1996 October 30
炭素材料は古くて新しい素材であり、多くの種類が開発され、多方面の用途に利用されている。ウッドセラミックスは、木材、木質材料などの木質原料にフェノール樹脂を含浸し、焼成して製造される、最近開発された新しい多孔質炭素材料である。その性質は導電性、摺動性、耐熱性、耐食性に優れ、電磁シールド材、摺動部材、発熱体、耐熱材、耐食材、クラフト素材等の用途が期待されている。
この炭素材料は木材の由来する軟質炭素とフェノール樹脂に由来する硬質のガラス状炭素からなる一種の複合材料であり、その構成割合を変えることによって、力学特性などを制御することが可能である。また、木材、木質材料が持つ多孔質構造や異方性構造を活用して多孔質・異方性材料を製造できる。加えて、木質資源は二酸化炭素と水を原料として太陽エネルギーによって生産される、持続的に生産可能な資源である。
材料の用途によって力学性能に対する要求度は異なるが、ウッドセラミックスの基本的性質として力学性能を明らかにし、その性能を向上させることが必要である。
そこで、木質原料として、ミディアムデンシティファイバーボード(MDF)を用いたウッドセラミックスの曲げ強度性能および硬さに及ぼす焼成温度およびフェノール樹脂充填量の影響について300℃から2500℃の焼成温度範囲で検討した。
ウッドセラミックスの曲げヤング率、曲げ強度およびブリネル硬さは、焼成温度の上昇に伴い、500℃から800℃の範囲で顕著に増加した。この顕著な高度性能の向上は密度の増加と結晶性の向上によって説明ができる。強度性能、とりわけブリネル硬さがフェノール樹脂充填によって著しく向上することが認められた。