本学科には、原子・分子など物質を構成する根元粒子の性質を研究する「量子系」、物質の中での電子の振る舞いを探求する「物質系」、多くの要素が組み合わさって生物のように機能を発揮する過程を分析する「複雑系」などの専門分野があります。

21世紀に入った今、1kgのコンピューターが一秒間に5億回もの計算をし、直 径8cmの金属円盤に百科辞典21巻がおさまり、地球の裏側のワールドカップの 映像が光ファイバーをとおって一瞬のうちに茶の間に飛び込んでくる時代です。 このような時代を支えている科学技術、例えばエレクトロニクスやメカトロニ クスの最先端では、たくさんの電子をまとめて「電流」として扱い、物質を原 子がたくさん集まったかたまりとして考える、これまでの方法や考え方ではも はや限界になりつつあります。将来に向けて、個々の原子・分子、そして電子 の性質を明らかにするとともに、それらを一つずつつまんだり並べたりして直 接コントロールする「原子のピンセット」のような技術・方法を産み出す必要 があります。このように、物理システム工学科は、物質そのものの性質を解明 する「物理学」の手法を、現代の最先端から未来に向けての科学工業技術に応 用することを目的としています。
物理システム工学科では「物理学」の考え方を基にして、原子・分子、そし て電子のふるまいや性質を理解するための勉強をします。また、それらが複雑 に組み合わされ、協調し合って様々な機能を発揮するようになる過程について 理解します。「物理学」と聞くと、数式ばかり・難しい・頭が固い・抽象的・ 役に立たない・・・などと思い浮かべるかもしれません。ところが、最近の科 学の進歩にともなって、「物理学」の考え方や方法を用いて、人問の手でいろ いろな物質や現象をコントロ一ルできるようになってきました。たった一つの 電子を使ったメモリーや、原子を一つずつピラミッドのように並べて作った超 IC、データ通信やCD−ROM などに用いられる量子井戸レーザーなどが開発さ れています。また、原子・分子を組み合わせたときの、まるで生物細胞のよう に、様々な機能を発揮したり、まわりの環境に応じて自分自身が変化したりす る複雑なふるまいを、新しい素材に応用する技術が研究されています。
このように物理システム工学科には、原子・分子など物質を構成する根源粒 子の性質を研究する「量子系」、物質の中での電子のふるまいを探求する「物 質系」、多くの要素が組み合わさって生物のような機能を発揮する過程を分析 する「複雑系」の広い範囲にまたがる専門分野があります。4年間にわたって、 それぞれの専門分野の多くの先生方による充実したカリキュラムと、マンツー マンの少人数教育による研究室での卒業研究を通じて、新しい技術、新しい素 材、新しいシステムを創り出すための知識、技術をぜひ身に付けてください。 そして、優秀な研究者・科学技術者として、21世紀の科学技術にチャレンジし ようではありませんか。また、大学院博士課程(前期・修士、後期・博士)に 進学し、さらに深い専門知識や応用技術を身につけ、創造的研究に携わってみ ませんか。21世紀を皆さんの手で開拓しましょう。物理システム工学科は、皆 さんの若い情熱と意欲を求めています。