農民参加型木炭多用途利用技術普及計画(フォローアップ)の事業概要

事業の背景と必要性
ベトナム中部にあるバックマー国立公園では、希少な森林生態系を保全するため、緩衝地帯の農村住民が森林資源採取に依存しないよう、エコ・グリーンツーリズム等による持続的開発が課題となっている。東京農工大学は、2008年より同国立公園に接したケースー集落の住民を主な対象に、炭を用いた農畜産技術の普及によりこの課題に取り組んできた。その結果、炭・木酢によるブタの下痢予防、炭入り有機肥料による良質野菜の生産など、住民の生活向上が実現されてきた。しかし、同集落の農民は、飼育・栽培技術が発展途上にあり、自立のためのさらなる技術支援を求めている。一方、国立公園では、近い将来、観光客が急増することが予想されており、緩衝地帯の他の農村にも安全安心な農産物生産を普及し、地元食材を観光客に提供したいと考え、本学に対し、引き続き炭を用いた有畜複合農業の普及支援を要望している。

プロジェクト目標
バックマー国立公園が中心となって「炭を用いた循環型有畜複合農業モデル」を緩衝地帯全域の住民に普及できる体制が構築される。

対象地域
トゥアティエンフエ省 バックマー国立公園緩衝地帯

受益者層(ターゲットグループ)
国立公園緩衝地帯(フーロック郡およびナムドン郡)の農民140世帯(うちケースー集落の農家20世帯)

期待される成果および活動
<成果>
1.ケースー集落において「炭を用いた循環型有畜複合農業モデル」が体系化される。
2.「炭を用いた循環型有畜複合農業モデル」の研修教材と研修プログラムが、国立公園を中心に農家・フエ農林大学・フエ農業研究開発センターの共同により作られる。
3.「炭を用いた循環型有畜複合農業モデル」の研修プログラムの実施を通じて、普及人材が育成される。
<活動>
1-1. ケースー集落周辺の地域バイオマスを利用し、炭・木酢を生産するための技術支援を行う。
1-2. 疾病予防のため、ブタ等の家畜に炭・木酢を給与し、健康家畜を生産するための技術支援を行う。
1-3. 肥効の高い炭入りボカシを製造するための技術支援を行う。1-4. 炭入りボカシを用いた有機農産物の品目・生産・販売を増やすための技術支援を行う。
2-1. 農家、フエ農林大学、およびフエ農業研究開発センターの協力者とともに、飼育・栽培に関する実証データを集積し、「炭を用いた循環型有畜複合農業モデル」の研修教材を作成する。
2-2.対象・地域に合った「炭を用いた循環型有畜複合農業モデル」の研修プログラムを作成する。
3-1. 普及担当候補者に技術普及の先進事例を学ぶ機会を提供する。
3-2. 国立公園が主体となり「炭を用いた循環型有畜複合農業モデル」の研修計画を立て、協力機関とともに実施する。
3-3. 研修後、参加農家らに追加技術支援を行う。
3-4. 関係者により普及活動(研修および追加技術支援)の成果を評価し、普及システムを改善して技術の現地化を図る。

実施期間 平成23年8月17日〜25年3月31日(1年7ヵ月半)

事業の実施体制 バックマー国立公園と東京農工大学大学院農学府 国際技術協力支援室が実施組織を構成し、各分野専門家の助言を得ながら共同で実施する。


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