンのこと.カーテンをかける柱や
棒の角の面を丁寧に仕上げたことから
- くノ一(くのいち):忍者の隠語で,女のこと.女の文字を分解した言葉.
- 玄人裸足(くろうとはだし):玄人も裸足で逃げ出すほど技量が高いことの意.
- 剣が峰(けんがみね):富士山の山頂の火口壁で一番高い南西の場所.転じて,
こらえどころを言うようになった.
- ケンもホロロ(けんもほろろ):「ケン」も「ホロロ」も雉の鳴き声.雉は一声
鳴くだけであっさりしているところから.
- 虚仮(こけ):実体のないさま,嘘,偽りを意味する仏教用語から.
- 柿落し(こけらおとし):「柿」はカンナ屑のこと.昔の建物は屋根が板葺きの
ものが多く,建物が完成した直後に屋根のカンナ屑を掃き落して祝ったことから.
- 小春日和(こはるびより):「小春」は陰暦十月のこと.晩秋の暖かい日のこと.
- 護摩化す(ごまかす):護摩を焚いて煙を出して,辺りを見えにくくすることか
ら,騙すことの意に使われる.江戸時代の胡麻胴乱という中身のない菓子からき
たという説もある.
- 小股(こまた):諸説ある.ふくらはぎのこと.
- 鮴押し(ごりおし):「鮴」は川魚.鮴漁では,鮴を驚かせて仕掛けに追い込む
ことから,無理矢理相手を追いつめて意のままにすることを言う.
さ
- 匙を投げる(さじをなげる):医者が薬の調合を諦めることから,見放されるこ
とを言う.
- さざれ石(さざれいし):砂利のような小さな石のこと.
- 薩摩守(さつまのかみ):平家の公達,薩摩守忠度(ただのり)の名前から,無
賃乗車のことを指す.
- 三国一(さんごくいち):「三国」は,日本,唐,天竺のことで,世界一の意味.
- 三三五五(さんさんごご):数人ずつの意.語呂の良さから来た.
- 醜名(しこな):「醜」は強いの意.
- 四の五の言う(しのごのいう):賽子の出目に文句をつけることから,不平をい
うことの意.
- 篠突く雨(しのつくあめ):笹を突くように強い雨の意.
- 地道(じみち):地に着いた道.堅実な方法のこと.
- しもた屋(しもたや):もとは仕舞うた屋で,商売をやめた店の意が転じて商売
をしていない家をいう.
- 尺八(しゃくはち):一尺八寸の長さから.
- 丈夫(じょうぶ):丈は長さの単位で,身長2〜3メートルの大男の意.
- 捨鉢(すてばち):禅宗の僧が托鉢の修行をやめることから.
- 図星(ずぼし):弓道の的の中心のこと.正鵠のこと.
- 関の山(せきのやま):「関」は三重県関町のことで,「山」は山車のことであ
り,この関町の八坂神社の祭に出る山車がこれ以上の贅沢はできないというほど
立派なものであったため,なし得る上限を意味するようになった.
- 切羽つまる(せっぱつまる):「切羽」とは日本刀の鍔(つば)と鞘(さや)と
に当たる板金のこと.抜刀するかしないか悩む様から,抜き差しならない状態を
いう.
- 千六本(せんろっぽん):細い大根を意味する中国語の「ちぇんろーぼ」から.
- 糟糠の妻(そうこうのつま):糟(かす)や糠(ぬか)といった貧しい食事をし
て苦労を共にした妻のこと.
- 総花的(そうばなてき):「総花」は店などの全従業員に祝儀を出すということ
から.
- 反りが合わない(そりがあわない):「反り」は,刀と鞘の曲がり具合のこと.
た
- 大根役者(だいこんやくしゃ):大根は消化も良く,昔から食中毒を起こすこと
がなかったことから,当たらない役者を指す.
- 高飛車(たかびしゃ):将棋で,大駒の飛車を高い位置,すなわち最前線に置く
ことから,強い態度に出ることを言う.
