研究科長ご挨拶

東京農工大学大学院連合農学研究科長 金勝 一樹

 新型コロナウイルスによるパンデミックは、私たちの生活を激変させ、多くの人々がこの病に倒れる事態を引き起こしました。この病魔に打ち勝ち、当たり前であった日常を取り戻すための闘いにおいて、人類の「科学の力」が試されていたのかもしれません。長年にわたる研究の成果が初めて実用的に用いられたこともありました。また、それに伴う新たな課題も出てきました。その課題を克服できるのも、「科学の力」です。人類は、新型コロナの他にも様々な危機に直面しています。食糧、資源、エネルギーの持続的な確保や、環境問題も解決しなければならない重要な課題です。その解決に貢献できるのが、農学分野の「科学の力」です。

 連合農学研究科は、茨城大学、宇都宮大学、東京農工大学で構成された博士課程だけからなる独立研究科です。本研究科では3つの大学が協力することで、「いのちの総合科学」とも言われる農学の幅広い領域を十分にカバーしています。そして、それぞれの大学の持つ特徴を活かしながら連携できるシステムとなっているので、単独の大学では実現できないユニークなイノベーションの創出が可能となっています。現代社会の抱える様々な課題の解決に必要な「科学の力」、そして持続的に発展した明るい未来を切り拓く「科学の力」が、連合農学研究科から生み出されることを期待してください。