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2013年度 プレスリリース一覧

2014年2月10日 世界初!半導体チップ上でテラヘルツ波の粒を発生・伝送・検出に成功


世界初!半導体チップ上でテラヘルツ波の粒を発生・伝送・検出することに成功

国立大学法人東京農工大学 大学院工学研究院先端物理工学部門の生嶋健司准教授は、電気駆動により、半導体チップ上でテラヘルツ波(周波数10の12乗Hzの電磁波)の粒を約50 %の伝送効率で発生、伝送、検出することに成功しました。この成果により、半導体チップ上の金属配線を伝わる電気信号を光の粒として検出可能であることが示され、今後、量子情報を伝達・演算する集積光子回路の実現につながることが期待されます。なお、本成果は科学技術振興機構(JST)さきがけ(http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/index.html)および日本学術振興会科学研究費補助金の援助を受けて行われたものです。

研究の概念図

作製された半導体チップ

現状:電子や光は「波」でも「粒子」でもあると理論づけた量子力学において、未来技術として注目されるのが量子情報技術です。電子による量子ビットは制御性や集積化に向いていますが、ノイズ耐性に弱いことが知られています。一方、光の粒は環境との相互作用がほとんどないことから、電子に比べてノイズ耐性に優れています。したがって、電子のように光子を電気駆動により固体チップ上で制御することが可能になると、将来の量子コンピュータ実現に向けて大きな可能性が広がると考えられます。しかしながら、これまで固体チップ上で電気駆動により光子を発生から伝送、検出の過程まで制御するようなことはできませんでした。
電磁波の粒子と波動の二重性において、波動性を特徴づける「波長」が長くなると、粒子性を特徴づける「光子エネルギー」は小さくなる関係にあります。エレクトロニクスの技術を活用すると、マイクロ波に代表される“電波”は波長が長いため、半導体チップ上の金属平面導波路により“電波”を効率よく伝送することが可能です。しかしながら、光子エネルギーが小さいため、光の粒として検出することが困難でした。一方、光子エネルギーが大きい“光”の領域では粒子性を検出することは可能ですが、波長が短いため、半導体チップ上の導波路の伝送効率は十分ではありませんでした。

研究成果:生嶋健司准教授らのグループは、“光”と“電波”の狭間にあるテラヘルツ周波数帯(10の12乗 Hz)の電磁波(テラヘルツ光、またはテラヘルツ波ともいう)において、波動性と粒子性の両方を制御する半導体素子の開発に取り組みました。この半導体チップは、ガリウム砒素とガリウムアルミニウム砒素化合物半導体の積層構造(ヘテロ構造)で作製されています。発光部は、量子ホール効果を利用したテラヘルツ発光ダイオードで構成され、テラヘルツ波の波長(ガリウム砒素内で約38 µm)以下の微小な点光源となります。この点光源に、テラヘルツ波帯用に設計された平面ストリップラインを結合させ、同一基板上に作製された光子検出部まで配線しました。光子検出部は、単電子トランジスタとして動作する量子ドットを用いています。このオールインワンチップにより、電気駆動でテラヘルツ周波数帯の光子を発生させ、約50 %の伝送効率で0.5 mmの距離に渡って伝送した光子を検出することに成功しました。

今後の展開:今回の集積テラヘルツ回路における光子の発生・伝送・検出によって、電気駆動で固体チップ上の光の量子実験が可能であることを証明しました。今後、テラヘルツ共振回路やテラヘルツ干渉回路等を集積化し、光子を基本要素とした量子演算素子の実現に向けた研究を進めます。

本研究成果は、2月7日に米国応用物理雑誌「Applied Physics Letters」電子版(別リンクで開きます)に掲載されました。

掲載誌:「Applied Physics Letters」
論文名: ”Generation, transmission, and detection of terahertz photons on an electrically driven single chip”
著 者:K. Ikushima, A. Ito and S. Okano


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