- 黄昏(たそがれ):平安時代では,日没頃にはすでに暗く,相手を確かめるのに
「たれそ,かれ」と尋ねていたことからきた.
- 店子(たなこ):「店」は「棚」の意味.通りに面した家は,商売ができるので
店と呼ばれ,特に大阪方面では,通りに面した借家のことを店と呼び,その店の
者を店子と呼ぶようになった.
- たなごごろ:「た」は手,「な」は「の」のこと.「こころ」は「心」で,中心
のこと.手の中心,すなわち掌を指す.
- 棚に上げる(たなにあげる):棚にしまって隠してしまうこと.
- ダフ屋(だふや):札屋の札をひっくり返した隠語.闇で正規の何倍もの値段で
切符を売る人.
- 短兵急に(たんぺいきゅうに):「短兵」は小刀や剣といった短い武器のこと.
これを持って相手の懐に飛び込む様から,相手に急に迫る様子を言う.
- 嫡嫡(ちゃきちゃき):正統という意.
- 提灯持ち(ちょうちんもち):夜道に提灯を持って案内する人のこと.転じて,
自分に有利な人に媚びへつらうさまを指す.
- 手薬煉を引く(てぐすねをひく):「手薬煉」は松脂(まつやに)と油を混ぜて
煉ったもの.弓の弦にこれを塗り,滑りどめや補強に使う.待ちかまえている状
態を言う.
- 天王山(てんのうざん):京都府大山崎町にある山の名前.羽柴秀吉と明智光秀
が天下を賭けて戦った山崎の合戦の折に勝敗を決した戦場であったことから.
- 兎角(とかく):副詞の「と」と「かく」を重ねた言葉に,中国の「兎角亀毛」
というありそうもないことをいう言葉を当てたもの
- と金(ときん):将棋の駒の歩の裏に書いてある,金という文字の極端な草書体
がとの字に見えることから.
- 土左衛門(どざえもん):溺死者のようにぶよぶよと太っていた江戸時代の力士
の成瀬川土左衛門から.
- 虎の子(とらのこ):虎は神経質で単独行動をとるため,子供が産まれにくく,
その上,産まれた子供が育てにくいため,虎が子供を大事に育てることから,大
事なものを指すようになった.
- トリを取る(とりをとる):トリは,「最後を取る」の「取る」の連体形から.
あるいは,落語で看板の噺家が一門の出る寄席を確保することから来たとする説
もある.
な
- 菜種梅雨(なたねづゆ):春先の長雨.
- 二進も三進もいかない(にっちもさっちもいかない):珠算の割り算用語の二進,
三進から来た言葉.割り切れないことから,やりくりできないことを指す.
- 日本晴れ(にほんばれ):江戸時代,「日本」が立派だ,最上だという意味で流
行したことから,最高の晴天を指すようになった.
- ネタ(ねた):種をひっくり返した隠語.
は
- 鼻っ柱(はなっぱしら):鼻の左右の穴を仕切る壁のこと.
- ハメを外す(はめをはずす):ハメは,馬の轡の馬銜(はみ)が転じたもの.
- 半畳を入れる(はんじょうをいれる):江戸時代の芝居小屋では,客席に半畳の
畳を敷き詰めていた.芝居が下手だと客がこの畳を舞台に投げ入れたことから転
じて,人のすることを邪魔することをいう.
- 左前(ひだりまえ):和服の着付けで死装束が左前になることから転じて,もう
だめな状態を言う.
- 日向ぼっこ(ひなたぼっこ):日向誇りの転.
- 火の車(ひのくるま):亡者を乗せて地獄へ進む火のついた車の意.転じて,ど
うしようもない状態を言う.
- ぴんからきりまで:「ぴん」,「きり」はポルトガル語で,pinta(一)と
cruz(十)のことで,一から十までの意.
- 腑に落ちない(ふにおちない):消化しきれないこと.
- 風呂敷(ふろしき):昔の風呂は,サウナ風のものであり,直接座ると熱かった
ので,下に敷いた布を風呂敷と呼んだ.
