【学長緊急アピール】平成23年度概算要求基準への要望

2010年7月27日

東京農工大学は、20世紀の社会と科学技術が顕在化させた「持続発展可能な社会の実現」に向けた課題を正面から受け止め、農学、工学およびその融合領域における自由な発想に基づく教育研究を通して世界の平和と社会や自然環境と調和した科学技術の進展に貢献するとともに、課題解決とその実現を担う人材の育成と知の創造に邁進しております。
しかしながら、国立大学の運営基盤を支える運営費交付金は法人化以後の6年間で約830億円の減額がなされました。そのような厳しい経費削減の中においても本学では、教育経費を一切削減せず、人件費および業務の見直しによる経費の節減、研究費については競争的資金を獲得して賄うことを基本姿勢とし、それらの経営努力を重ねながら教育研究活動を展開しております。

このたび、「財政運営戦略」において示された「中期財政フレーム」によると社会保障関係経費以外の一般歳出が、年率8%減とされておりますが、これを国立大学法人の運営費交付金に機械的に当てはめると、927億円もの減額がなされることとなり、これに加え科学研究費等の競争的資金にも一律8%の削減がなされることになると本学のみならず全ての国立大学法人において教育、研究ともに大きな打撃を受け、教育研究活動は立ち行かなくなります。

日本の高等教育に対する公財政支出の対GDP比は、OECD各国平均の半分にも満たない状況であることは周知の事実です。これ以上「未来への先行投資」である高等教育に対する公財政支出を削減することは、日本の高等教育を衰退させ、新成長戦略等に示されているような成長分野を牽引しイノベーションを実行する推進力を失わせ、日本の将来に深刻な状況を招くことになると危惧いたします。

日本が将来に亘って持続的に成長し、活力に満ちた社会を築いていくために我が国の高等教育の中核を担う国立大学法人が果たす役割は非常に大きなものであり、その本来の役割が確実に果たせるよう国立大学法人の安定的な財務基盤の確立と科学研究費等の競争的資金の充実による研究環境の整備について要望するとともに、前述のような概算要求シーリングの考え方を大学予算の分野に適用することのないよう切望いたします。

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