東京農工大学ビジョン2030

東京農工大学ビジョン2030

学長 大野弘幸

 東京農工大学は2014年に創基140周年を迎えました。我が国を支える根幹産業である農学と工学を柱とする本学の教育・研究はこれまでも高く評価されてきました。
 この間、我が国は産業の進歩に伴い、大きく社会が変わってきました。科学技術の進歩は著しく、今まで以上に速く変革が進んでおります。また、世界の状況も常に変化しており、人類の生活は格段に快適なものになってきております。一方で、地球規模で解決しなくてはならない環境問題、資源・エネルギー問題、地域間格差などに我々は直面しています。このような中、問題解決に不可欠であると大学に期待する声も大きく、大学の在り方も変わってきています。
 東京農工大学は2024年に創基150周年を迎えます。東京農工大学はこれまでの誇らしい歴史の上に新たな革新を進め、教育と研究の両面で我が国をリードする使命があると私は思います。これからの日本をどのように支え、高めていけば良いのかを常に考えながら、東京農工大学は教職員と学生が一丸となって前進していくべきです。
 そのために、来たる2030年の本学のあるべき姿を提案し、それに向かって創基150周年までに到達しておきたい目標をここに示すことが重要と考え、教育、研究、運営に関する3つのビジョンを述べることにします。本学の取り組みにたくさんのご意見を頂きたいと思います。そうして議論して得られた本学のあるべき姿にご理解ご支援を賜りますようお願い致します。

1.教育のビジョン

東京農工大学は、地球規模の諸課題の解決のために自ら提案し、実践することのできる知的で積極的な人材を輩出します。

 大学の使命は次世代を担う元気で想像力豊かな学生を育て、世界に輩出することです。そのためには、深い専門性と広い基礎力・教養を持ち合わせた学生を育てる教育体系が不可欠です。ともすれば、深い専門性のみを追求する姿勢が大学院での教育であると思われていた時代がありました。しかし、目まぐるしく進歩する現代社会の中にあって活躍する若手には、深い専門性のみならず、高い適応性と豊かな創造性が強く求められます。
 本学に入学した新入生には、早い時期に科学の最先端に触れさせ、これを理解し、先導するために必要な基礎学の習得を自発的に行う意欲を誘導します。そのためには1年生から研究室ゼミへの参加、基礎実験の充実、周辺大学との単位互換制度の拡充などを進めます。そのためには、教育組織や教育カリキュラムの大幅な見直しと単位付与の内容などの刷新が不可欠です。また、アクティブラーニングなどの先を行く革新的な教授法の導入を進めます。大学院教育では、深い専門性と広い基礎力・教養を持ち合わせた学生(T型人材)を補完するような形で有機的につなげ、T-アグリゲートを構築する環境を整え、意識を高めます。そのための研究室ローテーションなどの単位化をはじめ、社会との接点での共同研究を通じた教育の実践など、世界でも通用する人材の育成を目標として教育体系の改革を推進します。そのシンボルとしてBASE学府の改組も行います。
 大学生活での重要なポイントの一つに友人を作ることがあります。社会に巣立った後でも友人との繋がりは極めて重要であるため、人的ネットワークを作りやすい環境を整備・支援します。学生の海外渡航支援もさらに充実させ、高い意欲を持った学生の学びを支援します。

2.研究のビジョン

東京農工大学は日本や世界を変革するような科学技術につながる研究を推進します。

 本学は我が国を支える基本となる産業に深くかかわる農学と工学を中心とする研究を推進してきました。これまでに教職員の努力により、基礎学と実用研究が多く行われ、優れた成果が報告され続けています。この高い研究力を維持し、さらに充実させることにより、東京農工大学を研究大学院大学として世界に認知させるべく、努力してゆきます。グローバルイノベーション研究院を始めとし、多くの教員のたゆまない努力を支援するために、より研究しやすい環境を整備します。学内にはたくさんの研究要素が存在します。これらを有機的に結び付け、新しい共同研究として提案・育成・支援するシステムの構築も進めます。上述のT-アグリゲートもその一つです。特に本学の特徴である農学と工学の独自性を維持しながら両者の融合も促し、そこから生まれる新しい学理の確立と応用研究の展開を進めることにより、他大学ではできない個性のある融合研究を提案・促進してゆきます。そのための機会や場の設定を積極的に進めます。基礎研究と共に実用化研究を推進し、周辺地域との連携も視野に入れ、これまで以上に地域と共に活性化する方法論を探索します。
 研究を推進するためには研究費が必要です。国や産業界などからの研究費獲得のために教員とURACの意識変革を促し、協力して戦略的に挑戦する体制を整えます。

  
3.運営のビジョン

東京農工大学で働くすべての教職員が、本学で働くことの意義を認識し、喜びを感じ、自ら率先して大学を改善する組織にします。

 教員はますます忙しくなってきており、教育・研究に割く時間が激減しています。このままでは教育と研究の質の低下が避けられなくなるという状況を鑑み、大学での教育と研究の在り方を変えます。まず、講義を精選し、講義数を減らします。特に基礎学以外の講義では学生に考えさせ、自ら学び、自分の意見を述べることができるような講義形態を推奨します。学外や国外での学習経験を単位化し、コミュニケーション力を滋養させます。また、様々な形態の教員を雇用し、教育の質を落とさず、研究を推進できる環境を整えます。
 職員は現在の縦割り型組織の在り方を変え、対応できることに率先して参加し、本学を良くしていくと言う大きな使命に向かって努力できる体制を作ります。そのために成果に応じた給与体系を導入し、様々な提案を受け入れ、本人の希望に沿った就業体制がとれるような制度設計を進めます。
 卒業生と本学との繋がりを強固にするためにいくつかの施策を実施します。本学の同窓会と協力し、卒業生の情報を集約します。個人情報の取り扱いに注意し、卒業生の状況を把握できるようにするとともに、卒業生同士で情報交換ができるようなネット上での広場(農工スクエア)の整備を進めます。
 様々なアクションを行うためには運営資金が必要です。そのために、本学の財務状況を分析するとともに、資金確保のための提案を行います。また、業務の効率化をすすめ、外部委託も含めた検討を進めます。

 東京農工大学はこれまでの様々な資産を維持・拡充し、更なる飛躍を目指して全学で努力してまいります。

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