- 糸瓜(へちま):江戸時代に伝来した「へちま」は,もともと「いとうり」と呼
ばれていたが,そのうちつまって,「とうり」と呼ばれ,「と」の字がいろはで,
「へ」と「ち」の間にあることから,「へちまうり」となり,「へちま」となっ
た.
- へべれけ:俗説に,ギリシャ神話に出る青春の女神「へーべー」のお酌をギリシ
ャ語で,「ヘーベーエリュエーケ」というところから来たとするものあり.
- 減らず口を叩く(へらずぐちをたたく):「減らず」は副詞で,喋り方の減らな
い様をいい,「口を叩く」は,口を開け閉めして喋ることをいう.
- 北叟笑む(ほくそえむ):「北叟」は北の老人の意で塞翁のこと.何事にも
動じない塞翁が笑うことから.
- ポシャる(ぽしゃる):シャッポを脱ぐの,シャッポをひっくり返して生まれた
- ぼる:大正時代の米騒動の際,暴利から生まれた言葉.隠語.
- 盆暗(ぼんくら):盆は丁半博打のこと.博打に弱い人の意から転じて,愚鈍な
者を指す.
ま
- 木乃伊取りが木乃伊になる(みいらとりがみいらになる):欲にかられて万病の
薬とされている「木乃伊」を探しにいったものが野垂れ死んで木乃伊となること
から.
- 土産(みやげ):古代の朝廷では,税を屯倉(みやけ)に保存していた.税とは,
その地方での土産品であったことから,土産と書いてみやげと読む.
- 無茶苦茶(むちゃくちゃ):お茶を出さないことや,苦いお茶を出すこと.もと
は非礼な接遇を言ったが,転じて常軌を逸した態度をいう.
- 無鉄砲(むてっぽう):正しくは「無手法」.「無鉄砲」は当て字.もとは,漢
文を白文のまま読む「無点法」では,なかなか意味が分からないことから.
- 村雨(むらさめ):「村」は当て字で,降ったり降らなかったりする,ムラのあ
る雨のことをいう.
- 目白押し(めじろおし):メジロが何羽もまとまって木にとまる習性から.
- 目処(めど):目指すところ.
- 物怪の幸い(もっけのさいわい):物怪などによる不思議な力による偶然の幸い
の意で,予期せぬ幸福のこと.
- 勿体ない(もったいない):二説ある.一つは勿は物の略であり,物の体をなさ
ないことから,もう一つは勿を無の意味にとり,体無しなりからきたとする.
- 紋切り型(もんきりがた):家紋を染めるときなど,型紙を用いるのが普通で,
ここから,型にはまったことを言うようになった.
や
- 八重歯(やえば):「八重」は単に重なるの意.他の歯に重なるように生えてい
ることから.
- 八百長(やおちょう):明治初期の相撲協会に出入りしていた八百屋の長兵衛が,
年寄伊勢海に囲碁で故意に負けてやっていたことから.
- 野次馬(やじうま):もとは「親父馬」.子馬の後をずっと追うさまから,他人
の後についていく人をいう.
- 脂下がる(やにさがる):反り返って,キセルを吸うとタバコの脂(やに)が下
がってくるのをやせ我慢することから,格好を付けた気取った人のことを言うよ
うになった.
- 横紙破り(よこがみやぶり):紙漉き繊維の筋の方向(縦目)に逆らって,紙を
破ることから,理不尽なことを行うことを言う.
ら
- 埒があく(らちがあく):埒は馬の柵のこと.柵が開くことから,物事が始まる,
進むことを意味する.
- ルビ:宝石のルビーから.
- 狼藉(ろうぜき):狼が草を藉(し)いて寝た後のように乱れているさまをいう.
- 老頭児(ろーとる):中国語で,年をとって,子ども並の知力になってしまった
人のこと.
- 陸でなし(ろくでなし):陸とは平坦,真面目の意.不真面目.
- ロハ(ろは):只の文字を分解して作った言葉.
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