光アナログ・コンピューティング
現在,液晶空間光変調器の応用研究が世界中で行われています.我々の研究室では,90年代の初頭に浜松ホトニクス株式会社との共同研究で,空間光変調器を用いた全光学的アナログコンピューティング技術の開発研究を行いました.この研究で用いた空間光変調器は,光書き込み−光読み出し型です.図1に示しますように,左側から演算したい画像を光強度分布として照射します.その光強度分布に応じて,光導電層に電荷分布が誘起され,液晶分子の方向を変化させます.このような状態で,右側から読み出し用のレーザ光を照射しますと,液晶分子の傾斜分布に応じて,読み出し光の偏光状態が変調され,光反射層で反射されます.この偏光変調成分をクロスニコル配置で取り出すことで,コヒーレントフィルタリングが可能になります.  
  図2は,Wigner分布関数を全光学的に演算するための光学系を示します.1次元関数 f(x)Wigner分布関数は,位置xにおける関数 f(x)の周波数分布を表す関数であり,次式で定義されます. 
図2の実験では,1次元関数の物体として焦点距離200mmのシリンドリカルレンズを用いました.図には,光学的に発生させたf(x+y/2)f(x-y/2)および空間光変調器から光読出しされ,コヒーレント像としてのf(x+y/2)f(x-y/2)が示されています.さらに,このコヒーレント像をy軸1次元フーリエ変換光学系に導波することによって,Wigner分布関数を得ています.
 図1 光書込みー光読出し型液晶空間光変調器
   
   図2 Wigner分布関数光演算光学系
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